バルカン半島南部旅日記 : アテネ、コリントス

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October 6, 2007 (Saturday)

Ναύπλιο, Nafplio - Greece (ナフプリオ、ギリシャ)

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コリントス長距離バスターミナル
Corinth long distance bus terminal

7時起床。このホテルでは朝食(セルフサービス方式)が付いているので、今回の旅行で始めてのまともな朝食にありつく。8時30分チェックアウトし、KTELの長距離バス停へ。9時発のアテネ行きに乗る。バスに乗っている乗客の数は、昨日と違って疎らだ。平日と休日の違い… なのだろうか。ペロポネソス半島を順調に北上し、1時間ほどでコリントスに差し掛かる。街に入る直前の岩山の上にはアクロ・コリントスの砦が見える。バスは旧市街には入らず高速道路を直進し、コリントス運河横にあるドライブインに停車。

Bus
Nafplio/Ναύπλιο(09:00発) → Corinth, Loutraki/Κόρινθος(10:15着)
KTEL Bus 運賃 5.5 ユーロ(902円)

コリントス運河と国鉄の鉄橋
Corinth Canal and bridge of national rail

ドライブインにはバスの乗り継ぎターミナルがあり、長距離バスは全てここに停車するようだ。ただし、私がこれから行こうとしているコリントス遺跡へのバスはここからは出ていないらしい。周囲の人に聞いてみると、一旦コリントス市街地へ向かい、そこから市バスに乗り継ぐそうだ。ここには荷物預け所もなく、そもそも市内行きのバスも一日に何便あるかわからない。一旦アテネに出てから荷物を置いて直通バスで出なおしたほうが良さそうだ…。

ちなみに、コリントスと呼ばれているこのバスターミナルは、実はロウトラキというコリントスの隣町のビーチリゾートだ。この街の名所であるコリントス運河を観に行ってみる。といっても、バスターミナルを出たすぐ横の高速道路の路肩から眺めるだけだが…。長さ約6kmの岩の切れ目のような深い水路が一直線に西に続いている。19世紀末に造られたそうだが、どうやって岩をこれほど深く真っ直ぐに掘り進んだのだろうか…。次のアテネ行きバスがやって来たので、それに乗ってアテネに向かう。

Bus
Corinth/Κόρινθος(10:40発) → Athens, Metro Metaxourgeio/Αθήνα, Μεταξουργείο(11:50着)
KTEL Bus 運賃 7.5 ユーロ(1230円)

Αθήνα, Athens - Greece (アテネ、ギリシャ)

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ユースホステル北側の住宅地
near youth hostel

バスはコリントスとアテネ空港を結ぶプロアスティアコス(郊外鉄道)と並走する高速道路を東へ。高速道路も郊外鉄道も、オリンピックを契機に一新された過剰施設だ。アテネ市街地に近づくと渋滞がひどくなり、キフィスウ・バスターミナルには停車せずにアテネ市街地中心部の地下鉄メタクスルギオ駅が終着地だった。

インターネットで予約したユースホステルが、この駅から歩いてすぐなので助かった…。時折こういう運の良いこともあるものだ。ヴィクトル・ユーゴー通りにあるユースホステルに行きチェックイン。割り当てられた106号室へ行ってみるとお年寄りが1人居て、有り金全部盗まれたと言っていた。ユースホステル周辺は治安が悪そうな感じなので、用心したほうが良いだろう。荷物を部屋に置いて昼食を食べにゆく。ここには以前にも泊まったことがあるので、だいたい周辺の様子はわかっている。ユースホステルと国鉄ラリッサ駅の間にある住宅街にはレストランも沢山あって、食べる所には不自由しない。ギロピタを出すタヴェルナに入り、メニューを観て注文すると1つが2人前の大きさだった…(7ユーロ, 1148円)。

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国立考古学博物館
National Archaeological Museum

本当は今日の午後はコリントス遺跡を観る予定だったが、急遽予定が変わってアテネ国立考古学博物館見学に変更。古代ギリシャ文明の遺物がたくさん展示されていて、この分野ではルーヴル博物館や大英博物館に匹敵するくらいの収蔵物を観ることができる。

