アメリカ古今首都旅日記 : 写真集1
Philadelphia
フィラデルフィア市庁舎と高層ビル群
市庁舎(Philadelphia City Hall)は1901年に建てられ、高さ164mの塔は建設当時は居住可能な塔として世界最高の高さであったそうだ。(1889年に建てられた高さ324mのエッフェル塔、1884年に建てられた169mのワシントン記念塔が、建造物としてはこの建物の高さを上回っていたが、居住のための塔ではなかった)
背後に見えるガラス張りの尖塔のビルOne Liberty Placeは、高さ288mで1987年に建設されたもの。
市庁舎の夕景
日没が20時30分頃のため、ライトアップが始まるのは21時頃。
カーペンターズ・ホール
18世紀にフィラデルフィアの建築業ギルドが造った会館。1774年、英国の高圧的な植民地政策に対抗するために作られた北米13植民地の代表者による「大陸会議」が、初めてここカーペンターズ・ホール(Carpenters' Hall)で開催された。
1777年に「大陸会議」において採択された「連合規約」により、大陸会議は解散し「連合会議」が開かれるようになる。さらにその後「合衆国憲法」が各州で批准されたことで連合会議は解散し連邦議会が開かれるようになる。
独立記念館と国会議事堂
左側の時計塔を持つ建物が独立記念館(Independence Hall)、独立記念館のウエスト・ウイングの建物を挟んで右側が、国会議事堂(Congress Hall)。
独立記念館は英国植民地の統治施設として1753年に建てられた建物で、1776年に「独立宣言」が、1787年に「合衆国憲法」が採択された場所。第二次大陸会議や、連合規約による「連合会議」が合衆国憲法の発効する1790年まで独立記念館で行われた。
また、国会議事堂は1789年に建てられ、合衆国憲法発効後の1790年から1800年まで「連邦議会」はこの場所で行われていた。 連邦議会が行われていた期間、フィラデルフィアはアメリカ合衆国の首都とされた。
独立記念館1階の最高裁法廷
英国植民地時代から、この部屋は法廷として使われてきた。裁判長の背の位置の壁には、現在は合衆国の紋章が掲げられているが、英国植民地時代は英国の紋章が掲げられていたそうだ。 見学時に、国立公園レンジャーは復刻した英国紋章を掲げて説明をしていた。
独立記念館1階の議場
独立記念館1階は中央の大広間を挟んで、西側に最高裁法廷(Supreme Court Room)、東側に議場(Assembly Room)がある。この議場で、1776年に「独立宣言」が、1787年に「合衆国憲法」が採択された。
独立記念館北側に立つジョージ・ワシントン像
植民地軍総司令官であり、独立戦争(1775-1783)を指揮した軍人であり、1789年に初代大統領(1789-1797)となった政治家。ワシントンは2期8年で辞任し、大統領の任期は2期までという慣例を作ったとされる。
ジョージ・ワシントンとベンジャミン・フランクリン像
ベンジャミン・フランクリンが渡欧して、独立戦争にフランスの協力を引き出したことを讃えて、北米で独立戦争を指揮していたジョージ・ワシントンがエプロンをフランクリンに手渡すシーンを現している。
このエプロンは、加勢したフランス軍指揮官のラファイエットがワシントンに送ったものだそうだ。
国会議事堂1階の下院議場
合衆国憲法発効後の1790年から1800年まで「連邦議会」が開催された下院議場(House chamber)。
国会議事堂2階の上院議場
上院議場(Senate chamber)には各州2名の上院議員が集まるため、下院議場と比べて座席は26席と少ない。
国会議事堂2階の西委員会室
西委員会室には、合衆国独立に協力し最初に国家承認したフランス王国のマリー・アントワネット妃の肖像画が掲げられている。
「全ての人間は平等に造られている」建前のアメリカ合衆国の政府機関に、王家の肖像画が飾られているのは珍しい。なお、東委員会室にはルイ16世の肖像画が掲げられている。
聖ペテロ・聖パウロ大聖堂
このローマカトリック大聖堂Cathedral Basilica of Saints Peter and Paulは1846年に造られた。市街地中心・市庁舎からフィラデルフィア美術館に向かって、20世紀初頭に造られたベンジャミン・フランクリン・パークウェイ沿いにある。
ロダン美術館
ベンジャミン・フランクリン・パークウェイをさらに北西に歩いて行くと、ロダン美術館がある。上野の西洋美術館にもある、考える人や地獄の門などの彫刻が、屋外に展示されている。
美術館前のロッキー像
