2012年 スコットランド、イングランド、トルコ旅行記 : イスタンブール

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October 03, 2012 (Wednesday)

Edirne - Turkey (エディルネ - トルコ)

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サライ ホテル屋上からのエディルネ旧市街の眺め

view from terrace of Saray Hotel

7時30分過ぎ、ホテルの最上階(4階)のテラスで朝食。旧市街には高い建物があまり無いので、視界を遮るものが殆ど無く景色が良い。セリミエ モスクエスキ モスクのミナレットがうっすらと朝霧に覆われているのが見える。乾燥気候なのに、早朝は霧が発生しやすいのかね。

9時過ぎまで、旧市街のスーク付近を散歩する。この時間帯は魚や野菜を売る類の店が店開きを始めているところで、衣類や電気製品を売る店はまだ閉まったままだ。通勤と思われる人が早足で勤務先に向かう姿もたくさん見かけるが、この街にそれほど沢山の職場があるのだろうか…。屋根の掛かったアリパシャ市場では、エディルネ名物の果物そっくりの石鹸を売る店が朝早くから開いていた。この石鹸は部屋に飾って客に見せて喜ぶためのものなのか、それとも本当にお風呂などで使うものなのか、興味あるところだ。

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アリパシャ市場、名物の石鹸

Alipaşa Çarşısı, fruits shaped soap

9時30分、ホテルをチェックアウト。1泊分55リラ(2420円)をカードで支払う。昨日、シャトルバスを降りたセリミエ モスク前のバス乗り場へ向かう。シャトルバスに乗るには長距離バスの切符が必要なようで、私の前に乗ろうとしていた人は切符を買いに行かされていた(メトロ社の切符売り場は少し離れたエスキ モスク側にある)。外国人の私は、切符をまだ買っていなかったが温情で乗せてもらえた。

10時発のシャトルバスは、エディルネ郊外の高層住宅街で待つ客を迎えに行くために遠回りしたため、バスターミナルまで25分ほど掛かる。長距離バスは出発を少し遅らせてくれたようで、なんとか10時30分発のイスタンブール行きに乗り継ぐことが出来た。

Bus
Edirne Selimiye Camii(10:00発)→ Edirne Otogar(10:30着)
Shuttle Bus 運賃 Free
Bus
Edirne Otogar(10:33発)→ İstanbul, Esenler Otogarı(13:10着)
Bus 運賃 27 リラ(1188円)

İstanbul - Turkey (イスタンブール - トルコ)

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イスタンブール行きバス

Metro Bus for İstanbul, at Çorlu

イスタンブール行きバスは、昨日と同じく定員の半分くらいの乗客を乗せている。両都市の中間付近のÇorluで1回休憩を入れて、イスタンブールエセンレル長距離バスターミナルまで2時間40分ほどで到着。バスターミナル到着寸前のイスタンブール郊外の高速道路沿いには、新しい超高層マンションが林立している。2020年のオリンピック予定会場もこの付近なので、開発ラッシュなのだろう。1990年には762万人だった人口が、2010年には1325万人に、2012年現在1385万人と急速に人口を増やしているため、どんどんマンションを建てないといけない状況なのだろう。

バスターミナルの食堂でドネル ケバブとヨーグルト飲料(アイラン)で昼食。14リラ(616円)と市街地で食べる価格より高い。地下鉄の回数券(5回分)も15リラ(660円)と、イズミルで同じ種類の回数券を買ったときの1.5倍の価格だ。これが、経済中心地(イスタンブールは首都ではない)と地方都市(第二の都市)の違いというものなのだろうか。

それに比べて、日本では地方都市の大阪の方が、東京より地下鉄の初乗り料金が高いのは、経済原則から見て明らかにおかしいと、ふと感じた。

Metro
Esenler Otogar(13:50発)→ Aksaray(14:07着)
Metro M1 運賃 3 リラ(132円)
Tram
Yusufpaşa(14:14発)→ Sirkeci(14:30頃着)
Tram T1 運賃 3 リラ(132円)
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トプカプ宮殿 皇帝の門とアフメット3世の泉