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アテナ像
statue of Athena

オリュンポス十二神ゼウスヘルメスアフロディテアテナの像などギリシャ神話に登場する神々の姿を一度に見れるのは、おそらくココだけではないだろうか。

2時間ほど博物館を見学した後に、2.5km離れたオリンピア・ゼウス神殿を目指す。アテネ中心部のオモニア広場から、スタディウ通りを南下し、シンタグマ広場国立庭園と歩いて40分程度。目の前に巨大な円柱が建ち並ぶゼウス神殿が、アクロポリスに沈もうとする夕日に照らされている。ゼウス神殿横の道路には、オリンピックに合わせて開通した真新しいトラムが走っている。ローマ時代に造られたハドリアヌス門は、まるでゼウス神殿への入口のようにも見える。

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オリンピア・ゼウス神殿とアクロポリスの岩山
Temple of Olympian Zeus

入場料2ユーロ(328円)払ってゼウス神殿の敷地に入る。17時すぎ、観光客は敷地内にほとんど居らず写真撮り放題だ。オレンジ色の神殿の建材が、夕日でますます真っ赤に染まっている。ゼウス神殿に建ち並んでいる円柱は15本、崩壊して転がっている円柱が16本だが、紀元前2世紀にこの寺院が完成した時には104本の円柱(高さ17m、直径2m)が奥行108m×幅41mの巨大な建物を形作っていたそうだ。アクロポリスの上に建つパルテノン神殿(幅30.9m×奥行69.5m×円柱高さ10.4m)より大きなサイズだ。ちょっと想像付かない巨大さですね…。

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聖パウロ教会近くのタヴェルナ
Gyros Taverna near Agios Nikolaos

湿度が低く空気が澄んでいるからなのか、1.8km北東にあるリカヴィトスの丘が手に取るようにくっきりと見えている。大理石の岩山の頂上に建っている真っ白なゲオルギオス聖堂も望遠レンズならすぐそこに見えている。

夕食はユースホステルの北に広がる住宅街にあるタヴェルナでギロピタとサラダ(5.7ユーロ, 934円)。この店は昼食時にはものすごく混雑していた人気店だ。

Hotel
Athens International Youth Hostel, room 106
10.5 ユーロ(約1722円)

October 7, 2007 (Sunday)

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キフィスゥ バスターミナル 切符売場
Kifissos Bus Terminal ticket office

6時50分起床。ユースホステル1階のカフェテリアで3.5ユーロ(574円)の朝食を売っているが、価格設定が少し高めだからか食べている人は誰も居ない。私もここで食べるのではなく、これから行くバスターミナルで食べることにする。

ユースホステルを出てメタクスルギオ駅のロータリーを通り越し、国鉄の高架をくぐった西側のバス停で51系統のバスを待つ。バス停の時刻表には休日のこの時間帯は10〜15分毎に運行されていると書かれているが、バスが来るまで20分以上待った。休日の早朝なのに、ほぼ満員の乗客を乗せたバスは、朝日を浴びながらアテネの西郊外にあるキフィスウ・バスターミナルまで10分程度で走る。

バスターミナル内のカフェテリアでサンドイッチを買って朝食(2.3ユーロ, 377円)。8時10分発のコリントス行きのバスに乗る。乗客は殆ど無く、途中の停留所で乗り降りする人も無かった。バスはナフプリオへ往復した時と同じ高速道路を走り、コリントス運河横のロウトラキ バスターミナルに停車した後に、新市街中心部の市役所前広場に到着。この場所なら、コリントス遺跡へ行く市バスにも乗り換えがしやすい。

Bus
Αλαμάνας(07:30頃発) → Κηφισου(07:45頃着)
Bus line 51 運賃 0.8 ユーロ(131円)
Bus
Athens, Kifissos Bus Terminal/Κηφισου(08:10発) → Corinth/Κόρινθος(09:15着)
KTEL Bus 運賃 7 ユーロ(1148円)

Κόρινθος, Corinth - Greece (コリントス、ギリシャ)

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裁判所とダマスキノス大主教像
Judicial Building and Damaskinos statue

コリントス遺跡方面へ向かうバスが出発するバス停に行くと、観光客向けに英語で書かれた時刻表が貼られていた。次のバスは10時10分発。暫く時間があるので、コリントス新市街を見物する。市役所前広場に面して裁判所があり、裁判所の前にはかつて首相を務めたこともあるダマスキノス大主教像が立っている。裁判所の壁が落書きで覆われているのは、この国のモラルが低下している現れだろうか…。

アテネからのバスが来た方向へ向かって歩き、国鉄駅のところまで来る。小さな駅舎は入口に鍵が掛けられていて閉鎖しているようにも見える。プラットホームにはディーゼル機関車に牽引された貨物列車が停車しているだけだ。旅客列車はコリントス市街地の2km南にある新駅に移ったのだろう。

