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DECEMBER 20 深圳(广東省)
HONG KONG - CHINA(香港、中華人民共和国)
Airbus A330 の CX503 便はほぼ定刻どおりの13時50分に香港国際機場( 赤鯔角機場 ChepLakKok )に到着した。機場快綫站のATMでとりあえず港幣700元を入手し、バス停へ。14時40分発 A43系バスで上水KCR車站へ。いつもながら、香港内は制限速度を厳密に守った運転で40分程度掛かる。バスには广東省に出張できた日本人ビジネスマンが何人も乗っていた(初めての出張なのか、盛んに手機(携帯電話)で現地駐在員と連絡を取っていたが…)。外は土砂降りの雨。15時20分のKCR(九廣鐵路)に乗り換え、15時35分羅湖站着。 (A43系バスのこの経路が経験上 最短時間なのでよく利用する)
SHEN ZHEN - CHINA(深圳 / 深セン、中華人民共和国)

深圳火車站 長途車票售票処
ShenZhen Train Station - Long Distance Ticket Booth

羅湖口岸の中国入境検査は1階に集約されスムースに流れている。香港の出境検査の非効率さとは雲泥の差。手持ちの人民元では心もとないので、口岸辺防検査大楼の出口にある中国銀行のATMでキャッシング。VISAやMASTERカードがことごとくはじかれる中、CITI BANK のキャッシュカードだけが受け付けられた。不思議な現象だ。
口岸大楼の出口にある旅社で火車站近辺の酒店を予約してもらう。(華僑酒店 手数料込みで220元) 口岸大楼とは京九線をはさんだ向こう側にあるが、人行橋に屋根があるので濡れずに行く事が出来る。(だが、床面がずぶぬれで照明も暗いので滑らないように用心…)
ほとんど濡れずに華僑酒店に到着。100元の押金を払い部屋(913房)へ。200元超だけあって、なかなか快適そうだ。

腹も減ったことだし、火車站へ。とりあえず明日からのクリスマス休暇の予定を確定しなければならない。列車の切符が予約可能かどうかで行き先がまったく変わる予定。口岸大楼から火車站へ続く建設路は地鉄工事のため新しい通路となっている。地鉄は2002年春に開業の当初予定が、いつのまにか2004年春まで延期されているようだ。(工事現場の許可掲示はいまだに竣工日期2002年1月のままだが…)

深圳火車站前の人行橋から見下ろした地鉄工事現場
Subway Construction in front of the Train Station

火車站の1階北側の長途車票售票処に並ぶ。(過去の経験から、广州発の列車も買えるはずである) 行列が一向に短くならないと思ったら、窓口の向こうには誰も居ない。窓口の掲示をよく見る「用餐時間 11:30 〜 12:00  18:00 〜 18:30」 と書かれている。しばらく待っていると係員が出てきた。18時31分きっかりだ。(18時30分59.9999秒までは厳密に食事時間のようだ…)
とりあえず、第一希望の桂林までの切符があるかと聞くと、なんと硬臥が空いているという。切符入手。180元。なかなか順調な滑り出しだ。 (今回の予定は第一希望 桂林、第二希望 長沙・岳陽、第三希望 昆明)

站前にある羅湖商業城へ。大快活で焼味四寳飯 23元 を食べる。外の雨は小降りになってきた。工事中の站前を抜けて人民路を北へ。建ち並ぶ高層ビルのきらめきは東京のそれを上回るような気もするが、道路の暗さは日本の地方都市並かもしれない。華潤超級市場でカップラーメン(3.2元)・農夫山泉(1元)・リンゴ1個(1.9元)を買う。以前はローカルなスーパーと思っていた華潤が、実は華南では最大級だと知ったのはつい最近のことだ。欧美(欧米)系に対抗して全国展開し始めたそうだ。


DECEMBER 21 深圳・广州(广東省)
SHEN ZHEN - CHINA(深圳 / 深セン、中華人民共和国)

深圳火車站で出発を待つ新時速 T838 往广州東
High Speed Train for GuangZhou East , at ShenZhen

7時ごろ起床。天気予報では本日も雨のはずだが、外を見ると道路はすでに乾いている。インスタントラーメンを食べて、チェックアウト。押金100元を忘れず回収して站へ。2階の售票処で广州東站までの切符を買う。70元。しばらく候車室で待った後ホームへ。9時13分発のT838次は新時速の車体だ。しかし、深圳を出ると通常の路線を時速100km/h程度で走る。車体だけ新時速だったのね…  樟木頭 (ZhangMuTou) ・石龍 (ShiLong) の2駅に停車して10時30分ごろ广州東站に到着。所要1時間15分。(新時速の高速運用なら1時間を切るはず)


