アドリア海沿岸と中欧の旅 : ブラチスラヴァ, ウィーン

※ 未編集の旅行記です

October 4, 2005 (Tuesday)

7時少し前起床。窓のカーテンを開けて外を見ると、すでに明るくなっている。コンパートメントの暖房が強すぎ、窓ガラスは一面の結露だ。窓を開けると、近郊農業の畑が広がっている。

Budapest - Hungary (ブダペスト - ハンガリー)

ほぼ定刻通り、8時50分にブダペスト南駅(Budapest Déli Pu)に到着。列車を降りると、サラエヴォ出発時には3両編成だったものが、途中で連結・切り離しを繰り返し、各国の車両を数多く連結した長大編成の列車に成長していた。

帰国の飛行機は、ブダペストから1週間後の10月10日出発だ。まだまだ余裕があるので、どこか他の街に出かけることにする。東欧の広域図を見ると、ハンガリーの北にまだ一度も行ったことのないスロヴァキアと言う国がある。そこへ行ってみることにする。

ブダペスト南駅構内のATMを使い、クレジットカード・キャッシングで10,000フォリントを出金。日本円で5,500円くらいの額だ。また後日、この街に戻ってくるので、10枚綴の地下鉄回数券を買う。1450フォリント(798円)。隣国のスロバキアに向かう列車を含め、ほとんどの国際列車はブダペスト東駅を発着するので、地下鉄に乗り東駅に向かう。

Metro
Déli pályaudvar(09:00頃発)→ Keleti pályaudvar(09:15頃着)
Metro M2 10枚綴り回数券運賃 145 フォリント(80 円)

2年ぶりに東駅にやって来た。2003年に、ルーマニアから乗った夜行列車を降りて以来だ。大混雑する駅のコンコースからいったん屋外に出て、切符売り場へ。切符売り場は歴史を感じさせる巨大ホールだが、客がほとんど居ない。皆さんどこで切符買ってるんでしょうかね。10時10分発のベルリン行きユーロシティの切符をゲットする。

Train
Budapest Keleti Pu(10:10発)→ Bratislava hlavná(12:45着)
Train, EC 170 往復運賃 3,750 フォリント(2,062 円)

列車は定刻通り出発。今回のブダペスト滞在は1時間20分だった。ベルリン行きのユーロシティは冷暖房完備の新型車両だ。昨晩乗車したボスニアの車両がオンボロだったので、こちらの列車は「天国」である。

列車はドナウ川左岸を快調に走る。線路の整備がよく、列車の防音性能も良いため、ほとんど走行音が聞こえない。昨晩の寝不足を、昼寝で十分回復することができる。出発して1時間、国境のSzob駅に停車。案の定、睡眠を妨げる出入国検査がある。

Bratislava - Slovakia (ブラチスラヴァ - スロバキア)

bratislava-map.jpg

ほぼ定刻通り、12時40分にブラチスラヴァ中央駅に到着。車内の多くのお客さんはブラチスラヴァ駅では降りず、プラハやドレスデンなど遠くの街に行くようだ。数少ない下車客と共に、ホームに降り立つ。

プラットホームはカーブに沿う形になっていて、首都の表玄関の駅としては想定外の小さな駅だ。駅構内のATMで、本日2度めのクレジットカード・キャッシング。4,000コルナ(14,080円)ゲットする。つぎに駅構内のツーリスト・インフォメーションに行き、泊まるところを探す。ホテルや民宿(プライベートルーム)の最安値は、市内中心部で1泊40ユーロだそうだが、「郊外の遠くでも良い」と言う条件で探してもらうと、20ユーロの物件が出てきた。電話して予約(手数料 50コルナ, 176円)してもらい、早速トラムに乗りホテルに向かう。

Tram
Hlavná stanica(13:10頃発)→ Pionierska(13:20頃着)
Tram, Line 3 運賃 14 コルナ(49 円)

中央駅の売店で7枚綴のトラム回数券を買い(98コルナ, 345円)、ツーリスト・インフォメーションで教えてもらったトラムに乗る。トラムは市街地中心部を離れると、大通りの中央に敷かれた専用軌道を猛スピードで走る。ホテルはどれだけ遠い所にあるのか… と感じたが、中央駅からはたった2kmほどの距離のところだった。

