南イタリア クリスマス旅日記 : ナポリ→ローマ

December 25 (Thursday)

Napoli(Naples) - ITALY (ナポリ、イタリア)

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ユースホステルの超豪華な朝食 Breakfast at YH

7時起床。ベスビオ山の右側から太陽が昇り、部屋に光が差してくる。地下鉄メルジェリーナ駅を ETR460かETR480 がゆっくり通過していく。 7時30分地下の食堂へ。噂の「ナポリ名物の朝食」を実際に試してみる。噂どおり質素。直径8cm位の中空のパン一個と紅茶のみ。う〜ん、これがイタリアの朝食か...。朝食券をYHのスタッフに渡すと、1.55EUR のレシートをくれた。1.55ユーロなら仕方が無いか...。8時頃、外へ。メルジェリーナ港 (Porto Mergellina) へ向かう。漁船は昨夕と同じく係留されたまま。クリスマスなので漁はしないのだろう。地下鉄メルジェリーナ駅 (Napoli Mergellina) へ。9時発の列車は5分ほど遅れてやってきた。Formia 発 Salerno 行きの R12359。metronapoli のロゴが入った列車ではなく、通常の Trenitalia の電車。2駅先のモンテサント駅 (Napoli Montesanto) で下車。エスカレーターを乗り継いで地上へ。おんぼろ駅舎を出ると、駅前はアパートなどがひしめく下町。坂道を少し下っていくとケーブルカーのモンテサント駅 (Funicolare di Montesanto, Stazione Montesanto) と クマーナ鉄道 クマーナ駅 (S.E.P.S.A. -Ferrovia Cumana Stazione Cumana) が並んで建っている。クマーナ鉄道といえば、昨日メルジェリーナから丘の上に登った所にある駅で落書きだらけの車両を見たあの鉄道だ。

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ベリーニ広場の落書きだらけのベリーニ像 Piazza Vincenzo Bellini

旧市街の観光地区へ向かって歩き出す。ちなみにモンテサント駅周辺はロンプラでは危険地帯として警告文がある。『中央駅周辺とダンテ広場周辺は夜間一人で歩くときは警戒せよ。道路の暗くなったところには決して接近するな。トレド通りの西側とカリタ広場の北側は昼間はそれほどでも無くても、暗くなると襲われる可能性ある。』と。ちなみに、モンテサントはトレド広場の西側、かつダンテ広場の西側に当たる。そう言われれば、なんとなく危険な気分になってくる...。しばらく東の方へ坂を登っていくとダンテ広場 (Piazza Dante) に出る。閑散とした大通りに、巨大なダンテ像。2ユーロ硬貨の裏面の顔だ。ダンテ像の横のベンチにおじいさんが一人ぽつんと座っている。ポルタ・アルバ (Port'Alba) という門をくぐって薄暗い路地をさらに東へ。後ろから怪しげな黒人が間隔を保ってついて来る。開いていない古本屋が並ぶ路地を抜けるとベリーニ広場 (Piazza Vincenzo Bellini) に出る。台座は落書きだらけで、頭は鳩の糞で白髪になった19世紀の作曲家。この管理状態はちょっと失礼では無いだろうか...。Via della Sapienza をさらに東へ行き、狭い路地に突き当たったところで坂道を北へ。大きな病院の入り口がある。正式名称は Ospedale Santa Maria del Popolo degli Incurabili 。治癒できない病気(In-Curabili)のための病院...。重症患者専用なんでしょうか。この辺りが丘の頂上あたりになっていて、病院正門前辺りから下り坂となる。カブール広場 (Piazza Cavour) に出る。

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逆向きの看板。やる気無いのでしょうか...

ベニヤ板で入り口が塞がれた地下鉄駅が見える。ほとんど車の通らないフォリア通り (Via Foria) を横切って向こう側へ。ゴミの散らかった小さな通りへ入る。後ろから人が近づいてくる気配がする。カメラの液晶部分に反射した景色から、3人がこちらに向かって近づいてくるのが見えた。突然、後ろからなにやら声がする。3人が広がって真後ろと左右から挟まれる形となる。真ん中のヤツが刃物らしきものを取り出す。まずい事態になりましたねぇ〜。カメラを落とさないようにストラップを数回腕に巻いて左手に握り、180度ターンして相手に相対する。多分、金を出せとか何とか言っているのだと思うが、相手のイタリア語が理解不能。左右どちらかのヤツが近づいてきたので顔面の前で寸止めの足蹴りをする予定が、相手の顔面を思いっきり蹴飛ばした。向こうへ吹っ飛んで行った。刃物を持っている風のヤツが近づいてきたので、バッテリー(角ばってて重い)の入ったザックで顔面を突き飛ばし、飛び掛ってきた(感じがした)もう一人を回し蹴りで足をすくって(そう思う)、全速力で逃げる。フォリア通りを猛ダッシュで横切り、大聖堂通りへ。後ろを振り返ると、相手は追ってこなかったようだ。やれやれ。