GUANG ZHOU - CHINA(广州、中華人民共和国)
地鉄に乗り西門口 (XiMenKou) へ。桂林行きの列車は18時30分発なので、6時間程度广州市内で時間をつぶす必要がある。約8kgのバックパックを背負って越秀区の下町を歩く。

金城巷 (大徳路 〜 五仙観 の間あたり)
「拆」の字は「立ち退き命令」を意味する
JinChenHang street , now under evacuation order of government

西門口 → (人民路を南下) → 上下九路・荔湾广場 → 旧 清平市場 → 沙面 →  (一徳路を東へ) → 石室大聖堂 → (北上) → 光孝寺 → (バスで) → 广州火車站

という経路(直線で測っても 約9km)を17時までぶらぶら歩いた。
とりあえず主なポイントだけ箇条書きで書くとすれば…
●長らく続いていた上下九路の歩道(アーケード?)の工事が終わって、すっきりした町並みになっていた。
●荔湾广場横の康王路が完成していた。その結果、江沢民の巨大な写真を飾った凱旋門が出来ていた
●その康王路建設で、沿道の多くのアパートが真っ二つに切り取られていた。
●清平市場は完全に消滅。一部ペットショップだけが露天を開いているだけ。 以前の店は清平薬材市場あたりのビル内に入っている。
●沙面は大規模工事中。广州市が観光に目覚め、建物の由来を示すプレートなども同時に設置するらしい。
●文化公園は横の广州電子城の非常口から(なぜか)無料で入場できる。
●一徳路(国際玩具文具精品广場)周辺は正月用品の飾り物が大々的に売られていた
●五仙観は工事中。入場も出来ない。
●石室は入場できないが、クリスチャンと一緒なら可能。懐聖寺は入場不可。
●地鉄2号線の開通は年末(12月29日)

耶穌圣心主教座堂 ・ 石室 (圣心堂)
ShiSi (ShengXinTang)
通常は入場できないフェンス内側からの写真

昼食はこのあたりに来たときにいつも入ると決めている珠璣路の清平薬材市場近くの食堂。魚香茄子飯を8元で食べる。その後、十三行路を石室(大聖堂)に向かって歩いていると、カリフォルニアから来た日系人の宗さんと一緒になり、目的地(石室)も一緒だとわかる。正月用品を売っている地区を抜けてしばらく行くと石室の前に出る。門は固く閉ざされており、中から出てきた牧師が(観光目的の)入場できないと言う。宗さんはクリスチャンなので交渉の結果礼拝ということで入場できることになった。
19世紀に建造された中国最大のゴシック様式の大聖堂。外観はまるでフランスの教会。(フランス人がパリの教会をモデルに設計したそうだ) ただ、ほとんどのステンドグラスが破損し、付け替えられたものは単なる色ガラスになっているのが痛々しい。沙面の露コ聖母堂がかなり「中国風アレンジ」されているのに比べれば、まだマシな方か…。

宗さん(長沙に行くらしい)とはここで別れて、私はさらに北上して光孝寺までぶらぶら歩く。道すがら、蒸し物の露天や面粉屋で食べながら行くので、かなり時間がかかる。
光孝寺 (GuangXiaoSi) は中国の一般的な寺院だった。ガイドブックによれば、广州で最大の寺院らしい。日本では寺院や神社で線香を「申し訳程度」に焚き付けているが、光孝寺では「まるでごみ焼却炉のような」巨大なかまどに線香を放り込んでいた。もうもうと出る煙で、近所の家は煙たいだろうね。

广州站 候車室 Waiting Room , GuangZhou Train Station

17時、人民中路から超満員のバスに乗り、交易会前へ。火車站は3年ほど前に出来た地下道を通ってすぐ前だ。列車を待っているのか、単に野宿しているのか謎の群集を掻き分けて站に入り候車室へ。桂林を通る柳州行きは人気が無いのか、待っている人が少ないなと思っていたら、18時ごろにはやはり超満員となる。18時15分ごろ、K36次の乗車開始がアナウンスされる。部屋の半分ほどの人が一斉に列車に向かって殺到する。

K36次 柳州行きは定刻より1分早い18時29分に广州站を出発した。列車は一路 京九線を衡陽へ向けて北上する。桂林へは衡陽から南西へ向かうという迂回コースなので、列車よりバスのほうが短時間で到着する。
夕食は車内販売の弁当。15元。韶関站で排骨飯が7.5元で買えるのだが、21時まで待つのは腹がすきすぎる。(と思っていたら、車内のかなりの人が韶関站まで夕食を我慢していた)


