エーゲ海からバルカン半島旅日記 :
     サントリーニ島、アテネ、デルフィ

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September 19, 2003 (Friday)

Santorini, Fira / Φηρά - Greece (フィラ - ギリシャ)

8時頃、フィラのバスターミナルに向かう。掲示板に貼られている時刻表を写していたら、イアからのバスが到着し松本さんが降りてきた。これから空港に行きアテネ行きの飛行機に乗るそうだ。空港行きバスの出発時刻の9時まで、正教会の横のカルデラ海が見えるベンチでしばらく話す。傍らにはこのあたりを縄張りとしている巨大な黒い野良犬が2匹寝そべっている。松本さんと別れた後、繁華街のスタヴロウ通りのカフェでサンドイッチと紅茶で朝食(4.5ユーロ, 580円)。

Bus
Fira / Φηρά(10:00発)→ Perissa / Περίσσα(10:25着)
Bus 運賃 1.50ユーロ(193円)
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ペリッサの海岸
Perissa beach

10時、バスターミナルからよりペリッサ行きのバスに乗る。運賃1.50EUR。何人かの客を乗せてペリッサを目指す。昨日行ったアクロティリ遺跡方向に向かう道と分岐し、しばらく行くとぽつぽつとペンションなどが建ち並ぶペリッサの村だ。バス停ごとに何人かの人が降りてゆき、村外れの海岸線にある終点まで乗ったのは私を含めて数人だった。バスを降りると、目の前には巨大な禿山が迫っている。頂上に古代スィラ遺跡がある禿山はメサボウノ山(Messavouno)といい、標高360mほどある。村の北方向には、頂上にアンテナが建っている標高567mのプロフィティス・イリアス山(Profitis Ilias)がある。2つの山の稜線が繋がる峠方向へ向けて、細い山道が続いている。標識は何もないが、おそらくこの山道を登ってゆけば遺跡に出られるのだろう。遥か先山道を登る人が見えるので、その人をめがけて山道を登る。

Santorini, Ancient Thera / Αρχαία Θήρα - Greece (古代スィラ - ギリシャ)

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ペリッサから古代スィラに登る道
Slope from Perissa to Ancient Thera

落石があれば一瞬のうちに谷底に滑落してしまいそうな、いかにも危険そうな山道。早朝なら、遺跡のある山の陰になって涼しかったのだろうが、中腹を過ぎた頃からは容赦なく太陽光線が照り付けてくる。ばてて座り込んでいる何人かを追い越して、11時05分、標高250mの峠に到着。峠の上は小さな駐車場のようになっていて、トレーラーハウスの売店が店を開いている。峠の上に出た途端、稜線の反対側から強風が吹きつけてくる。駐車場には10台ほどの車が停まっている。ほとんどの観光客がここまで車で来るのだろう…。昨日登坂をあきらめたカマリの町が峠の向こう側に見える。

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スィラ遺跡, 山頂部の遺跡(南東方向)
Ancient Thira, top of mountain

峠の駐車場から、さらに100mほど登ってゆくと古代スィラ遺跡の入場口がある。小さな小屋には“VISITING HOURS DAILY 8:30 - 14:30 CLOSED ON MONDAYS”と掲示されているだけで、入場料は要らないようだ。強風でひん曲がった松が所々に生えている。紀元前9世紀から7世紀頃に栄えた町の遺跡は、禿山の山頂部分に幅90m奥行き250m程に渡って広がっている。遺跡見物は入場口付近のアルテミドロスの聖域(Sanctuary of Artemidoros)と呼ばれる、ほとんど崩れてしまった神殿の壁のような物から始まる。山頂付近に向かって崩れた建物の基礎部分が延々と続いている。あちこちで発掘が今も行われていて、その周辺を“KEEP OUT”テープで囲んでいる。影一つ無い炎天下の遺跡での発掘はさぞかし体力消耗するだろう。

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スィラ遺跡, 劇場跡
Ancient Thira, Theater

