アメリカ古今首都旅日記 : フィラデルフィア (Day 1)
June 06, 2017 (Tuesday)
Osaka, Japan (大阪)
大阪は晴れ。自宅より地下鉄駅に行く途中にあるセブンイレブンで幕の内弁当(430円)を買い、格安自販機で300mlのホットレモン・ペットボトル(30円)を買う。これが、関空から成田に向かう機内で食べる今日の昼食となる予定だ。
難波より空港急行に乗り関西空港へ。堺駅までは通勤客で身動きできないくらいの大混雑。関空まで乗り通しているのは、旅行者より関空で働く人たちのほうが多いようだ。
なんば駅(07:28発)→ 関西空港駅(08:35着)南海電鉄 空港急行, 運賃 920円(金券ショップで860円)
関空から成田までは2017年2月18日に関空に新規就航したばかりのバニラ・エアの便に乗る。LCCなのに、鉄道駅に直結した第1ターミナルから出発するのはありがたいことだ。
成田行きの便は20分ほど遅れて10時10分に出発。機内の座席は通路を挟んで3+3列で、乗客は窓側と通路側の席を埋める程度しか乗ってない。搭乗率はおよそ66%なので、採算ライン下回ってるな…。
関西空港(10:10発)→ 成田空港(11:30着)バニラ・エア JW702便 (Airbus A320-214), 運賃・手数料込 3,960円
飛行機は大阪湾を半時計回りに1周回って高度を上げ、関空・和歌山市上空を通過して本州の太平洋岸沿いに房総半島沖まで飛行する。紀伊半島から東はずっと低層の雲が掛かっていたが、富士山だけは雲の上に突き出して居るのを拝むことが出来た.
Narita, Japan (成田)
成田空港はLCC専用の第3ターミナルに到着。建物内は乗客が迷わないよう、陸上競技トラックのようなコースレーンが引かれている。
デルタ航空は第1ターミナルから出発するので、シャトルバスに乗ってターミナル間を移動する。距離にして2kmほど。いっそのこと、陸上競技トラックをターミナル間に延長して、乗客に走らせれば…。ジョギングブームだし、燃料食うバスを廃止すれば、エコで健康的だ。
第一ターミナルに到着し、デルタ航空のセルフサービス機でチェックイン。スマホのDeltaアプリではオンラインチェックインできなかったので、搭乗エリアのチェックインカウンターで調べてもらったが原因不明だった。(帰国時に分かったことだが、こういう場合はDeltaアプリではなくWebページで一旦チェックインすると、自動的にDeltaアプリでもチェックイン済みになり搭乗券が画面表示される)
成田空港(15:45発)→ デトロイト空港(14:45着)デルタ航空 DL276便(Boeing B747-451s), 往復運賃・諸税込 100,000マイル+5,770円
デトロイト行きの便は、アメリカ人やフィリピン人の乗客がほとんどのようで、日本人はごく少数。成田がデルタ航空の極東ハブ空港だからなのか、もはや日本人は海外出張や旅行にすら出かける人が減った縮小国家だからなのか…。
機内は寒いくらいのエアコンが効いている。アメリカ人は暑がりなのだろう。2回出てくる食事も、日欧間の欧州系航空会社に比べて1.5倍くらいの量があり、満足できるレベルだ。飲み物のコップも一回り大きいサイズ。
デトロイトまで12時間ほどのフライト。ほんとうはぐっすり寝た方がいいのだろうけど、寝れなかったので映画見続けた。ディズニーの美女と野獣(2017)、君の名は、スタートレック・ビヨンド、シン・ゴジラの4本。もう、目が疲れて余計眠れない。
Detroit MI, USA (デトロイト)
成田を10分早く出たのに、デトロイトは5分遅れ。スピードダウンしとるがな…。時差のせいで、まだ「出発日と同じ」昼間だ。
デトロイト空港で入国審査を受ける。事前にインターネットで14ドル払わされてESTA審査受けてるのに、この空港でも自動券売機のような機械(自動パスポートコントロール, APC)でパスポートを読み込ませての事前審査がある。さらに、APCが発行したレシートのようなものを持って窓口に並び、再び似たような質問をされるという非効率さ。まあ、掛かった時間は全部で10分ほどなので、旅客を待たせないことは評価できるかな。
手荷物検査場があり、そこを通過すると国内線(?)のターミナル。出発案内には、次に乗るフィラデルフィア行きの便が20分遅れと出ている。その後、遅れは30分、1時間と増えるばかり。どんないい加減なダイヤやねん。
待ち時間長過ぎるので、南北に長いターミナルビルの中央辺りにあるマクドナルドに入る。ビックマック・ミール(7.90$, 870円)で夕食。small,medium,large ?と聞かれたのでmediumを指定したのだが、1リットル位ある巨大なジュースカップを手渡された。この大きさがアメリカやねぇ。日本人ならsmallで十分かな。
デトロイト空港(19:00発)→ フィラデルフィア空港(20:25着)デルタ航空 DL1730便(MD-88), 往復運賃・諸税込 100,000マイル+5,770円