DECEMBER 22 陽朔(广西壮族自治区)
GUI LIN - CHINA(桂林、中華人民共和国)

K36次 往柳州 の硬臥車内 Second Class Train Sleeper

朝起きて車窓を見るが、湿度の高そうな農村風景が広がっているだけだ。ガイドブックなどで見かける「奇岩」は桂林站までの車窓からは窺えない。广州站で買ったインスタントラーメンを朝食として食べる。(朝食の車内販売は、予想通り無かった) 8時15分、桂林站着。
出站口よりいったん站の外に出る。客引きがわっとやってくる。タクシーだとか、漓江下りだとか、酒店だとか…  コレに引っかかるやつがいるのかと不思議に思う。售票処(切符売り場)へ。12月26日の广州へ戻る列車の硬臥があいているか聞いてみる。服務員「没有!」。しかしながら軟臥はあるという。値段は倍とのこと。そのあたりを詳しく聞くために、站の案内所へ。桂林站には25日と27日は硬臥、26日は軟臥の席が割り当てられているようだ。香港出発日を30日に予定しているので、できれば27日には广州へ行きたい。(广州に1泊したい) 再び售票処へ行き、先ほどの服務員のおばさんに切符を注文。272元。

站を出て、中山南路を5分ほど歩き桂林汽車站へ。售票処で陽朔 (YangShuo) までの切符(7.5元)を買う。券面を見ると、出発時刻は5分後の9時ちょうどとなっている。改札のおばさんにバスまで案内してもらう。「平楽 (PingLe) 」行きのバスに乗り込むとすぐに発車。市内中心部をゆっくり走り客を拾いながら陽朔へ向けて走ってゆく。

桂林市を出ると、奇岩に囲まれた道(公路312線)を快調に走ってゆく。途中小さな町の中心部に停まりながら、約1時間20分で陽朔の料金所(陽朔県二級公路収費站)を通過する。(乗っていたミニバスはETC装備なので通過…) 郵局前で降りる。10時20分、やっと最終目的地の陽朔に到着。香港国際空港から約40時間。

YANG SHUO - CHINA(阳朔 / 陽朔、中華人民共和国)
ガイドブックの地図を見ると、西街 (XiJie) という通り沿いに酒店やドミトリーが並んでいるようだ。さっそく西街に向けて歩き出すと客引きが現れる。とりあえず客引きを相手する気力も無いので無視して西街の方へ向かう。
貸自転車屋やまともな建物の酒店の地区を過ぎると、中国とは思えないような「あやしい」地域に入る。浅草の門前街の店を完全に外国人向けにして、大江戸博物館風の建物にしたというか… (ガイドブックには東南アジアのバックパッカーが集まる町風と描写されている)
こぎれいな町並みに、西洋人相手のみやげ物屋やレストランが軒を連ねている。単に漢字をあしらったTシャツや、どうみてもシルクスクリーン印刷としか思えないような大量生産の水墨画風掛け軸とかが売られている。(「没有飯店」とかとんでもない名前のレストランまで有る。)
歩き方ガイドブックによると「西海飯店」というのがパッカーの集まるドミトリーらしい。が、今回の旅行は短期間なので格安情報の交換も必要なさそうだし、のんびりと独りになりたかったので他の静かそうな所をあたることとする。

県前街 (XianQianJie) を突き当りまで行くと、やっと人通りが途切れて静かになる。何件かホテルがあるが、最も落ち着いた場所にある(県庁舎前にあり繁華街に面していない)丁丁客棧 (Blue Lotus Hotel) という旅社にする。入り口の受付で一泊幾らか聞くと70元だそうだ。とりあえず2泊分の料金と押金100元を払う。部屋にはまだ誰かいるらしく、とりあえず荷物を預けて外へ。

陽朔の芙蓉路 (市場前から北方向)
FuRongLu , YangShuo

昼食を食べに行くことにする。畳翠路 (DieCuiLu) をバスターミナル方向へ歩いてゆく。市場前のレストランは夕食向けのようだ。結局汽車站の建物にある砂鍋飯屋で豚肉の野菜炒め(10元)を食べる。畳翠路のネットカフェ(6元/hour)でメールなどをチェックしてから、ホテルに戻る。荷物を部屋に入れ、とりあえず顔を洗う。

陽朔には4日居る予定なので、大まかな予定を立てる。明日は漓江下り(上り)、明後日は月亮山の見える高田鎮へサイクリング、明々後日は… その場になって決める。という予定。