王宮(Royal Stoa)の列柱廊跡も何メートルか離れたところからちらっと見る。円形劇場跡らしいところもある。あらゆるところが現在進行形で発掘作業中。山頂部分の最南端(遺跡の一番奥)まで行ってみたかったが、あいにく立ち入り禁止のテープが念入りに張り巡らされている。発掘作業で掘り出された土砂は、ペリッサ側の崖から一輪車で投げ捨てられている。なかなか大胆…。廃墟を通り越して、建物の基礎の残骸を見に行った感じだ。もう少し案内看板などを立ててくれれば遺跡歩きを楽しめるような気がする。歴史家ヘロドトスが“7年間続いた干ばつによりこの街は放棄された”と書いているように、こんな砂漠のような禿山の上で暮らしていくのは干ばつじゃなくても大変だったことだろう。

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スィラ遺跡の土砂を豪快に崖下に投棄
Ancient Thira, throw down sediment

この遺跡、旅行ガイドブックLonely Planetでは”It takes 45 minutes to walk to the site along the path from Perissa on rocky, difficult ground”と書かれている。walkではなくclimb upに書き換えてほしいものだ。ここに来るまでは海岸沿いにあるものと思っていた…。一方、地球の歩き方には“カマリとペリッサの間にそびえるサントリーニ最高峰(369m)の頂上にある。カマリやペリッサから歩いて行けないことも無いが、(中略:カマリからツアーバスがあると書いてある)。ただし、車は遺跡の手前までしか行けず、それからさらに15分ほど山道を登らなくてはならないことを覚悟しよう”。なんとも煮詰まらない書き方だ。ちなみに、遺跡から北方向を見ると、100m以上高いプロフィティス・イリアス山が間近に見えるので、筆者はここに来たことは無いのだろう。ロンプラの翻訳記事なら、勝手な推測で想像を膨らました書き方はせず、事実の列挙にとどめたほうが身のためだ。

さて、再び峠の方向へ降りてゆく。眼下をサントリーニ空港へ着陸する小型ジェット機が横切っていく。離着陸する民間機の間に、爆音を響かせて戦闘機が離陸していくのが見える。先程通ってきた売店のある峠から、今度はカマリ方向に続く舗装道路を降りる。このつづら折りの道は、セラーダという名前がわざわざ付けられているほど、見事なまでの造形美となっている。

下から徒歩で登ってくる観光客数人とすれ違い、上から降りていく車数台に抜かれた、炎天下の下り坂。約30分でカマリの町外れまで降りてくる。小さな旅行代理店があり、“スィラ遺跡へ、ミニバスかロバで”と看板が出ている。車なら峠まで5分も掛からないだろうけど、べらぼうに高そうだな… と思いながら前を通り過ぎ町の中へ。ビーチ沿いのカフェでチキン・ギロピタを買い(1.50ユーロ, 193円)、砂浜に座って昼食。水着を持って来るべきだった…。しばらくビーチで過ごした後、バス停へ。13時20分のバスに乗りフィラに戻る。

Bus
Kamari / Καμάρι(13:20発)→ Fira / Φηρά(13:45着)
Bus 運賃 0.90ユーロ(116円)

Santorini, Fira / Φηρά - Greece (フィラ - ギリシャ)

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ケーブルカー乗り場近くから見たフィラの町
Fira town

一旦ペンションに戻り、たまっていた洗濯物を持ってペリカンホテルの地下にあるランドリーへ。着ていた服も脱いで全て洗ってもらう間、店内のベンチに座って待つ。料金は(9ユーロ, 1161円)。その後、スタヴロウ通りのインターネット・カフェへ。日本語がインストールされていないWindows XPだったので、事務所にいた女性に頼んでインストールCDを貸してもらい、日本語フォントとIMEをインストールする。Windows98 まではネットワークから自動インストール可能だったのにという話をして、Windows2000以降の外国語サポートの使いにくさをなどを話した。「ついでに韓国語と中国語もインストールしとく?」と聞いたら、「不要」ということだった。この島にはあまり来ないのかな、中国文化圏の人たち…。

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夜の繁華街スタヴロウ通り
Erythrou Stavrou street