予約したホテルは、郊外(Nové Mesto区)の高層アパート群の中にあった。共産主義時代に建てられた、若者向け宿泊施設といった感じのところだ。受付のお姉さんは、ものすごい美人だった。

部屋に荷物を置き、観光に出かける。

Tram
Pionierska(14:40頃発)→ Kamenné námestie(14:55頃着)
Tram, Line 11 運賃 14 コルナ(49 円)

旧市街に近いKamenné námestie停留所で下車。10階建てくらいの色とりどりの雑居ビルが建ち並ぶ、典型的な欧州の地方都市と言った感じのところだ。一角に、マクドナルドを発見。昼食とする。ビックマック・メニューとサラダで184コルナ(647円)。ビッグマック指数で言えば、先進国平均とあまり変わらない価格だ。

ブラチスラヴァは、中世初期の10世紀頃に築かれたハンガリーの国境城塞ポジョニが街の起源だ。13世紀末には都市権を得た中世都市プレスブルクとなり、16世紀から18世紀までは(ブダペストがオスマン帝国に占拠されたため)ハンガリーの首都がこの街に置かれたそうだ。

薄緑や薄黄色などカラフルな色の建物が並ぶ旧市街に入る。20世紀には一つの国家だったチェコとスロバキア。しかし、旧市街の通りに並んでいるルネサンス風建物のデザインは、細かい装飾技法で飾られるチェコのものではなく、どっしりとしたハンガリーのものに近いと感じた。

旧市街の中心、中央広場(Hlavné námestie)は敷石を引き剥がして大規模に補修工事中だった。広場に面して、15世紀に建てられたゴシック様式の市庁舎、20世紀初めに完成したアールヌーヴォー様式のハンガリー外為銀行、18世紀に建てられたバロック様式の執政官宮殿など様々な時代・様式の建物が並んでいる。

その建築博物館のようなきらびやかな建物群の中に、何と日本大使館の建物が…。しっくりと周囲の建物に溶け込んでいます。

その旧市街にある中華料理屋に入り夕食。鶏肉甘酢炒とご飯で206コルナ(725円)。ちょっと高級っぽいレストランだったが、店内がかなり暑く冷房が全く効いていなかった。

デジタル一眼カメラのバッテリーが切れてしまい、これ以上撮影できないのでホテルに戻ることにする。中央駅に寄り、明日のウィーン日帰りの列車の時刻を見に行く。ツーリスト・インフォでは頻繁に列車があると言っていたが、駅に掲示されている時刻表では2時間に1本くらいしか無い。途中乗り換えでも行けるのか、それともこの国では2時間毎の列車を頻繁というのか…

Tram
Hlavná stanica(13:10頃発)→ Pionierska(13:20頃着)
Tram, Line 3 運賃 14 コルナ(49 円)
Hotel
Ubytovacie zariadenie ZVÁRAČ (Hotel ZVÁRAČ)
303A号室, ツイン・ルーム 730コルナ(2,570円)/1泊

October 5, 2005 (Wednesday)

6時15分起床。7時にホテルの食堂で朝食。食事をしているのは、スロバキアの地方都市から首都に出張してきたと思われるビジネスマン、建設工事の技術者など30人から40人ほどだ。私が泊まっているのは、スロバキア人用のビジネスホテルのようだ。したがって、朝食のバイキングは家庭料理のような栄養のあるものが中心で、これがまた美味しかった。

さて、中央駅に向かうためトラム駅で列車を待つが、いつまで経っても列車が来ない。歩道には、市内中心方向に歩く人がたくさん居る。はるか郊外の方ではパトカーの音が鳴り響いていて、交通事故でトラムが止まっているようだ。

通勤客の流れに交じって、歩いて市内中心にある中央駅を目指す。郊外でトラム1駅間が相当長いが、マンション群の中の大通りを30分ほど歩いて中央駅に到着。

Train
Bratislava hlavná(08:32発)→ Wien Südbahnhof(09:50着)
Train, ER 2519 往復運賃 304 コルナ(1,070 円)

