2001年 旅遊中国 (絲綢之路) : 西安
June 26, 2001 (Tuesday)
Xī'ān - China (西安 - 中国)
朝8時、宿泊している光华宾馆を出て、1kmほど北西にある西安站へ。站前広場の南東角にある旅行社の「散客服務中心」へ。あさって乗る予定の嘉峪关(嘉峪関)までの列車を予約する。西安から嘉峪关へは5本程度の快速や普快が出ているが、ここでは西安站発の列車(空調あり1本、空調なし1本の計2本)しか予約できないようだ。係員は注文内容をメモして站へ向かった。10分くらいして係員が戻り、料金を支払う。硬臥下鋪で259元。手数料が50元の309元だった。どうも、直接駅の窓口で買ってきたらしく、個人でも買えそうな雰囲気だ。次に切符を買うときは、まず駅の窓口を見てみよう…
旅行社の女性に、ICテレホンカードで国際電話出来る電話の位置を聞いたが、IPカードを買うように薦められる。いっしょに郵電局へ行きIPカードが売っているか聞く。あいにく売り切れ。郵電局内の電話ブースで、日本に電話する。6分程度で現金35元(525円)支払う。
解放路を少し南に歩き、牛肉面店で朝食。排骨面3.5元(53円)。今日の観光の前に、敦煌から北京への航空券のリコンファームを行うため、中国西北航空の事務所を目指す。すぐ前のバス停から611路(1元, 15円)のバスに乗る。バスは解放路を南下し、東大街、鐘楼、西大街、西門を通りすぎ労働路との交差点へ。ここでバスを降りる。
火车站 → 西稍門公共汽车 611路, 運賃 1元(15円)
市内地図によれば、この辺りに中国西北航空公司の售票処があるはず。最初に見つけたのは中国南方航空の售票処。交差点を少し南に西北航空售票処を発見。客のだれもいない広い事務所に入る。日本で購入した航空券のリコンファームは何とか無事に終わる。
交差点にあるKFCに入り一休み。ソフトクリーム(2元, 30円)を食べる。西関正街を西門の方へ歩く。道路沿いにかなり大きな樹木が植えられているので、日差しが遮られてちょうどいい。ただ、排ガスを吐きまくる自動車がたくさん走っているので、空気は悪い。散歩には向かない。約1.3km(10分ほど)歩くと西門(安定門)に到着。城壁内外を結ぶ幹線道路が、城壁のところでロータリーとなっている。そのど真ん中に楼閣がある。楼閣の入場口はどこなのだろう…。道路の横に入口らしき物があるので入っていくと兵士が休憩している。楼閣への入口は門のロータリーの中央にあると教えてくれる。あのひっきりなしに行き交う車をかいくぐって中央に渡る必要があるわけだ。車が一瞬途切れた時に道路を横断し、なんとか楼閣の建つ城壁の入り口にたどり着いた。観光客はほとんど居らす、ひっそりしている。楼閣へ上る階段がある。入場券を買うようなところは見当たら無いが、勝手に登っていいのだろうかと思案していると、向うから女性がやってきた。やはり、入場料は必要なようだ。10元(150円)。階段を上ると、城壁の上に出る。門楼に入る。中は土産物屋になっている。その建物の2階から西を見る。先ほど西北航空售票処から歩いてきた並木道が見える。現在のシルクロードはバスとトラックで渋滞している。この門はシルクロードの基点ともいえる。西安の城壁は明代に建設され、清代に大改修されたそうだから、400年〜500年前にはこの門を通って中近東や欧州と交易する隊商が行き交っていたのだろう。
西門からは西安市を取り囲む城壁の上へは通り抜けられない居。楼閣を取り囲む城壁との境界に鉄格子がはめられている。小規模な街なら市街を囲む城壁に上れるのだが、中国有数の都市ではやはり不可能なようだ。
西門を出て、西大街へ。この辺りは市街地の再開発中で、歩道が取り払われている。一本北の道を東へ向かうこととする。表通りよりは、車の埃も少ない。人々の生活を垣間見ながらぶらぶら歩く。アラビア文字でなにやら書いてある店が増えてくる。回教徒地区のようだ。ひときわにぎやかでごみごみした地区に出る。ふと上を見上げると丸いモスクの屋根が見える。モスクを見かけるのは、昨年のトルコを旅行して以来だ。懐かしい。小ぢんまりしたモスクは、入口に清真西寺と書かれている。ひげを生やした、以下にもイスラム教徒らしいおやじに断わって中に入る。紛れも無くモスクだ。その偶像崇拝を禁じた、殺風景な瞑想の部屋は確かに西方を向いている。天竺でなくメッカの方に。中から出てきた人が、もっと大きいやつが「あっち」の方向にあるぞと教えてくれる。ぜひ行ってみなければ。入口のひげおやじに礼を言って外へ。小汚い食堂や食品店が入り乱れる大麦市街を通って、西大街へ。ちょうど昼時なので、どこかで昼食を食べようと思う。そういえば、西門の横に新しいデパートが建っていた。そこへ行ってみよう。
