中国武漢・南京 旅日記 : 南京(4日目)

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March 09 (Friday)

Wǔhàn - China (武汉/武漢 江汉区 - 中国)

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锦江之星酒店の朝食

6時起床。7時少し前、ホテルの1階カフェテリアで朝食。バイキング形式のメニューで、少しずつたくさんの惣菜を食べられる。肉まんや小籠包などの点心もあってどれを食べようか迷うくらいだ。

ホテルの前には粥や肉まんを売る露天も出ているので、食事場所の選択肢には困らない場所だ。

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高層マンション街の世纪江尚(ホテルの近隣)

7時45分、ホテルをチェックアウト。朝食2食分の50元を精算する。外は快晴。旅行に来るのが2日後ろにずれていたら、絶好の観光日和を満喫できただろうに。

通勤ラッシュで満員の地鉄に乗り、漢口站に向かう。

Metro
江汉路(07:58発)→ 汉口火车站(08:13着)
地鉄2号线, 運賃 2元(34円)
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地鉄2号线 汉口火车站

汉口站(漢口駅)に着き、进站口(入口)で身分証明書と切符のチェックを受ける。居民証ICカード・切符の読み取り機と顔認証カメラを組み合わせた「自動改札機」が導入されていた武漢駅と違い、こ漢口駅では駅員が人海戦術でチェックを行っていた。

候车区(待合室)に入り、私の乗る杭州行きD2190の改札口をさがす。改札口には既に長い行列ができていた。検票(改札)は出発約10分前からなのに、忍耐強い人たちだ。

Train
汉口(09:12発)→ 南京南(12:45着)
动车组 D2190, 一等座運賃 198元(3,366円)+ Ctrip予約料金20元
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汉口站に停車する動車組 CRH2B

今回乗車するのは高速動車組(G系列)ではなく、位置付けが少し落ちる動車組(D系列)の列車だ。宁蓉線は最高速度が200〜250km/hの「四横」路線で、投入されているのも一世代前の動車組の車両が多い。中国にはCRH380などの高速動車組列車と、一世代前のCRH2などの動車組列車がある。外観は似ているので区別はつきにくいが…

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CRH2B動車組の一等車

出発10分前に改札が始まり、プラットホームに降りると、CRH2B型の列車が入線している。日本のE2系新幹線の技術供与により造られた車両だ。

列車はほぼ満員の乗客を乗せて定時に出発。今回は、長時間乗るので少し贅沢して一等車。贅沢と言っても、二等車と一等車の運賃の違いは30元(510円)だけだ。

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大別山脈の車窓

快晴のなか、漢口を出発した列車は大別山脈の緩やかな丘が連なる農村地帯へ入っていく。南京への直線ルートは、蛇行している長江沿いではなく、大別山脈を横切るコースになる。30分程度に1回ずつ、小さな町の駅に停車してゆく。山間部で1箇所だけ霧が掛かる峠を越える。ここが大別山脈の分水嶺だろうか。それを過ぎると再び平原に出て、六安や合肥といった比較的大きな街に停車。

合肥を過ぎると、それまでの快晴から霧がかかったような天気になる。沿岸部の都市に近づくほど大気汚染がひどいのだろうか…

持参したカップラーメンとパンで昼食。ずっと以前、高速鉄道がまだ無かった頃、長距離列車に乗った時の楽しみは、食堂車で作ったワゴン販売での“ぶっかけ飯”を買うことだった。果たして、高速鉄道ではどうなのかと見ていたら、工場でパック詰めした弁当を車内販売しているではないか。20元から50元ほどで数種類ある。インスタント麺を持ち込むのではなく、弁当買えばよかった…

定刻通り、南京南駅に到着。去年、この駅を利用しているので地下鉄駅への行き方には若干の土地感がある。

Metro
南京南站(12:59発)→ 张府园(13:17着)
地鉄1号线, 運賃 3元(51円)
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地铁1号线 张府园站の2号出口付近

南京地下鉄の券売機では、微信支付が使えない。現金が必要とは、何と不便な…。中国に入国してまだ3日だが、すでにキャッシュレス決裁が当たり前のような感覚になってしまっている。