Imperial Gate and Fountain of Ahmed III

満員の地下鉄とトラムを乗り継いで、コンスタンティノープル時代からの都市中枢部のファティ地区へ向かう。インターネットで予約したホテルの最寄り駅であるシルケジ駅前でトラムを下車。ヨーロッパからやって来る列車の終着駅であるシルケジ駅周辺は安ホテル街のような場所だが、今回予約できた最安値付近のホテルでも1泊36ユーロだ。この地区の平均的な安ホテルの宿泊料金は50ユーロ以上、いや100ユーロ以上というボッタクリ価格。観光客の増加にホテルの数が全く足りていないのだろう。オリンピック開催して、本当に大丈夫なのだろうか…。

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アヤソフィアとヒュッレル・スルタン・ハマム

Ayasofya and Haseki Hürrem Sultan Hamamı

ホテルにチェックインし、荷物を置いてスルタンアフメト モスクなどがある歴史地区へ向かう。どの道にも、うじゃうじゃと観光客が居る。6世紀に建てられ、オスマン帝国に占領されるまで東方正教会主教座でもあったアヤソフィアや、15世紀に建てられオスマン帝国のスルタンが居住したトプカプ宮殿の入り口には観光客があふれている。宮殿入口にあるアフメト3世の噴水前には観光バスが大量に駐車していて、写真を撮るどころではない。こんな歴史地区の真ん中まで観光バスを乗り入れさせなくてもいいのに…。

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テオドシウス1世のオベリスク

Obelisk of Thutmosis III

歴史地区で入場しやすそうなスルタンアフメト モスクに向かう。ヒッポドローム側から敷地に入ると、ちょうどアザーンの大音響が流れてきた。礼拝の時間が始まるのでモスクの建物内から観光客が追い出される。16時10分に始まった礼拝は16時45分まで掛かり、信者が帰った後に観光客の入場となる。

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スルタンアフメット・モスク

Sultanahmet Camii

17世紀に建てられた世界で最も美しいと言われるモスクは、昨日見たエディルネのセリミエ モスクと比べると、ドームの高さは同じ43mだがミナレットの高さが20mほど低いそうだ。間近で見た感じでは、どちらも巨大としか形容しがたい。

モスクの中に入る。絨毯が敷き詰められた広大な空間のミフラーブ側の半分が、イスラム教徒専用の区画として低い間仕切りで区切られている。木製の間仕切りの入り口から(信者が)ぽつぽつと中に入っていくのを眺めていると、入口の横の係員が私を手招きして中に入れてくれた。それを見た周囲の欧米人観光客が、私の後に続いて入ろうとしたが制止されていた。私はそんなにムスリムに見えるのだろうか…(笑

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スルタンアフメット・モスク

Sultanahmet Camii

ふかふかの絨毯の上に座り込み、真上の丸天井を見上げる。そこには一面に赤や青、黄色で細かい幾何学模様が描かれ、所々に聖なる言葉が金色で書かれている。ムスリムなら違う感想を持つのかもしれないが、私には偉大な芸術作品に見える。なにわともあれ、観光客でごった返していない“信者区画”に入ってのんびりと建物を眺められたことに対して、イスラームに感謝しておこう。

モスクを後にし、トラムが走る道と重なる半島の稜線部を越えて、北側(金角湾側)にあるエジプシャン・バザール(ムスル・チャルシ)に向かう。アーケードの中には香辛料やナッツ類を売る店が集積し、外には農作物の種や球根を売る店が大量に集まっている。日本で買うより遥かに安くドライフルーツが山積みで売られている。バザールの北側にはイェニ モスク(新モスク)と呼ばれる大きなモスクがあり、こちらも見学可能だ。17世紀に建てられたのに、「新」モスク。多分スルタンアフメト モスクより新しいということなのだろう。

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スレイマニエ・モスクとエミノニュ港の観光漁船

Süleymaniye Camii and boat restaurant at Eminönü

エジプシャン・バザールの近くでドネル・ケバブを食べる(ヨーグルトも注文して5.5リラ, 242円)。食後のデザートに、露天で茹でたトウモロコシを購入(1.5リラ、66円)。トウモロコシの価格はイズミルのときの1.5倍だ。これも地下鉄の料金と同じく、50%ほど高くなっている。

夕方、夜景撮影にガラタ橋南端のエミノニュ港に出かける。日が沈み、スレイマニエ モスク方向の空が真っ赤に染まっていく。ガラタ橋の高架下にはレストランがずらっと並んでいて、橋全体がレストランの照明で色とりどりに光り輝いている。エミノニュ港側にも名物焼きサバのサンドイッチを売る観光船が沢山の照明をつけて停泊している。

