スカンジナビア・北極圏旅日記 : ヘルシンキ→ストックホルム

June 22, 1996 (Saturday)

Helsinki - Finland (ヘルシンキ - フィンランド)

アムステルダム発のKLM191便は、森と湖の平野をかすめるように飛び、ヘルシンキ・ヴァンター空港に深夜の0時前に着陸。予定より1時間の遅れだ。外はひんやりと涼しい。税関を抜けターミナルビルに入ると、大量の軍人が並んでいる。軍人の同窓会でもやるのかな。
乗合タクシーがあったので乗る事とする。タクシーは郊外の住宅街で乗客を降ろしながら、ヘルシンキ市内へ。真夜中だというのに、夕方のように明るいのは何だか変な気分だ。街の中心部から少し外れたシーサイドホテルに到着。タクシー代は50FIM。ホテルにチェックインし、寝る。

June 23, 1996 (Sunday)

Helsinki - Finland (ヘルシンキ - フィンランド)

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ストックマンデパート付近の道路
Stockman department store

7 時頃起床。レストランでヴァイキング形式の朝食を食べ、外に出る。昨夜より少し明るくなっているようだが、太陽の高さはさほど高くないようだ。だれもいない道を、街の中心部の方向へ歩く。特徴のないこぎれいな建物群の続く道を20分ほど歩いて行くと、マンネルヘイミン通り(メインストリート)に出る。ここもほとんど人がいない(朝早いため)。中央駅に行く。駅に行けば旅行センターには行きたくなる。ヘルシンキ−ストックホルムの航路とノルウェーのナルヴィクまでの切符を購入する。切符を手書きで書くのは先進国では珍しいシステムだ。

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シベリウス公園のなぞのオブジェ 他にも、「心臓の池」もある
Sibelius Park

旅行案内所はプラットホームの中ほどにあり、市内交通のパス(2日間有効)を購入し市内地図も無料でもらっておく。案内所の話しでは、日・月曜はほとんどの博物館が休みだそうで、観光には向かない曜日だそうだ。そんな事言われても来てしまったものは仕方がない。

まずは、街の概略を知るために市内観光バス(パスを使えば無料)に乗る。ヘルシンキ市内のめぼしい観光地を車窓から眺めシベリウス公園、大聖堂などを見学し再びカウパットリ広場に戻って解散。
以上の結果、「大使館街とカイヴォ公園」、「国会議事堂とオリンピックスタジアムの塔」と「テンペルキア教会」が再び訪れるべき観光地と決定された。

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明日乗る事になるシリヤラインの客船 カウパットリより
Ferry for Sweden at Helsinki Port

昼食を食べた後、国会議事堂へ。見学したかったが休みであった。国会議事堂は日本と違い階段まで登ることができる。
再びカイヴォ広場に戻り、何の警備もしていなさそうな首相官邸前を通り、ロシア正教の教会へ。首相官邸前では、狂牛病の騒ぎで英国の牛の大量殺戮に反対する抗議が、たった1人の牛の張りぼてで行われていた。

ストックマンデパートまで歩いて行く、デパートのトイレに入ろうと行ってみると並んでいる。コイン式の有料トイレだが、前の人がドアを押さえてくれるので次々と無料で使える。真夏なのに、コートのセールとはいかにも北国だ。デパート裏手のショッピングセンターで軽く夕食を食べ、スーパーでパンやミネラルウォーターを買う。物価が高いのでスーパーを上手に利用して食事をするしかなさそうだ。ショッピングセンターの下が、地下鉄の駅になっている。がらがらの地下鉄に乗りルオハルティ(終点)駅まで乗る。駅より10分ほど歩いてホテルに戻る。

June 24, 1996 (Monday)

Helsinki - Finland (ヘルシンキ - フィンランド)

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ヘルシンキ中央駅の様子。サンクト・ペテルブルクからの列車
Helsinki Station

私の泊まっているホテルには日本の陸上競技の選手団が泊まっているようで、トレーニングウエアでうろうろしている。中級ホテルなんだから、せめて普通の服装でレストラン(朝食)に来てほしいものだ。