地鉄1号線は案外空いていた。武漢ではいつ乗車しても混雑していたので、ちょっと肩透かしを食らったようだ。酔っ払いなのか、頭のネジが緩んでいるのかわからないが、妙なオッサンが隣の席に移動してきた。昼間から酔っぱらい…

Nánjīng - China (南京 秦淮区 - 中国)

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锦江之星酒店 新街口店 ダブルルーム

张府园站で下車し、出口のすぐ近くの中山南路沿いにあるビジネスホテル锦江之星酒店にチェックインする。武漢で泊まったホテルと同じ系列だ。よって、ここでも西側のクレジットカードは全く受け付けてもらえなかった。現金支払いのみ。(微信支付は通用するが、ガイジンの私は現金を微信に転送してもらって使うので、けっきょく「現金」が必要なことには変わりがない)

ホテルはこれで確保した。では、観光に出かけることに。快晴なので、紫金山明孝陵景区に行くことにする。

ホテルの前、地鉄张府园站出口付近には至るところにシェア自転車が放置されている。よりどりみどりだ。座席を高く上げられて乗りやすそうなのを選んで乗車。

Mobike
张府园站(13:49発)→ 洪武路 → 中山东路 → 明孝陵景区5号門(14:26着)
シェア自転車 mobike, 運賃 2元(34円)
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中山東路の自転車専用レーン

百度地図で現在地と道順を確認しながら、まずは中山路を目指して北上。中山路に行き当たったら、ひたすら東へ向かう。

20世紀後半、中国では自家用車ではなく、自転車が主な交通機関だった。南京市街地の大通りには、その時代に整備された自転車専用レーンが完備されている。かつてのレガシー資産が、最新のシェア自転車の普及で大活躍している。

ホテルから明孝陵までは、およそ5km。途中、总统府(総統府)や南京博物院といった著名な観光地付近を通過する。時間があればぜひ訪問してみたいところばかりだ。40分ほどで明孝陵の5号門の前に到達。多くの人は地鉄苜蓿园站から延々と広い公園内を歩いているが、自転車なら陵墓に一番近い入場口まで直行できる。

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明孝陵景区の地図(公式Webより全体図の一部を切り抜き加工)

入場券売り場では微信が使えるようだが、現金で支払う。入場料は60元(1,020円)で、武漢の黄鶴楼景区や赤壁の三国古戦場景区より良心的な価格設定だ。

景区に入ってすぐのところに桜花園があり、入り口の石碑には「横浜市から寄贈された」と書かれている。日本とは少し品種が違うピンク色の濃い花が満開だ。

日本に桜観光に来ている中国人の態度は「傍若無人」だが、ここ南京の明孝陵景区で桜や梅を鑑賞している中国の人たちは、宴会するでもなく、桜の枝を引っ張ったりフェンスの中に勝手に入ったりするのでもなく、極めて「文明的」に「品行方正」に花を鑑賞している。もしかして、これは芝麻信用などのパーソナル・スコアを導入した成果なのだろうか。

最近の報道で、『中国・高速鉄道、禁煙違反者は「一生、乗せない」…マナー徹底に強権発動』(産経新聞)や『中国人警官がミラノ、ローマを巡回』(産経新聞)というのもある。日本国内でも、中国人の取り締まりは中国公安に任せてはいかがだろう。違法な民泊・白タクの利用や、店や公共施設での不文明(マナー違反)を徹底的に取り締まってもらうのである。

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神道
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梅花山
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孙权像(孫権像)
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金水桥と文武方门

獅子、ラクダ、ゾウなどの石像が少しずつ大きなサイズになる石像路神道。陵墓に近づいていることを暗示しているのだろう。満開の梅林(梅花山)がある。桜と梅が同時に咲くとは、何と贅沢な…。东呉大帝孙権记念馆(東呉大帝孫権記念館)の前には、巨大な孫権の像。孫権の部下の周瑜や魯粛の立像は観たことがあるが、孫権様ご本人の像を拝んだのはココがはじめてだ。

梅林の近くに「孫権の墓」があるはずだが、景区案内図や道標にはそれらしきものは見つからない。時間もあまりないので、孫権の墓や記念館を観ることはあきらめ、明孝陵に急ぐこととする。