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大聖堂 クーポラの南東面 Cathedral / Duomo

大聖堂通り (Via Duomo) をしばらく行くと、カラビニエリの車が停まっている。旧市街の観光地区 (Spaccanapoli) に入ったので安全だろう。"Le Vie Dell'Arte" と書かれた観光地図の看板がある。ロンプラの地図は余りにも頼りないので、この看板をデジカメで写しておいて、再生画像を地図代わりに使う。大聖堂の少し北から、細い道 (Via Anticaglia) を西へ。細い路地の両側は5階建てくらいのアパートに囲まれている。所々に教会がある。特に珍しい景色があるわけではなく、旧市街の雰囲気を楽しむという趣旨のところだろうか...。どんどん道は細くなり、薄暗くなる。先ほど通った「治癒できない病人のための病院?」の裏側辺りまで来る。南へ行くと観光客向けの店などが所々にある Via Dei Tribunali に出る。サン・パオロ・マッジョーレ聖堂 (Basilica San Paolo Maggiore) の地下室らしき入り口が開いていたので中に入ってみる。地下のクリプトに入れたのだが、上の聖堂へ登る階段は閉じられていた。広場を挟んだ向かい側のサン・ロレンツォ・マッジョーレ聖堂 (Chiesa di San Lorenzo Maggiore) も開いていたので入ってみる。こちらは普通の聖堂。時計塔の横を通ってさらに南へ。南北に延びる道では強い日差しが路地の底まで差し込んで来る。土産物屋に混じって、プレセピオのパーツを売る店もある。大聖堂通り (Via Duomo) を横切って大聖堂を見に行く。入り口は閉まっている。えらく狭い広場から大聖堂のクーポラを見上げる。10時30分頃、バールに入る。ピザとカフェ・アメリカーナで2.20EUR。

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洗濯物が道路を横切る下町の風景 Vico Dei Carbonari

海の方へ丘を下っていく。10分ちょっと歩くとウンベルト1世大通り (Corso Umberto I) に差し掛かる。大学 (University Federico II) の巨大な建物の前にレーニン像。レーニンじゃないのだろうけど、落書きで "LENIN" と書かれている。"レーニン広場" に中華料理屋を発見。(夕刻、YHでK氏に聞いたところ、ほとんど同じ時刻にこのあたりへ来ていたそうだ。この中華料理屋で昼食を食べたらしく、安くて旨かったそうである。)さらに南へ行くと港に出る。道路 (Via Nuova Marina) の向こう側に巨大なフェリーが停泊している。シチリア行きへのフェリーもこの辺りから出るのだろうか。Via Nuova Marina を東へ向かう。海と道路の間に崩れ果てた城壁の跡が残っている。その周りはホームレスのテント村となっている。城壁の北側のカミネ広場 (Piazza Del Carmine)には沢山の人が集まっている。教会 (Santa Maria del Carmine) から沢山の人が出てくる。礼拝の時間なんだ...。教会の横より北へ。路地へ入る。アパートの間を渡したロープに洗濯物が吊ってある。水が滴り落ちてくる。脱水機を掛けずに干しているのだろうか。卸売市場のような雰囲気の場所に出る。ゴミが散乱して、人通りがぱったりと無くなる。再び刺客に襲われたくないのでその地区を早々に通過し、チルクムベスビアナ鉄道 ナポリ駅 (Stazione Napoli della S.F.S.M. Circumvesuviana) へ。せっかくここまで来たのだから、鉄道で何処かへ行ってみようと思う。駅の路線図を見る。ナポリ湾の対岸にソレントという町がある。どこかで聞いたことがあるような発音の町。「ソ連」とは関係ないのだろうけど。窓口でソレントまでの切符を求める。3.10EUR。