1時間以上遅れてデトロイトを出た飛行機は、しばらくの間うす曇りの上空を南東へ。日没が20時より遅いので、まだ上空はまぶしい太陽が照りつけている。
フィラデルフィアに近づくにつれ雲はだんだん分厚くなり、その雲の中を降下していくと滑走路寸前で地上の景色が突然見えてくる。道路などは薄っすらと濡れている程度で、降っていても小雨程度の雨のようだ。
Philadelphia PA, USA (フィラデルフィア)
飛行機を降りて、ターミナルDの長い渡り廊下を走り到着ロビーへ。案内標識はバス停や駐車場の表示ばかりで鉄道駅が見つからない。駅はこの長い渡り廊下の途中にあったようで、無駄な距離を走ったため電車を1本乗り過ごしてしまう。仕方なく次のが来るまで30分待つ。
駅には1台だけ自動券売機があるが、非接触IC式のクレジットカードしか受け付けない。車掌から切符を買うと1.5ドル高いので、それで儲けようとしてるのだろうか。車内販売の運賃は8ドル。街から近いのに高すぎ。
Airport Terminals E & F(21:07発)→ Suburban Station(21:35着)SEPTA Regional, Airport Line, 運賃 8.00$(880円)
年代物の重そうな電車(GE Silverliner IV)は、のろのろと市内に向かう。車窓は土砂降りの雨となる。30th Street駅から市内中心部に入り、スクールキル川を渡ると地下線に入りサバーバン駅に停車。ここで下車。郊外に行く駅だからサバーバン(Suburban)。単純な命名だ。
地下駅の改札を出るとけっこう広い地下道に接続している。若者が怪しくたむろしているので、あまり関わりにならないよう手近な出口から地上に上がる。スマホのGoogleMapをたよりに、予約したモーテルを目指す。まだ夜の9時だが、市庁舎付近の市内中心部は歩く人も少なく、policeやsheriffの車ばかり目立つ。10分ほど歩き、コンベンションセンター横のモーテルに到着。
Days Inn Philadelphia Convention CenterRoom 106, Queen Room 135.50$/1泊(14,905円)
June 07, 2017 (Wednesday)
宿泊しているモーテルの朝食は6時30分からと、けっこう朝早くからやっている。開始直後に地下の食堂へ。この時間、まだ誰も食べに来ていない。パンやドーナツ、シリアルはすでに陳列棚に並べられていたが、パンケーキとオムレツは20分くらいしてから出て来た。
部屋に戻り、TVで朝の情報番組を見ながら昨日の日記を書き、8時過ぎにモーテルを出発して独立記念館(Independence Hall)目指して歩く。
外の気温は15℃くらいで肌寒い。数分歩くとチャイナタウンがあり、中華料理屋や在米中国人相手の個人事務所などが建ち並んでいる。街を東西に貫くマーケットストリートに出て、さらに5分くらい歩くと、独立広場(Independence Square)がある。その中央付近にあるビジターセンター(Visitor Center)には、入場券を求める20人程度の行列ができていたので並ぶ。8時30分、独立記念館の当日券を無事入手する。インターネットでの事前予約は満員だったが、現地での当日券配布数は十分あるようだ。
9時の予約時間のチケットを持って、独立記念館(Independence Hall)へ向かう。セキュリティ・チェックを受けて、時計塔の南側の行列に並ぶ。9時開始の見学ツアーは、ほとんどが当日券組のようだ。ネット予約はよほど少数しか放出していないのだろう。
独立記念館は英国植民地の統治施設として1753年に建てられた建物で、1776年に「アメリカ独立宣言」が、1787年に「合衆国憲法」が採択された場所だ。第二次大陸会議や、連合規約による「連合会議」が合衆国憲法の発効する1790年まで、ここ独立記念館で行われていた。
見学ツアーでは、1階西側の最高裁法廷(Supreme Court Room)をまず見学して、次に東側にある議場(Assembly Room)を観る。独立宣言や合衆国憲法は、この議場で採択されたという。ツアー形式の独立記念館の見学はここまでで、次にウエスト・ウイングにある史料展示室へ。独立宣言のレプリカや、憲法制定時の署名に使われた本物のインク壺などが展示されている。
次に向かったのが旧国会議事堂(Congress Hall)。9時40分開始の見学ツアーに並んで入場する。合衆国憲法発効後の1790年から1800年まで「連邦議会」が開催された下院議場(House chamber)に入場し、かつて議員が座っていたであろう椅子に着席して国立公園レンジャーの解説を聴く。ニュース番組などで放映される現在の合衆国下院議場は、およそ430名の議員が着席しているが、この旧下院議場は106席(独立時の13州と1800年までに新たに加わった3州)と小ぢんまりしている。議事堂の2階には上院議場(Senate chamber)があり、こちらは各州2名の議員のため座席はたったの32席分。上院議場の横には委員会室があり、合衆国独立に協力し最初に国家承認したフランス王国のマリー・アントワネット妃やルイ16世の肖像画が掲げられている。「王国」を否定した「共和国」のアメリカで、王族の肖像画が掲げられている公式な建物も珍しい。
