アルプスから地中海、ブルターニュからベルギー 旅日記
  : アントウェルペン - デルフト - デン・ハーグ

July 2, 2002 (Tuesday)

Train : Paris -> Antwerpen/Antwerp (パリ → アントウェルペン)

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パリ北駅に停車するTGV Eurostar, TGV PBA, TGV PBKA (手前より)
Gare du Nord , Paris

7時起床。7時50分ホテルをチェックアウトし、リヨン駅からRER D線で北駅(Gare du Nord)に向かう。アントワープ行き列車の出発時刻は9時55分で、1時間半程度余裕がある。駅前のマクドナルドでゆっくりと朝食(5.0EUR)。
駅に戻り、テレホンカードの残りで久しぶりに日本の実家に電話する。何回か使った残り度数でも、10分近く日本に電話をかけられる TISCALI ってすごいね。さすが、IP 電話。

出発案内板の前に戻り、列車番線の表示を待つが、なかなか表示されない。他の列車は出発20分前には番線表示されるが、なぜかアントワープ行きのタリスだけ表示されない。運休か...? 周りの人に聞いてみても、「おかしいねぇ〜」と誰も原因を知らない様子。結局10時ごろ列車が入線した。構内放送で「急げ!」
私の乗るのは18号車。後ろは1から8号車のブリュッセル止まりのタリス(Thalys)PBA型。前が11〜18号車のアムステルダムまで行くタリス PBKA型。2編成を連結してるもんだから、列車が長〜い。(結局、先頭車両まで400mほど歩かされた。駅の屋根なんかとうに終わっていて、ホームの端っこぎりぎり)
Thalys 9321 列車は10時10分(定刻より15分遅れ)で北駅を出発。RERのD線の列車とデッドヒートを繰り返し、15分ほどのろのろと在来線軌道を走る。LGV(高速専用線)に入り、時速300km/hで北を目指す。

車内は満席。立ち席覚悟で座席指定無しの乗客がデッキにもあふれている。外はどんよりと曇っているが、まだ雨にはなっていないようだ。牧草地や小麦畑などの丘陵地をしばらく走ると、何もない草原に囲まれたHaute Picardie 駅をフルスピードで通過する。駅員も乗客も誰もプラットホームに出ていないが、こんな駅に停まる TGV があるんだろうか。(TGVの写真を撮る為の人気の駅らしいが...。ためしにオンラインの時刻表で調べてみると、シャルル・ドゴール空港駅からのTGVが1時間から2時間おきに出ているようだ。)

11時ごろ、Fretinでイギリスへ向かう線路と分かれ、国境の検査駅(当然通過するが)を通ってベルギーに入る。車窓の景色が何もない丘陵地帯から、農家が建ち並ぶ農村地帯に入る。まもなく在来線に入り、11時20分、ブリュッセル中央駅(Bruxelles Midi)に着く。後ろ半分の車両をココで切り離すため、5分ほど停車する。車内の乗客は誰も降りないが、ブリュッセル駅から日本人ツアー客何人かがガイドにくっついて乗ってくる。列車が発車して、指定券をもった日本人(ツアコン)がすでに座っている客をどかし始める。ったく、せっかく静かだった車内が騒然となり迷惑な話だ。ブリュッセル 〜 アムステルダムは在来線を走るのでThalys でも IC (インター・シティ)でも所要時間は同じなのに、どうして料金の高い Thalys に乗るのかまったく理解不能。(11時25分の Thalys は Amsterdam に14時06分到着、11時37分のICは14時39分。たった20分の違いですよ...)