11 時39分のソレント行き 33列車に乗る。運転士や車掌が先頭車両に大量に集結している。クリスマスケーキの袋が運転席の横の棚に置かれている。この乗務で勤務が終わり家に帰るところなのだろうか。列車は快調に走り、昨日訪れたポンペイにも停車してソレントを目指す。途中でたびたび運転手が入れ替わる。車内はガラガラ、ソレントまで行く客は少ないようだ。

Sorrento - ITALY (ソレント、イタリア)

ポンペイからは単線となり、山岳地帯の何本かの長いトンネルを抜けるとソレント着。12時50分。プラットホームには誰も乗客が居らず、まるで最終列車のようだ。(実は最終列車だった...)

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イタリア通りと、大聖堂の鐘塔
Corso Italia and Cathedral

駅舎を出て、少し海の方へ下ったところにあるイタリア通り (Corso Italia) へ。車が渋滞している。左(西)の方の中心部へ向かう。タッソ広場 (Piazza Tasso)、沢山の人が溢れかえり、ロータリーの周りは車で渋滞している。椰子の木の街路樹が並び、リゾート風の瀟洒なアパートが並んだ様子はリゾート地そのものだ。ナポリから1時間のところだが、余りの環境の違いに少し驚く。タッソ広場の北側には深い谷が海まで延びている。遥か向こうにナポリらしき市街地が霞んで見える。タッソ広場から少し北西へ行き、ソレント港へ降りていく道 (Via Luigi De Maio) 沿いに歩いていくと海に面した崖の上に出る。海面は強風で波立っているのが見える。北にはナポリ市街地、北東には標高1277mのベスビオ山 (Vesuvio) 、ソレントのある半島側の海岸線の崖に沿って建物が建ち並び、その向こうには雪を頂いた山脈がある。景色は良いが、猛烈な寒風が海から吹きつけてくる。町の中に戻り、路地裏を散策する。大聖堂などを見て、タッソ広場に戻る。先ほどあれ程居た人々はどこかに消えうせ、閑散とした広場だけが残っていた。イタリアって、すごく変った行動パターンの国ですね...。正午前後と、夕方以降にしか人通りが無い。まだ昼の1時なんだが、食事する店すら開いている気配が無い。駅に戻る。閑散としている。入り口の鉄格子まで閉まっている。駅員が「今日の列車は終わった。今日は祭日だ。駅前からバスが出るからそれに乗れ」と言っている。祭日だからこんな時間に終電なのか...。

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ナポリ湾の崖に沿って広がるソレントの町 Along Gulf of Napoli

駅前でバスを待つ。私と、スイスから来た中年夫婦、ジプシーのオッサンの合計4人。空は雲ひとつ無く晴れているが、寒い。駅舎でさえぎられているので寒風は吹き付けないが、それでも寒い。1時間経過...。バスが1台やってきたが、「回送」と書かれている。ワゴン車の白タクがやってきた。ナポリまで 140EUR。冗談じゃない。スイスから来た中年夫婦のだんなが携帯電話でバス会社(バス停に書かれていた電話番号)に電話して、「バスが走っていない」ことを確認する。普通のタクシーがやってきたのでそれをシェアして乗ることとする。タクシー運転手はジプシーのオッサンは乗せたくないと乗車拒否。私とスイスから来た夫婦の3人がタクシーに乗り込む。海岸線の崖沿いに通された Ss145 をかなりのスピードで走る。無人の町かと思うくらい、対向車すら走ってこない。ポンペイで高速道路 E45/A3 に入る。制限速度の標識を見かけないので速度無制限なのだろうか。タクシーは 140km/h 程の速度を維持して走っている。15時30分ナポリ中央駅前着。ソレントから僅か40分。列車なら1時間10分掛かっていたので、ノンストップのタクシーは速い。その代わり料金も高かった。122EUR。3人で割ったので1人40EURほど。(列車なら3.10EUR) しかし、あそこでシェアする人が現れなかったら大損するところだった...。(その、スイス人夫妻、アマルフィへバスで行こうと思ったが全て運休。"スイスなら祝日で運休なんてありえない!!" って怒ってた...)

