2016年 台湾旅行記 : 台北・淡水
June 29, 2016 (Wednesday)
Taipei - Taiwan (台北 - 台湾)
台北で泊まっている力歐時尚旅館は、朝食がついているので助かる。ヨーロッパの格安ホテルなどでは、パンとハム程度の質素な朝食が一般的だが、台北のこのホテルは各種の中華総菜だけでなく、欧米人向けの食パンまで置いているのは流石だなと思う。
天気予報は、午前中は曇り時々晴れ、夕方には雷雨。昨日は13時過ぎに雷雨だったので、今日の観光も午前中に予定をこなさないといけない。
まず向かったのが、ホテルの面する通りの北に見えている
そもそも、城壁(カーテンウォール)が実際の戦争で役立ったのは中世までで、大砲などの直撃弾で砲撃される時代になると城壁ではなく半地下の要塞にしないといけない。戦争技術の進歩を軽んじた清朝は、いち早く近代化を成し遂げた日本には全く対抗できない古すぎる防御施設を造ったわけだ。日本が中世から脱皮し、近代的な軍事技術を取り入れていたのは、欧州の最先端技術である星形要塞を函館五稜郭として建造したことでも明らかだ。
北門の向かい側、旧台北府城の内側には大日本帝国が造った台北郵便局の建物がいまでも郵局として使われている。再びホテルの前を通り過ぎ、南へ。15分ほど歩くと、
司法大廈の少し南西には
YouBike 微笑單車 10 NT$(32円)
さらに東に行くと
中正紀念堂は正面から見ると階段を登らないと入場できないように見えたため、炎天下の中を階段を登った。中に入ってみると、なんとエレベーターがあって、南北方向には地上階に出入口があったので騙された気分になった…。ちょうど10時の衛兵交代式が始まったので、見物する。いろいろな国で衛兵の行進を見てきたが、ここではエレベーターに乗って衛兵が登場するという珍しいパフォーマンスがある。屋外の階段を登ってこないのは、外があまりに蒸し暑いからなのだろう。見物する観光客も暑いのは嫌だし…。
信義杭州路口(10:30)→ 立法院・監察院 → 捷運臺大醫院(10:50)YouBike 微笑單車 10 NT$(32円)
中正紀念堂の北側の門「大忠門」を出たところのセブンイレブンでジュース(30 NT$, 96円)を買って休憩。すぐ近くの自転車貸出スタンドで再び自転車を借り、北へ。済南基督長老教会(プロテスタント教会)、
台湾大学医学部附属病院前で自転車を返却し、
台北捷運淡水信義線, 運賃(1回券) 20 NT$(64円)
捷運(地下鉄)に乗り
孔子廟の隣には、医学の神である
ちょうど昼過ぎになったので、大龍峒保安宮と孔子廟の間の道を少し南に行った
台北捷運淡水信義線, 運賃(1回券) 20 NT$(64円)
ふたたび二二八和平公園にもどってきた。天気予報ではそろそろ雷雨かもしれない時間帯に突入。国立台湾博物館に入場(30NT$, 96円)。台湾の自生植物や動物のジオラマが少しあり、少数民族の展示が少し。かなり場所を割いていたのは日本統治期から現在までの代表的な建築物の変遷を映像と写真で解説する特別展。蔡英文が新総統になって、展示内容を急遽西側諸国よりに変えたのだろう。今日、台北市内で見てきたが歴史的建物のほとんどがこの展示と重なっていて、偶然とはいえなかなか運が良かった。
国立台湾博物館入口の向かい側、二二八和平公園の北西角にはガラス張りの蒸気機関車保存館があり、日本で最初に開業した鉄道の新橋・横浜間を走った日本国鉄A3形蒸気機関車(第九號蒸気機車)が展示されている。
博物館を出て、ホテルの近くで
15時ごろ、予想通り大雨が降ってくる。ちょうど、ホテル近くのアーケードの下を歩いていたので濡れずに済んだ。雨がやみ、16時すぎに地下鉄に乗り、光華商場を見に行く。
西門站(16:38発)→ 忠孝新生站(16:45着)台北捷運板南線, 運賃(1回券) 20 NT$(64円)
光華商場は、日本でいうところの秋葉原電気街のようなところで、電子部品屋やパソコンの部品屋などが集まっている。日本ではこの手の店はすでに流行ではなく、パソコンは安物のメーカー品で誰もが満足し、部品云々というマニアはほとんど絶滅してしまった。電子部品屋も、日本では学校のロボットクラブ用の完成品パーツを売る店程度が流行っているくらい。台湾ではこの手の電子機器類に興味を持つ若者がまだたくさんいて、驚くことに女性も…、店が繁盛している。この手の設計能力を持つ人がたくさんいることで電子工業が発展し、徐々に活力をなくしてきた日本の家電メーカーが負け、台湾の鴻海にシャープが買収されるような時代になった。 と、台湾博物館の展示でも書かれていて「シャープの買収は、その歴史の移り変わりに日本人は驚いたはずだ」。
忠孝新生站(17:18発)→ 西門站(17:25着)台北捷運板南線, 運賃(1回券) 20 NT$(64円)
西門の自助餐で夕食(120NT$, 384円)。
力歐時尚旅館 Rio Hotel, 105号室1,085 NT$(3,472円)
June 30, 2016 (Thursday)
ホテルの朝食バイキングは昨日と全く同じ選択肢だった。お粥、卵焼き、野菜炒め、ハム、漬物類、ナッツと日本人の味覚に合う取り合わせで食べる。