まずは、漓江上り(または、下り)の情報を集める必要がある。旅行に出る前日に購入した「歩き方」には「漓江下りは外国人料金460元のものしか参加できない。出発は桂林から。」と断言されている。さすが、当局言いなり・ツアー優先の日本の出版社だ。先ほどネットカフェで調べた結果では陽朔から漓江上りのツアーがあり、100元以下で参加できるようだ。外国人が集まる西街へ出かける。外国人(特に西洋人)のために書かれた英語交じりの看板を出した旅行社が何件かある。どこも漓江関連を扱っているようだ。適当な一軒に入り、値段を聞いてみる。なんと60元だそうだ。早速予約。

■陽朔公園 (YangShuoGongYuan)

陽朔公園の西郎山から見下ろした陽朔の町 (中央は汽車站)
YangShuo Town from XiLangShan mountain

汽車站の隣にある陽朔公園へ。中国人は無料で中に入っていくようだが、外国人とばれてしまった私は入場料(9元)を取られる。入り口のすぐ近くには、「電動娯楽車」のコーナー。といっても、寂れきっている… 服務員がベンチに座ってマージャンをしている。メリーゴーランドや子供が乗る「単にゆれるだけの乗り物もどき」がさびし〜く置いてある。子供連れの中国人が「そんな寂れたものでも、いかにも楽しそうに」遊んでいる。さらに公園の奥に向かうと、「妖艶舞踏」とかいうのを洞窟の中でやっている。別料金。ぜんぜん妖艶じゃあない出演者のおねえちゃんが洞窟から手前の事務所のほうへ歩いてきていたが、こういうアトラクションは中国ではよく見かける部類だ。ゲートボール(?)場を通り過ぎて、革命烈士柱の向こう側に小高い山(西郎山)に登る階段がある。
登ってみる。しばらく登ると見晴台があり、中国人カップルがいちゃついているので、遠慮してさらに上の展望台を目指す。登り始めて5分程度で頂上へ。仙人が住むような中国風楼閣が頂上に鎮座している。傍らに野糞。「厳禁放棄果皮」の看板も空しく見える。果皮でないから、きっといいのだろう…。
その楼閣からは陽朔の町が一望できる。町の至る所に、にょきにょきと奇岩の山が生えている。奇岩に囲まれた町というのが納得できる。

山水園の鑑山禅寺 (鑑真寺 JianZhenSi)
奈良時代に来日した鑑真和上の滞在した寺
JianZhenSi at ShanShuiYuan (garden) ,
 where stayed Buddism Master JIAN ZHEN 、8th century.

山を降り、反対側の出口から外に出る。酒店で買った地図(5元)には「盆景園」というのがあると書かれているが、閉鎖されていた。盆景園の横に陽朔公園の裏口があり、こちらには切符売りが居ない。よって無料で再入場し、先ほどの汽車站前にもどる。蟠桃路を高田鎮の方へ歩いていくと、先ほど汽車を降りた郵政局前にたどり着く。郵政局に入り、年賀葉書(新年明信片)を買う。服務員が8種類程度のデザインを持ってくるが、どれも日本の官製年賀葉書よりカラフルだ。

■山水園 (ShanShuiYuan)
蟠桃路をさらに行き、碧蓮峰 (BiLianFeng) を回り込んで山水園に入場する。奈良の唐招提寺を作ったといわれる鑑真和上が書いたといわれる「帯」のような文字が岸壁にある。すぐ下にはケ小平が書いたといわれる文字のプレートもはめ込まれている。歴史上の著名人と歴史的判断のなされていない現代の政治家を同居させるところが支離滅裂だ。私が行ったときは入場者ゼロだったため、すべての展示館でマンツーマン状態で説明してくれた。

夕食は畳翠路の狗肉鍋とかかれた店で。狗肉は高かったので、牛肉にした。


DECEMBER 23 陽朔(广西壮族自治区)
YANG SHUO - CHINA(阳朔 / 陽朔、中華人民共和国)

県政府の漓江沿いにある孫文記念石版(製作中)
「孫総理下搨處」
Monument of R.O.C. founder  SUN WEN , YangShuo

部屋に蚊が1匹いて、刺してくるかなと思ったらそんなに活動的でないような蚊だった。7時30分頃起きる。冬至の日だけあって、それなりに肌寒い。いや、華南とは思えない寒さ。インスタントラーメンを食べて、外へ。
宿の隣の県庁に入ってみる。入口脇では孫文記念プレートを設置中。監督らしき県庁職員が、設置業者を前に何やら指示している。中華民国建国の父で、共産党の敵のはずの孫文を英雄に祀り上げるとは…。まあ、歴史の勝手な解釈はどこでも起こりえるという例ですね。