9 時、チェックアウト。すぐ向こうの岸壁にある潜水艦「ジュリエット号」を見物に行く。1994年に退役したミサイル潜水艦だ。内部に入ると、ハンドルやら部品やらでごちゃごちゃの機械だらけの船内だ。もし私が船員なら、こんなにハンドルなどがあると適当にまわしてしまい、沈んでしまうだろうな。などと考えながら見る。
ホテルの近くよりトラムに乗り、オリンピック記念競技場へ。トラムは不思議なモーター音を出して走る。中央郵政局前で環状路線に乗り換える。
オリンピック記念競技場に着きヘルシンキで最も高いといわれるタワーに(エレベーターで)上る。狭い展望台には誰もいなかった。ヘルシンキの街は小ぢんまりとしていて、オリンピック記念競技場より北は森になっている。その森の所々にアパートが建っている。

トラムに乗ってテンペリアウキオ教会へ。小高い丘のような岩の中に作られた教会だ。景観を守るためにこのような形になったそうだ。大阪にも丘の中に作られた競技場が港の方にあるが、大阪の方は景観に威圧感を与えるところが日本らしい。

中央駅に荷物を取りに戻ると、サンクトペテルブルクからの列車が到着したところだった。構内がロシア語を話す人で埋め尽くされる。コインロッカーから荷物を取り出し、フェリーターミナルへ向かう。今夜乗る事になるシリアラインの客船は、岸壁から見上げるとビルのようだ。チェックイン手続きをする。プラスチックカードでできた部屋の鍵が渡される。指定されたのはデッキ5、292号室。

Ferry : Helsinki -> Stockholm (ヘルシンキ → ストックホルム)

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ヘルシンキ港を出た船上より見下ろす 島は別荘地らしく、ヨットもある
at Helsinki Port , from Silija Line ferry

16時、乗船開始。船に乗り込むとほとんどの人は上の階へ登って行くが、私は一番安い場所にこだわったので下に降りて行くこととなる。人が乗るところとしては最下層のデッキ5は窓もなく、ぐにゃぐにゃ曲がった狭い通路に同じような扉の小部屋が並んでいるところだ。292号室は4人部屋で、適当にベッドを確保し荷物を置く。
上の方の階に見学に行く事とする。デッキ8ぐらいに観光パンフレットに載っている3階分くらい吹き抜けの通路がある。その通路の周りにはレストラン、土産物店やスーパーマーケットまである。さらに上の階に登って行くと、まるで高級ホテルのようになっている。最上階は温泉とディスコだ。

18 時、出港。デッキ12の最後部で景色を見る。地面ははるか下で、ヘルシンキ市内の建物群より高い位置より市内を見下ろす。船がゆっくりとターミナルを離れ、180度ターンして港の外をめざす。すぐ向こうの岸壁にはヴァイキングラインの巨大客船も停泊している。ヘルシンキとストックホルム間で競うほど客が多いのだろうか。ヘルシンキの湾内の小島を縫って、ゆっくりと進んで行く。30分ぐらい見ていただろうか、船の速度も上がり寒い風が吹き付けてくるようになったので退散。
セルフサービス形式のカフェテリアで夕食。小海老のサラダと、ハンバーガーで54FIM。免税でも、地上よりは高い価格だ。

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フィンランドの沿岸を右手に見て、
なかなか沈まない夕日に向かって 進んで行く
Ferry go along Finland coastline

船のバルコニーのようになったところに出てみる。船の周りをぐるっと1周回ってみる事にする。船はかなりのスピードを出しているようで、右の方にみえる小島がかなりのスピードで後ろの方に流されて行く。船のへさきの方へ行く。猛烈な風だ。時速何十キロで進んでいるのだから当然だろうけれども、これほどの速さとは思っていなかった。船の最後部では、はるか後ろまで水がかき回された後が続いている。前は風が強いが、後ろはそれほどでもない。
階段を降り、デッキ5まで降りて行く。鍵の部屋番号よりなんとか部屋を探し当てる。部屋にはストックホルムに仕事に行くフィンランド人1人と、アメリカ人旅行者2人が入室していた。4人部屋はかくして満員となる。

June 25, 1996 (Tuesday)

Stockholm - Sweden (ストックホルム - スウェーデン)

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王宮前で演奏する音楽隊 聴き入る聴衆
brass band at Palace

