中国江蘇省 旅日記 : 南京
March 05 (Sunday)
Yángzhōu - China (扬州/揚州 - 中国)
5時起床。昨日の朝とおなじく、ホテルの部屋でインスタントラーメン(4元, 68円)とあんパン(3元, 51円)を食べる。インターネットの気象レーダーでは明け方に土砂降りの雨が降ったようで、ホテルの窓から見下ろす四望亭付近の道路が、街灯や電光看板の光を鏡のように反射している。
6時10分ごろホテルをチェックアウトし、歩いて文昌路の石塔寺バス停に向かう。日曜日だからか、夜明け前の通りにはほとんど人が歩いていない。バス停には数人の客がバスを待っている。
石塔寺站(06:30発)→ 扬州火车站(06:52着)88路, 運賃 2元(34円)
バスはほとんど車の走っていない文昌路を、真っ直ぐ西に10kmほど走って火車站に到着。一昨日、夕方のラッシュ時には35分掛かったが、今回は20分程度。予想より早く駅に着いた。ちょうど雲の切れ間に朝日が昇ってくるのが見える。站にはまだほとんど乗客が来ていなかったが、南京行き列車の出発時刻が近づくと、待合室にはたくさんの人が集まってきた。
南京まで乗る列車は、中速度の动车组D字头列车(高鉄D列車)。午後に南京から上海まで乗るのは高速度の高鉄G列車。さて、どんな車両が来るのかと楽しみにしていたら、JR東日本の新幹線E2系をベースにしたCRH2A型電車。今回の車両は日本で製造され、中国に輸出された第2編成「CRH2A-2002」だ。私が乗った7号車(1等車)は、揚州から乗車した乗客が前半分に固まって割り付けられ、車両の後ろ半分は空席。不思議な席の割り付けをするものだ。
扬州站(07:59発)→ 南京站(08:47着)动车组 D5504, 1等車 運賃 58元(986円)+Ctrip予約手数料 20元(340円)
Nánjīng - China (南京 - 中国)
列車は、在来線の宁启铁路(寧滬線)を最高速度200km/hくらいで走る。車窓は、枯草色の畑が延々と続いている。南京郊外の高層マンション群が見えてきて、長江の鉄橋を渡るとすぐに
まず、
地铁1号线-4号线, 運賃 2元(34円)
2017年1月に開通したばかりの地铁4号线の駅で下車。南京艺术学院(南京芸術大学)や江苏第二师范学院(江蘇第二教育大学)、河海大学などの建物が建ち並ぶ地区をまっすぐ南へ歩いて10分弱。石头城公园(石頭城公園)の
展示されているのは50年以上前に使われていた爆撃機や戦車などで、鉄スクラップにするよりは、子供の遊び場にした方が有益な使い方なのだろう。それでも、せめて10年位前に退役した兵器を展示しないと、国防「教育」にはならないのでは。戦闘機MiG-17の中国版「歼-5」(1956年就役, 1992年退役)、爆撃機Il-28の中国版「轟-5」(1950年就役, 電子戦機は現役)、T-34/85中戦車(1943年就役)の中国版「58式戦車」、中距離弾道ミサイル東風2号(DF-2A, 1965年初飛行)などが見どころだろうか。その他、026型魚雷艇、S-60対空機関砲の中国版「59式高射砲」、M-46カノン砲の中国版「59式加农炮」なども展示されていて、小さい子供が群がっている (笑
子供向け射撃場の的が「人の形」だったり、本物のブルドーザーで埋設地雷を掘り出す体験コーナーがあったりと、欧米で見た軍事博物館に比べて遥かに「体験的」なものもある。
国防园の兵器展示場を抜けて丘に登ると、そこが孫権が築いた
城壁の上を南へしばらく歩くと、
地铁2号线, 運賃 2元(34円)
地下鉄に2駅ほど乗って、やって来たのは「
学生と思われる若い人が大量に記念館に向けて歩いている。荷物のX線検査を受けて記念館の敷地に入ると、そこは「广场陈列(広場陳列)」。迫害される中国人の姿を象徴する彫刻や、“