Antwerpen/Antwerp - BELGIUM (アントウェルペン - ベルギー)

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アントワープ中央駅 Antwerpen Centraal

ごちゃごちゃと住宅やら農場やらが建てこんだベルギーを走り抜け、ベルヘム駅(Berchem)に12時00分着。18号車からベルヘムに降りるのは私だけのようだ。郊外の住宅街のようなところの高架駅に降り立つ。

Thalysから下車した数人の乗客が階段を下りて街へ吸い込まれていく。私も階段を下り、駅を出る。が、目の前に広がるのは、工事中の駅前広場と、ごく普通のアパート群。観光案内所とか、ホテル案内所とか、ファストフード店とか、そういった旅人向けの必需品はまったく見当たらない。ベルギーのガイドブックは持っていない。う〜みゅ、困ったぞ。ガラス張りの新築の小さな駅舎に戻り、切符売り場へ。(切符売り場は一応あるようだ...) 駅員に「アントワープへ行きたいのだが」と質問する。駅員「ココがアントワープだが...」と。Thalys の切符を見せ、「これで中央駅まで乗れるか?」と聞くと、駅員「Ja」。 先ほど Thalysが到着したプラットホームと別のプラットホームで待っていると、おんぼろの赤い列車がやってきた。行き先は Antwerpen Centraal となっている。列車が出発する。ほとんど止まりそうな速度でのろのろと高架軌道を走っていくと、工事中の古いターミナル駅に到着する。所要時間、5分程度。改修工事中の構内に、完成時の模型を展示している。今列車から降り立った2階のローカル線のプラットホームの下に、Thalysの模型が入れられている。将来的には、中央駅をThalysが直通するようだ。

駅舎から出ると、そのThalysのトンネルを駅前広場の向こうまで掘削工事中。動物園の入り口横にツーリスト・オフィスを発見する。地図(0.25EUR)を買い、フランスで予約したユースホステルへの行き方を聞く。駅前から27系統に乗り、下車する場所は運転手に聞けとのことだ。

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ユースホステル(橋の右の方)のある公園には、アヒルが住みついている

並木道の駅前通り(De Keyserlei)にマクドナルドを発見し、昼食(4.95 EUR)。小雨が降ってくる。駅の北面に沿って停まっていた27系統に乗り込む。運賃1EUR。パリに比べて相当清潔で秩序だったな街並みをどんどん進んでゆく。さすがオランダ文化圏だ。川ではなく高速道路をまたぐ大きな橋を渡ったところのバス停で降ろされる(所要時間15分程度)。運転手曰く、「YHはあっちの方」。あっちの方へ歩いていく。大きな公園に出る。

ツーリスト・オフィスでもらった地図と照らし合わせると、公園の周回道路(Eric Sasselaan)にあるらしい。周回道路を歩いてみるが、周回道路に沿って窪地になっており、並々と水をたたえた堀になっている。中央には城か何かあるようだ。というより、周回道路に沿って建っている建物なんてそもそも存在しない。何しろ、お堀なんだから。向こうからやってきた乗用車が停まり、おばさんが「何を探してるのか?」と聞いてくれた。「YHを探しているが、私の持っている地図ではお堀の上に建っていると表記されているのだが...」と答えると、おばさん 「堀の中央の島にある」と。

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アントウェルペン大聖堂
Onze-Lieve-Vrouwekerk Kathedraal van Antwerpen

古城をリサイクルしたYHなのか...? 橋を渡り、本丸に入っていくと、林に囲まれた2階建ての新しい建物が建っている。入り口らしきところから中に入る。無人の待合室があり、中へ続く扉はカギがかかっている。貼紙 「16時に開きます...」だそうだ。先ほどのバス停に戻り、(ツーリストオフィスで聞いておいた)26系統に乗り込み市内中心部へ。終点は大聖堂のたもとのフローエン・プラァツ(Groen-plaats = 緑の広場)。広場の真中にルーベンスの像がぽつんと立っている。その向こうにアントワープ大聖堂(Onze-Lieve-Vrouwekerk Kathedraal van Antwerpen =Our dear lady church Cathedral の意味 フランス語では ノートルダム大聖堂。ただし、アントワープはオランダ圏なのでフランス語は使わない...)の尖塔が見える。よく見ると、尖塔は1本ではなく2本あり、手前のほうは成長不良の模様だ。

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市庁舎を背景に、シルビウス・ブラボーの像
statue of Silvius Brabo , Grote Markt

教会に入ってみる。入場料 2EUR。16〜17世紀のものだというステンドグラスが綺麗だ(大聖堂自体は1352〜1521年頃の建築物)。側廊には油絵が並んで掛けられている。フランダースの犬(私は見たこと無いが、日本でもアニメでやっていたそうだ)で有名らしいが、ルーベンスの絵もある。美術館とは違って、ちょっと薄暗いので見づらい。まあ、教会なので仕方ないか...