汽車站まで歩いてゆき、やはり寒いので角の米面屋で米面(1.5元)を食べる。「巳消毒」の小さな紙が張られたアルマイトの皿に面を入れてくれるので、自分で薬味や汁を掛けて食べる。小学校の給食というよりは、”ポチ”の餌という雰囲気だ。
蟠桃路沿いの農貿市場 (NongMaoShiChang) に行ってみる。畳翠路にある(商貿大楼の横にある)市場とは比にならないほど大きな市場だ。といっても、大都市の市場に比べればかわいいものだが… 

XING PING - CHINA(興坪、中華人民共和国)

興坪の碼頭(船着場) Public Quay , XingPing

11時に西街の旅行社に行き、案内のおばさんに連れられて汽車站へ。興坪 (XingPing) 行きの「公共汽車」に乗せられる。なぁ〜んだ、ツアーじゃなく公共交通をセットにした周遊券を販売していたのか。そのせいで桂林発が450元と高額なのに比べて10分の1の価格で行ける訳だ。11時05分に陽朔汽車站を出発したミニバスは陽朔大橋を渡り漓江左岸に出る。福利鎮の手前で祭りの帰りの農民集団が(車掌がダメだというのに)乗ってきて、定員の数倍の客を乗せて興坪に向かう。12時20分、泥んこ道の行き止まりの興坪鎮に到着。

バスの車掌から、道路で待っていた旅行社の人間らしき女性に引き渡される。港の近くのとあるカフェ(このような外鬼用ツアーに使われているのか、英語で Cafe )に連れて行かれ、ここで待てという。13時までということなので、それまで興坪の村を散歩することとする。特に珍しいものがあるというわけではないが、陽朔よりさらに田舎という感じだ。

LI JIANG RIVER - CHINA(漓江、中華人民共和国)

13時、カフェで待っていた上海から来た夫婦と一緒に港に連れて行かれる。同じデザインの貨物船が何隻か停泊している。そのうちの1隻に乗るようだ。操舵室の横に「陽朔宏揚196号」と書かれた貨客船。貨物室に入ると大量の沙田柚 (ShaTianYou) という夏蜜柑のお化けのようなヤツがぎっしり積み込まれている。沙田柚の売り手と買い手のおっさんが、取引価格の交渉をしている。急に話がこじれたのか、麻袋に入った蜜柑を床面にぶちまけ始めた。
貨物室で蜜柑を投げつけあうおっさん2人。無言で見つめる乗客。

いざこざもそのうち収まり、船は13時05分に上流に向かって出航。隣のもう一隻も同時に出航して、追いかけてくる。

貨物室から出て、船の舳先に空いたスペースに「発育不良の椅子」を出してきて座る。目の前には、山水の世界。奇岩がにょきにょきと生え、まるで剣山にまとめて挿したかのような竹の群れがぱらぱらと生えている。
貨客船の船頭(おばちゃん)が、この景色が20元札の景色だ。と説明してくれる。確かに20元札の裏側をぱくった様な景色。左側に3つ並んだ岩山といい、川の流れ方といい… ココが中国が誇る「山水の世界の最高峰」であることが分かる。なんといっても、紙幣のデザインになるくらいだから。

右(→)の地図は、クリックすると拡大図を表示します。

20元紙幣のモデルとなった山 Model Mountain of 20 RMB note

川の流れが速いのか、単に船のエンジンがボロイのかは知らないが、貨客船の速度は人間の歩く速度より遅い。
途中、30分おき程度に小さな村の船着場に接岸して何人かの客が乗降する。船が近づくと、村人がわらわらと集まってくる。食料や日用品の梱包を積み降ろしている。外界との交通はこの船しかないのだろうか。

九馬画山(JiuMaHuaShan)という崖の一部が9頭の馬が走っているという風に見れないことも無い岩山や、ゴリラ山、未亡人山など船頭が解説してくれる。想像力たくましくすれば、なんにでも見えそうだなと思う。

漓江を上る貨客船 (陽朔宏揚188号)
A Cargo-Passenger Vessel go up LiJiang

貨客船 (陽朔宏揚196号) の船内に格納された沙田柚
Cabin of a Cargo-Passenger Vessel filled with giant Orange