陳列館入口の説明文で、中国政府の主張は『12月13日、日本軍は南京を占領したあと、公然と国際公法に違反して、武器を手放した兵士と身に寸鉄も帯びない平民たちを大量虐殺した。その期間は六週間にもわたり、犠牲者総数は30万人以上にも達した』である。それに対して日本政府の主張は『日本軍の南京入城(1937年)後、非戦闘員の殺害や略奪行為等があったことは否定できないと考えています。しかしながら、被害者の具体的な人数については諸説あり、政府としてどれが正しい数かを認定することは困難であると考えています』と一部は一致し、一部は食い違っている。双方の国が歴史研究を政治問題化してしまっているので、真実がわかることは時代が変わるまで無理だろう。
この時点で11時30分ごろになっていたため、南京南站に向かいつつ昼食と少しだけ観光する時間くらいしか残されていない。市街地東にある紫金山中にある
地球の歩き方をスキャンしてPDF化したものがスマホの中に入っているので、それによれば「
地铁2号线-3号线, 運賃 2元(34円)
地下鉄駅を出ると、目の前の道路(建康路)に食堂などが建ち並んでいる。台湾で言うところの「自助餐」、大陸では「中式快餐」と言われることが多いショーケースから取ったおかずの種類と量でレジ精算する方式の食堂に入る。肉団子、ローストチキン、野菜炒めなど適当に選んで34元(578円)。
食後、砂埃なのか春霞なのか分からないが、かなり霞んできている空の下を夫子庙のある老街をめざす。「夫子庙(夫子廟)」とはいわゆる孔子廟のことで、中国ではふつう「文庙(文廟)」とか「孔庙(孔廟)」と呼ばれている。ここ南京の夫子庙は、北京孔庙、曲阜孔庙、吉林文庙とならぶ中国四大文庙の一つとされる、かつての最高学府だということだ。Baidu百科に拠れば、東晋の第3代皇帝成帝が4世紀に建てた建物を、宋代の1034年に孔子廟に造り変えたのがこの施設の起源だそうだ。1937年に日本軍の攻撃で周囲の老街と共に破壊された後、1985年に再建されたのが現在の夫子庙や周囲の老街(繁華街)だそうだ。老街も含め、まるでテーマパークのような新しい建物ばかりだと思ったのは、20世紀後半に再開発された地区だからだ。
かつては最高学府だった夫子庙も、いまは学問や事業の成功を祈るための许愿牌 (いわゆる絵馬)が所狭しと吊り下がっていて、まるで日本の天満宮のようなところだ。さて、上海行きの列車の出発時間まで、1時間半くらいになった。
夫子庙站(13:21発)→ 南京南站(13:34着)地铁3号线, 運賃 2元(34円)
地铁南京南站で下車し、「铁路出发(鉄路出発)」の表示に従って広大な駅舎内を歩いて行くが、3階にある中国鉄路の站入口まで10分ほど掛かる。行列ができているX線検査を通過し、霞むくらい向こうまで広がっている候车室(待合室)へ。平面駅舎で28番線まである広さは、まず日本では考えられないことだ。出発案内表示を見ると、ほぼ1〜2分ごとに动车组G字头列车(高鉄 G列車)が出発している。上海行きだけを抜き出してみても、ほぼ5分毎程度に出発していて、なかには「同時に」出発するものもある。南京と上海の間は京沪高速铁路と沪宁城际铁路の2路線が並列で造られ、実質的に複々線の高速鉄道になっているから出来る技だ。
3月6日の全人代で李国強総理が2016年を振り返り、『高速铁路投产里程超过1900公里,新建改建高速公路6700多公里、农村公路29万公里。』と、猛烈なスピードで鉄道・道路を新たに整備したことを強調していた。日本で建設中(予定)の新幹線が北海道・北陸・九州の合計で約485km(Wikipediaより)なので、この4倍近くを1年で完成させてしまう中国のバブル経済恐るべしである。
检验(改札口が開く時間)は列車出発の10分前だった。橋上駅舎からエスカレーターでプラットホームに降りるとき、遥か向こうまで並んでいるプラットホームに、高速列車がひっきりなしに行き来している姿は壮観だ。
南京南站(14:48発)→ 上海虹桥站(15:54着)动车组 G15, 2等車 運賃 134.5元(2,286円)+Ctrip予約手数料 30元(510円)