大聖堂を出て、すぐ北側のフローテ・マルクト広場(Grote Markt = Large market という意味)へ。ギルドの建物に囲まれた広場の中央に、謎の銅像がある。「水の吹き出る水筒を投げるふざけた男の像」。インターネットで調べると「シルビウス・ブラボー(Silvius Brabo : )の像」というそうだ。

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国立海洋博物館とランヘ・ワッパー像
Nationaal Scheepvaartmuseum and statue of Lange Wapper

銅像の側を通り過ぎ、市庁舎の横を抜けてそのシュヘルド川のほとりへ。ドゥルオン・アンティゴンが住んでいたと無理やりこじつけるために建てたかどうかは知らないが、川辺に城砦がある。入り口には「巨人が小人をにらみつけている像」がある。名前を「Lange Wapper」というらしい。バーガーキングのアレであろうか... (オランダ語で長身とか長い足とか言う意味らしい)
城砦はステーン(Steen)といい、13世紀の城壁の一部を砦にしたものだそうだ。今は海洋博物館。

Melmarkt 通りのインターネットカフェ(30分で1.75EUR)で時間をつぶして、再び26系統のバスに乗りユースホステルに戻る。予約したときの番号を見せて、チエックインする。夕食2日分、7.5EURを払う。部屋に入ると、すでに何人か先客がいた。日本人大学院生(1年かけて世界一周するらしい)と、欧州をサイクリング中のアメリカ人と日系アメリカ人(ロンプラの不要なページを破り捨ててダイエットしていた)。
夕食は17時から。鶏肉のグリルに、ポテトサラダなど。ポテト取り放題で、ドイツ人少年の目の色が変わっていた。さすがポテトが主食の国だな...。

食後、散歩がてらスーパーを探しに行く。公園を抜けて西へ。Tentoonstellingslaanをまっすぐ行くと、A112号線(Jan De Voslei 通り)との交差点に GB Express スーパーを発見。リンゴとヨーグルトで1.48EUR。YHの横の公園にはたくさんのアヒルがいる。餌をもらえると思うのか、人の後を追いかけてくる。それを除けば、静かでいい公園だ。

July 3, 2002 (Wednesday)

Antwerpen/Antwerp - BELGIUM (アントウェルペン - ベルギー)

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地下を走るトラム 「プリメトロ」
Premetro , (Gloen-Plaats station)

朝食後、外へ。昨日、日本人大学院生のT氏からブリュッセルの見所は聞いた。フロントで出会ったエジプト人から、トラムでも中央駅へいけると聞いたので試してみる。しとしとと雨が降っている。トラムの駅でしばらく待っていると、2系統の列車がやってきた。運賃 1EUR。並木に覆われた道をガタゴト北へ。オランダ文化圏だけあり、車窓にはほとんど自家用車が走っていない。(フランス = 自動車交通主体、オランダ=公共交通機関主体) 途中から地下の専用軌道に入る。まるで地下鉄だ。ディアマント駅(Station Diamant)で降りる。エスカレーターで地上に出ると、目の前は工事中のSNCBの中央駅。ちなみに、地下トラムをプリメトロ(Premetro)と呼ぶらしい。

切符売り場でブリュッセルまでの切符を買う。5EUR。(国内はクレジットカード使用不可) 9時05分発の IC 4530 でブリュッセルを目指す。

Bruxelles/Brussels - BELGIUM (ブリュッセル - ベルギー)