ウィーン行きの列車は、古い客車の長大編成だ。およそ70km北東にあるニトラから来た列車には、すでに乗車率50%ほどの乗客が乗っている。列車は超ノロノロ運転で20分ほどかかり国境のMarchegg駅に到着。国境の駅で20分間停車し、出入国検査が行われる。

列車はオーストリアに入ると各駅に停車し、通勤・通学客が次々と乗り込んでくる。隣国のオンボロ車両で通勤するのはどういう気分なのだろう…

Wien - Österreich (ウィーン - オーストリア)

wien-map.jpg

定刻通りウィーン南駅に到着。ここは5年前にポーランドのクラクフに行く夜行列車に乗った駅で、その時と同様寂れた感じのところだ。

さて、この国の通貨を得るためにATMを見つけた。しかし、通貨の両替レートを知らないので、ATMに並んでいる人に聞いてみる。と、この国の通貨はユーロと教えられる。それなら、手持ちのユーロが使えるので問題なしだ!

駅構内の観光案内所に行き、この街の観光名所を聞いてみる。シェーンブルン宮殿は必ず見ろ、時間があれば旧市街を散策しシュテファン大聖堂を見ればよいとのこと。なるほど。私の後に並んでいた日本人男性は安宿を探しているようだ。案内所では50ユーロ以下は無いとのこと。さすが先進国、物価高いね…。どうしてもこの街に泊まりたいなら、プライベートルームが予約できるか聞いてみたらと、彼にアイデアを教えてあげた。

Bus
Südbahnhof(10:20頃発)→ Pilgramgasse(10:30頃着)
Bus, Line 13A 運賃 ** ユーロ(** 円)

南駅前のバス停から、観光案内所で教えてもらった13A系統のバスに乗る。バス停はトラムの停留所と兼用だ。トラムが走ってきたと思ったら、小型の電気機関車に牽引されたコンテナ貨物車だった。トラム路線にも貨物が走るのか…

南駅の売店で切符を買い忘れたので、バスの車内で買おうとするが、運転手さんは一日券は売っていないという。地下鉄の駅で売っているのを買えば良いということで、バス運賃をタダにしてくれた…。親切な運転手さんだ。

Metro
Pilgramgasse(10:30頃発)→ Schönbrunn(10:40頃着)
Metro, Line U4 一日券 4.0 ユーロ(544 円)

今度こそ一日券を買い(4ユーロ, 544円)、地下鉄に乗りシェーンブルン宮殿を目指す。地下鉄U4号線は、掘割となっているウィーン川の河岸を走っている。ウィーン川が増水したら、この地下鉄路線も水没しちゃうだろうなどと考えているうちに、シェーンブルン駅に到着。

シェーンブルン宮殿はオーストリア帝国(ハプスブルク王朝)の歴代君主が離宮とした宮殿。17世紀末から18世紀中頃にかけて造営され、マリア・テレジア在位中に完成したバロック様式の宮殿。宮殿本館は長辺180m、部屋数1,441室で、外壁はマリア・テレジアが好んだ「テレジア・イエロー」で塗られている。庭園は東西約1.2km、南北約1kmあり、大部分はフランス庭園。一部に英国庭園や日本庭園もある。

と、Wikipediaで仕入れられる事前知識はこれくらいにして、実際に宮殿へ。駅を出ると目の前が宮殿の正門。入場券売り場で「普通に」入場券を買おうとしたら、入れる部屋の組み合わせが幾つかあり、どれにするか選ぶ必要がある。とりあえず、宮殿と庭園を見ることが出来る最安値の入場券を選ぶ(8.9ユーロ, 1,210円)。入場券はオーディオガイドの貸出も含まれているが、日本語音声の発音がちょっと変だった。標準語ではなく、どこか方言の強い地方の人が録音したのだろうか。