北京発上海行のG15列車は、定刻通り南京南站を出発。車内は満員だが、全席予約なので座れないということはない。列車はノンストップで、霞の掛かる空の下、常に時速300kmを少し越える程度の速度で走り続けている。今回乗車したのは、ドイツのICE3をベースに開発されたCRH380CL型電車の第20編成(CRH380CL-5620)で、2013年から運行を開始した最新のCRH380系列だ。2011年の杭州郊外での事故以来、300km/hに減速して運転している高速鉄道だが、2016年6月に習近平国家主席の発言で『我国是否有条件在全国高速铁路网全面恢复350公里时速的运行?』と「時速350kmに戻せ」とも取れる指示を出しているため、いずれ元通りの350km/hに増速されるのだろう。そうすれば、南京と上海の間は1時間を切ることになる。
Shànghǎi - China (上海 - 中国)
地铁2号线, 運賃 7元(98円)
上海市内中心部を横切る地下鉄2号線を、ほぼ端から端まで乗りつくす経路。广兰路站で、車両編成の短い空港延伸路線の車両に乗換がある。1時間半近く満員電車に揺られた後、郊外の川沙站に到着。明日、早朝の飛行機に乗るため空港近くのホテルに泊まるためにココにやって来た。
地下鉄駅を出て少し歩いた所にあるバス停の前に、ネット予約したホテルがある。ホテルのロビーには外人(欧米人)の客が居て、さすが空港近くのトランジットホテルだなと感じた。部屋はちょっと使い古された感じで、昨日まで泊まっていた揚州のホテルよりグレードが落ちたビジネスホテルという感じだ。
夕食を食べに再び外へ。地下鉄駅から続く川沙路には、食堂や持ち帰りのジャンクフード屋さんがたくさんある。Baidu地図では500mほど北に行けば、ショッピングモール浦东商场もある。その方向に歩いて行くと、看板に「大食堂」とある中式快餐を発見。ここで夕食を食べることにする。豚の角煮、野菜炒め、スープなどを注文し35元(595円)。この手の店で、食べきれないくらい注文しても1,000円相当を越えることはない。ホテルの向かいにあるカステラ屋で、明日の朝食用にジャムを挟んだワッフルとどら焼きを買う(12元, 204円)。
汉庭酒店(上海川沙店), 高级大床房 723号室227元(3,859円)
March 06 (Monday)
Shànghǎi - China (上海 - 中国)
5時過ぎに起床。昨日買っておいたどら焼きとワッフルを食べ、6時少し前にチェックアウト。外は夜明け寸前で、昨夕と同じく大気汚染でどんよりとした曇り空のようだ。煤塵濃度のAQI値をネットで確認すると、150〜200くらいの間だ。日本ならPM2.5が70〜80ug/m3以上で外出を控えるようにという警報が出るが、中国では100や200で驚いているようではだめだ。ひどい時には1000を突破するそうなので、まるで大気汚染の人体実験場である。昨晩のニュースでは、全人代で李克強首相が『全社会不懈努力,蓝天必定会一年比一年多起来』(社会全体で努力し、毎年青空が出る回数を増やす)と演説を締めくくっていたが、現実は如何に…。
川沙站(06:15発)→ 浦东国际机场站(06:34着)地铁2号线, 運賃 4元(68円)
始発列車に乗り上海浦東空港へ。乗客はほとんどが空港で働く人で、路線は途中から地上高架になってどんよりと霞がかかった空港に到着。視界不良で欠航でなければ良いと祈りつつ、チェックインカウンターに行くとたくさんの乗客が列をなしているので一安心。
上海浦东机场(08:20発)→ 関西空港(11:30着)春秋航空 9C8589便, 運賃・諸税等込 14,100円
飛行機は定刻少し前にゲートを離れたが、長い長い誘導路で20分位時間をロスしてからの離陸。窓際の席だったので外を見ていると、東シナ海はたくさんのゴミが浮いているように見えた。九州に近づく前、遠くに韓国の済州島が見えた。関西空港に着陸すると、出国時と同じくどんよりとした曇り空。
入国審査には数名の日本人乗客が居たが、ほぼ待ち時間ゼロで通過。ターミナル間のシャトルバスに乗り第一ターミナルへ。アエロプラザにある牛丼の松屋で「プレミアム」牛丼を食べる。市街地では290円の牛丼が、ここでは「プレミアム」に100円値上げしている。
関西空港駅(12:26発)→ 南海難波駅(13:10着)南海電車, 運賃 920円