夕方、フィラの崖沿いの道を歩く。町の北はずれのノミコス・コンベンション・センターまで登ってくると、崖に沿ってぎっしりと建ち並ぶフィラの町が一望できる。絵描きがキャンバスを広げて絵を描いている。写真を撮りに来る観光客もちらほら登って来る。昨日よりさらに湿度が増してきたようで、空がなんとなく白っぽい。それでも夕日を受けて真っ赤に染まったフィラの町はなかなか綺麗だ。

夕食はフード・スタンドでパスタを食べる(5.50ユーロ, 709円)。

Hotel
Pension Armonia, room 13
15ユーロ(1935円)/1泊

September 20, 2003 (Saturday)

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カトリック大聖堂のドーム内部
inside Catholic Cathedral Dome

7時ごろ起床、スタヴロウ通りのカフェで朝食後、町をぶらぶら歩く。早朝のフィラの町は直射日光があたっていないので、白い建物も灰色の世界。崖沿いの道をロバが糞を撒き散らしながら歩いている。早朝のためシャッター通りとなっている町の中心の小さな繁華街を抜けて、町の北側のカトリック教会へ向かう。重い扉を開けて中に入ると、ドームの内部もスカイブルーに塗られている。見上げると、まるでドームが存在せず天空を見上げている感じだ。キリスト教の聖人像が描かれているより、こちらのほうが神秘的で神の世界が本当にあると錯覚するような感じに襲われる。

町のテラスよりカルデラ海を眺める。ネア・カメニ島(噴火口)との中間あたりに真っ白な巨大客船が投錨している。フィラの小さな桟橋との間を、小さな艀が何度も往復しているのが見える。ぼんやりその巨大客船を見ていると、20分で1回転しているようだ。どの窓からも景色が平等に見えるようにしたいのか、単なる燃料無駄遣いの暇人なのか…。

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Agiou Mina 通り沿いのテラス

スタヴロウ通りのギロピタ屋で少し早い昼食(3ユーロ, 387円)を食べ、ペンションに戻ってチェックアウトする。2泊分の宿泊料は30ユーロ(3870円)と、観光地の快適な宿なのに割安な価格だ。ペンションの中庭に、私が泊まっていた部屋の下階の客が出てきていた。イタリアのトリエステから来たそうで、「蹴球」と漢字で書かれたTシャツを着ていた。「その中国語の意味知ってるか?」と聞いたところ、ちゃんとサッカーだと認識していた。さすがイタリア人、サッカー好きですね。

Bus
Fira / Φηρά(12:00発)→ Athinios Port / Αθηνιός(12:35着)
Bus 運賃 1.30ユーロ(167円)
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アティニオス港
Athinios Port

12時00分、フィラのバスターミナルよりアティニオス港行きバスに乗る。通路にまで立ち席が出るほどの超満員。運賃1.30ユーロ(167円)。運賃を乗客のリレー方式で車掌に手渡す。12時35分、つづら折りの急坂を下りたところにあるアティニオス港に到着。チケットで指定された高速船“HIGHSPEED 3”号はまだ到着していないようだ。バス停近くの岸壁にはアトランティス号というフェリーが停泊している。その辺を歩いていた警備員に聞いてみると、4・5番のゲートで待っておくといいそうだ。4・5番ゲートのみ、コンクリート製の屋根がある。12時45分、真っ赤な船体にvodafonの宣伝が入ったカタラマン(双胴船)がやってくる。岸壁のすぐ向こうで軽やかにターンして、接岸。機動性のいい船だなぁ。Hellas Flying Dolphins社のHSC Highspeed 3 (Χατσπιντ 3)号。2000年建造で、ウォータージェット推進で最高速度40ノット(約75km/h)も出るという。

4・5番ゲートで長い列を作っていた乗客が船内に吸い込まれていく。全席指定席なのでゆっくりと船の外観を眺めてから乗り込んでも座る場所は既に確保されている。指定された座席に着く。1階(エコノミー席)の左舷窓際23Z席。といっても、乗船率が50%程度なので好きな場所に座れそうだ。13時、定刻どおり港を離れる。

Highspeed Ferry
Santorini / Σαντορίνη(13:00発)→ Piraeus / Πειραιάς(18:00着)
Hellas Flying Dolphins 運賃 43.1ユーロ(5559円)
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イオス島 オルモス港
Ios island, Ormos Port