Napoli(Naples) - ITALY (ナポリ、イタリア)

少し遅いが、昼食を食べに中央駅コンコースのマクドナルドへ。閉店していた。クリスマス祝日はあらゆるものが閉店するようだ。鉄道にファストフードまで...。中央駅下のガリバルディ駅 (Napoli Piazza Garibaldi) から地下鉄に乗りメルジェリーナに戻る。サナザロ広場 (Piazza Sannazzaro) へ。昨晩は閉まっていたピッツェリアが開いていた。一番手前のピッツェリアに入る。店内は満員。ピザ(Capricciosa)、ミネラル水(0.5リットル)で 6.20EUR。ちなみに、ピザはきのこ類のピザだった。(Capricciosa はいい加減とか当てにならないとか言う意味らしい。出て来てのお楽しみといったところだろうか...)

16 時30分ごろユースホステルに戻る。フロントでコインランドリーのコイン(洗濯機用と乾燥機用の2枚で5.20EUR)を買う。部屋に戻り、洗濯物をビニール袋に詰めて地下のランドリーへ。照明のスイッチが見つからず、手持ちの懐中電灯で床を照らしながら洗濯機のある部屋へ。1階のロビーにK氏やイタリア留学中の日本人学生さん、ホテルの職員さんなどが話している。しかしながら、ナポリのユースホステルで日本人が10人近くも滞在しているとはちょっと驚きだ。自販機でスナック菓子(1袋 0.66EUR)やコーヒー(0.55EUR)などを買いひと時をすごす。イタリアへの旅行目的も、料理の探求やイタリア語の知識の習得・実践、私のように遺跡めぐりと撮影などいろんな目的の人が集まっているところが面白い。「料理の探求」があるところがイタリアならでは。

December 26,2003 (Friday)

Napoli(Naples) - ITALY (ナポリ、イタリア)

7時起床。同室のエンジニア氏は荷物のみがベッドに残ったままで、友人の家からまだ戻っていないようだ。北部イタリアから来たタバコ好きの兄ちゃんはまだ熟睡しているが、クリスマスプレゼントの箱がかばんに入ったまま誰にも渡していない。大丈夫だろうか。貧弱な朝食を食べ、K氏に別れの挨拶をしてYHをチェックアウト。昨日餌をやっていて私の手を引っかいたネコの親子が玄関の欄干に器用に座っている。メルジェリーナ駅の向こうにベスビオ山がくっきりと見えている。メルジェリーナ駅 (Napoli Mergellina) へ。自動販売機で 0.77EUR の切符を買いプラットホームへ登る。昨日は5分遅れていた Salerno 行きの R12359 列車は、今日は5分早く8時55分にやって来た。いい加減な運行だ...。ガリバルディ駅 (Napoli Piazza Garibaldi) で下車。階段を上がり、ナポリ中央駅に入る。出発案内板には既に ES9436 の入線しているプラットホーム番号「16」が表示されている。程なく機関車に全面広告のペイントが施された ETR500 型列車 (ETR500 no.044)が入線。最高速度 300km/h、直流300V / 交流25000V 対応の第二世代車両。といっても、ローマ・ナポリ間には高速軌道がまだ無いので宝の持ち腐れ...。

Eurostar 9436: Napoli -> Roma (ユーロスター 9436列車)

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列車は定刻を1分過ぎた9時31分ナポリ中央駅を出発。2等車の車内はほぼ満員。出発してしばらくすると、私の横の開いていた席にアフリカ系黒人2人組がやって来る。予約無しで空き席を探していたようだ。1週間前にローマからパレルモへ行くときに Intercity で通った「在来線軌道」をローマに向けて走る。在来線なので、速度も在来線並み。最高速度はせいぜい170km/h程度。車内放送は、イタリア語と英語の両方で行われていた。駅の表示は 「ES*」 だが、アナウンスを聞く限りでは 「EUROSTAR」 と読むらしい。
隣の黒人がやたらうるさく話している。発音がなんか変。通路を挟んだ向こう側のイタリア人に注意されていたが、一向に静かになる気配が無い。黒人のうるささはイタリア人の騒々しさの比ではない。しかし、黒人ってどうして他国に来てまで迷惑かけまくる人種なんだろうね。少しは文明を受け入れた上品な発音とか出来ないものかね...