19世紀中頃から第一次大戦期までオーストリア皇帝であったフランツ・ヨーゼフ1世と、エリーザベト皇后が過ごした宮殿の西翼が、購入した入場券で観て回れる部屋だ。

行列ができている宮殿地下の入口から階段を上がり、衛兵の控室やビリヤード部屋などを通り過ぎると、フランツ・ヨーゼフの寝室や書斎がある。きらびやかではなく、かなり落ち着いた感じの部屋だ。書斎の机や書棚の上には、皇帝の家族の写真が所狭しと並んでいる。さらに幾つか部屋を通り抜けて行くと、エリーザベト皇后の部屋や、マリー・アントワネットの部屋がある。時代が100年も違う、世代も全く違う登場人物の名前を隣り合う部屋名としている不思議さ。実は、ナポレオン3世がフランツ・ヨーゼフに贈ったマリー・アントワネットを描いたタペストリーが飾られていたから、そう名前がついただけのようだ。実際はダイニングルームだそうだ。ややこしい部屋名にせんでほしいね。

さらに幾つか部屋を通り過ぎて行くと、鏡の間、ロサの間、グレート・ギャラリー(大広間)、スモール・ギャラリーなどの豪華な設えの部屋が続く。鏡の間は、モーツァルトが6歳の時にマリア・テレジアの御前で演奏した部屋だそうだ。

1時間ほどで宮殿内の20部屋ほどの見学を終える。次は広大な庭園の見学。宮殿の建物から700mほど南の丘にあるグロリエッテ目指して歩く。フランス庭園中央の巨大な広場を通り抜け、ネプチューン噴水のある池の横を迂回し、丘の坂道をどんどん登る。丘の頂上にあるのが、中央部分が凱旋門のデザインになっているグロリエッテだ。凱旋門を模した部分の「通路」は、大きなガラス窓で閉じられている。内部はかつてダイニングルームとして使われていたそうだ。この建物の屋上は、かつては見晴台としても使われていたという。

その他に印象に残ったのは、18世紀後期に造られた古代ローマの廃墟風の噴水。ヨーロッパの芸術界で、廃墟が流行した時代の作品かな…。

宮殿・庭園の見学を終え、再び地下鉄に乗り市内中心に戻る。19世紀中頃、旧市街を取り囲んでいた城壁を取り壊した後に環状道路(Ringstraße)が建設された。その環状道路に差し掛かったところにあるカールス広場駅で下車。ウィーン川と、それに沿って走っている地下鉄U4号線は市内中心に入ること無く、ここから旧城壁の外周に沿ってドナウ川に向かっている。

Metro
Schönbrunn(12:45頃発)→ Karlsplatz(13:15頃着)
Metro, Line U4 一日券 4.0 ユーロ(544 円)

駅構内のマクドナルドで、軽く昼食を食べる(チキンマック・メニュー 4.9ユーロ, 666円)。

駅から地上のカールス広場に上がると、ウィーン工科大学やバロック様式のカールス教会が目の前にある。教会の正面には、まるでミナレットのように2本の塔(円柱)がある。この円柱は18世紀の彫刻家ロレンツォ・マッティーエリが、ローマのトラヤヌス記念柱にインスパイアされて作ったものだということだ。ローマのものはダキア戦争に勝利した様子を描いたものだが、ここにあるものはイタリアの枢機卿カルロ・ボッロメーオの生涯を描いているそうだ。オーストリア帝国の快進撃を描いているわけではないようだ…

旧市街中心目指し、ケルントナー通りを直進する。道は旧市街に入ると歩行者天国となり、シュテファン広場に至る。欧州各国からやって来た団体観光客がたくさん歩いている。広場の中央には、ウィーン随一の観光名所ともなっているシュテファン大聖堂がある。2000年にこの街に来た時に入場したが、かなり混雑していたという記憶しか無い。そのリベンジということで、修復工事中の大聖堂にもう一度入ってみる。

工事中だからなのか、それとも平日だからなのか、大聖堂の中に観光客はほとんど居なかった。身廊の中間付近にロープが張ってあって、それより内陣側は有料のようだ。半分の位置まで行ければ私にとっては十分だ。外観も、内観も、ドイツにあるゴシック様式の大聖堂とよく似ている。しかし、正面入口のある西面だけはロマネスクという不思議なデザインだ。このロマネスクの部分は、13世紀に火災で焼け落ちたかつての教会が残存している部分だそうだ。