サントリーニ島のカルデラ海を抜けると、波が高くなってくる。双胴船だから船体は安定しているはずだが、さすが速度が出ているだけあって揺れは結構なものだ。窓には水しぶきがたたきつけられてくる。13時55分、イオス島のオルモス港に到着。後部デッキに出て港を眺める。草木が一本も生えていない岩山と海の間のほんの少しのスペースに、小さな建物が密集して建っている。小屋程度のフェリーターミナルの屋根の下には、船の接岸を待つ50人程度の人が日差しを避けるように集まっている。船が完全に接岸し、ターミナル小屋の前に渡されていたロープが解かれ、数十人の乗客が船目指して早足でやってくる。既にターミナル小屋に居るなら置いて行かれるわけ無いので、ゆっくり乗ればいいのに… これも人間の習性でしょうかね。

14時、イオス島を出港。船員から船内に入るように促される。巡航中に船外には出られないようだ。ピレウスに向け、波の高いエーゲ海を順調に滑るように進んでいく。波の高い場所(見た目の波高 2m 程度)では大きく揺れ、船内を立って歩くのがすこし苦しいくらいだ。何席か向こうの乗客が嘔吐しまくっていた。でかいピザの紙箱を持ち込んで意気揚揚と乗船したのに形無しですね…。

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ピレウス港に到着した HSC Highspeed 3

18時、定刻より15分ほど遅れてピレウス港着。ターミナルビルのすぐ前の岸壁に接岸する。雲ひとつ無い快晴。直射日光にじりじりと焼かれながら地下鉄駅を目指す。自動券売機で0.60ユーロの切符を買い、18時20分の地下鉄に乗りアテネ市内を目指す。

Metro
Piraeus / Πειραιάς(18:20発)→ Omonoia / Ομόνοια(18:00着)
Metro, line 1 運賃 0.60ユーロ(77円)

Athens / Αθήνα - Greece (アテネ - ギリシャ)

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Victor Hugo 通りのユースホステル(左側)
Youth Hostel at Victor Hugo street

オリンピック準備のため、アテネに向かう地下鉄は停車する駅のほとんど全てが何らかの工事中。モナスティラキ駅はプラットホーム自体が撤去されて列車が通過…。オモニア駅に停車するか少し不安になるが、4年前に来たときより幾分綺麗になったオモニア駅に停車。駅から外に出る。相変わらずの場末といった感じのすさんだ街並みが広がっている。今日は土曜日なので、ほとんど全ての店やオフィスが閉まっている。予約したユースホステルはヴィクトル・ユーゴー通り16番地にあると旅行ガイドブックLonely Planetに書かれている。路上駐車で両側が埋まった薄暗い道を西へ10分ほど歩いてユースホステルにたどり着く。インターネットで予約(1泊16.30ユーロ, 2102円)して印字した紙を見せてチェックイン。会員証の提示を求められたので、その場で会員になる。1年間有効で15ユーロ(1935円)。日本で会員になると(新規扱いで)2500円なので、外国で入ってしまったほうが安い。シーツを貰い、2階の101号室へ。部屋には誰も居なかったので、適当なベッドに荷物を置いて夕食に出かける。

国立考古学博物館の向かい側のハンバーガー・チェーンGoody'sへ向かう。通り沿いあらゆる店が閉店していて、まるでゴーストタウン状態だ。そんな中でも、チェーン店のGoodysは営業していて、結構な数の客が入っている。Golden Specialというハンバーガー メニューとミネラル水で3.95ユーロ(509円)。ハンバーガーが皿に載って、ナイフとフォークが付いて料理のように出てくる店は、ここくらいですかね… 。(アメリカ本土で、チェーン店でない個人営業店は、こういう形態のところが多いけど…)

店の2階から見下ろした国立考古学博物館は、オリンピック関連の工事で閉館中なのでひっそりとしている。その後の報道では、結局オリンピックの時期に工事が完了しない事態が暴露されたわけだが…