浪石の碼頭で貨客船に乗り込んでくる人
Passenger at LongSi Quai

九馬画山(JiuMaHuaShan) の前の貨客船

■ 漓江 関連のホームページ

广西旅遊網 http://www.gxta.gov.cn/gb/jingqu/21lj.htm : 广西壮族自治区政府
中央電視台(CCTV) 目的地指南 http://cctv.ctrip.com/Destinations/DistrictIntroduction.asp?District=28

桂林風景図鑑 http://guilin.fc2web.com/index.htm

漓江の主な見どころ http://www.guilin.com.cn/japan/J3-2-1.htm : 中国広西桂林市観光局

中国世界遺産網 http://www.cnwh.org/ : 漓江が申請中であるのが分かる

■ 漓江 川下り(川上り)

桂林発のツアーボート (桂林 → 船着場 → (漓江下り) → 陽朔 → (バス) → 桂林)
値段:約 460 元
歩き方の抜粋 「漓江下りは完全なパッケージツアーになっていて、なおかつ外国人が参加できるのは外国人専用ツアーに限られる。外国人用のツアーは桂林中国国際旅行者が主催しており、何処で申し込んでも (中略) 料金は一律460元。中国人観光客向けの安いツアーもあるが、これに外国人が参加することは出来ないので、誘われても絶対についていかないこと。」

陽朔発の漓江上りアレンジ (陽朔 → (バス) → 興坪 → (漓江上り) → 楊堤 → (バス) → 陽朔)
値段:バスは公共バスで1回5元以下。船は定期貨客船で50元以下。
歩き方など「まっとうなガイドブック」には紹介されていないが、ネット上では多数情報あり。人民政府がこの「抜け駆けツアー」を認めているのは、楊堤より下流は「桂林市」ではなく「陽朔県」であるので桂林市観光局が手出しできないという噂がまことしやかに流されている。

桂林中国国際旅行社 http://www.citsguilin.com/
なんと、「日本部」まであるほど、日本人はお得意様 (私のような金を使わない人間は敵なのだろうか…?)

YANG SHUO - CHINA(阳朔 / 陽朔、中華人民共和国)

漓江と碧蓮峰 (手前の建物は一方閣)
LiJiang (left) and BiLianFeng mountain (center)

旅行社では1時間半程度と聞いた乗船時間は、いつの間にか2時間近く。だんだん寒くなってきたので、貨物室に入り、夏蜜柑の間に置かれたベンチに座る。15時15分、楊堤 (YangDi) の船着場に接岸。船を降りると、すぐ前に陽朔行きのミニバスがすでに停車していた。なかなかいいタイミングだ。というより、このタイミングになるように、バス会社と船会社が結託しているのだろう。
船代は50元(昨日 旅行社で支払った)、陽朔から興坪へのバス代5元、楊堤から陽朔へのバス代5元。しめて60元。桂林発のツアーなら450元という噂なのでかなりのディスカウントだが、私の知るところではバス代は地元民の2倍の料金を取っている。おそらく船代は25元以下だろうと思うが、「どの外国人も公式には存在しない外国人料金を払っているのに、私だけ騒ぎ立てると身に危険が起こるかもしれない」。何しろここは、共産主義国だというのを忘れてはいけない。

陽朔行きの公共ミニバスは、漓江上りの貨客船に乗っていた外国人約10人と地元民数人を乗せて、山道を爆走する。崖を切り開いて道を通したところには、「封山」と白いペンキで書かれている。山が崩れてこないように「封」をしているわけか…。少なくとも私が通っている間は、崩れてこないことを祈ろう。

16時30分、陽朔汽車站に到着。汽車站横の砂鍋飯屋で夕食 (10元)を食べる。


DECEMBER 24 陽朔(广西壮族自治区)
YANG SHUO - CHINA(阳朔 / 陽朔、中華人民共和国)

7時30分に起き、昨日と同じくインスタントラーメンを食べ、宿の自転車を借り(1日10元)、地図(5元)を買い、汽車站横の粉面屋で米面を食べる。

(公路321線、陽朔 〜 工農橋) 合鴨が公路を走り抜ける

今日は、高田風景区(山の真ん中に穴の開いた月亮山や、近郊の農村など)を見にサイクリング。
蟠桃路を高田鎮方向(桂林とは逆方向)へしばらく行くと、抗戦路と道の名前が変る。10分も走れば陽朔の町から出てしまい、田園の中を緩やかなカーブを描いて广州まで続く公路312線となる。葬式の行列を追い越し、町の出口に学校があったので少し覗いてみると、朝礼のラジオ体操。妙なスロー音楽にあわせて、全然しまりの無い体操をしている。さらに高田鎮 (GaoTianZhen) のほうへ向かう。水田の除草に使う合鴨を鴨使いが必死になって追いかけている。バスが急ブレーキを掛けて止まる。制御の利かない鴨は結構迷惑なものだ。
右手に蝴蝶泉という中国人旅行客向けと思われるアトラクション。最近は中国全土にこの手の「即興で作った安っぽいパビリオン」がわんさかある。その近くの崖には「封山」の白ペンキに並んで「強行封山」と書かれているものもある。とうとう「強行」するのですか…。そのうち、「為人民奉仕 強行封山」とか書くんじゃないだろうな。