デパートは、半分近くのテナントが埋まっていない状況で開店していた。1階の正面にはKFCがある。なぜかこの街にはKFCがそこらじゅうにある。セットメニュー(17.5元, 262円)を食べる。西門の下よりバス7路(空調のため2元)に乗る。鐘楼の前で降りる。
西门 → 钟楼公共汽车 7路(空調), 運賃 2元(30円)
さて、鐘楼に登るべきかどうか迷うところだが、今回はモスクに行こうと思う。鐘楼の北西には半地下式の近代的なショッピングセンターがあり、そこを抜けると鼓楼の巨大な建物が現れる。その隣には「厳正執法」との巨大スローガンがある公安局。そこから少し北に行くと、なんとモロッコのメディナにある商店街のような土産物屋街が現れる。やはりきつい太陽光線には、布で覆った小道が涼しくて気持ちいい。土産物屋街の中心部に大清真寺があった。入場料10元(150円)払って中に入る。外見は仏教の寺のような建物だ。モスクというからには、丸屋根のドームとか、ミナレットを期待するが、ここは見かけ上普通の仏教寺院だ。ただ、本尊様が存在しないのと、建物にかかれた模様には偶像や動物が存在しないことだ。8世紀(唐代)に建てられた、中国に現存する中では最古の部類に入るモスクだそうだ。
钟楼 → 五路口公共汽车 603路, 運賃 1元(15円)
14時ごろ、北大街まで出て、バス603路(2階建てバス、1元)に乗りホテル(光华宾馆)に戻り一休みする。
火车站 → 大雁塔公共汽车 5路, 運賃 1元(15円)
16時30分、再び站前からバス5路に乗り南へ。バスは解放路から雁塔路をまっすぐ南下し、初めて左折したところで降りる。ちなみに、あと1つ先のバス停は陜西歴史博物館だ。
交差点からは大雁塔が見える。ただ、大雁塔の入口は、さらに南側にあるので、1km近く歩かなければならない。入口で入場料20元(300円)を払うが、これは大慈恩寺の境内への入場料。塔に登るにはさらに15元(225円)取られる。塔には狭い急角度の階段がついていて、ぐるぐる回りながら登るとそのうち頂上に着いた。さすがに汗が噴出する。私が登ったときはツアー客がいなかったので、まだ風通しがよかったが、ツアーで行くと狭い場所に詰め込まれ暑くて悲惨だろうね。最上階からの眺めは … 。高層ビルからの長めになれている現代人には、たいしたこと無いか。この塔は玄奘がインドから持ち帰った仏教経典を研究し収蔵するために建てられたもので、7世紀の唐代に造られたものだ。その当時は、この塔が超高層ビルだったのかもしれない。そう思うと、遥か西方向にはヒマラヤの山々が見えたような気もする…。大雁塔を降りて、寺の門を出た前に、巨大な石像が立っている。傍らの石に「玄奘」と書かれているので、三蔵法師の像だ。
公共汽车(空調) 610路, 運賃 2元(30円)
バス610路(冷房バス 2元)に乗って、站前に戻る。ホテルの部屋で、張さんが韓国から持ち込んだレトルト食品を夕食として食べる。中国だからまともな食べ物が売っていない場所もある思っていたらしく、重いのに食料品を持ってきていたようだ。
光华宾馆, 805号室ツイン 158元/泊(2,370円)
June 27, 2001 (Wednesday)
Xī'ān - China (西安 - 中国)
8時、ホテルを出て朝食に出かける。ホテルの前に、旅行会社の客引きがきている。盛んに郊外ツアーを売り込んでくるので、話を聞いてみると、35元で兵馬俑方面の観光名所何ヶ所か回るそうだ。その現地ツアーに参加することを約束したが、客引きのおっちゃんはせっかく捕まえた客を逃したくないのか、朝食を食べに行く私達の後をついてきた。