7時頃起床。昨日ヘルシンキのスーパーで買っておいた朝食を持ってデッキ12へ。屋外に出ると、すでに何人かがベンチに座って朝食を食べたりしている。適当に席を見つけて、スウェーデンの海岸を眺めながら朝食を食べる。心地よい風に吹かれて最高の朝食だ。
海岸線に別荘地などが目立ってきて、ストックホルムに到着。部屋に戻り荷物を持って下船。入国審査はないが、希望者には入国のスタンプをパスポートに押してくれた。ターミナルに入ると大勢の日本人観光客を目にする。乗船していたほとんどの人々が観光バスや自家用車に乗り込んで行く中、ほんの少しの人がターミナルより歩いて出て行く。ついて行くと、10分ほどで住宅街の中の地下鉄のGardet駅に到着。売店で72時間チケットを購入し、市内へ。シリヤラインで同室だったフィンランド人よりYHの位置は聞いていたので、王立公園駅(Kungstradgarden)をめざす。王立公園駅は怪しいデザインの駅で、遺跡か何かのようだ。ながい長いエスカレーターを登ると公園横に出る。港の向こうの島にみえる帆船をめざし15分ほど歩いてYHに到着。

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帆船のユースホステル アフ・チャップマン号 Af Chapman

昨年、ドイツのリューデスハイムで出会った西氏から帆船はやめた方がいいと聞いていたので、地上にある方のYHに入り、部屋を取る。なんでも、帆船の中はたいそう狭く、シャワールームなどは傾いているところにあり使いづらいそうだ。YHは人気らしく、私の何人か後でいっぱいになっていた。長期滞在のお年寄りがかなりな人数泊まっていて、これは北欧のどこのYHにもいえる事のようだ。
荷物棚に荷物を置き、帆船の方を見学する。やはり狭そうである。

その後、王立公園の方に戻り、iに入る。iの中にFOREXという両替所があったので少しばかり換金する。ここの両替レートはなかなかのものだと思う。売店で絵葉書、切手なども買っておく。

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ストックホルム中央駅の様子。X2000の出発, Stockholm Station

バーガーキングで昼食を食べた後、中央駅(T-Centralen)から地下鉄でガムラスタンへ。ここの王宮で衛兵の交代式が見られるそうだ。たくさんの人が狭い王宮前の広場に集まっている。12時過ぎ、黒の衣装の衛兵が現れ、音楽にあわせて行進する。衛兵の交代式が終わった音楽隊が王宮横の広場でリクエストされた曲を演奏している。ABBAのコパカバーナ(70年代の曲)を演奏していた。せっかくなので、王宮内(博物館)を見学して行く。

中央駅に行き、ナルヴィクから先の列車の予約をする。係員によれば、今日は通信状態が悪くて予約が出来ないそうだ。明日再び来ることにして、YHに歩いて戻る。今夜泊まるYHの部屋は帆船の方向に面した海の見える角部屋だ。部屋の定員は3名で、他にアメリカから来た若者2名が泊まっている。ストックホルムもかなり北にあるので、夜はなかなか暗くならない。22時でも夕方ぐらいの明るさがあり、北の空を夕日が照らしている。YHの前ではテントを張って泊まるアウトドア派の人がおり、その周りの芝生にはぱらぱらと人が座り、読書なり話しなりをしている。夏の北国に夜はなかなか訪れないようだ。

June 26, 1996 (Wednesday)

Stockholm - Sweden (ストックホルム - スウェーデン)

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街の中心部セルゲル広場 Sergels Torg (Shopping Center)

8時起床。食堂で朝食を食べる。メニューは食パン2枚、ジャム、ゆでたまご、ハム2枚、ヨーグルト、飲み物が45SEK。

旅の醍醐味といえば、暇な事だ。今日やるべきことは列車の予約だ。中央駅に向かう。YHのすぐ横からバスに乗り中央駅へ。ナルヴィクから先の列車が満員で取れない。日程的な事もあり、ストックホルム経由でオスロに行くプランに変更する。スカンジナビア諸国の予約はすべてできるようで、デンマークから出国するまでの長距離列車の予約はすべて取れてしまう。
プラットホームに出ると、高速列車X2000が発車するところだ。他のプラットホームにはSJ標準塗装の電機を先頭にした旅客列車が多数停車していた。 X2000は、将来デンマークまで運行するという話しもある。北欧にも高速列車ネットワークが出来るようだが、車窓を楽しみたい(夜行列車で宿泊費を浮かせたい)旅人のために遅い列車も残しておいてほしい。