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市庁舎 Hotel de Ville

名前はICなのだが、単なる快速列車。小さな駅にぽつぽつと停まっていく。屋根も無い小さな駅に停車し、土砂降りの中に乗客が消えていく。かなり以前に降りたことがあるブリュッセル北駅に停まり地下線へ。9時55分、ブリュッセル中央駅(Bruxelles Central)着。外へ出ると、相変わらずの雨。中央広場にツーリスト・オフィスがあると聞いているので、まずはそこを目指す。駅を出て、「Grand Place」と書かれた標識を目印に中央広場を目指す。10分ほどで古風な豪華な建物に囲まれた広場グラン・プラス(Grand-Place)に出る。石畳の広場には広場を囲むように客席が作られており、誰もいない広場を誰もいない客席が見下ろしている。客席の裏を歩いて、ツーリスト・オフィスを探し入る。地図(無料)をもらい、地図上に半日で歩いて回れる観光名所とルートを書いてもらう。
ツーリスト・オフィスでは一押しはやはりグラン・プラスだそうだ。雨が降っているからか、単なる陰鬱な狭い広場にしか見えない。(特設の客席がつけられているからか...) ツーリスト・オフィスがあるのは市庁舎(Hotel de Ville)で、上を見上げるとすごく高い尖塔が建っている。(高さ90mあるらしい。15世紀頃造られたそうです)広場をはさんだ向側は王宮(Maison de Roi)。あちらは小さな尖塔が何本か建っている。その他の建物も由緒あるもののように見えるが、インターネットで調べた限りは商業ビル(ギルド・ハウス)としか書いてない。中国人が何人か客席のステージに登って記念写真を撮っているのと、数人の日本人を見かけた以外はほとんど無人の広場だ。

さて、ツーリスト・オフィスの推奨コースに沿って観光することとする。広場から出て、サン・チューベル歩廊(Galeries Saint-Hubert)へ。アーケード商店街...? 雨が降っているので、傘をささずにサン・ミッシェル大聖堂への近道にはなるのだが...。ファッション関連、カフェなどが軒を連ねている。朝早いせいか歩く人もほとんどいない。(1830年ごろに造られたものらしい。モスクワのГУМのアーケードの方がもっと大きくて豪華だったが... こんなものでも観光名所ですか?)

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サン・ミッシェル大聖堂
Cathedrale Saint Michel et Saint Gudule

アーケードを抜けて、しばらく行くとサン・ミッシェル大聖堂(Cathedrale Saint Michel et Saint Gudule)が見えてくる。数人の人が入り口で雨宿りしている。中に入る。入場料は取られない。ロマネスクの教会を取り壊した跡地に1225〜1480 年頃に建てられたものだそうで、パリやランスの大聖堂と似た直方体の尖塔は65mの高さがあるらしい。
窓の面積が大きく光が十分中まで差し込んでくるので、他の大聖堂に比べて明るく軽やかな感じがする。正面(西側入り口)ファザードの(一般的には)バラ窓のある位置には、ゴシックタイプの巨大な窓がある。土砂降りの雨のせいか礼拝に訪れる信者はほとんど居らず、がらんとした聖堂内に自分の靴音が響く。椅子に座ってしばらく休憩した後、外へ。国会議事堂(Palais de la Nation)の横を通って、ブリュッセル公園(Parc de Bruxelles)へ。池や道、彫刻の配置が幾何学的なフランス式庭園。19世紀にオランダ軍と戦ったレジスタンス(当時はベルギーはオランダの一地域だった)が最初に戦った土地らしいです。公園を抜けると、王宮(Palais Royal)がある。公園との間には軍事パレードでも開くのか、一部分だけ広くなった石畳の道がある。ほとんど車の通らない石畳の道を斜めに横切って王宮広場(Place Royale)へ。St. Jacques Sue Coudenberg の騎馬像が威勢良く建っている。騎士が向いているのは、丘の下にある中央広場(Grand-Place)。パリのようには街路の区画整理がなされていないので、眼下にはごちゃごちゃした街並みが広がっている。その向こうにちょこんと市庁舎の尖塔が見える。

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王立美術館のルーベンスの絵画
Musees Royaux des Beaux-Arts de Belgique

