1997年 香港返還旅日記 Hong Kong Handover : Part 1/2

June 27, 1997 (Friday)

香港返還(英語:Hong Kong Handover,広東語:香港主權移交,北京語:香港回歸)が行われる。香港の施政権がイギリスから中国に移管される歴史的行事に立ち会えるまたとない機会、旅人なら行かねばならない。1年以上前から予約など行ってきた待望の旅だ。

待望の旅にふさわしく、初めてJALの国際線に搭乗する。定員が400人近くあるボーイング747の機内に、たったの50人くらいを“満載”し関西空港を飛び立つ。つい半年前には、ホテルの予約も含めて行くのが困難なくらい人気ではなかったのか。以前から日本人に対して割高料金をふっかけていた香港商人が、香港返還に合わせてホテルやら何やらの予約料金をぼったくるからキャンセルが増えたのか、重複申し込みしていた日本人が重複分をキャンセルしたからなのか。どうでもいいが、各種報道機関が言っていたようには人気が無いようだ。

JAL701便は、沖縄付近にある巨大台風を避けて西寄りのコースを取り、台湾の西岸を飛ぶ。中国と台湾が対峙している台湾海峡上空だ。大丈夫なのか。

Air
関西空港(10:00発)→ 香港, 啓徳空港(12:50着)
JL701

Hong Kong - Great Britain (香港 - 英国植民地)

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九龍公衆碼頭より 対岸の中環・灣仔

啓徳空港に到着し、飛行機からタラップを降りると「むわ~っ」と熱気が襲ってきた。気温30度以上、湿度90%以上の猛暑である。この季節は観光には向きそうにない。冷房の効いた通天巴士(エアポートバス)に乗り尖沙咀で下車(運賃12.8香港ドル, 192円)。重慶大厦に行くまでもなく、安宿の客引きがやってきた。重慶大厦の隣の美麗都大厦の13Fの安宿に連れて行かれる。同行したK氏は安宿派でないので一番マシな部屋を要求すると、電子ロック付きの海の見える窓際の冷房・TV付きの部屋に通される。価格は通常価格の倍の“回帰”価格で1泊め300香港ドル、2泊め以降400香港ドル(いずれも1人あたり)という超破格値である。日本円で1泊4500円~6000円という高額商品だ。

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香港博物館 南京条約の複製

荷物を部屋に残し、九龍公園で気温と湿度に体を慣らした後、香港歴史博物館に涼みに入る(入館料10香港ドル, 150円)。中国と英国の香港租借契約の写しが展示されている。こんな紙切れ1枚で、100年間もの長期にわたり植民地にされていたとは驚きだ。

夕食は油麻地で安食堂に入る(45香港ドル, 675円)。帰りは、急に降ってきた豪雨を避けるため、空調付きの巴士で帰る(運賃5香港ドル, 75円)。

Hotel
九龍大旅館
300香港ドル(4,500円)/1泊(2人部屋)

June 28, 1997 (Saturday)

Macau - Portugal (澳門 - ポルトガル海外県)

Ship
香港、中環 港澳碼頭(11:45発)→ 澳門, 港澳碼頭(12:45頃着)
噴射船 頭等(1等)運賃 153 香港ドル
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中環 西港城前を走るトラム

99年、香港同様に中国に返還されるというポルトガル領の澳門(マカオ)に行く事とする。尖沙咀の中国旅行社が土曜休みだったので、海峡を渡る天星小輪(運賃2.2香港ドル, 33円)に乗って直接中環の港澳碼頭(フェリーターミナル)に行く。澳門路線は混雑しているようで、2時間後の切符がなんとか取れる。出発までの間、港澳碼頭に隣接したショッピングセンターのフードコートで昼食(15香港ドル, 225円)。11時45分、噴射船(ジェットフォイル)は香港を出港。青馬大橋(将来の空港連絡橋)の下をくぐり、来年開港する新しい香港国際空港の横を通り過ぎ、約1時間で澳門に到着。青馬大橋はバスツアーでなくても十分堪能できる。

97年末に倒産したヤオハンデパート前を通って、K氏の目的である澳門大賽車博物館(グランプリ博物館)に入場。入場料は10パタカ(150円)。K氏によれば、澳門の市街地で自動車レースを毎年やるらしい。隣のポルトガルワイン博物館でワインを飲んだ後、小雨の澳門市内を傘も差さずに濡れながら中心部を歩く。

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珠海 拱北口岸検査大楼(国境検査場)

少し南欧風の建物のあるセナド廣場を通り過ぎ、売春婦のたむろする地域をすぎた大通りの突き当たりでバスに乗る(運賃2.3パタカ, 34円)。バスは、澳門の市街地を北上し、アパート群の立ち並ぶ中国国境に到着。たくさんの人が中国との間を行き来している。ビザは持っていないが、その場で発行してもらえると思い、澳門を出国。両国の国境を通過すると、中国の関門まで15分以上歩かなくてはならなかった。中国の入国審査で、ビザはないと発言すると、奥の部屋に連れてゆかれた。国境検査官の女性に、澳門の関門のすぐ手前の中国の第1建物で一時ビザを発行してもらえると教わる。また、15分近くかかって戻り、第1建物の3Fで珠海のみ訪問可能な一時ビザを申請。料金は100香港ドル(1500円)。先に並んでいたフィリピンから来た家族連れより、私達のビザのほうが早く発行される。なんでだろう…。少し悪いなと思う。中国の入国審査では、パスポートのさまざまなデータをコンピューターに入力され、何も不備は見付からなかったらしく無事中国入国。