約1時間45分でローマ・テルミニ駅 (Roma Termini) に到着。駅間平均速度は 120km/h 程。(時刻表から高速新線を走るローマ・フィレンツェ間は駅間平均速度 200km/h。ちなみに日本の新幹線500系の新大阪〜博多の平均速度 240km/h、駅間平均速度 261.8km/h。 フランスのTGVのパリ〜マルセイユ間の平均速度 250km/h。JR京都線の新快速 90km/h)

Roma(Rome) - ITALY (ローマ、イタリア)

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テルミニ駅で乗客の半分近くが入れ替わる。プラットホームに人が溢れる。巨大なスーツケースを牽いた日本人もちらほら見かける。インターネット (http://www.venere.com/) で予約した宿 Hotel Cressy に向かう。ローマに着いた日に泊まったホテルの近く。アパートの5階のホテルへ。英語が全く話せないおばあさんが宿の主人。私の予約が入っていなかった。ネット上では OK となっているのだが...。ただ、他の予約客は1名しか居ないので、ほとんど全ての部屋が開いていたので助かった。内装をリフォームした新しい部屋で共同シャワー、1泊45EUR。大都市だからこんなものですかね...。

12 時、部屋に荷物を置き外へ。テルミニ駅に戻り地下のマクドナルドで昼食。ChickenMax (Large) 5.30EUR。異様にメキシコ人がうじゃうじゃ居る。バチカンへの初詣か...。地下鉄駅へ降りる。2台しかない自動券売機に観光客が群がっている。イタリア語が全く読めないのか機械オンチなのかは分からないが、異様に操作が遅い人たちばかりだ。やっとのことで切符 1.00EUR を入手。A線のプラットホームへ。構内の表示が分かりづらく、どの連絡通路を降りるべきかかなり迷う。各国で地下鉄に乗ったことがあるが、ココほど表示が分かりづらいところも珍しい。10年近く前に乗ったときよりすさんだ感じになっている。車両は落書きだらけ。ロンプラの地下鉄マップはだいぶ古く、B線の終点はオッタビアーノ駅 (Ottaviano) 。ATAC のホームページではさらに6駅先まで行っている。チプロ駅 (Cipro) で降りる。ガラス造形のモダンな駅舎を出て南へ。丘の階段を登るとバチカンの城壁がある。バチカン美術館 (Musei Vaticani) の重々しい扉はぴったりと閉じられている。数人の観光客が残念そうに「閉館」の張り紙を見て帰っていく。今日も祭日モードなのか...

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サン・ピエトロ寺院 Basilica di San Pietro

城壁に沿って東へ。サン・ピエトロ寺院をめざす。私と同じようにバチカン美術館を目指して諦めた旅行客もかなり居るようで、沿道にはそれなり数の人の流れがある。Porta Angelica をくぐってサン・ピエトロ広場 (Piazza San Pietro)に入る。クリスマスなので参拝客が多いのかもしれないが、それにしても人、人、人...。広場の中央には巨大なクリスマス・ツリーとプレセピオが設置されている。オベリスクが霞んでしまうくらい力の入ったプレセピオ。等身大のマリア様やヨセフ、東方三博士など。冬の低い太陽を浴びた列柱(240 本あるらしい)廊と無数の聖人像(144体らしい)。さすがキリスト教の総本山だけあるスケールだ。荷物のX線検査、金属探知機を通過してサン・ピエトロ寺院 (Basilica di San Pietro) へ入る。ほとんどの参拝客はマデルノのポルティコ(玄関廊)から聖堂の中へ入っていく。よく見ると聖堂の北東側鐘塔の下にも短い行列が出来ている。「CUPOLA」と立て看板が出ている。並んでみる。途中で切符売り場があったので入場料 5.00EUR を払う。10分ほど並んだだろうか、係員が「階段で登る人は申し出てください...」と。ルネッサンスに建てられた建物はそんなに高層建築では無いだろうとたかをくくって階段を登る。どこまでもぐるぐると回る螺旋階段を登る。5分近く登っただろうか、やっと出口。明かり取りの中クーポラ・小クーポラが建ち並び、聖人像を背後が見える。側廊の屋根の上のようだ。頭上に大クーポラ(ドーム)が建っている。中へ入る。交差部上部のバルコニーのようなところに出る。遥か下に沢山の参拝客とバルダッキーノ (ペテロの墓所の真上に造られた天蓋 Baldacchino) が見える。このバルコニー、地上から53mの高さがあるらしい。バルコニーを半周回って聖堂内部の様子を見る。上から見る後陣 (Tribuna) のカテドラ・ペトリ (司教座 Cathedra Petri) も小ぢんまりと見える。バルコニーの出口にさらに上に向かう階段が口をあけている。大クーポラの塔頂(ランタン)へ続く階段。狭い階段をしばらく登ると階段壁面が斜になってくる。クーポラの円錐部に無理やり階段を詰め込んでいるので仕方ないのだろう。5分くらいで塔頂に到達。地上120mからの眺めはすばらしい。塔頂の壁面はどこも落書きだらけ。ほとんどがアルファベット系。中国や朝鮮文字もかなりあるが、日本語が少なかったのには少々安心した。宗教施設(それも総本山)に落書きする人間ってキチガイなんですかね...。