ユースホステルの部屋に戻ると、何人か戻ってきていた。上のベッドには金髪・長髪の兄ちゃんが寝込んでいる。3台並んだベッドの中央下段(私の横)でも寝込んでいる奴が居る。そぉっと室内のシャワーを浴びる。22時に給湯が止まるそうだが、まだ21時30分。上のベッドの兄ちゃんが目覚めたらしく、どこの国から来たか聞いてみる。意外にも地元のギリシア人。ギリシャ北部のテッサロニキの近くの町からアテネに遊びにきているそうだ。今日は○○○ビーチ(←名前覚えられなかった)に日光浴に行ってきたらしい。本職は電気工事業だそうだ。アテネ・オリンピックの工事がべた遅れなことを聞いてみると、「同時に同じ工種に取り掛かるから、人員も資材も同時に需要が発生して非効率」というのが一つの理由らしい。さすがギリシア文明を築いた民族だけはありますね、納期なんて3000年以上の歴史に比べたらたいした事ないのでしょう。

Hotel
Athens International Youth Hostel, room 101-3
16.3ユーロ(2102円)/1泊

September 21, 2003 (Sunday)

ユースホステルは裏通りに面しているので、車の騒音などがなく案外静かだ。ぐっすり眠って6時ごろ起床。と、私の上のベッドで寝ていたギリシア人の兄ちゃんは6時に外に出て行った。すごい早起き、行動力だ…
6時30分頃、1階の受付に居た係員のおばさんに“デルフィへ行く為のバスターミナル”への行き方を聞く。おばさんが言うには、“ユースホステルを出て、東に1ブロック行き、北に1ブロック行ったところを東に曲がるとA11・B11バスが待っているのでそれに乗り、プラクトレイアで降りる”だそうだ。まだ真っ暗な道を数分歩いて(Favierou 通りと Marni 通りの交差点)バス停へ。巨大なゴミ箱コンテナの横に、誰も客が乗っていないバスが1台停まっている。運転手は居ない。切符売り場の小屋で“プラクトレイアに行くのか?”と聞くと“そうだ”と言う。“切符は?”という問いには、謎の答え。とりあえずバスに乗り込む。6時35分、運転手がやってくる。“切符は?”と尋ねると、“切符は要らない。無料だ”と。“???”

Bus
αφετηρία(06:35発)→ Πρακτορεια(06:45着)
Bus, line A11 運賃 Free
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リオシオン 長距離バスターミナル
KTEL Liosion bus terminal

乗客2名を乗せて、A11系統バスは走り出す。リオシオン通りを北上して、停留所毎に何人かの乗客が乗り降りする。6時45分、プラクトレイアで下車。運転手にバスターミナルの方向を聞く。バス停のすぐ南の道を東へ行くとバスターミナル(リオシオン・バスターミナル)があった。デルフィ行きバスの出発まで少し時間があるので、売店でサンドイッチと紅茶(2.50ユーロ, 322円)を買ってベンチに座って食べる。トイレに行くと0.50ユーロ(64円)取られた。7時20分くらいに、切符売り場から最も遠いレーンにバスがやってくる。景色のよさそうな一番前の座席を確保。デルフィを経由してアンフィサまで行くバスの乗車率は80%程度だ。

Bus
Athens / Αθήνα(07:30発)→ Delphi / Δελφοί(10:20着)
Bus 運賃 11ユーロ(1419円)
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リヴァディアのHotel Erato
KTEL bus stops at Hotel Erato, Livadeia

バスターミナルを出て数分で高速道路(E75 アテネ・テッサロニキ高速道路)に入る。1時間ほど快調に高速道路を走り、テーベの郊外ででこぼこ道の一般道路へ。テーベ古代ギリシアアテナイスパルタと並ぶ有力都市国家があったところだ。現在は、一面のぶどう畑の中にある人口3万人の小都市だ。改修工事が終わって一直線に続いている国鉄線路の横を走る。いまは架線を張る電柱工事が真っ盛りの様子で、果たしてオリンピックに間に合うのかなぁ… (私の予測では、無理だと思う)。9時05分、リヴァディア手前の丘の上にあるHotel Eratoで休憩時間。ホテルのカフェの奥にあるトイレが無料で使える。カフェでグリーク・コーヒー(1.50ユーロ, 193円)を飲んで出発を待つ。ホテルの駐車場には、リボンが取り付けられた赤い小型車が停まっている。結婚式があるのか、新婚旅行のカップルが泊まっているのか…。ホテルの前からは、遥か遠くの盆地にリヴァディアの町が見えている。

