モーゼル渓谷とチュニジア旅行記 : スファックス
※ 未編集の旅行記です
December 22, 2006 (Friday)
Gabès - Tunisia (ガベス - チュニジア)
ガベス市街地のHotel Tacapesに宿泊した。夜は通りを走る車の音がうるさく、よく眠れなかった。7時起床。ホテルは「朝食付き」なので、食堂に行くとフランスパンをスライスしたものとコーヒーが出てくる。これだけですか…。
今日はスファックスに移動する予定だ。列車なら11時15分発だが、それよりも早い時刻にバスがあるはずだ。ホテルをチェックアウトし、まずバスターミナル（Gare routière）に向かう。
バスターミナルの中に入ると、大きな時刻表が掲示されている。アラビア語のみ…。『الوصول』（アルウスル＝到着）と『الانطلاق』（アルアンティラク＝出発）は大きな字なので辛うじて読める。スファックス（صفاقس＝スファッキス）という行き先が… あるにはあるが、その後に謎の地名がずらっと並んでいる。朝6時台から、30分に1本くらいの頻度で走っているようだ。しかし、どこを経由するかによって所要時間が変わってくるので、実際にバスを見てみようと道路に出る。
バスは見当たらず、乗り合いタクシー「ルアージュ（Louage）」が大量に並んでいて、スファックス行きの呼びこみをしている。バスではなくルアージュが30分毎に走っているようだ。呼び込みの声は「スファックス」としか言っていないし、車のフロントガラスにも他の地名は書かれていない。経由地無しと推測し、切符売り場でルアージュの切符を買ってきて乗車する。今回の車は、三菱のワゴン車デリカスターワゴンだ。30分ほど客集めに時間がかかり、9時15分にガベスのバスターミナルを出発。
Louage, 運賃 7.05ディナール（642円）
ルアージュは土漠の中の道を、時速100kmくらいでぶっ飛ばしていく。3箇所位、大きめの町の中を走る時だけ減速しただけだ。およそ150kmほど北にあるスファックスまでの所要時間は2時間ほど。ただし、スファックス市街地で渋滞に引っかかったため、道が空いていれば1時間半くらいでたどり着けるのではないだろうか。
Sfax - Tunisia (スファックス - チュニジア)
スファックスは、首都チュニスに次いで2番めに大きな都市で、人口は約30万人。ローマ帝国時代のアフリカ属州に築かれたTaparuraという町を起源としている。
ルアージュは、旧市街から800mほど南西にあるルアージュ・ステーションに到着した。埃っぽい幹線道路を15分ほど歩いて旧市街（メディナ）へ。旧市街は高い城壁に囲まれていて、地中海の方向に開いている南門がディワン門だ。旧市街と港の間には、新市街の繁華街がある。まず、この繁華街にあるホテル2軒を訪問してみるが、1泊30ディナール台で割高だ。では、旧市街ではどうだろうかと、ロンリー・プラネットを参照する。最もお薦めのホテルは、旧市街の北の端付近にあるようだ。
ディワン門から旧市街に入る。不思議な角度で交差する路地、ごった返す商店街状態の路地。何度も方向を見失いそうになりながらも、20分ほどかかって北端にあるジェブリ門付近に到達。門のそばには調理用具を扱う店が集まるスーク、少し行くと豆や穀物を扱う店が並んでいる。目指すホテルは、そこにあった。
1泊15ディナール（1,365円）で、共同トイレ＆シャワー。部屋は商店街に面した2階で、窓を開けると日除けの間からお店に並んでいるデーツや香辛料、ティッシュペーパーや洗剤類がよく見える。こちらの人たちは案外静かに買い物をするようで、商売繁盛している昼間でも全くうるさくなく、十分お昼寝が出来る快適な部屋だ。
とりあえず、シャツとジーンズを洗って屋上に干す。砂漠気候で超乾燥しているのですぐ乾くだろう。
ちょうど12時、そこら中のモスクからアザーンの声が響いてくる。今日は金曜日で聖なる礼拝の日だから、ひときわ大きい音量で放送しているのかもしれない…。アザーンを聞きながら、ホテルの屋上から旧市街をぼんやりと眺めるのもいいものだ。
午後は旧市街を探索する。ホテルを出て南のディワン門の方へ。来る時と違って、最短コースを進む。実用的な（ペルシャ絨毯ではない）絨毯を売る店や衣類を売る店が集まる地区を通る。ウエディングドレスを売る店が集まる地区もある。ウエディングドレスって、そんなに需要があるものなのだろうか…。
モロッコでこの手の旧市街（メディナ）を訪問した時は、荷物を運ぶロバを見かけることが多かった。しかし、チュニジアでは人が運んでいる。お国柄なのか、衛生上の問題なのか…。
ディワン門の東側にあるレストランに入り、チキンのロースト（1/2匹分）を食べる。5ディナール（455円）。イスラム圏はチキン料理が美味しく、外れがない。
新市街も見に行ってみる。5階、6階建てのアパートやオフィスビルが建ち並んでいる。近代的で綺麗な町並みに見えるのだが、近づいて見ると、道路と建物・歩道の継ぎ目が所々で剥がれていたり、隙間が開いて砂利道だったりという「一部手抜き」も目立つ。