日本の気象庁の衛星写真では、梅雨前線が台湾のほうまで下がってきている。太平洋高気圧の張り出しが弱いと、昨晩の台湾のテレビニュースで言っていた。エルニーニョとかラニーニャとかいう異常気象なのだろうか。昨晩から早朝まで雨が降っていたようだが、朝起きたときにはやんでいた。時折薄日が差すが、基本的には1日曇り。
8時30分ごろホテルを出て、
台北捷運淡水信義線, 運賃(1回券) 20 NT$(64円)
下車駅の数駅手前で、スマホの台湾乗継検索アプリBusTracker Taiwanで
公車 815系, 運賃(現金) 15 NT$(48円)
終点の故宮博物院前までバスに乗っていたのは2名で、すぐ後にやって来た別のバスも下車したのは数名。故宮博物院を遠くに臨むバス停から、博物院正館(いわゆる本館)に通じる広場と階段には誰も歩いていない。博物院は年中無休のはずなので、誰も客が居ないのはおかしいなと思いながら歩いていくと、博物院正館の大階段の下に団体観光バス専用の車寄せがあるようで、観光客の声はそこから聞こえてきている。
故宮博物院の建物に入り、誰も客が並んでいない「個人客用の」售票處(切符売り場)へ。個人で来る客は皆無なのか…。入場料は250 NT$(800円)と、他の物価に比べたら結構割高。切符を買ってX線検査機を通過して中に入る。数組の団体客が大階段の下に居るが、ほとんど客がいない。まず3階の玉器展示室へ。日本人団体が3組くらい、中国語を話す団体が4から5組くらいいるくらいで、『近年は中国人団体客でごった返して見物どころではない』という噂は過去のものになったようだ。
各国観光局のデータからは、台湾を訪問する旅行客はゼロにはなっておらず、ほんの1割くらい減った程度だ。ロイター通信の記事では 『中国の旅行業者2社はロイターに対し、総統選挙を受けて、台湾への旅行客数を制限するよう当局から命じられたと明らかにした』 とも書かれており、1割減らすだけで経済的打撃を与えられるなら、数年前のように排日運動が中国大陸で大規模に起り制御不能になれば、1割減どころか9割減というのもありえない話ではない。政治的・軍事的緊張関係があるのに、インバウンド経済効果などとお気楽なことを言っている業界は、観光客ゼロになってもやっていけるだけの多角化経営をしておくほうがいいと思う。
玉器 → 青銅器 → 陶磁器 → 書・漢字変遷 → 書画 → 清朝宮廷調度品 とのんびり見て回る。団体客のほとんどは、有名な品物の前だけを高速で見て通過していく。食事や買い物をやめても、この中国4000年の歴史の工芸品類をじっくり見てけばいいのに…。最も有名な肉型石(豚の角煮にそっくり)や翠玉白菜(白菜1個のミニチュア)はどこかに貸し出されて不在なので、そのせいで客が少ない… なんて事はないか。
3時間ほど見物して、ふたたびバスに乗り地下鉄士林站に戻る。
故宮博物院門口(11:51発)→ 捷運士林站(11:59着)公車 304系, 運賃(現金) 15 NT$(48円)
士林站南口付近の自助餐で昼食。この店は50元固定料金の店で、選んだおかずで値段が上がりすぎないところがありがたい。客が長い行列を作っているのもそのせいなのだろうか。
士林站(12:31発)→ 淡水站(12:57着)台北捷運淡水信義線, 運賃(1回券) 40 NT$(128円)
Tamsui - Taiwan (新北市 淡水 - 台湾)
台北市内を南北に縦断している淡水川の河口の町、
淡水站前から、紅26系のバスに乗り、
公車 紅26系, 運賃(現金) 15 NT$(48円)
バス停のすぐ前に紅毛城の入場口があり、若い女性が次々と入っていく。切符売り場には、「工事前の最後の機会なので入場無料」と貼り出されている。坂道を登っていくと、工事用のシートに覆われた建物(紅毛城)があり、シートが掛けられていない建物(旧 英国領事館)がある。城は17世紀にスペインが建て(聖ドミンゴ砦)、オランダと引き継がれ、鄭氏政権、清朝、イギリスと引き継がれた台湾最古の建物だそうだ。19世紀末に建てられた領事館とともに、台湾政府に返還されたのは1980年のことだそうだ。工事がまだ始まっていない旧領事館に入場する。館内1階には、領事館だった当時の調度品が並べられている。2階は、この場所が恋愛の聖地らしいので、それに関する展示。「求婚大作戦」とか「鎖定愛情」というようなタイトルの説明板が、それぞれの部屋に掲げられている。
なんで恋愛の聖地なんだろう…。
紅毛城(13:50頃発)→ 華南銀行(13:55頃着)公車, 運賃(現金) 15 NT$(48円)
再びバスで淡水站付近まで戻り、
台北捷運淡水信義線, 運賃(1回券) 50 NT$(160円)
Taipei - Taiwan (台北 - 台湾)
西門の一つ向こうの
さらに南へ。
龍山寺の近所にある自助餐で夕食。125 NT$(400円)。その後、歩いて西門のほうへ戻る。途中、巨大なカルフールがあったので中に入ってみるが、あまりに広すぎる店舗なので旅行者がちょっと食品を買う用途では使いにくい。中華路沿いには、かつての本願寺台湾別院の跡地に日本家屋のような建物(いわゆる社務所)や、日本風の鐘楼が復元されている。同じ仏教国でも、日本の宗派を押し付けたところで台湾人には受け入れられなかったのね…。
力歐時尚旅館 Rio Hotel, 105号室1,085 NT$(3,472円)