9時20分、ホテルを出発。道は山間部に差し掛かり、まばらに木が生えた乾ききった山々の間を、右へ左へカーブを取りながら高度を上げていく。10時、高度計が865mを示した峠を越えて、アラホバの村のバス停に停車。看板にスキー場の宣伝が出ている。ギリシアでスキーとはすごくミスマッチな感じだ。

Delphi / Δελφοί - Greece (デルフィ - ギリシャ)

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デルフィ, アポロノス通り
Apollonos street, Delfi

10時20分、デルフィの村外れのバス停に到着。バス停の前の売店が切符売り場も兼ねていて、帰りのバスの時刻を聞いてみる。 13時35分、16時05分、18時05分発のバスがあるそうなので、13時35分の切符を購入する。バス停の前は崖となっていて、遥か下には緑の森に覆われたプレイストス谷が見える。パルナッソス山を源流とする水量の豊富な川が森を作っているのだろう。森は谷の出口があるイテアの町まで続いていて、そこでコリント湾に注いでいるのが手に取るように見える。

ホテルなど観光客向けの建物が密集したデルフィの村を数分で横切り、村の反対側に出る。そのまま崖沿いの道(アテネからのバスがやって来た道)の緩やかな坂道を登っていくと、万国旗がはためいている。アメリカ、ロシア、日本、南キプロス… 。万国旗に南キプロスが混じっているのは、さすがギリシアが肩入れしているだけはある。傍らに富山県 利賀村との姉妹都市提携の看板が建っている。5分ほど歩くと、乾燥した岩山の麓にぽつぽつと崩れかけの円柱が建っているのが見える。古代デルフィ遺跡だ。工事中の博物館の脇から木立に囲まれた歩道が出来ていて、強い日差しを避けることが出来る。観光バスが何台も路上駐車していて、観光客がぞろぞろと引き連れられて歩いている。遺跡の入り口で6ユーロ(774円)払って中に入る。

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アポロン神殿
Temple of Apollo

ここはアクロポリスに建てられた神殿ではなく、山の斜面にへばりつくように建てられた聖地だ。紀元前8世紀頃に確立したと言われる、古代ギリシアで最も権威があった“デルフィの信託”が下されたのがこの聖地だ。古代ギリシア、ローマ帝国期と聖地として栄えたが、4世紀頃に町は放棄されたそうだ。

つづら折りの聖なる道を少し登って行くと、アポロン神殿のひときわ巨大な円柱が建ち並んでいる。といっても、6本がかろうじて建っているだけで往時の建物を想像できるほど保存状態が良いわけでも無い。紀元前7世紀頃建てられたこのアポロン神殿こそ、ゼウスの息子であるアポロンが巫女ピューティアを通して信託を下す場所だったそうだ。

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古代劇場
Theater

神殿の裏手には円形劇場が完全に近い形で残っている。4世紀頃建てられたものだそうで、5000人の観客を収容できるそうだ。確かに、それなりの大きさはあるが、5000人を入れるとなるとぎっしりと詰め込まないと無理だな…。

劇場の横を通り過ぎて、少し急な坂道を数分登ると遺跡の最も高い位置にある陸上競技場に出る。英語を話す高校生くらいの若者が、スタートラインから競技場の奥へ向かって走る競争をしていた。グラウンドの大きさは奥行き177m、幅25mだそうだ。それにしても中途半端な長さ…。確か、4年前に訪れたオリンピア遺跡の競技場にも、似たようなスタートラインの石版が埋め込まれていた。昔は「石灰の白線」はなかったのだろうか。

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競技場
Stadium

デルフィの遺跡地区で唯一、中まで入ることが出来たのがこの陸上競技場。石で出来た座席に座ってしばらく休憩する。座席に座ってよく観察すると、座席が一直線でなく上下左右に若干うねっている。現代にも引けを取らない高度な建築技術を持ったギリシア文明の建物が“素人が見て分かるほど傾く”はずがない。地震で不等沈下を起こしたのだろうか…。