で、今日の主目的の王立美術館(Musees Royaux des Beaux-Arts de Belgique)に入る。人通りの無い道の巨大なドアを開けて中に入る。ほんとに開館しているのか、間違った建物に入ったんじゃないのかと心配になる。無人の大ロビーを歩いて奥の部屋に入ると、切符売り場のようなところがある。美術館の入り口で間違いなかったようだ。入場料 5 EUR。荷物預かり所で折りたたみ傘(使い込んで結構古い...)を預けて中へ。
吹き抜けの巨大な空間に、彫刻が並んでいる。はるか向こうに警備員がぼんやりとたたずんでいる。私が広間に入っていくと、チラッとこちらを振り返った。こんな空いていて、経営成り立つのかな...。まあ、ジェノバで入った宮殿系の美術館もこんな感じで空いていたが...。
とりあえず、中世以前の美術品を展示した本館(というかどうかは知らないが)から見始める。地下から攻める。彫刻。学芸員数人がおしゃべりしながら私の後ろからくっついてくる。ほとんど客がいない(というより、私だけ...)のに、3人も学芸員を配置しているとは...。その後、1階、2階とのんびりと見て歩く。外のうっとうしい雨に比べると、まるで天国のような場所。それに、1階あたり2〜3人程度の客しかいないのでほとんど貸し切り状態。3階には、ベルギーの誇るルーベンスの絵画がどさっと飾ってありました。アントワープの大聖堂では暗くて見づらかった絵も、ココではじっくり近くから観察できますね。ソファーに座ってぼんやりとルーベンスの絵を眺めていると、うとうとと寝てしまいそうです。(というより、本当にうとうと寝ている人もいる)
次に近代美術館の方へ。本館とは地下通路でつながっていて、濡れずに行ける。近代・現代だけあって、謎の作品も多いが、結構見ごたえある。

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ジャケットを着た小便小僧 Manneken Pis

美術館を出て、中央広場の方向へ。雨はひときわ強く降ってくる。風もかなり出てきた。カメラに水しぶきが降りかかる。ツーリスト・オフィスのお勧めコースをたどって「小便小僧(Manneken Pis)」を見に行く。ベルギーは何度か来た事はあるが、単なる通過地点だったので小便小僧を見るのも実は初めてだ。で、その小便小僧はジャケットと帽子をかぶらされて、少々情けない小さな像だった。さすが「世界三大ガッカリ」のひとつに数えられるだけはある。

何人かの観光客が小便小僧の写真を撮っている。やはり「こんなくだらない... 清涼飲料水のコマーシャルじゃないか...」と思っているのだろうか。小便少女もついでに見に行く。中央広場の近くにあるらしいのだが...、ツーリスト・オフィスでもらった市内地図には当然載っていない。周囲の路地に適当に分け入って捜し歩く。王宮の裏手のレストランが集まった地域の袋小路に発見した。小便少女(Jeanneke-Pis)。小僧は1619年製造だが、少女は1985年製造と新しい。単なるウケねらいなのだろうか...。格子戸の奥に安置された小便少女。外には出せないわけがあるのだろうか。癌とAIDSのための基金集めを目的に作られたそうだが、ちょっと怪しい像。

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小便少女(小便小娘) Jeanneke-Pis

小便少女の近辺はレストラン街。狭い通りに沿ってテラス席が並べられている。テントのように張り出したビニールの屋根があるにもかかわらず、雨の水しぶきがかかっている。通りを歩く観光客もほとんどいないし、閑古鳥が鳴いている店ばかり。地元の人が入っているトルコ料理のレストラン発見。昼食にケバブと飲み物で3EUR。