1976年のアメリカ映画『ロッキー』で、主人公のボクサー ロッキー・バルボアがフィラデルフィア美術館前の大階段を駆け上がるシーンが撮影されたことを記念して、階段横にロッキー像が立てられている。
ちなみに、美術館前の大階段には『ロッキー・ステップ』という名前が与えられていたりする。
フィラデルフィア美術館前から見た高層ビル群
通称『ロッキー・ステップ』を登った上から市街地を振り返ると、ベンジャミン・フランクリン・パークウェイの向こうに市庁舎、そして高層ビル群が見える。
最も高いビル2棟は、右側の最も高いものがComcast Technology Center(60階建て建築中)、中央のものがComcast Center(58階建て)だ。このビルの名前にもなっているコムキャストはこの中央のビルに本社がある。米国最大のケーブルテレビ網を持つとともに、インターネットプロバイダや情報通信サービスも行う、米国の有線放送と通信を牛耳る巨大企業。
フランクリン橋と帆船ガゼラ号
デラウエア川に架かる長さ2917mのベンジャミン・フランクリン橋(Benjamin Franklin Bridge)は、フィラデルフィア市街地と対岸のニュージャージー州カムデンを結んでいる。橋は太平洋岸のポートランドから大西洋岸のアトランティックシティに向かう国道30号線が通ると共に、道路の下の階に鉄道が通っている。
手前のペンズ・ランディングの岸壁に停泊している帆船は、1901年にポルトガルのセトゥーバルで建造されたガゼラ号(Gazela)。リスボンから40名ほどの乗組員を乗せて、カナダ ニューファンドランド島沖の漁場グランドバンク(Grand Banks)を往復していた。1969年に最後の航海を行った後、フィラデルフィア海事博物館が買い取った。
Penn's Landingに停泊する海軍兵学校の練習艦
ペンシルバニアを開拓したウィリアム・ペンが上陸した地点を記念し、ペンズ・ランディング(Penn's Landing)と名付けられたデラウエア川に面したウォーターフロント。そこにアナポリスの海軍兵学校から練習艦4隻(YP-706 〜 708)がやって来て停泊していた。
カムデンに係留されている戦艦ニュージャージー
第二次大戦中の1943年に就役した、アメリカ最後のアイオワ級戦艦の2番艦ニュージャージー(USS New Jersey, BB-62)。ワシントン海軍軍縮条約を脱退した大日本帝国に対抗すべく建造された戦艦。朝鮮戦争、ベトナム戦争、レバノン内戦と就役し1991年に退役。現在はニュージャージー州カムデンのデラウエア川に面した岸壁に係留され、一般公開されている。
艦上対潜哨戒機 Grumman SE-2 Tracker
Pennsylvania Academy of the Fine Arts横の道路に、艦上対潜哨戒機 グラマン SE-2 トラッカーが墜落したのを表現したJordan Griska氏の芸術作品がある。
フィラデルフィア30thストリート駅コンコース
長距離鉄道Amtrakや、近郊鉄道SEPTA Regional Railが発着する30thストリート駅。1994年にこの駅を利用した時も、コンコース中央にある出発案内板が同じものだった。液晶モニターに交換するのではなく、パタパタ式(反転フラップ式案内表示機)を大切に使い続けるあたり、骨董品の大切さがわかる経営者が居るのだろう。
30thストリート駅のAmtrak普通列車Northeast Regional
ニューヨークとワシントンの間を結ぶ普通列車(Northeast Regional)の185列車。走行距離226マイルのうち両端駅を含め11駅に停まるだけなので、日本で言えばじゅうぶん特急列車の範疇だ。226マイル(364km)を3時間20分で結ぶので、表定速度は109km/h。乗車した時にスマホのGPS地図で計測したら、駅間は最高速度200km/hを出していた。アセラ・エクスプレスなどの特急と違い、定員乗車の自由席方式。ACS-64型電気機関車がアムフリート客車を牽引している。日本ではほとんど見られなくなってしまった、食堂車(カフェ)を連結している。普通電車でも侮れない。
サスケハナ川河口に架かるトーマス・J・ハッテム記念橋
Amtrakの普通列車より撮影した、サスケハナ川河口に架かるトーマス・J・ハッテム記念橋(Thomas J. Hatem Memorial Bridge)。ガレット島を挟んで、全長2324mの橋。サスケハナ川は長さ715kmと、合衆国東部では最も長い川で、アパラチア山脈(アレゲーニー山脈)中をジグザグの流路をたどり、河口はチェサピーク湾。