Hotel
Hotel Sultan, 601号室
84.5 リラ(3718円)/1泊

October 04, 2012 (Thursday)

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エミノニュ港の海峡横断フェリー

Eminönü port

7時30分、ホテルの2階で超しょぼい朝食。1泊3800円近くも払っているのに、シャワーは水圧不足で全く出ないし、この街のホテル事情がとんでもない状況だという報道には全く賛成だ。

8時30分、エミノニュ港のフェリー乗り場へ。ボスポラス海峡の中間地点付近にあるルメリ・ヒサルに行くフェリーが無いか見てみるが、海の上から見るだけの周遊客船(25リラ)しかないようだ。それなら、陸路で行くこととする。

Tram
Eminönü(08:49発)→ Kabataş(08:59頃着)
Tram T1 運賃 3 リラ(132円)
Bus
Kabataş(09:00頃発)→ Rumeli Hisarı(09:27頃着)
Bus 25E 運賃 3 リラ(132円)
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ルメリ・ヒサルとボスポラス海峡

Rumeli Hisarı and Bosphorus strait

エミノニュ駅からトラムT1で終点のカバタシュ駅まで行き、バス25E系統に乗って30分、1988年に日本のIHIが建設した第2ボスポラス橋のすぐ下辺りにあるルメリ・ヒサル バス停で下車。すぐ目の前の山肌に砦がせり出してきている。

今日の天気予報は“雷雨”。結構湿度が高くて空が白っぽく霞んでいて、北の空には今にも雨を降らせそうな真っ黒な雲がわきたっている。入場料5リラ(220円)払って砦に入る。他に誰も客が来ていないようで、やたら警備員だけが目立っている。砦は、塔と城壁で囲まれた中に古代ローマ劇場があるだけのシンプルな造りだ。

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ルメリ・ヒサル、ハリル・パシャ塔

Rumeli Hisarı, Halil Paşa Kulesi

ハリル・パシャ塔を除いて内部に入る扉は閉じられているが、屋上には壁の上の通路から屋外の階段を通って登れるところもある。手すりなどは一切無いので、落ちても自己責任という事なのだろう。塔の上からはボスポラス海峡が一望でき、フェリーや貨物船がひっきりなしに往来するのが手に取るように見える。旅行ガイドなどに掲載されている写真と同じ景色なので、恐らくこの壁の上から撮影されたものに違いない。

この砦は、15世紀のオスマン帝国によるコンスタンティノープル包囲戦のときに、オスマン帝国側が建設したものだ。当時、東方正教会の中心地であったウクライナ周辺からの補給や援軍が、ボスポラス海峡を通れないようにするための砦で、海峡対岸にあるアナドルヒサル(砦)と対になって建てられたものだそうだ。

砦の中の平らなところには、オスマン帝国時代の大砲が並べられている。説明板には19世紀のものだと書かれているので、コンスタンティノープル包囲戦のときのものではないようだ。露土戦争などでロシアの海峡通過を阻止するために使われたものなのだろうか。

Bus
Rumeli Hisarı(10:20頃発)→ Kabataş(10:51着)
Bus 25E 運賃 3 リラ(132円)
Tram
Kabataş(11:00頃発)→ Pazartekke(11:37着)
Tram T1 運賃 1.94 リラ(86円)
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東ローマ帝国末期のコンスタンティノープル概略図
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テオドシウスの城壁、アギオス・ロマノス門

Theodosian Walls, Gate of St. Romanus

10時20分、再びバスに乗りカバタシュまで戻る。昨日購入した5回分の回数券を使い切ってしまったので、キオスクでチャージ可能なICカードを購入(イスタンブールカード:7リラ, 308円)。とりあえず、13リラだけチャージした。トラムの改札機で入場するときに値段を見ると、1.94リラしか支払われていない。回数券なら3リラなので、3割以上割引があるようだ。

トラムで旧市街を横断して、東ローマ帝国時代の5世紀に造られた市壁が残るパザルテク駅で下車。トラムの走る大通りがテオドシウスの城壁を貫通している、ちょうどこの場所がアギオス・ロマノス門があった場所だ。道路横にはそれらしきレンガ造りの門が復元されているが、どの部分までがオリジナルのものなのか…。東ローマ帝国最後の皇帝であるコンスタンティノス11世が戦死したのはこの門の辺りだったそうだ。