GAO TIAN - CHINA(高田镇 / 高田鎮、中華人民共和国)

(工農橋 〜 高田鎮) 月亮山 (YueLiangShan)

漓江の支流の金宝河 (JinBaoHe)をまたぐ工農橋 (GongNongQiao) を通って高田鎮地区へ入る。右手に古榕公園 (GuRongGongYuan) 。路肩にたむろしていた客引きのおばさんがわらわらと近づいてくる。「穴の開いた山を案内する。2つ穴の山もあるよ」と。とりあえず「月亮山へ行くから不用」と振り払い、さらに先へ。古榕公園横の路地には私設料金所まで作っている念の入れよう。政府以外が勝手に関所を作ってよそ者から金を巻き上げるとは、まるで中世の世界。法と正義は無いのだろう。

陽朔からちょうど1時間。10時15分に月亮山 (YueLiangShan) のふもとに到着。公路312線からでもはっきりと山腹にでっかい穴の開いた山が見える。山に登るための入場門があり、ここにも料金所(公営)。何でも金を取るんだな…。月亮山をもっとよく見ようと、傍らにある村へ続く道を入るところにも私設料金所。ここは、自転車からは金を取らないようだ。

(高田鎮。公路321線) 何かを待ち続ける老人

さらに高田鎮の方へ向かう。なだらかな坂を上り、峠を越えると村が見えてくる。10時30分、高田鎮の交差点に到着。交差点の真ん中で何人か桂林方面行きのバスを待っている。金宝方向へしばらく行くと、高田市場の看板。露天を出すスペースがあるだけで無人。何日かに1回しか市が立たないのだろうか。もと来た道を戻り、月亮山のふもとを通り過ぎて工農橋手前の「農夫山荘」と看板の出ている細い道に入る。私設料金所が無いのはこの道だけのようなので、仕方が無い。宿泊施設か何かあるのかなと思って、あぜ道を少し太くしただけの砂利道をどんどん進んでゆく。はるか前方に少女が自転車で走っている。少なくとも、自転車でもOKのようだ。
川の音が聞こえてくる。前方に川。工農橋のところで渡った金宝河だ。少女が「自転車を持ち上げて」川を渡っているのが見える。橋が無いのか? と思ったが、近づいてみると橋はあった。ただし、竹を何本か渡しただけのものだが…。

高田風景区:龍塘・鳳楼・竹莫塞

金宝河に掛かる清龍橋 (QingLongQiao)
龍塘村 LongTangCun

竹が「くるっと」回転して、足を滑らせて川に飛び込むことになっては困る。かといって、この橋を避けて通れば、例の私設料金所を強行突破するしか「川のあちらがわのひなびた農村風景?」に出会うことは出来ない。
渡ってみると、案外簡単に渡れる。さすが中国4000年の歴史。こんな竹何本かに見える橋でも、長年の伝統と経験のテクノロジーが詰まっているのだろう。

 

牛がこちらを見ている
龍塘村 LongTangCun

地図には龍塘村と書かれている村に入る。幹線道路からこんな離れたところ(312線から2kmは離れていると思う)に集落を作っているのは不思議だ。やはり、外界とはあまり接触したくないということなのだろうか。町のごみ収集というのが無いのか、ちょっとした空き地などには生ゴミやその他廃棄物がところかまわず打ち捨てられている。傍らを牛がのんびりと歩き、鶏がちょこまかと走り回り、し尿を汲んだバケツを天秤棒で担ぐ汲み取りのおっさんが歩くあぜ道をどんどん進んでいくと、2つ穴の開いた山が見えてくる。古榕公園の客引きが言っていたのはこの山のことだろうか。あぜ道は山の間をくねくね曲がり、さらに向こうに続いていく。向こうから農民がやってきたので、この道の向こうに”珍しいもの”があるか聞いてみたが特に無いそうだった。再び龍塘村まで引き返し、別の道をたどっていく。

 