遥か下のプレイストス谷を見下ろす。観光バスが路上駐車している道路(アテネ方面へ続く道路)の向こうの谷底に向かっても遺跡が広がっている。円形の神殿トロスがあると言う場所だろうか。観光客の波を避けながら、聖なる道を入場口まで引き返す。道路を横切り、デルフィの村と反対方向に少し歩いていく。道路がくびれたところにカスタリアの泉という看板が出ている。落ち葉のたまった湧き水の出口という感じだ。日本の神社でいうところの“清めの水”みないなものだ、と旅行ガイドブックLonely Planetには書かれている。しばらく道路をアテネ方向へ歩くと、谷底の遺跡地区へ降りる道がある。道路の南側にある遺跡地区は入場料無料のようだが、そのせいで何の看板も出されていない。団体ツアー以外はあまり相手にしてくれない観光地といった感じだ。

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トロス
Tholos

何人かの観光客と遺跡の中へ向かう道を探して行きつ戻りつ…。やっとアテナ神殿の前にたどり着く。神殿の脇にはギリシャ国内で唯一といわれる円形の神殿“トロス”が建っている。重さや長さなどの度量衡を検査するための祭祀場だったと言われているが、それにしては芸術的過ぎる美しい建物だ。この建物はかなり修復の手が入っていて、本当はバラバラの石ころでしか無かったものを無理やり建物の形に建て直したのだろう。

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プレイストス谷、イテア方向
Pleistos valley

デルフィの村へ戻る。途中、博物館に寄る。オリンピックの絡みなのか、工事中。エントランスホールまで入ることが出来て、御者(The Charioteer)の像だけがそこに展示されていた。完全閉鎖で門前払いより、立像1点でも見せてくれる工事関係者の心遣いに感謝する。団体ツアー客は遺跡付近でバスに乗るため、デルフィの村まで来る人は少ないようだ。村内の道はひっそりと静まり返って、時折走り抜ける車の音だけが響いている。バスターミナル前のタベルナでポーク・ギロピタで昼食(2.60, 335円)。バス停横のカフェでグリーク・コーヒー(1.50ユーロ, 193円)を飲みながらバスを待つ。バスは10分ほど遅れて13時45分にやってきた。乗車率は50%も無いので、余裕を持って座ることが出来る。

Bus
Delphi / Δελφοί(13:45発)→ Athens / Αθήνα(16:30着)
Bus 運賃 11ユーロ(1419円)

Athens / Αθήνα - Greece (アテネ - ギリシャ)

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定刻より30分ほど遅れた16時45分、アテネのリオシオン・バスターミナルに到着。バスターミナルからまっすぐ東へ5分ほど歩くと、地上を走る地下鉄1号線の線路にぶつかる。通りかかった人に「近い駅は右か左かどっちへ行けばいい?」と尋ねると、「右だ」とのこと。傍らをステンレス車体の銀色の列車が走り抜けていく。オリンピック工事で駅が閉鎖しているかも… という心配は杞憂で、辿り着いたアギオス・ニコラオス駅は工事中ながらも営業中だった。

Metro
Agios Nikolaos / Άγιος Νικόλαος(17:00頃発)→ Monastiraki / Μοναστηράκι(17:13着)
Metro, line 1 運賃 0.60ユーロ(77円)

列車が来た。車内は座席が完全に埋まるくらいの満員。次の駅(アッティキ駅)はプラットホームの石張りの工事中で通過、地下線に入りヴィクトリア駅、オモニア駅と停車する。その次のモナスティラキ駅で下車。反対側のプラットホームは工事中で閉鎖されているようで、この駅で降りられたのは運が良かった…。大混雑の階段を登り駅の外に出る。17時13分、まだ強烈な夕日が射している。