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昔の農家の再現 スカンセン(野外博物館)にて
Skansen

ユールゴーデン島に行く。海底から引き上げられた300年以上前のバイキング船ヴァーサ号の博物館に入る。博物館内部は暗さに目を慣らさないと見えないくらいの照明しかない。やけに大きい木造船だ。重心が高くキールが無いため、バランスを失ってこけて沈没した船らしい。こんな馬鹿でかいものを作る前に、模型を作って実験しなかったのかなぁ。博物館を出て道を歩いていると少し雰囲気の違うトラムがやってきた。乗り込んでみると中は喫茶店だった。珍しい車両を走らせてるものだ。1駅だけ乗って、降りたところがスカンセン公園前。世界最古の屋外テーマパークだそうだ。72時間チケットで無料で入場できる。園内地図を見ると、歴史的建物の保存とふれあい動物園という、日本にもありそうな公園のようだ。ただ、世界最初にこのようなアイデアを出したのはすごいのかもしれない。ぐるっと1周まわってみる。家族連れのためのものなので、一人旅の旅人のくるところでないと結論が出る。(誤解を招かないために言っておくが、家族連れのピクニックには最適な環境だと思う)

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21時22分 海辺で読書する女性 北の空に夕焼けが...
ユースホステル前にて at Skeppsholmen YH

街の中をいろいろ探し回ったが、ストックホルム市内には安食堂は当然見つからず、ファストフードかスーパーで買い出した食料で食事となる。(後に、スラッセンの方に行けば安い食事ができる事が判明する) 高物価のため手持ちの旅行資金の減りが早く、もっと節約の必要があると思う。

夜、 YHの周りを散歩する。外灯か何かの工事をしているのだろうか。所々歩道に穴があいている。YHのあるシェップスホルメン島の南には、さらに小さいカステルホルメン島があり、小ぢんまりとした別荘地のような感じとなっている。自動車は全く通らず、静かで、緑が多くのんびりと散歩するにはいい場所だ。

June 27, 1996 (Thursday)

Stockholm - Sweden (ストックホルム - スウェーデン)

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王立公園の銅像の下でくつろぐ人々
Kungstradgarden

8時起床。食堂で朝食を食べる。チェックアウトする。

YHで情報を得たランドリーに向かう。バスで約20 分。(Tvattomatten Oden, Vastmannagaten 61, 地下鉄Odenplanの西)クリーニング店がコインランドリーもやっている形式の店だ。1時間30分くらい洗濯にかかる。ベンチに座って読書する。店の前の歩道を通りすぎる人に、2人用ベビーカーを押している人がちらほらいる。双子が多いのだろうか。バーガーキングで早めの昼食を食べる。私個人としてはマクドナルドよりバーガーキングの方が好きだ。(ハンバーグが柔らかいから。もう年じゃからのぅ...)

中央駅まで戻り、荷物をコインロッカーに入れる。個人的な用事を片づけ、いつのまにか夕方となる。タイ風カレーハウス(?)に入り、強烈に辛いカレーを食べる。スーパーで食料を買い、駅に向かう。

Train : Stockholm -> Narvik (ストックホルム → ナルヴィク)

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出発を待つ904列車 ストックホルム中央駅にて
Train for Narvik, Stockholm Station

ボーデン・キルナ方面行きインターシティーは定刻通り17時43分出発。私の乗る904列車24号車96座席のある部屋は6人部屋のクシェットで、アビスコ国立公園にトレッキングに行く母娘とセルビアからの老人と私の4人の乗車だ。列車はそれなりの速度で走り、2時間もすれば森の中を走るようになる。車窓はいつまでも暮れない湖と森が交互に後ろに去って行く。同室のセルビアから着た老人は、何と「ジャパン」を知らない。「ペルー」と間違えられ、中国の横の島という事で納得してもらった。案外、日本は有名でないのかもしれない。