旧市街に戻り、その南西角にあるカスバを見に行く。カスバ（قَـصْـبَـة）は砦とか要塞と言う意味で、スファックスでは沿岸を通過する船を監視するための施設として9世紀頃に造られたそうだ。入場料は2ディナール（182円）。旧市街で使われていた古い建築材料などが展示された博物館だ。見どころは、城壁の一番高い部分から見る景色だそうだが、泊まっているホテルの屋上から見るのとあまり変わりないような…
夕食を食べようと、旧市街の中をさまようが、昼間に営業していたレストランはことごとく閉まっている。ケバブ店を見つけたので、そこで夕食。ケバブとソーダ水で2.6ディナール（237円）。
夕方になっても旧市街の内外の人通りはそれなりにあるが、18時を過ぎると食品や雑貨を売るお店はほとんどが閉店してしまう。ホテルの部屋に戻ると、周囲の店が全て閉店して人通りもなく、完全な静寂が訪れている。旧市街には車も乗り入れてこないので、本当に静かだ。
気象観測データでは、12月22日の最高気温は17℃、翌日朝の最低気温は7℃だ。夜は段々と冷え込んできて、いつ洗ったかわからないレベルの毛布をかぶって寝るが、寒い。
2階 ツイン 15ディナール（1,365円）／1泊
December 23, 2006 (Saturday)
街中のモスクから大音響で放送されるアザーンで目覚める。だいたい6時半頃だろうか。昨日の夕方、新市街のスーパーで買ったケーキとジュースで朝食。
7時半過ぎ、うろこ雲の空に朝日が登ってくるのを、ホテルの屋上で眺める。ホテル受付の兄ちゃんに、今夜の1泊分、15ディナール（1,365円）を払ってから観光に出かける。今日は特に予定もなく、スファックスを見て歩くだけだ。
8時半、ホテルの周囲の商店は、まだほとんど開いていない。小型車が荷物を満載して狭い路地を走っている。ロバではなく、早朝に車で商品を運び込んでいるんだ。商店で働く人たちだろうか、旧市街の外から続々と通勤客が歩いてきている。旧市街は商売の場所であって、住居は新市街の瀟洒なアパートなのだろう。
新市街の郵便局へ行き絵葉書（3ディナール）と切手（0.7ディナール）を買う。郵便局には次々と顧客がやって来て、係員から郵便物を受け取っている。係員の後には、私書箱だろうか、小さな区切りのある棚に大量の郵便物が置かれている。
鉄道駅へ。明日、スースに行く列車について調べに行くが、駅は無人で窓口も開いていない。
近くのネットカフェに行き、情報収集。明日は雨の予報だが、1日だけでやむようだ。
スファックスとスースの間、ここから60kmほど北にあるエル・ジェムに日帰りで行くため、ルアージュ・ステーションに行く。エル・ジェムは、ローマ帝国時代の3世紀に造られた円形闘技場があることで有名だ。
エル・ジェム行きだというルアージュに乗り込み、客集めが出来るまで車内で45分ほど待つ。車はやっと出発したかと思うと、市街地の外れで運転手に携帯電話で呼び出しが掛かり、再びもとのルアージュ・ステーションに舞い戻ってしまう。
時刻は13時を過ぎたところだ。このままズルズルと出発時刻が遅くなれば、戻ってくるルアージュが見つからない可能性もある。で、行くのをあきらめる。運賃は、返してくれない。300円程度でもめるのも嫌なので、あきらめる。
Louage, 運賃 3.6ディナール（328円）
昼ごはんは新市街のケバブ屋で、ケバブ（2.6ディナール, 236円）とファンタ（1ディナール, 91円）。旧市街（メディナ）の南側にある新市街は、旧宗主国のフランスの町並みを目指したのだろう。しかし、私有地と公有地の間の隙間が砂漠状態でほったらかしで、そこから砂が道路に撒き散らされ埃っぽい。建物と道路の間の段差もひどいもので、50cmくらいの崖になっているところもある。建てかけのビルは、竹ひごのような細い柱で各階の床を支えているのが丸見えで、レンガで形だけの外壁を造っても、強度は全く無いだろう。地震が起きない国だから、こんなもので大丈夫なのか。
新市街にある考古学博物館へ。入場料は2ディナール（182円）。古代ローマ時代のモザイク床や陶器などが展示されていて、たしかにこの都市がローマ時代の起源を持つことがわかる。
夕食は、昨日の昼食を食べた店でチキン・ローストを食べる。チキン1/4匹分で3ディナール（273円）。夕食の時間帯より少し早め、旧市街の店が閉まる前に駆け込みで入店した。
昨日の夜はとても寒かったため、家庭用雑貨のお店で暖房用に小型の電熱器を買う。小さいヤカン用なのだろう。値段は5ディナール（455円）。旧市街のスークは何でも売っているから便利だ。この商品200V 50Hz, 300Wと書いてあるが、ニクロム線のヒーターなので周波数は意味無さそうだ。単に書きたかったのかな…。
今日の夜は、電熱器で暖房だ。たった300Wだが、部屋はぬくぬくで快適だ。電気のありがたさを思い知る。
2階 ツイン 15ディナール（1,365円）／1泊