ブラチスラヴァに戻る列車が出発する時間が迫ってきた。旧市街北端のドナウ運河のところまで出て、地下鉄に乗る。

Metro
Schwedenplatz(14:00頃発)→ Südtiroler Platz(14:10頃着)
Metro, Line U4 一日券 4.0 ユーロ(544 円)

地下鉄駅からウィーン南駅に駆け上がる。駅は工事中で、プラットホームがどこにあるのかややこしい状態だ。14時14分発の列車が目の前で出発していく。乗り遅れた…。

駅の時刻表とにらめっこ。25分後に、国境の手前まで行くローカル列車がある。もしかしたら、国境の駅で乗り継げるかも知れないという淡い期待を持ってローカル列車に乗り込む。

Train
Wien Südbahnhof(14:40発)→ Marchegg(15:35着)
Train, R2540 往復運賃 304 コルナ(1,070 円)

1両編成のディーゼルカー。ウィーン郊外の駅に一つづつ停車し、買い物や通学の乗客を降ろしながら国境に向かう。終点のMarchegg駅で下車。数人の客がここで降りて、私と同じくブラチスラヴァ行きを待つようだ。ここは国境の出入国検査を行う駅なので、長大編成の国際列車が何本か停車できる待機線があるが、プラットホームは無い。

駅舎なのか入国検査官の事務所なのか、1棟の建物があるが、一般の乗客向けの待合室などは無いようだ。時刻表では、次の列車の出発は30分後なので、駅の外に出てみる。人口2千人の村で、駅前には少々の住宅が建つのみ。その向こうは一面の小麦畑だ。売店すら見つからない…。

15kmほど離れたGänserndorf村からやって来た1両編成の列車が駅に入ってくる。国境を越える国際列車なので、それなりに乗客が乗っている。ちゃんと乗り継ぎの列車があって一安心だ。

Train
Wien Marchegg(16:03発)→ Bratislava hlavná(16:27着)
Train, R7392 往復運賃 304 コルナ(1,070 円)

列車は出入国検査のためにMarchegg駅で20分ほど停車している。私は列車のドアでパスポートを示し検査を受ける。ここからアジア人が乗り込んでくることはあまりないのだろう、女性の車掌さんから行き先は本当にあっているのか何度か確認される。

16時半頃、ブラチスラヴァに到着。

Bratislava - Slovakia (ブラチスラヴァ - スロバキア)

歩いて旧市街を目指す。中央駅からまっすぐ南へ向かうと、大統領官邸(グラサルコビッチ宮殿)がある。ここは、マリア・テレジアの親友であったクロアチアの貴族、グラサルコビッチが建てた宮殿だそうだ。

旧市街の北門であるミハエル門の手前、トラムが走る歩行者天国Obchodná通りのベトナム料理店で、カレーのようなぶっかけ飯を食べる(100コルナ, 352円)。カレーではないと思ったのは、玉ねぎが十分柔らかくなっていなかったため。カレー風味の野菜炒めか、それとも失敗作なのか…。

夕刻、旧市街を散策してからホテルに戻る。

Tram
Kamenné námestie(18:00頃発)→ Pionierska(18:10頃着)
Tram, Line 11 運賃 14 コルナ(49 円)
Hotel
Ubytovacie zariadenie ZVÁRAČ (Hotel ZVÁRAČ)
303A号室, ツイン・ルーム 730コルナ(2,570円)/1泊

October 6, 2005 (Thursday)

6時半起床。7時に食堂で朝食を食べる。食堂に来ている客は、昨日とほぼ同じような顔ぶれ。社用で長期間滞在している人たちなのかな。今日はそこに、軍人も加わっている。

今日はブラチスラヴァの見どころをめぐることにする。ホテルの近くのトラムの走る大通りに出ると、当たり前のことだが今朝はトラムが走っている。通勤客を満載して走るトラムを眺めながら、旧市街に向かって歩く。のんびりと40分ほど歩いて旧市街にやって来た。