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プロピュライア
Propylaia

アテネに来たからには、パルテノン神殿参拝をしないといけない(謎)。風の塔があるローマ帝国時代のアゴラ横を通り、賑わっているカフェなどの間を抜けてアクロポリスの丘を登る。以前、入り口を探してアクロポリスをほぼ一周した経験があるので、今回は迷わない。ぱらぱらと観光客が通る細い道を10分ほど歩くと、アクロポリスの西側にある入場口に出る。売店で切符(12ユーロ, 1548円)を買う。とても高い入場料だ。さすが世界遺産やユネスコのシンボルマークに使われる“世界でいちばん有名な神殿”だけはある。夕日に照らされたオレンジ色に染まったプロピュライア目指してさらに階段を上る。パルテノンの丘の麓にあるヘロドス・アティクス劇場から歌声が聞こえる。崖沿いから見下ろすと、演劇のリハーサルをやっているようだ。2000年程前に建てられた舞台が現在でも使われているのは、それ自体が奇跡だと思う。プロピュライア修復のための金属製の足場は以前より増えたように感じる。金属フレームが増殖して、まるで大理石造りの建物を覆ってしまう勢いだ。イオニア式とドリス式の円柱が同居しているプロピュライアを抜けると、目の前にパルテノン神殿が夕日に染まって鎮座している。

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パルテノン
Parthenon

本殿、いや、パルテノン神殿本体の金属足場の数も増えまくっている。内部は足場で埋め尽くされており、側面にまで足場があふれている。17世紀の大爆発のダメージで、今にも崩れそうなのだろうか…。BBCの特集番組では、20世紀初頭の修復で“鉄製の楔や補強材”が使われたため、それらが錆びて膨張する事により周囲の大理石にヒビを入れてしまうので再修復が必要になっているそうだ。ドリス式の円柱の上に乗っかった梁をよく見ると、確かに楔を打ち込んで補強しているのがよく分かる。せっかく組みあがっている梁を再び分解して組み上げるのは、どれほど時間がかかることだろう…。 そこで、日本のODAというのは出ないのだろうか? 某 反日国家に技術支援や通貨支援するくらいなら、日本のODAの大半を振り向けてアクロポリスを10年で再建するというのはどうだろう。

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カリアティッドのポーチ
Caryatid Porch of the, Erechtheion

エレクティオンの周囲をぐるっと回ってから、パルテノン神殿裏側のアクロポリス博物館へ。破風の彫刻の一部や、メトープが展示されている。イギリスやフランスなどかつての列強国にさんざん略奪された後に、よくこれだけ残っていたものだ。カリアティッドのポーチの少女の柱像が3体展示されている。1体は大英博物館にあるらしい。いかにも本物っぽいエレクティオンの柱は、実は全部模造品なのか…

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アクロポリスから北東方向の街並み

いよいよ太陽が西の空に沈んでいく。逆行を利用して女性モデルの写真を撮影しているグループが神殿の裏側に陣取っている。パルテノンを後にし、地下鉄駅のほうへもと来た道を降りていく。古代アゴラの裏口が開いていたので、中へ入る。地下鉄駅方面へは、アゴラを通り抜けるのが近道だ。今回は紀元前2世紀頃建てられたミドル・ストア付近を少し散策して外へ。モナスティラキ駅の北行きプラットホームは閉鎖されているので、オモニア駅まで1駅歩くこととする。途中、中央市場の横では暴走族が集結して警官とにらみ合っていた。いまどき暴走族って… 何。

国立博物館前のGoody'sで夕食(7.60ユーロ, 980円)を食べて、まだ薄明るいので国鉄アテネ中央駅(ラリッサ駅)へ向かう。明日のカランバカ行きの列車の切符を買う。窓口の駅員が机の中から帳面を出してきて、指定した列車の座席一覧から1つ選び出し、“横線で消し”ていた。EU加盟国の首都で、それもその国の幹線路線の座席指定を“ノートに手書き”で管理する。このアナログさ加減がすばらしい。おもむろにワープロを起動して、旧式のドットプリンタで切符に印字。カルチャーショックを受けそうです…。でも、1週間後にルーマニア鉄道の切符の売り方を見たときは、もっとカルチャーショックを受けました。

Hotel
Athens International Youth Hostel, room 101-3
16.3ユーロ(2102円)/1泊