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テオドシウスの城壁

Theodosian Walls and Surp Nigogoyas Kilisesi

アギオス・ロマノス門に隣接したレストランの屋外テラス席から、二重になった城壁の間に入る。そこは綺麗な緑の芝生に覆われていて、私有地のようだ…。普通の道路からアクセスできる場所の壁はボロボロで、芝生どころか半砂漠のような状態でゴミが散乱している。オスマン軍が用いたウルバン砲で破壊されたのか、それとも風化して崩れたのか分からない塔が延々と立ち並んでいる。貴重な歴史遺産なのだから、もう少しちゃんとした公園に整備できないものかねぇ…。(日本も、大規模公共工事ばかりにODAを垂れ流すのではなく、こういう地道な遺跡整備に金を出してあげればいいのに。ゼネコンは全く儲からないからダメなのかね)

壁のすぐ脇にバスが次々とやってくる小さな広場(トプカプ広場)があり、広場の中央にあるカフェで昼食。ドネル・ケバブとヨーグルトで5.75リラ(253円)。出発していくバスを観察していると、タクスィム行きというのがある。直行するなら便利だということで、乗ってみる。出発しそうなバスに乗って待っていると、どうも後部のエンジン室から火が出た?ようで、隣のバスに急遽乗り換えろと言ってくる。マイナー路線は利用している車両も結構オンボロなので、たまに故障するんだろう。

Bus
48 A Göktürk Durağı‎(12:40頃発)→ Taksim(13:05着)
Bus 87 運賃 1.24 リラ(55円)
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イスティクラール通りと観光トラム

İstiklal Cd and Nostalgic tram

運賃1.24リラと、回数券の半額だ。トラムT1路線と途中まで併走し、ヴァレンス水道橋のあるアタテュルク大通りを通って金角湾の橋を渡り、タクスィム広場へ。

歩行者天国の繁華街で、旧式の観光トラムの走るイスティクラール通りを下ってガラタ橋を目指す。平日にもかかわらず、老若男女問わずいろんな種類の人で大混雑している。他のイスラム圏の国と同じく若者の失業率が高いのか(トルコの若年男性の失業率はおよそ30%台)、歩行者天国を散歩している若い男性の姿がやたら目立つ。若者の失業率が50%台のスペインですら、これほど沢山の若者が平日から繁華街をぶらついていなかったと思う。

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考古学博物館、アレクサンダー大王の棺

Archaeology Museum, Alexander the Great sarcophagus

老人の海釣り公園と化したガラタ橋を渡り、旧市街の国立考古学博物館へ。入場料10リラ(440円)と安価だが、かなり見ごたえがある。ギリシャ、ローマ時代の出土品が整然と展示されていて、コンスタンティノープル包囲戦の時に金角湾を閉鎖していた鎖の実物や、アレクサンドロス大王の石棺と言われているものも。レバノンのシドンで発掘された大王の棺が、なぜイスタンブールに運ばれたのや、そもそもこれは大王の棺ではないのではないかという議論もあるらしい。

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アヤソフィア

Hagia Sophia (Ayasofya)

2時間ほど展示物をじっくりと見物した後、隣のアヤソフィアへ。5世紀ごろ建てられたこのモスクは、かつて東ローマ帝国時代には正教会の総主教座としてアギア・ソフィア大聖堂と呼ばれていたこともあった建物だ。すでに閉館間際ということで、観光客の数が減ってくる時間帯だ。写真撮影にはちょうどよい。現役の宗教施設ではなく展示館になっているので、入場料25リラ(1100円)とかなり高額。これを見ずには帰れないので、少々高くても払う価値はあるだろう。モスク転換時に内装を変えるために塗られた漆喰を一部引き剥がすと、その下には大聖堂時の聖母子や聖人の黄金のモザイクタイル画が現れたということで、観光名所のひとつとなっている。敵国の宗教だからといって破壊せず、漆喰で上塗りして保存するとは当時のオスマン帝国の判断も粋なものだ。

