モーゼル渓谷とチュニジア旅行記 : アムステルダム、ガベス、マトマタ

※ 未編集の旅行記です

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December 20, 2006 (Wednesday)

Amsterdam - Netherlands (アムステルダム - オランダ)

1晩、フォンデル公園ユースホステルに宿泊し、今日はチュニジアに向かう1日になる。飛行機に乗るのは13時過ぎなので、アムステルダム市内で少しだけ時間をつぶす必要がある。7時起床、7時半に食堂で朝食を食べる。食堂は半分が工事中で閉鎖されていた。

朝の気温は氷点下1℃、最高気温は9℃と、この国としては暖かめの冬の天候だ。5系統のトラムに乗り、終点のアムステルフェーンまで出かけてみることとする。

Tram
Rijksmuseum(08:30頃発)→ Amstelveen, Binnenhof(08:50頃着)
Tram, Line 5, 運賃 4 strippen(1.79EUR, 278円)

トラムはアムステルダムの旧市街を出て、郊外の低層アパートの建ち並ぶ住宅街を走る。通勤時間帯のはずだが、クリスマス休暇の期間なので、車窓から見る道路には通勤する車や自転車がほとんど走っていない。

アムステルダム南駅の高架下をくぐると、大きな郊外道路(パルナスス通り)の真ん中に造られた専用軌道を走るようになる。ここから先は地下鉄51系統と同じ路線なので、停留所ではなく普通の駅に停車する。

20分ほどで、アムステルダムの南に隣接するアムステルフェーンの中心街に到着。誰も歩いていない中心街の広場、人工的な池の向こうには同じ形の立方体のアパートが並んでいる。シンプルなデザインで統一された、まるで未来都市だ。所得水準の高めの人たちが住む郊外住宅街で、日本企業の駐在員も好んで住んでいる場所でもあるそうだ。

駅前にはスタッズハート・アムステルフェーンという巨大なショッピングモールがある。クリスマス休暇の早朝なので館内に客はほとんど歩いていないし、建物内の店も開いていない。

低層アパートが建ち並ぶ住宅街の中を歩き、1駅戻った場所にあるオラニエバーン駅からトラムに乗り、アムステルダムに戻る。

Tram
Amstelveen, Oranjebaan(09:20頃発)→ Leidseplein(09:40頃着)
Tram, Line 5, 運賃 4 strippen(1.79EUR, 278円)

10時頃、ユースホステルに戻る。7時ごろは空いていた食堂が、いまは大混雑している。早起きでない人が多いようだ。ドミトリーの部屋に戻ると、昨晩話したフランス人が窓際の椅子に座って読書していた。冬だから、のんびり室内で過ごすのだろうか。

10時半頃チェックアウトし、ライツェ広場から370系統のバスで空港に向かう。このバスは空港とライツェ広場を最短で結ぶ便利な急行バスだが、いつ乗っても乗客が少ない。経営的に大丈夫なのだろうか…

昨晩、同じドミトリーに泊まっていた(西欧系の)女性が、日本人の女性とともに空港へ行くバスに乗り込んできた。日本人女性は仙台の人で派遣社員をしてるそうだ。これから成田経由で帰るところで、成田に着いてからも国内移動に5時間掛かるとか…

Bus
Leidseplein(10:40頃発)→ Schiphol Plaza/NS(11:10頃着)
Bus 370, 運賃 4 strippen(1.79EUR, 278円)

スキポール空港に着き、自動チェックイン機でチェックインして、カウンターで荷物を預ける。出発エリアに入るセキュリティチェックが厳しく、長い行列ができている。12月初旬に、テロ実行予告があったからなのだろうか…。

Alrline
Amsterdam Airport Schiphol(13:40発)→ Paris-Charles-de-Gaulle(14:55着)
KLM 2009, 日本−チュニジア 往復運賃+諸税 138,650円

チュニジアへは、パリで乗り継ぐことになる。パリでは国内(シェンゲン条約国内)から国際線への乗り継ぎなので、再び厳重なセキュリティチェック。行列も相変わらずだ。

パリを出発した飛行機は、フランスを縦断しカンヌ付近で地中海上空に出る。この1週間、オランダやドイツなど欧州中部は曇りや雨だった。しかし、パリより南のフランス上空は晴天だ。

Alrline
Paris-Charles-de-Gaulle(16:20発)→ Tunis-Carthage(18:55着)
KLM 2176, 日本−チュニジア 往復運賃+諸税 138,650円

Tunis - Tunisia (チュニス - チュニジア)

19時頃、チュニス・カルタゴ空港に到着。ヨーロッパから到着すると、アフリカの空港はどうしても荒んだ感じに見えてしまう。入国審査には大量の客が並んでいたが、10分程度で通過できた。