中央駅(Bruxelles Central)に戻り、列車の発車案内を見るが「Antwerpen」行きが全く無い。まさか幹線の路線で列車が無いはずは無いのだが、壁面に張り出されている時刻表を見てもそれらしき列車が無い。プラットホームに止まっている列車で、インターシティは「Anvers」行き。先頭の文字が「A」なのはコレだけ。ホームに降りるとデンマークのIC3型と同じタイプの新型車(AM96型)が停まっている。「新型車 =幹線路線」という推測の元にその列車に乗り込む。13時55分、列車が出発する。方向はあっているようだ。北駅に停車し、分岐路線にも入らずにまっすぐオランダの方向へ向かっている。3駅くらい行った所で、車内の電光掲示板がオランダ語に切り替わる。目的地「Antwerpen」。どちらか片方を表示するんじゃなく、両方併記してほしいものだ...。

Antwerpen/Antwerp - BELGIUM (アントウェルペン - ベルギー)

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メイアー通り Meir

ほとんど乗客が乗っていないIC2013は14時48分、ベルヘム(Berchem)駅に到着。明日のオランダ行きの時刻を調べるためにいったん下車する。駅構内の時刻表では8時16分、31分、9時16分とそれなりに走っている。プラットホームに戻り15時03分の列車(IR2813)に乗り、アントワープ中央駅へ(所要2分)。駅から出ると、雨はほとんどやんでいる。

今朝はルーベンスの絵画を見てきたので、アントワープにあるルーベンスのアトリエも見に行こうと思う。ケイセルレイ通り(De Keyserlei)を通って西へ。大通りのイタリア通り(Italielei)を横切り歩行者天国のメイアー通り(Meir)へ。駅から歩いて15分程度でルーベンスのアトリエの前に着く。公園のような通り(Wapper)の中央にチケットブースがある。入場料 5EUR。荷物(折りたたみ傘)をコインロッカーに入れて、アトリエへ。フランスで見たセザンヌのアトリエのような「芸術家的な雑な感じ」の室内ではなく、きっちり整理された邸宅。ルーベンスが住んでいたころはどのような状況だったかは知らないが、ルーベンスって相当金持ちだったんだなと思う。

July 4, 2002 (Thursday)

Train : Antwerpen -> Delft (アントウェルペン → デルフト)

7時起床。朝食を食べ、8時20分のバスに乗りフローエン・プラァツ(Groen-plaats)へ。もう一度大聖堂を見て、メイアー通りをのんびり歩いて中央駅へ。ブリュッセル方面行きの列車に1駅乗ってベルヘム駅に9時40分着。次のアムステルダム行きは... 10時31分。50分ほど切符売り画の前のベンチで時間をつぶす。遠足の子供も大勢待合室で時間をつぶしている。
列車の発車時刻直前、プラットホームへ。大量の乗客が列車を待っている。KLMの制服の航空会社の職員も列車を待っている(隣国から通勤してるのか...)。IC609 列車はSNCBとNSの混成客車(色もデザインもほぼ同じ車体)、ほぼ満員で10時31分出発。次の駅はもうオランダ。ローゼンダール、ドルトレヒトと停車し、ロッテルダム中央駅(Rotterdam Centraal)に11時38分着。昼食を食べに降りる。

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ロッテルダム市街地 (市庁舎付近)

低気圧は過ぎ去り、すがすがしい青空が広がっている。駅前は巨大なトラムとバスの停留所。港(ライン川)の方向に向かって伸びる大通り(Mauritsweg)に沿って1ブロックほど行き、左(東)へ曲がると繁華街コルテ・ラインバーン(Korte Lijnbaan)に出る。巨大なマクドナルドがったので入る。チキンマックのセット 5.15 EUR。このラインバーン通りは第二次大戦で廃墟になった街を再建するときに、世界初の歩行者天国として造られたと「オランダ政府観光局は」言っています。オランダではローマ時代以前から自動車が走っていたのでしょうか...?不思議なキャッチコピーです。
食後、市庁舎(Rotterdamという名前。市内では珍しい戦前の建物)からCoolsingel をさらに南へ。港(ユーロ・ポートと呼ばせたいらしい)を一望できる1996年に完成した斜張橋のエラスムス橋(Erasmusburg)へ。単なる港です。別に珍しいものがあるわけではありません。