18時、閉館時間となり客がどんどんと帰って行き、モスクとしては若干薄暗い建物内から人の姿が消えていく。小さい窓から入ってきた西日が、“アラー”や“ムハンマド”とアラビア文字で書かれた黄金の文字板を照らしている。人が減り、写真撮影に好都合な環境となるが、いかんせん薄暗すぎる…。この暗さが荘厳さを出しているのだろうが、もう少し照明がほしいところだ。

Hotel
Hotel Sultan, 601号室
84.5 リラ(3718円)/1泊

October 05, 2012 (Friday)

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金角湾

Golden Horn

7時30分に朝食を食べ、ホテルに荷物を預けてチェックアウト。今日は正教会第1位のコンスタンディヌーポリ総主教庁が置かれている聖ゲオルギオス大聖堂を観に行くこととする。イスタンブールがムスリム国家に属した時に、モスク転換されたアヤソフィアを追われた総主教座が行き着いた先だ。
エミノニュ港のバス停から99A系のバスに乗り、アタテュルク大通りを越えたところで下車。GoogleMapのGPSナビを使って、金角湾沿いの海岸を暫く歩く。海岸沿いの幹線道路と平行して、延々とコンスタンティノープルの金角湾城壁が続いている。

Bus
Eminönü(08:45頃発)→ Unkapanı(08:50着)
Bus 99A
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聖ゲオルギオス大聖堂

Church of St. George

かつてのペトリオン門付近で壁を越えて街の内側に入る。第5丘陵の斜面にへばり付くように建てられた住宅街に沿って歩いて行くと、聖ゲオルギオス大聖堂裏手に出てしまったようだ。頑丈そうな壁が大聖堂を囲んでいて、警察の監視塔もある。この国ではキリスト教が普通では存在しえないというのがわかる。

海岸沿いの入口から大聖堂の敷地内に入ると、小ぢんまりした白い聖堂がある。土地が狭いから仕方ないのだろうが、これが正教会の総本山だとは思えないような小さな建物だ。トルコ国内のキリスト教徒は人口の0.2%以下なので、参拝者の殆どは正教会を信じる東欧諸国からの巡礼者だそうだ。大聖堂の敷地内に居たノラ猫は、街の中のネコとは違い人に慣れていないようで、カメラを向けると一目散に逃げていった。ネコも逃げるほど敵対的な環境に囲まれているという事なのだろうか…

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ファティ・モスク

Fatih Camii

大聖堂を出て、かつて第4丘陵と呼ばれた丘をひたすら登り、丘の頂にあるファティ モスクを目指す。街並みを撮影していると、カメラのバッテリー切れ表示が点灯した。スーパーマーケットでアルカリ乾電池(単3型×4本)を購入。8.5リラ(374円)と、他の日用品に比べて割高感がある。

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ファティ・モスクとメフメト2世廟

Fatih Camii and II. Mehmet mausoleum

ファティ モスクは観光地ではないようで、脱いだ靴を入れる袋の配布や英語で書かれた注意看板なども存在しない。礼拝の時間では無いからか、堂内には掃除機を掛ける職員が2名居るだけで他には誰もいない。かつてこの地には、ソフィア大聖堂に次ぐ重要な位置づけであった聖使徒教会があり、モスクは聖使徒教会が壊された後の15世紀に建てられたそうだ。モスクの敷地内にはコンスタンティノープルを陥落させたオスマン帝国皇帝メフメト2世の廟がある。東ローマ帝国を消滅させた同皇帝は“征服帝(ファティまたはファティフ)”と呼ばれ、今でも旧市街地区の名前(ファティ地区)やこのモスクの名前となって親しまれている。

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ヴァレンス水道橋とアタテュルク大通り

Valens Aqueduct and Atatürk Bulvarı

モスクを出て東へ第4丘陵を下ってゆくと、石造りの高架橋が一直線に旧市街中心部方向に向かって延びている。第4丘陵から第3丘陵へ水を送るヴァレンス水道橋で、4世紀に造られたものだそうだ。谷底のアタテュルク大通りに向かって橋の高さはだんだん高くなり、アーチ状の橋脚の間の部分は倉庫や駐車場として使われている。1700年前に造られた構造物の有効利用…か。

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スレイマニエ・モスク、回廊と女性

Süleymaniye Camii

第3丘陵を登り、頂上にあるスレイマニエ モスクを目指す。金角湾側から旧市街を眺めると、最も目立つモスクだ。モスク西側の斜面に広がる古い住宅街は至る所で崩壊した建物が目立ち、地上げにあったのか更地になって放置された土地も目立つ。