空港内のATMで、クレジットカードを使い現金をゲットする(150ディナール、13,650円)。市内に行くバスのりばを探すが見つからない。それならば、タクシー乗り場へ。乗車前に値段を聞くと、5ディナール(455円)だという。まだヨーロッパ価格が頭から抜けていないので、とても安く感じる。

TAXI
Tunis-Carthage Airport(19:10頃発)→ Gare de Tunis(19:40頃着)
TAXI, 運賃 6ディナール(546円)

タクシーは空港を出ると、郊外の道をしばらく走ってチュニス市街地に入る。人口70万人の首都だ。賑やかで明るい繁華街を通り過ぎ、すこし薄暗く感じるチュニス駅前の広場に到着。料金は7ディナールだというので、乗車時に提示した金額との間、6ディナールで交渉妥結する。

駅のコンコースは薄暗く、出発案内板には今日出発する残りの2列車だけが表示されている。その2列車は、チュニジア南部の砂漠地帯のど真ん中にある町トズールに行く列車と、私がこれから乗ろうとするチュニジア南部の地中海近くにある町ガベスに行く列車だ。

切符売り場に行き、ガベス行きの切符を購入。1等車の座席で19.7ディナール(1,793円)。

列車の出発まで3時間ほどある。駅の近く、下町を歩く。このあたりは庶民向けの商店などが多いようで、道路は砂ぼこりで覆われ、ゴミが散乱している。外灯も余り無く、かなり薄暗い中を沢山の人が行き交っている。カフェらしき所に入り、カステラのようなパン2個とオレンジジュースで夕食。

たまたま見つけたネットカフェに入るが、接続速度が異様に遅く使い物にならない。15分で0.4ディナール(36円)。

22時少し前、駅に戻る。まもなく、ガベス行きの今日の最終列車が駅に入線する。1等車に乗り込み、適当な席に座る。1等車なのに指定席じゃない…。2等車には沢山の乗客が乗り込んでいったので、始発なのに席に座れない可能性もあるだろう。少し高くても1等車のほうが安心だ。

Tram
Tunis(22:20頃発)→ Gabès(+04:30頃着)
Train 5/91, 1等車 運賃 19.7ディナール(1,793円)

December 21, 2006 (Thursday)

Gabès - Tunisia (ガベス - チュニジア)

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1等車は空いていたので、2席分を占拠して寝る。夜明け前の4時30分、まだ真っ暗なガベス駅に到着。列車から降りた乗客の中に、観光客は私だけのようだ。下車した乗客たちはタクシーやバスで目的地に散ってゆくなか、私だけが真っ暗な駅に取り残される。

私も、とりあえずホテルを探しに駅から東の方へ1kmほど歩いてみるが、こんな早朝に開いているホテルは無い。仕方なく駅に戻り、駅舎の前に寝転んでいるホームレスの横に座り込む。

空が明るくなり始めるまで、2時間ほど駅舎の前で時間を過ごしたのち、再び市街地へ。ガベスの中心市街地は案外小さい。駅の東西1km、南北500mくらいの幅しか無い。歩いて端まで行っても、15分もかからないくらいだ。ロンリー・プラネットでお薦めのホテルに行ってみるが、今日は結婚式の予約があるという。イスラム教国の結婚式は夜中にどんちゃん騒ぎをするので、ここは遠慮させてもらう。 Habib Bourguiba通りに見つけた2軒目のホテル(Hotel Tacapes)に入ってみると、値段は少し高いが部屋が広く清潔だったのでここにする。

荷物を置いて、近所のカフェで朝食。クロワッサンとカフェオレ(0.8ディナール, 73円)。未明から何も食べていなかったので、生き返った気分だ。

Avenue Farhat Hachadを西へ。駅前を通過し市街地の西端付近まで来ると、道が少し広くなった路肩にタクシーが集まっている。ここがタクシー乗り場のようだ。この国では、市街地内を走るのがタクシー、町の間の長距離を走るものをルアージュといって区別している。マトマタ新市街行きのルアージュに乗り込み、乗客が満員になるまで待つ。

TAXI
Gabès(09:10頃発)→ Matmata Nouvelle(09:30頃着)
Louage, 運賃 1.4ディナール(127円)

女性数人、お年寄りの男性が乗車してきて満員になったため、出発。ルアージュ(Louage)と呼ばれる長距離タクシーは、トヨタのワゴン車ハイエース。街を出ると、時速100kmほどの猛スピードで土漠のなかの一本道を南に向かう。

途中、幾つかのオアシス村があるが、降りる客が居ないため猛スピードで通過。25kmほど離れた新マトマタ村に20分ほどで到着。マトマタ村に行くにはここで乗り換えだという。