古榕公園(GuRongGongYuan)裏手の厠所(左側の小屋)
鳳楼村 FengLouCun

山から落下した直径2mほどの岩があぜ道をふさいでいる。そのすぐ脇で平然と昼食を食べる農民。山と農民、刺すか刺されるかの攻防の最前線とは思えない…
その先はぬかるみ道… さらに行くと村がある。地図では鳳楼村。中央に穴の空いた小山 (穿岩蔵球) がある。下まで行ってみると、民族衣装を着たおばさんがみやげ物を手に観光客を待っている。目の前には公園が… いつのまにか古榕公園の裏側に出たようだ。それも入場料払わずに。岩の傍らに「厠所」と案内板がある。そろそろトイレにも行きたいなと思っていたので、ちょうどいい。トイレを探すが、なかなか見つからない。村のほうへ戻り、厠所は何処かと聞くと牛小屋を指差す。地面に「厠所」と書かれたぼろぼろの紙が落ちている。牛さんの横で小便。ほとんど真っ暗なので、向こうから近寄ってきた牛にかけそうになった。牛糞・人糞はまとめて田畑にやるのだから、トイレも共同か…

 

竹莫寒村から見た遇龍河の上流方向
YuLongHe at ZhuMoSaiCun

遇龍河沿いのあぜ道をもう少し上流へ。遇龍橋というのが有名らしいので、そのあたりまで行ければ幸運だとマウンテンバイクを走らせる。鳳楼村から10分くらいで驥馬の橋のたもとに出る… はずだった。確かに川をわたるポイントのようだが、橋は水中。洪水時に水中に没する「沈橋」というのは日本にもあるのだが、通常時に水中に沈んでいる橋も珍しい。というか、マウンテンバイクでは渡れない…
対岸の驥馬に停まっていたワゴン車がこちらへ向かってくる。橋の中央部で水深は30cm〜50cm程度。水を切って走ってきたおんぼろワゴン車は、川を2/3渡ったところで力尽きた。エンスト。20分くらい眺めていたが、残念ながら再び動き出すことは無かった。

竹莫寒村から遇龍方向へ続く道
ZhuMoSaiCun

あぜ道をさらに上流に行くと、竹莫塞村という村に出る。地図には何の記載も無いが、家の住居表示板にはそういう村であると書いてある。村名をメモっていると、怪しげな外国人を警戒した犬が追いかけてきた。必死で逃げる。とりあえず、犬のテリトリー外まで逃げる。
さらに上流域を目指すが、どんどんあぜ道が細くなり、ついには30cmの幅も無くなる。くそっ、Uターン出来ない。

とにかく無事Uターンし、鳳楼村を通過し、古榕公園の横をすり抜けて私設料金所を”逆走で”強行突破し、13時30分頃陽朔へ戻る。

約4時間30分の田園サイクリングは結構疲れたが、漓江”上り”とは違って田園風景の中の奇岩群を眺められてまた新鮮なものだった。

YANG SHUO - CHINA(阳朔 / 陽朔、中華人民共和国)

剣骨魚 (JianGuYu ナマズ) で作った啤酒魚 (PiJiuYu)

昨日と同じく、汽車站横の砂鍋飯屋で昼食を食べ、市場で沙田柚(巨大夏蜜柑)を買ってホテルに戻る。沙田柚は大味の夏蜜柑。名物だが、特別においしいというわけでもない。

今日はクリスマス・イブ。宗教が弾圧されているこの国にあってキリスト生誕を祝うクリスマスもなんだか変だが、商売になるのならそんなこと関係ないらしい。多くの店の窓には「乱雑に書かれた Merry Chiristmas」の文字が目立ち、スーパーには安っぽいサンタ等身大人形がでんと飾られている。
夕方には西街でサンタに扮したレストランの主人が飴玉を配っていた。

普段は高価な食事をしない私も、今日は地元の名物高級料理を食べてみようと入ったのは「漓江啤酒魚」の店。畳翠路の市場ビルは同じ料理を扱う店が集中的に入っている。その中の適当な一軒だ。
とりあえず、メニューを見るが「啤酒魚」といっても、いろいろな魚の種類があるらしく、一人で食べきれるなるべく小さなヤツを所望したが500克(グラム)以下は無いようだ。店の主人が最も名物だと薦める剣骨魚 (JianGuYu)の啤酒魚を注文する。80元もする高級料理だ。
ところで、剣骨魚って何? 日本に帰ってきて調べると、ナマズでした。

クリスマスだからか、20時頃から漓江沿いで花火があがる。それも、えらく町の近くで… 漓江に咲く真冬の花火。風情無いね。

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