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サン・ピエトロ寺院 地上階の概略図
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サン・ピエトロ寺院クーポラ塔頂(ランタン)より
from Cupola of Basilica di San Pietro

大混雑している塔頂から降りる。再び長い階段を通って身廊の屋根へ。土産物屋がある。ありきたりの土産物の中に、「ヨハネ・パウロ2世の2004年カレンダー」がある。2ヶ月ごとに別アングルの教皇のポートレート写真...。月末に「びりっと破って捨てる」なんて出来そうに無い、踏み絵的カレンダー。ポルティコ(玄関廊)上部の聖人像を見に行く。高さは約3.2mらしい。像の背中には避雷針の電線が付けられている。雷に当たったら真っ二つに割れそうな気もするのだが、何百年もこれでOKだったって言うことですよね。エレベーターで地上に降りる。エレベーターの出口は南側の側廊内部のようだ。ココにも巨大なプレセピオが置かれている。聖堂内部を一通り見て回る。彫刻、絵画、墓と盛りだくさん。予備知識を仕入れてじっくり見れば1日あっても足りないくらいの見所がありそうだ。予備知識の多く無い私は1時間ほどで外へ。

聖堂の南西側鐘塔の下にはバチカンの衛兵が交代時間を迎えていた。レオナルド・ダ・ビンチがデザインしたという黄色い制服の上に黒の外套を羽織っている。小ぢんまりと数人で衛兵の交代式。バチカンから外へ。コンチリアツィオーネ通り (Via della Conciliazione) を西へ歩き、サン タンジェロ城 (Castel Sant'Angelo)の前でテヴェレ川を渡る。サン タンジェロ橋 (Ponte Sant'Angelo) の上には露天が並んでいる。露天があるところ、異様に黒人比率が高い。ちょっと怖いね。

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ヴィットリアーノ (ヴィットリオ・エマヌエレ2世記念堂)
Vittoriano

ほとんどの店が休業している道を抜けるとナヴォーナ広場 (Piazza Navona) に出る。広場いっぱいに露天が立っていて、クリスマス用品なども盛大に売っている。広場には大道芸人も出て大混雑。こんなときにスリの被害にあったりするんだよな... と思いながら広場を通り抜ける。なんとなく歩いていると、ヴェネツィア広場 (Piazza Venezia) に出る。巨大な建物ヴィットリアーノ (Vittoriano) がある。確か入ったこと無かったはず。だだっ広い階段を登って中へ入ってみる。入場料は要らないようだ。内部はイタリア共和国の国史博物館。独立戦争や革命などの華々しい(残酷な)ものが無かったようなので、展示物もきわめて文化的な落ち着いたものばかり。(独立戦争や革命が起こった国の建国博物館ならかなり見所あるんだけどね)
ヴィットリアーノの裏側に出ると、フォロ・ロマーノ (Foro Romano) の敷地がすぐ隣だ。大勢の観光客に混じってコロッセオまで行く。コロッセオは既に閉館していた。外からのんびり眺めて、地下鉄に乗ってテルミニ駅まで帰ろうと地下鉄駅の入り口へ。券売機に長蛇の列。結局、テルミニ駅まで歩いて戻る。(20分くらい掛かる)

一旦ホテルに戻り、夕食へ。ローマに来た日に泊まったホテル (Camere Fugetta Mauro) のあるアパート1階の中華料理店 (Ristorante Cinese L'Orientale)へ。店内は団体と思しき中国人で満員。雲呑湯 1.60EUR、菜炒鶏片 3.80EUR、广東炒飯 2.60EUR、白飯 1.00EUR、中国茶 1.00EUR。やはりご飯食は美味しいですね...。