タクシー乗り場で、すぐ横に停車しているワゴン車がマトマタ村行きだという。それに乗り込んで、また乗客が満員になるまで待つ。30分ほどで出発。

土漠から、少し起伏のある山脈に差し掛かる。15分ほどで、約15km南にある幹線道路が分岐するマトマタ村に到着。

TAXI
Nouvelle Matmata(10:00頃発)→ Matmata(10:15頃着)
Louage, 運賃 0.8ディナール(73円)

Matmata - Tunisia (マトマタ - チュニジア)

マトマタ村は洞窟式住居があるベルベル人の村で、1967年の大雨で洞窟が崩落し多くの住民がガベスや新マトマタ村に移住したことで知られるようになったそうだ。

その後、1977年に公開された映画『スター・ウォーズ エピソード4』で砂漠の惑星タトゥイーンの撮影に使われた洞窟式住居があることで、世界的な観光地になってしまった村だ。

ルアージュを降りたところから見た村は、黄土色の山々に囲まれた盆地のようなところで、村の中心付近に平屋の住宅がポツポツと建っている。少し歩くと、空き地にぽっかりと大きな円形の穴が空いている。その穴の内面に横穴が掘られて、ドアや窓が取り付けられているのが見える。横穴式の住居は、普通は崖の所に造られるはずだ。しかしここでは、地面を掘って崖状の壁を出し、そこから横向きに洞窟を掘るという手間を掛けている。しかしこれでは、大雨が降れば排水できずに一気に水没してしまうだろう。

スター・ウォーズの撮影現場とされる、ホテルSidi Drissに向かう。有名な観光地で、維持費も掛かるだろうに、入場料を取ることはない。ホテルなので泊まる人も居るのかもしれないが、ひっきりなしに観光客がやって来るのでは、落ち着けないだろう。私が見学していた時も、チュニジア人の小学生団体が来て、その次に日本人の団体客。帝国軍の襲撃ではないが、これら団体は舐め回すように撮影現場跡を見てすぐに去っていく。

洞窟式住居の室内は、確かにルーク・スカイウォーカーが居候していたラーズ家のシーンそのものだが、外に出ると地平線が広がる「砂漠の惑星」ではなく、クレーターのような穴の対面の壁が見えるというガックリ観光地かもしれない。もちろん、地上に出ても地平線まで砂漠ではなく、すぐ隣の住居の白壁が見えてしまうという現実もある。

もっと、ちゃんと観光地となるように整備して、スター・ウォーズの世界に没頭できるようなとろこになってほしいと思う。

ルアージュ乗り場の横に、日本人団体が乗ってきたと思われる観光バスが停車している。trapicsと書いてあるので、格安ツアーだ。惑星タトゥイーンには(ルークのように)一人で苦労して来るからこそ感動があるのであって、冷房の効いたバスで団体旅行で来たのではあまり感動はしないのではないだろうか。

ルアージュに乗り来た道を引き返し、ガベスに戻る。

TAXI
Matmata(11:15頃発)→ Nouvelle Matmata(11:25頃着)
Louage, 運賃 0.8ディナール(73円)
TAXI
Matmata Nouvelle(12:05頃発)→ Gabès(12:20頃着)
Louage, 運賃 1.4ディナール(127円)

Gabès - Tunisia (ガベス - チュニジア)

タクシー乗り場でルアージュを下車し、歩いて駅近くに行きカフェに入る。昼食にチキンのグリルを食べる(2.5ディナール, 227円)。コーラは0.5ディナール(46円)。

食後、市街地の中心部を見て歩く。観光客向けのものは少なく、ほとんどは地元住民のための雑貨店や工事業者など。かなり広い範囲に13万人が住んでるので、中心市街地としては一通り商売の業種が揃っているのだろう。ネットカフェもあり、入ってみるとネット接続速度が遅すぎて使い物にならないレベルだ。1時間で2ディナール(182円)だった。

ガベス市街地には特に見るべきところもなく、ロンリー・プラネットでは「チュニジアで最も汚染された場所」とも表記されている。砂漠に隣り合っていて砂ぼこりがひどく、貨物船が着く港があるので車がひっきりなしに通り空気も悪い。条件が悪すぎるのだ。

では、市街地の北に広がるナツメヤシ畑は風光明媚ではないかなと思い、見に行ってみる。ホテルの前の道をどんどん北へ行くと、5分ほどで街の外れになる。どぶ川のような細い川が市街地とナツメヤシ畑を区切っている。向こうには青々としたナツメヤシが生い茂っている。このヤシ林は誰かの畑なのか、街を取り囲む無主の地なのか…。どぶ川に沿った道にはゴミが散乱し、お世辞にも「風光明媚」とは言えない。川の横で、ペットボトルにガソリンを詰めて売っている人が居る。ガソリンは引火性高いんだから危ないだろ…。

夕食はカフェでケバブとソーダ水(2.4ディナール, 218円)。

Hotel
Hotel Tacapes
104号室 ツイン 28ディナール(2,548円)/1泊