最初に聖マルティン大聖堂を観る。15世紀に完成したとされるゴシック様式の大聖堂は、尖塔のある西面が旧市街の城壁と一体となるように造られている。

旧市街と向かい合う形で、大聖堂の西側にはブラチスラヴァ城のある岩山がある。5階建てくらいのアパートが並ぶつづら折りの道を登って行くと、城の入口であるジグムンド門がある。15世紀に造られた城門だそうだ。

ブラチスラヴァ城は、ハンガリー本土がオスマン帝国に占領されていた16世紀中頃から18世紀まで、ハンガリー王国の「正式な王城」だったそうだ。この期間中の17世紀に、バロック様式で改築された建物が現在の建物の原型となっている。18世紀末、王城がブダペストに戻された後は神学校、兵舎となっていた。ナポレオン戦争下、失火により全焼。20世紀中頃まで廃墟として放置され、その後に修復・復元したのが現在の城だそうだ。

入場料は80コルナ(282円)と格安。朝早いからか、入観客はほぼ皆無。内部は近世の宮殿や邸宅で使われていた民族衣装、食器類、置き時計などが展示されている博物館。展示内容は「城」ではなく「民族博物館」に重きを置いているようだ。

塔の最上階にある窓からは、ドナウ川とUFO発着基地のようなスロバキア民衆蜂起橋(SNP橋)が見下ろせる。この景色を観るためだけでも、登る価値のある場所だ。

城のある岩山を降り、ドナウ川に架かるSNP橋に向かう。橋の袂に、たくさんの日本人団体客が居る。SNP(スロバキア民衆蜂起)とは、第二次大戦中にスロバキアを占領していたナチス・ドイツに対する民衆蜂起のことだ。Wikipediaによれば「核となる組織や戦力がなかったため、スロバキア全土の反乱闘争には発展しなかった」とされる。

UFOの発着基地のようなものは、斜張橋の塔の上に取り付けられた展望レストランだそうだ。市街地の絶景を見下ろすため、橋の上のレストランか、城の塔かと問われれば、私なら城のほうを選びたくなる。

ドナウ川の対岸はペトロジャルカ区で、大きな公園(Janko Kráľ公園)。広い芝生の広場からは、旧市街や城がよく見える。特に見どころも無さそうなので、SNP橋の下流側にある旧橋を渡って市街地に戻る。この旧橋、中央が鉄道橋を改造した道路で、両側の歩道部分の床板は木道だ。1945年にソビエト連邦がドイツ人捕虜を動員して架けたという。

何か観光のネタはないかと、長距離バスターミナルに行ってみる。旧橋を渡り、巨大な煙突のある工場の横を通過すると、Autobusová Stanicaと書かれた建物が見える。時刻表とにらめっこしても、行きたい所が分かるわけではなく、成果なし。ここからは国際バスも出発するようで、ウィーン行きは1時間に1本だが、ブダペスト行きは1日1本のみ。鉄道の便が便利かどうかで、逆張りしているのだろう。

バスターミナル内の大衆食堂で昼食を食べる。魚のフライ、じゃがいも、大豆のスープとモルス。95コルナ(334円)。旧ソ連圏なので、食堂で冷たいモルスを飲めるのはありがたい。大豆のスープは、巨大なプラスチック製のボールに入れて出てきたが、これだけで食事になりそうなくらいの量だった。

午後は旧市街をのんびりと散策。忙しく移動を繰り返してきた今回の旅行で、たまにはのんびりとするのも良いものだ。

夕食は昨日と同じベトナム料理店で、カレーのようなぶっかけご飯を食べる(100コルナ, 352円)。Kamenné námestieの停留所前にあるスーパーマーケットTESCOに寄り、おやつや水などを買う。今日はレジに長い行列ができている。

Tram
Kamenné námestie(17:30頃発)→ Pionierska(17:40頃着)
Tram, Line 11 運賃 14 コルナ(49 円)

ホテルの横は国鉄の車庫があり、ブラチスラヴァ中央駅を出発したばかりの長距離列車が通過する線路もある。フェンス越しに車庫に出入りする車両や、構内専用の小型のディーゼルカーが走り回っているのを眺める。

Hotel
Ubytovacie zariadenie ZVÁRAČ (Hotel ZVÁRAČ)
303A号室, ツイン・ルーム 730コルナ(2,570円)/1泊