梅林の中を通り抜けてゆくと、明孝陵に続く直線路の入り口「御河橋」に到達。御河橋から紫金山の山頂方向に約800mほど行った山腹に、明朝の初代皇帝 洪武帝朱元璋の陵墓がある。陵墓に向かい一直線に石畳の道が敷かれ、途中に「文武方門」や「方城」などの立派な建物が建っている。これらを巡りながら、陵墓のある「宝頂」外周の石垣の所まで参拝者が近づけるようになっている。が、現在の観光客には明太祖の墓を参詣するのではなく、単なる観光でココに来ているだけだ。殆どの観光客は、宝頂外周の石垣に「此山明太祖之墓」との石刻があるのには全く気づかず、すぐ横を素通りして方城の見物をしている。歴史を知らないとはまさにこのことだ…

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文武方门
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碑殿(治隆唐宋牌がある)
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方城と明楼
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宝頂外周の石垣「此山明太祖之墓」の石刻

時間はまだ15時過ぎ。急げば、南京博物院を見学できるかもしれない。百度地図で南京博物院までの最短徒歩ルートを検索し、最も近い景区出口に向かう。

最短ルートは、かつての明孝陵の参詣道を逆行するルートだ。「御河橋」を過ぎ梅林の横をかすめ、櫺星門をくぐり、らくだの石像が並ぶ神道を通り抜けると景区出口の1号門だ。門の前には、たくさんのシェア自転車があるので、ここから自転車でスピードアップ。

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神道の棂星门
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神道望柱
Mobike
明孝陵景区1号門(15:27発)→ 南京博物院(15:36着)
シェア自転車 mobike, 運賃 1元(17円)

道路は明代に造られた南京城墙(南京城の城壁)に沿って一直線に中山東路まで続いている。猛スピードで自転車を転がし、中山門をくぐり抜け、10分ほどで南京博物院に到着。閉館時間の1時間半前だ。

博物館の入場料は無料で、閉館間際なので行列もできていない。入り口の真正面にある歴史陳列館に向かう。ここでは、恐竜や古代人の石器など文明以前の出土品から始まり、中国の歴史変遷を工芸品をとおして観てゆく感じだ。青銅器・春秋時代、秦・漢時代の展示室あたりまでは「ありきたり」感。それ以降、六朝時代、隋・唐時代、宋・元時代、明・清時代と中国の工芸品が最も光り輝いていた時期の名作が展示されている。高校の世界史で、「ある時代の芸術作品」を覚えるのに苦労していたのだが、この場所のように実物が年代順にずらっと並べられていると、「完全に理解したような気持ち」になるものだ。

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南京博物院 歴史陳列館
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戦国時代 错金银铜牺尊
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東漢時代 银缕玉衣
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唐代 三彩駱駝
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明清代 大報恩寺琉璃塔拱門
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清代 铜镀金嵌玉盆景

歴史館から地下道を通り隣の特展館へ。ここには清朝以降の割と新しめの工芸品が展示されている。あまりのコレクションの多さに、歴史館だけでは展示しきれなかったので新館を造ったのだろうか。特展館の屋上に登る。カフェがあり、テラスからは紫金山が一望できる。明孝陵の「宝頂」が、紫金山の中腹にコブのように盛り上がった墳丘だというのが、遠くから見るとよく分かる。

Mobike
明故宫站(17:01発)→ 洪武路 苏发大厦(17:26着)
シェア自転車 mobike, 運賃 1元(17円)
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苏发饭堂 豚の角煮と空芯菜の炒めモノ

閉館時刻ギリギリまで見学し、再びシェア自転車を借りて宿泊するホテルのある张府园站付近に戻る。1本手前の大通り洪武路に大きな中式快餐の店「苏发饭堂」があったので、夕食を食べに入る。豚の角煮と空芯菜の炒めモノを選ぶ(23元, 391円)。ご飯と粥、スープはセルフサービスだ。豚の角煮は煮汁が絶品で、この汁だけでもご飯が食べられる。

ホテルに戻る途中、肉まん屋で肉まん1個(1.5元, 25円)を食べる。中国ではなんでこんなに肉まんが安いのか…

Hotel
锦江之星酒店 新街口店
6708号室 ダブル ルーム 246元(4,182円)/1泊