December 27,2003 (Saturday)

Roma(Rome) - ITALY (ローマ、イタリア)

6時起床。6時50分ごろ、鍵を部屋に置いてホテルを出る。(オーナーは寝ているので、鍵を部屋の机に置いて置けばいいと聞いておいた) 外はまだ真っ暗。テルミニ駅へ向かう。駅前広場 (Piazza dei Cinquecento) の大木で沢山のムクドリが鳴いている。一部は真っ黒な雲のように大群で木の周りを飛び回っている。コンコースの切符売り場にはほとんど行列が出来ていない。ローマ空港 (Fiumicino Aeroporto di Roma) までの切符を買う。9.50EUR。券面には 33km となっているので、東京→成田の鉄道料金よりはお得かも...。でもこの国にしては高すぎる価格。コンコース裏側のバールでモッツァレラチーズと生ハム入りサンドイッチ 2.65EUR を買う。駅構内でひときわ離れた場所にある空港急行のプラットホームへ。ホームの付け根には空港と同じく仮設の切符売りカウンターがある。(バールもある)

レオナルド・エキスプレス (Leonardo Express) 3282列車は定刻より2分ほど遅れて7時24分発車。車内は今回もがらがら。ローマ市内をのんびり走り、トラステヴェレ駅辺りからそれなりの速度となる。少し郊外に出ると寒波で霜が降りている。7時50分、ローマ・フィウミチーノ空港駅に到着。列車から降りようとするが、自動扉が故障して開かない。1等車飲みの編成でぼったくっているのに、扉すらマトモに開かないとは...。

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フィウミチーノ空港駅 Stazione Fiumicino Aeroporto
左側はローカル列車、右側は1等車のみの Leonardo Express

屋根付きの歩道橋を空港ターミナルへ向かう。歩道橋の分岐点に航空会社別にどのターミナルに行けばいいか表示している。私の乗る KLM1598 便はBターミナル。チェックイン・カウンターへ。既にチェックインが始まっているようだが、それほど多くの客が並んでいるわけでもない。「窓際」をリクエストするが、あいにく翼の上辺りしか空いて居ない。アルプスを見下ろせるいい機会なのに、残念だ。ちなみにチェックイン・カウンターのお姉さんは日本語を少しだけ話せるようだ。きっと日本人客が多いのだろうね。鉄道の運行は案外適当なイタリアでも、出国審査の後のセキュリティチェックは念入りにやっていた。が、ターミナル内(国外ゾーン)のベランダに出る扉は鍵が開いていて、入り放題。扉を10秒くらい開けっ放しにしておくと非常ベルが鳴るが、「警備員がやってくるわけでもない」。これではセキュリティ確保のために航空券に追加料金を払わされている意味がないのではと思ってしまう。

KLM1598 便は定刻どおりの10時15分出発。B737-400型機の機内は満席。案の定翼の上だが、かろうじて下界が見えるポジション。ローマを発つとイタリア半島の西岸沿いに北上し、ジェノバ上空からスイスへ入る。遥か西にコルシカ島の山々が見え、スイス上空では雲の切れ目から完全に雪に覆われたアルプスが見える。きれいだが、この季節に行きたいとは思わないね...。寒そう。アルプスを越えると曇り。機内食は相変わらずサラダ+カステラのランチボックスとチーズサンド1個。隣の席のお姉さんはオスロまで帰るところらしく、ロッテルダム付近からスキポールへの着陸コースでの景色がどのあたりなのか余り分かっていない様子だった。12時35分、珍しく快晴のスキポール空港着。

Schiphol - NETHERLAND (スキポール、オランダ)

シェンゲン国からなので入国審査は無い。荷物をピックアップして鉄道駅へ。5・6番線のホームへ、列車の出発の笛の音がする。2階建てのIRMが停車している。行き先をよく見ず駆け込む。列車がデン・ハーグ方面へ出発。暖かな日差しの中を Hoofddorp へ向かっている。車内放送 「ホーフドドールプ、ここが終点」。しまった、間違えた。外資系企業のオフィスビルが建ち並ぶ田舎駅に放り出される。プラットホームにはガラス張りの待合所が1箇所あるだけ。すぐにブリュッセル行きの Intercity が猛スピードで通過していく。この駅に停車する Stoptrein は30分くらい後だ。「慣れた駅でも、よく見て乗れ」今日の教訓でした。