解放路の永登豆漿という店で、朝食(蒸餃と炒飯, 2人前8元, 120円)を食べる。食後、客引きのおっちゃんにツアーバスが出発するという場所に向かうが、彼の予期した場所にはツアーバスは待っていなかった。彼はさらに西安火车站の方向に行くので付いて行く。站前の八一宾馆の前に停まっているマイクロバスに乗せられる。しばらく待つが、車は発車しようとしない。しばらくして別の旅行会社の人物が来て、車が変わると言われ、东七路の駐車場のマイクロバスに移る。中国人のおばさんが2人乗ってくる。さらに待つこと30分、やはり発車しない。今度は中型のバスに乗り換える。結局10時過ぎにやっと発車し、再び八一宾馆で10代の中国人女学生の団体を乗せて東に向かう。結局、客引きがある程度の客数を集めてこないと、出発しないようだ。まるで、乗り合いタクシーだな…。
Xī'ān, Líntóng Qū - China (西安 临潼区 - 中国)
八一宾馆(西安站前) → 西安事変庁东线旅游 汽车, ツアー料金 35元(525円)
冷房の無い、サスペンションがへたりかけたバスは、西安东站前を経由して高速公路に入る。窓からはむっとした空気が車内に入ってくる。すぐ前の席に座っている中国人の女の子のビニール袋に入ったココナツジュースが、バスの揺れで爆発し、服がびちゃびちゃになっていた。かわいそうに…。 高速公路を降りて、西安站前より40分ほどで、西安事変庁に到着。駐車場の入口に、「入場料…」と書かれていたが、入場料を払わなくても入れた。実は、団体ツアー扱いなので、あとでガイドから5元の入場料を請求された。
薄暗い館内に入ると、専属のガイドの後について見て回るように説明がある。中国人向けツアーなので、当然中国語でしか説明は行われない。ガイドのいっていることの2割程度しか分らない。自分の歴史的知識と、2割程度の断片的説明で何とか理解しようと努力はしてみる。しかしながら、このろう人形館は恐らく中国人専用なんだろうね。確かに、蒋介石や周恩来や張学良の人形はうまく出来ているが、歴史の古さを感じずなんだか薄っぺらな感じもする。「西安事変」(日本では西安事件と呼ぶ)とは、内戦状態だった国民党と共産党(国共内戦)を停戦させ、対日統一戦線を作るため、1936年12月に東北軍の張学良が国民党の蒋介石を軟禁した事件。その後の第二次国共合作につながったとされる。
西安事変庁 → 临潼博物馆 → 秦陵地宮东线旅游 汽车, ツアー料金 35元(525円)
再びバスに乗って10分ほど、観光地 华精宮の横を「通り過ぎて」、とある建物の前に到着する。中国人グループはこちらに入るようだ。臨潼博物館というその場所は、付近から発掘された古代遺物を展示している小さな博物館。ただし、兵馬俑は無い。入場料は20元だが、これも後でツアーガイドにまとめて支払う。だが、中国人グループの目的は他にあるようだ。なぜか、展示物より土産物屋に興味がある模様。一通り博物館を見物して、バスの前で出発を30分ほど待つ。後から考えれば、この博物館を見ずに500mほど西にある华精池まで歩いていって見て来ることも出来るくらいの時間はあった。
再びバスに乗り10分程度走ると、再び何らかの博物館前に停まる。入り口には「秦陵地宮」と書かれている。ツアーバスの中国人乗客はここに入っていくようだが、もしかして土産物屋…?。嫌な予感がするが、せっかく来たんだから入場してみる。展示館のガイドの後について、地下への階段を下りるとそこには…。まるでクリスマスツリーのような華やかな電飾で飾られた秦始皇帝陵の発掘場所に到着。まるで小学生の夏休みの課題で作った始皇帝陵の地下を「リアル」に再現した箱庭だ。どうみても、その辺のおもちゃ屋で買ってきた人形や、動植物の安っぽいプラモデルが王墓模型の中に並べられて、七色の電飾で照らされているに過ぎない。水銀の川の代わりに普通の水が墓室模型の周りを流れている。思わず言葉を失った。 中国人も言葉を … 失わない。真剣にこの箱庭を見ている。興味深い人種だ。唯一の救いは、建物に冷房が効いていてリフレッシュできたことかな。かつて始皇帝陵の内部や兵馬俑はこんなふうな感じだったと、教科書の想像挿絵を「3D化」したわかりやすい説明を見たと思えば、後悔はない。
秦陵地宮 → 秦始皇陵 → 昼食場所东线旅游 汽车, ツアー料金 35元(525円)
バスに乗りさらに5分。秦始皇陵の前に停車する。運転手が降りる人はいるかと聞く。当然私は降りる。他の中国人は … 降りない。