人口5万8千人の街にしては、街の中にほとんど人が歩いていない。日曜の早朝だからなのだろうか。リゾート地のようなオープンカフェが並ぶ歩行者天国を通って市庁舎前まで戻り、パン屋の前にあるバス停よりコリントス遺跡行きのバスに乗車。

Bus
Corinth/Κόρινθος(10:10発) → Ancient Corinth/Αρχαία Κόρινθος(10:27着)
Bus 運賃 1.2 ユーロ(196円)
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アポロン神殿と、背後にアクロ・コリントス
Temple of Apollo and Acrocorinth

バスは新コリントス駅前を経由して高速道路に一旦入り、旧コリントス村へ。住宅街の中の道を複雑に曲がりながら何箇所かのバス停に停車して、コリントス遺跡前のバス停に停車。今回も、バスに乗って遺跡にやってきた観光客は私だけだった。この国は公共交通機関で観光する人は、本当に少ないようだ。今日は遺跡の無料開放日ということで、入場券売り場で“ENTRANCE FREE”と書かれたチケットをもらって中へ。目の前に半ば崩壊したアポロン神殿の円柱が7本ほど建っている。このドーリア式の神殿は紀元前7世紀にコリントスの僭主キュプセロスが建てたものだそうだ。昨日の夕方見たアテネのゼウス神殿の巨大さに比べて、こちらは小ぢんまりしている(幅21m×奥行53m×円柱高さ7m)。

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「カエサル」の文字が見える石材
Temple stone with Caesar word

古代ギリシャ時代にはアテネやスパルタと並ぶ都市国家がここコリントスにも存在したそうで、現在はひなびた田舎のこの町に巨大な遺跡が残っている。コリントスはギリシャ本土とペロポネソス半島を結ぶ唯一の地峡に位置していて、現在でも交通の要衝ではある。

アゴラ跡の廃墟がアポロン神殿の南側に広がっていて、所々にラテン語が彫り込まれた柱材も混じっている。ローマ帝国時代にこの街を再整備した“カエサル”の名が彫り込まれたものもある。カエサルの名を彫り込んだ石材のすぐ脇には、ギリシャ本土では余り使われたことがないと言われているコリント式の円柱3本が残存したオクタヴィア神殿が残っている。

1.5kmほど南に見える岩山の上にはアクロコリントス要塞が見えているが、そこまで行く公共交通機関は存在しないし、炎天下に徒歩で登るのは明らかに無謀だろう。

Bus
Ancient Corinth/Αρχαία Κόρινθος(12:30発) → Corinth/Κόρινθος(12:50着)
Bus 運賃 1.2 ユーロ(196円)
Bus
Corinth/Κόρινθος(13:00発) → Athens, Metro Metaxourgeio/Αθήνα, Μεταξουργείο(14:05着)
KTEL Bus 運賃 7 ユーロ(1148円)

Αθήνα, Athens - Greece (アテネ、ギリシャ)

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ハドリアヌスの図書館のプロピュライア
propylon of Hadrian's Library

バスを乗継いで、アテネの地下鉄メタクスルギオ駅前まで戻ってくる。昨日と同じくユースホステル北側の住宅街にある聖パウロ教会横のタヴェルナで、チキン・ギロピタを食べる(5.6ユーロ, 918円)。今日は団体客が来ているらしく、昨日より混雑度が上がっていた。こんな下町の住宅街にまでツアー客が来るとは驚きだ。

モナスティラキにあるハドリアヌスの図書館跡に向かう。ここも入場料は無料で、どうも今日はギリシャ全土で文化遺産の入場料が無料となる特別日のようだ。2世紀にローマ帝国第14代皇帝ハドリアヌスが建てたと言われる図書館で、現在はプロピュライア(入口の壁の部分)が一部だけ残っているだけで、崩れ落ちた建物の石材もどこかに持ち去れれてしまって、広い空き地が残っているだけのような所だ。巨大な陸亀が草むらからニュッと歩き出してきたのが印象的だった。

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ローマン・アゴラの風の塔
Tower of the Winds

すぐ隣にある風の神の塔があるローマン・アゴラに向かう。有名な古代アゴラと違って、こちらは小ぢんまりしている。入場口で迎えてくれた黒猫が、遺跡の中を見学しているときにぴったりとくっついて来た。餌でももらえると思っているのだろうか…。風の神の塔はキュロスのアンドロニコスが紀元前1世紀に建てたもので、日時計水時計、風見鶏が設置された気象観測所のようなものだそうだ。今見ると、風の神のレリーフが施された8角形の建物のようにしか見えない。アゴラ内にはオスマン帝国時代のフェティェ モスクも完全な形で残っている。