駅に引き返し、12時35分のR5136列車(Stoptrein 各駅停車)に乗りデルフトを目指す。といっても、たったの3駅で10分ほどで到着。

Delft - NETHERLANDS (デルフト - オランダ)

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新教会 Nieuwe Kerk

さて、オランダはだいたいの土地勘はあるのでガイドブックはもっていないが、デルフトは駅前がいきなり自転車置き場でちょっと面食らう。駅舎の階段の上より東の方を見ると教会の先頭がぽつんと住宅の上に頭を出している。あれが有名な新教会だろうと勝手に想像してそちらを目指す。

運河の橋を渡り、旧市街へ入る。アムステルダムとはまた違った雰囲気の運河沿いを歩き中心部を目指す。10分ほどで中央広場(Markt)に到着。たくさんの観光客と、広場いっぱいに出店している食料品類の露天。平日なのにこの人ごみはすごい。新教会(Nieuwe Kerk)のすぐ横(南東側)にツーリスト・オフィス(VVV : 2003年1月に閉鎖されたとの噂です)がある。地図のついたパンフレット(1.8EUR)を買う。旧市街をじっくり歩くのは今回初めてなのだが、デルフトといえば、陶器とフェルメールの絵画「デルフトの眺望」が頭の隅から離れないが運河の街というのも十分観光に耐えるものだった。

まず、新教会に入る。入場料 2EUR(旧教会と新教会のセットのチケット)。ベルギーの教会でもそうだったが、バラ窓のある位置にはバラ窓が無い。この教会ではパイプオルガンが設置されている。「新」教会といっても、相当古そうだ。14〜16世紀に建設されたものらしい。パンフレットにお勧めの観光コースが点線で描かれている。とりあえずそのとおりに進んでみることとする。

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東門 Oostpoort
左の建物が運河の門、現代の主要交通機関 自転車は右側の門へ

中央広場から出て、落ち着いた住宅街に入る。運河にはハスが浮いている。アムステルダムでは「ハスの浮いた運河」は中心部には無い。運河に沿って、南東へ行くと東門(Oostpoort)の砦のような水門のところに出る。さすが、水運の国だ。水門が町の東門。主要交通は船だったわけだ。
町の外周の堀(Rijn-Schiekanaal)に沿って北へ。旧市街の住宅街を抜けて再び中央広場を通り抜け、旧教会(Oude Kerk)へ。中国人のビジネスマンが団体で写真撮影している。旧教会の内部は新教会より新しそうな気がするが、こちらは13世紀の建築物。「新教会より若干古い」ということだろう。

国鉄駅へ。トラムの線路に沿って歩いていくが、トラムの行き先はスフェニンヘン(デン・ハーグの海岸)。でも、せっかく国鉄の切符を持っているわけだから、遠くても(不便でも)国鉄駅へ。
14時50分のR5144に乗る。3駅目のデン・ハーグHS(Den Haag HS)駅で降りる。

Den Haag - NETHERLANDS (デン・ハーグ - オランダ)

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スヘフェニンゲンの海岸

予約しておいたユースホステルへ。チェックインし、荷物を部屋において外へ。このユースでは無料で市内地図をくれるので重宝する。2週間前には地中海を見ていたわけだから、やはりデン・ハーグでは北海を見たくなる。トラムに乗り、北海沿いのスフェニンヘン(Scheveningen)へ。海水浴にはまだ早いのか、砂浜のビーチパラソルなどはこれから設営しようとしているところだ。真っ青の青空に、涼しそうな筋雲がたなびいている。

35℃を超える猛暑の地中海とは全く違表情をしている。今回の旅もこのデン・ハーグで終わりだ。

夕食は市役所の向かい側にある市場のインドネシア料理のファストフード。フランスでよく見かける中華のファストフードのオランダ版といったところだろうか。4EURでご飯とおかずを食べる。 食後、ユースホテルに戻る途中に、HS駅をチラッと見てみると、警官が大量に出動している。駅へ入る乗客一人一人をボディーチェック。
そういえば、今日は7月4日。アメリカの独立記念日。テロの予告でもあったのだろうか。