駐車場から見ると、こんもりとした丘が南にある。その頂上に向かって、一直線に緩やかな階段が続いている。ここの入場料26元も、後でツアーガイドに一括で払う。入口の近くは、観光客向けの復元庭園だ。そこを通りすぎて、陵墓の山を登る。日本の天皇の墓(古墳)では、上に登るなど絶対に許されないだろう。斜面には低木が植えられているが、日差しを遮るほどでないので暑い。5分ほどで頂上に。見晴らしの良い単なる小さな丘だ。周囲はどこまでも続く緑の農村だ。この地下に、先ほど秦陵地宮で見たジオラマのような巨大な地下墓室が有るのだろうが、もちろんそこは入場できない。周りを見回す。でも、ここが紀元前200年頃に造られた秦始皇帝の墓の上であることは間違いない。しっかり踏んづけておこう。
売店で凍ったペットボトルの水を買い(2元)、バスに戻る。バスに乗り込み、数分のところにある建物へ。宝石店? 中国人たちはうれしそうに中へ…。 私は日陰で彼らの戻りを待つ。20分ほどして再びバスは出発し、昼食を食べるレストランへ。バス運転手が、それぞれの客から立て替えた入場料を徴収し始める。私からは95元。観光客専用レストランで、なぜか、入口とレストランの間が宝石店になっている。一番安いメニューのラーメンでも食べておく(蘭州拉面 10元, 150円)。
昼食場所 → 秦始皇兵马俑博物馆东线旅游 汽车, ツアー料金 35元(525円)
13時30分、バスはレストランを出発することになっている。が、発車しない。中国人女学生が友達も乗せろともめている。 結局彼女たちは他のバスに移って、5人程度の客でバスは発車。10分ほどで秦俑博物館(兵馬俑博物館)の駐車場に着く。道中、何度も市バスが追い抜いていくのを目にしているのと、これ以上無駄な土産物屋などに付き合わされるのも嫌なので、帰りは自分で市バスに乗って帰るとツアーバスの運転手に伝える。
本日の最大の観光ポイントである兵马俑博物馆に入る。入場料65元(975円)。まず、展示館から。出土された等身大兵馬俑などが展示されている。見どころは、2分の1スケールの銅馬車(日本語では銅車馬)だという。陶器の兵馬俑は腐食しないので2千年程度なら十分残存するのだろうが、青銅製の銅馬車が腐食せず今まで残っているのは、やはりここが乾燥した土地だからだろうか。続いて、1号坑の建物へ。ここが1974年に最初に発見された兵馬俑遺跡だという。写真撮影禁止と書いてあるのだが、どの観光客もお構いなしに写真を撮っている。巨大な屋根が掛けられた遺跡に、遥か彼方まで黄土色の兵馬俑が整列しているのは壮観だ。いくら国王が権力を恣にしたからと言って、ここまで巨大な遺跡を作るために投入した労力を、もっと他の国民の生活や国力が向上する事業に回せなかったのかと思う。
2号坑とその裏手にある3号坑を見て回るが、やはり1号坑が抜群に兵馬俑の数が多い。3号坑は、今まさに掘り出しているところといった感じで、兵馬俑が蓋をされて埋まっている様子が見られる。
秦始皇兵马俑博物馆 → 西安火车站個人営業バス 306路 快速, 運賃 5元(75円)
15時ごろ博物館を出て、入場門前の警備員にバス停の位置を聞く。「公共汽車306路的站 在那里?」 とメモ帳に書いて見せたら、さすがに的確に伝わったようだ。バス停の辺りに行く。相当田舎から募集されたらしい人民解放軍の部隊が、だらしなく木陰に座り込んでいる。市バスとはまったく違うマイクロバスに、「306路 快速」と書かれている。運転手に聞いてみると西安站に行くようだ。乗り込む。運賃5元。このバスは冷房が効いていて気持ちいい。博物館前で20分程度待って、乗客がいっぱいになったら出発。すぐ横を、本物の公共汽車306路の巨大なバスが通りすぎてゆく。公共汽車は決められたバス停のみに停車するのに対し、私が乗った個人営業マイクロバスは、クラクションを鳴らし助手が「西安、西安」と連呼しながら途中の路上に居る乗客を乗せてゆく。荒い運転と、歩道を歩いている人を見つけると急減速するので、乗り心地はよくない。40分程度で西安站に到着。ホテルに帰って休憩。
Xī'ān - China (西安 - 中国)
18時ごろ、朝食を食べた永登豆漿で魯肉飯、炸醤麺、高包蛋、紫菜蛋昆湯で16.5元(247円, 2人前)。解放路の化粧品屋の前にテレビが置いてあり、人が集まってドラマを見ている。高度成長期の日本にあったと言われる「街頭テレビ」のようなものだろうか。テレビの普及率はそれほど高くないのだろうか。解放路餃子館で水餃子を食べる。9元(135円)。1人前しか注文していないのに、2人でも食べきれないほどの山盛りの水餃子がやってくる。
光华宾馆, 805号室ツイン 158元/泊(2,370円)