スレイマニエ モスクは観光地になっているようで、外国人観光客がたくさん来ている。ファティ モスクと似たような大きさ、似たようなデザインの美しいモスクだが、見る人が見れば違いがあるのだろう。昨日訪れたスルタンアフメト モスクと同じく、礼拝堂中央に低いフェンスが設けられて非ムスリムを排除するようになっている。なぜか、私は通って良いと手招きされるので、なにか勘違いされてないだろうか…。

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カパルチャルシュ、土産物人形

at Kapalıçarşı

モスクを出て遠足の小学生の列を追い越し、大学の横を通ってグランド バザール(カパル チャルシュ)に向かう。

15世紀に開設された“屋根付き(カパル)商店街(チャルシュ)”で、現在は4000店が入居しているそうだ。内部は複雑な角度で交差する通路で構成され、GPSの受信も不可能なので道に迷いやすい。香辛料屋が軒を連ねていたエジプシャン・バザールと違い、こちらには貴金属や土産物、陶器や銀食器を扱う店など様々な伝統工芸店が集まっている。マグリブ諸国のスークを建物内に収めたような感じだ。

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モザイク博物館

Great Palace Mosaic Museum

そのまま東へ歩き続け、スルタンアフメト モスク裏手にあるコンスタンティノープル大宮殿 モザイク博物館に向かう。イスタンブールを出発する時間は刻々と近づいているが、このモザイク博物館だけは最後に見ておきたかった。

コンスタンティノープル大宮殿は、現在のスルタンアフメト モスクやアヤソフィアとの間にある公園、スルタンアフメトの安宿街を全てを含む広大な建築物だったそうで、このモザイク博物館も宮殿の南端にあたる場所に建てられている。狩りの様子や日常生活を写実的に表現した見事な巨大モザイク画が、博物館内に所狭しと展示されている。さすが、東ローマ帝国の宮殿を飾っていた作品だけはある。

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エジプシャン・バザール

Spice Bazaar (Mısır Çarşısı)

エジプシャン・バザール横のカフェでドネル・ケバブとヨーグルトで昼食(5.5リラ, 242円)。店のカウンターにザクロの実が山積みされていたので、ジュースを注文してみる。値段は5リラ(220円)とオレンジジュースの5倍の価格だが、それだけ栄養価が高いという事なのだろうか。味は、普通の甘い果汁だった…。

ホテルで荷物をピックアップし、シルケジ駅前からトラムに乗り、アクサライで地下鉄に乗り替え空港へ。トラムが1.94リラ、地下鉄が1.24リラと値段設定がよくわからない。途中のアクサライのカフェで休憩し(パンとミネラル水 3リラ, 132円)、今回のトルコでの最後の出費。

Tram
Sirkeci(13:07発)→ Yusufpaşa(13:22着)
Tram T1 運賃 1.94 リラ(85円)
Metro
Aksaray(13:40発)→ Atatürk Havalimanı(14:20着)
Metro M1 運賃 1.24 リラ(55円)
Air
İstanbul, Atatürk Airport(17:25発)→ Amsterdam, Schiphol(20:10頃着)
KLM 1614
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スキポール空港 近郊バス乗り場

Schiphol airport, bus terminal

17時ちょうど発のアムステルダム行きは、25分遅れて出発した。トルコからブルガリアを横断してセルビアの東の国境沿いに飛んでいる。ルーマニアをギリギリ避けているのは、高い管制料金を取られるからだろうか。19時50分、スキポール空港着。小雨が降り始めている。最高気温26℃/最低気温23℃のイスタンブールから、最高気温16℃/最低気温12℃のアムステルダムへ、10℃も気温が下がり肌寒く感じる。

Amsterdam - Netherlands (アムステルダム - オランダ)

20時35分、アムステルダム郊外行きのバスに乗車。空港ターミナルビル内の商店で働く従業員の帰宅ラッシュと重なり、バスは超満員。車内検札が不可能そうな状態なので、交通ICカード(OV-chipkaart)の改札をせずに無賃乗車してる奴の多いこと…。以前の紙の回数券の時なら無賃乗車は実質的に不可能だったので、バス会社の売上も落ちたことだろう。