Zhuhai - China (珠海 - 中国)

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珠海 拱北汽車站と市場の間の道(蓮花路)

香港より香港らしいというか、何となく「田舎っぽい」ところが香港らしいと感じてしまう珠海の町だ。市場をうろちょろした後、それなりに高級な中国料理店に入る。入り口には中国服のきれいなお姉さんが案内係りとして立っている。魚と豆腐のスープと野菜炒めで飲茶とする。中国茶が何ともいえずおいしい。スープの具や、いためものはウエィトレスが取り分けてくれるし、お茶が少し減ればすぐに注ぎ足しに来てくれる非常にサービスのいい店だ。これで1人51人民元(714円)。香港に比べれば安い。

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九龍公衆碼頭の電飾

くつろいでいるうちに、いつのまにか17時。噴射船の出港は18時だ。急いで国境へ、中国関門を抜け、澳門関門の行列に10分ほど並び、澳門関門のバス停に着いたのは17時30分。港澳碼頭行きのバスは約30分かかって港澳碼頭に到着。出港まであと5分。だめかもしれないが、とにかく走った。チェックインし、出国審査に少しだけ並び、噴射船に乗り込んだのは出港数秒前というきわどい時間だ。

噴射船ではあまりの疲れでぐっすり寝てしまった。

Ship
澳門、中環 港澳碼頭(18:00発)→ 香港, 港澳碼頭(19:00頃着)
噴射船 経済(2等)運賃 139 香港ドル
Hotel
九龍大旅館
400香港ドル(6,000円)/1泊(2人部屋)

June 29, 1997 (Sunday)

Hong Kong - Great Britain (香港 - 英国植民地)

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九龍寨城公園

9時に重慶大厦前でM氏と待ち合わせをしたのだが、現れず。香港出発前日に電話すると、香港での待ちあわせ日時が違っていた(週末を金曜とするか土曜とするかの違いみたいなもの)。その重要な電話会談で待ち合わせ場所を再設定したので、間違いはもうないはずだったのだが…。旅先で待ち合わせて、会える確率がまた下がってしまった。

とうとう取り壊されたという九龍寨城跡地を見に行ってみる。尖沙咀からバスに乗り、九龍城で下車(運賃3.3香港ドル, 50円)。あれほどまでにぐちゃぐちゃと立ち並んでいた建物群が、すっかりなくなり公園となっている。公園の角には巨大なデパート(九龍城廣場)までできているではないか。寨城の核(コア)の部分が”発掘”され、博物館として展示されている。九龍寨城公園の南側は飲食店・食料品店・雑貨店・街工房がぎっしりと軒を連ね、すれすれの上空をジャンボジェットが通過する。飛行機も来年になれば見られなくなり、この場所の魅力もまた少し減るだろう。

地元の人でにぎわっている安食堂に入る。「…肉麺」と書かれた麺を注文すると、やきそばの上に多種多様の内臓が山盛りのものが来る。私は内臓が大の苦手であるが、仕方ないので食べる。K氏によれば、日本で食べれば高級な種類の内臓らしい。食事代は34香港ドル(510円)。

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軍営前岸壁より、HMS Chathamと灣仔の高層ビル群

同じ経路をバスで戻るのも面白くないので、九龍寨城公園のずっと向こうにある地下鉄楽富駅まで歩く。日本の20年ぐらい前にはやったようなデザインの高層マンション群に分け入り、ジャスコ(吉之富)の下が地下鉄駅だった。香港島の天后駅まで12.5香港ドル(187円)。

午後は、K氏がビクトリア公園に行こうという。中国返還後は中央公園と名前を変えるという噂だ。ビクトリア公園から香港名物2階建てトラムに乗り、灣仔へ(運賃1.6香港ドル, 24円)。ビクトリアピーク(これも名前を変えるのだろうか)のトラムは長蛇の列なので明日にする。港に、英国海軍のフリゲート艦HMS Chatham号が留まっている。その向こうの岸壁には、英国王室船が停泊している。岸壁のそばの道路に人垣ができているので、何事かと思えば、パッテン総督が式典から帰るところだった。

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和平記念碑に英国国旗と植民地旗が掲揚される

夕食は、佐敦でぼったくりを覚悟でそれなりに高級な海鮮料理店に入る。店先にある水槽で、魚や海老などを指差して注文するようなところだ。その中で、しゃこのフライはからについた味付けはおいしいのだが、どのように身を食べるのか分からない。殻をなめまわせということか。価格は1人あたり274香港ドル(4110円)という超高級な料理である。あとにも先にも、この274香港ドルの食事を除いて、1食の最高価格は50香港ドル(750円)前後を超えないのが私の旅のスタイルだ。あぁ、贅沢をした。

Hotel
九龍大旅館
400香港ドル(6,000円)/1泊(2人部屋)