旧国会議事堂を後にし、東へ歩く。現在は肖像画博物館となっている第二合衆国銀行跡の前を通りすぎると、カーペンターズ・ホール(Carpenters' Hall)前に達する。この建物は18世紀にフィラデルフィアの建築業ギルドが造った会館だが、1774年に英国の高圧的な植民地政策に対抗するために作られた北米13植民地の代表者による「大陸会議」が初めて開かれた場所として有名だ。
カーペンターズ・ホール前の通りを挟んで向かい側には、ベンジャミン・フランクリンがかつて住んでいた住宅の跡地がある。住宅の建物は完全に撤去されて空き地になり、実際の家の形をした鋼材のワイヤフレーム模型が建てられている。ベンジャミン・フランクリンは大統領になったわけではなく、実業家(印刷業)であり政治家だった人だ。合衆国独立に多大な貢献をした55名の「アメリカ合衆国建国の父」の一人ということで有名らしい。100ドル紙幣の裏側にもフランクリンの肖像画が描かれている。フランクリンの住居跡の地下は博物館(入場料5.00ドル)になっていて、フランクリンが生涯で関わった課題や、発明した装置などが展示されている。建物の屋根に取り付ける「避雷針」の発明者がフランクリンだったというのは、ココで初めて知った。
まもなく昼なので、500mほど西へ戻り、レディング・ターミナル市場へ。かつてここに存在したレディング鉄道の駅名に由来している屋内市場は、生鮮食品市場というより巨大フードコートだ。フィラデルフィア名物のチーズステーキというのを食べてみる。1つ10.25ドル(1127円)と結構いい価格だ。牛丼のアメリカ版と言った感じで、薄切り牛肉の焼き肉に、とろけるチーズを加えてパンに挟んだものだ。挟まれている焼き肉の量が半端なく大量なところが、アメリカ流か。まあ、これはこれで美味しいのだけど、野菜なども挟んでいる中東のケバブのほうが、私は好みだ。
午後は、市庁舎から北西に一直線に伸びるフランクリン・パークウェイ沿いの名所を観に行く。1901年に建てられた161mの塔を持つ市庁舎前を通りすぎ、高層ビルが建ち並ぶ道を歩いて行くと、19世紀に建てられたカトリック教会(聖ペテロ・聖パウロ大聖堂)の巨大な大聖堂がある。さらに行くとバーンズ美術館、ロダン美術館が並んで建っている。ロダン美術館は無料で見学できる建物周囲の庭に、地獄の門や考える人などの著名な彫刻が屋外展示されている。無料でじゅうぶん楽しめる…。
フランクリン・パークウェイの突き当り、市庁舎から1.5kmほどのところにある丘の上にフィラデルフィア美術館の巨大な建物がある。ここから見る旧市街中心の高層ビル群と市庁舎の塔の組み合わせが、もっとも見ごたえがある。美術館には入場しなかったが、この景色だけでも来る価値ある。
美術館の丘のふもとには、通称「ロッキーの像」がある。1980年代のハリウッド映画でシルベスター・スタローンが扮したボクサーの像だ。40歳以下の世代にとっては、ほとんど知らない映画だろう。いつまでこの像が観光地で居られることだろうか…。
一旦モーテルに戻り少し休憩してから、地下鉄に乗って、街の東を流れるデラウエア川に面するペンス・ランディング地区へ。17世紀末にウィリアム・ペンが上陸し、ここにフィラデルフィアの“前身となる町”を作った歴史を記念して名付けられたそうだ。
13th Street Station(15:24発)→ 2nd Street Station(15:29着)SEPTA, Market–Frankford Line , 運賃 1.80$(198円)
2丁目駅で下車し、高速道路95号線の上を横切る高架道路脇の歩道を歩いて行くと、デラウエア川に面した公園(ペンス・ランディング, Penn's Landing)の入口がある。屋外コンサート会場やローラースケート場があり、岸壁には1901年に建造されたポルトガルの遠洋漁業船「帆船ガゼラ号」やアナポリス海軍兵学校の練習艦が停泊している。対岸には第二次大戦で日本海軍と戦った戦艦ニュージャージー(USS New Jersey, BB-62)がが見える。いまから対岸に向かっても閉館時間だろうから、残念でならない。
帰りは歩いてモーテルを目指す。途中、レディング・ターミナル市場で夕食。今回は量り売りのビュッフェで。1ポンドあたり7.95ドルだったので、適当に紙皿に乗せて持っていったら8.95ドル。とにかくこの国は物価高すぎなのか、日本がいつの間にか貧しい国になってしまったのか。経済の専門家は、たいてい後者だという。
夕方近くになり、低く垂れ込めた雲から青空が覗くようになってきた。日没になるころ、市庁舎の夜景を撮影に行く。日没は20時30分ごろで、ライトアップ21時少し前に始まった。雨天の昨晩は誰も歩いていなかった市庁舎付近の高層ビル街も、今日はたくさんの若い人が歩いている。
Days Inn Philadelphia Convention Center
Room 106, Queen Room 135.50$/1泊(14,905円)