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パルテノン神殿
Parthenon

疲れたのでマクドナルドでアイスクリームを食べてから(0.9ユーロ, 147円)、アクロポリスに向かう。ここには何度か来ているが、いつも修復工事中で、金属製の足場がパルテノン神殿プロピュライアに取り付けられている。一体いつになったら修復が終わるのだろうか…。17世紀の大トルコ戦争での破壊がなければ、大規模な修復の必要もなかっただろうし、内部や壁面に飾られていた彫刻類も散逸してしまうこともなかったのだろう。“人間の盾”ではないが、“遺跡を盾”にして劣勢を挽回しようとする努力は何時の時代でも涙ぐましいものだが、そこまで追い詰められた政権が盛り返すのもなかなか難しいというのが平均的な歴史観だろう。

以前来た時に存在していたパルテノン神殿の裏手にあった彫刻展示館は、移転してしまったようだ。BBCの番組で、アクロポリスの麓に新しい博物館を建ててそちらに移動したというような報道を見たことがあるような気がする。彫刻展示館の跡地は単なる修復の作業ヤードになっているので、わざわざ遠くに移転させる必要があったのだろうか。本来彫刻が立っていたエレクテイオンの近くのほうが自然じゃないだろうかとも思う。

※新博物館はイギリスの大英博物館から持ち去られた彫刻類(エルギン・マーブル)を返還させるために、その収蔵場所を明確に示すために造られたとも言われている。

Metro
Akropoli/Ακροπολη(17:27頃発) → Metaxourghio/Μεταξουργείο(17:33頃着)
Metro, Line 2 運賃 0.8 ユーロ(131円)

夕食はギロピタとグリーク・サラダ(7.7ユーロ, 1262円)。ギリシャ最後の食事だ。

Hotel
Athens International Youth Hostel, room 106
10.5 ユーロ(約1722円)

October 8, 2007 (Monday)

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メタクスルギオ駅前
Metro Metaxourghio

8時少し前、朝食を求めて外へ。ユースホステルから北へ向かいタヴェルナが点在する住宅地を歩くが、朝食を出すカフェなどはどうも存在しないようだ。いつの間にか国鉄ラリッサ駅(アテネ中央駅)まで来てしまう。ちょうどカランバカ行きインターシティが出発する寸前で、切符売り場は旅行客で長い列ができている。4年ほど前にカランバカに行った時には、こんな便利な時間にインターシティは走っていなかったので、オリンピックを契機に少しは観光客の利便性も考えるようになったのだろうか…。ラリッサ駅からアテネ空港へ向かう列車の時刻表を探すが、どうもその系統の列車は運行されていないようだ。(空港へは地下鉄で行けという事なのだろう)

ユースホステルに戻る途中、ガソリンスタンドに併設されたコンビニでパイを食べて朝食とする(2.55ユーロ, 418円)。その後、オモニア広場付近の治安悪そうな市街地中心部を探索し、11時頃ユースホステルをチェックアウト。空港へ向かう。

Metro
Metaxourghio/Μεταξουργείο(11:28発) → Syntagma → Airport/Αεροδρόμιο(12:09着)
Metro, Line 2 - Line 3 運賃 6 ユーロ(984円)
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アテネ空港駅で並んで停車する地下鉄と郊外鉄道
Athens Metro and OSE Suburban Railway

空港への地下鉄料金は一気に跳ね上がり、市内料金の7.5倍と高額だ。乗客数がそれほど多くないのか、空港に直通する列車は1時間に2本しか列車が運行されていない。大抵の列車の折り返し駅であるDoukissis Plakentias駅を過ぎると郊外列車(プロアスティアコス)の路線に乗り入れ、駅間もとんでもなく長くなる。全速力で走る電車は、もはや地下鉄ではなく一般の国鉄の列車と同じような感じだ。アテネ市街地から約40分で空港に到着。隣のプラットホームにはコリントス方面へ行く郊外列車の真新しい車両が停車している。

Air
Athens(14:45発) → Amsterdam, Schiphol(17:20着)
KLM 1576

アテネ発の飛行機はテッサロニキまで真っ直ぐ北へ向かった後、北西へ。ザグレブ、ウィーンを通過してオランダまでずっと晴れている地域を飛んでいた。