アドリア海沿岸と中欧の旅 : プリトヴィツェ, ザダル
※ 未編集の旅行記です
September 26, 2005 (Monday)
Ljubljana - Slovenija (リュブリャーナ - スロベニア)
リュブリャーナ郊外のユースホステルに2泊。今日はクロアチアのプリトヴィツェに向かう。6時15分に起床し、昨日スーパーで買ったパンとハムなどで朝食。7時にチェックアウト。
今日も昨日と同じく霧が深い朝だ。バス停に向かう途中、運悪く9系統のバスに追い抜かされる。次のバスが来るまで、20分ほど待つ必要がある。今日は平日なので、バス停にたくさんの通勤客が集まってきている。さすが、高層マンションが建ち並ぶ新興住宅地だ。
Emona(07:20頃発)→ Ljubljana, Kolodvor(07:45頃着)Bus, Line 9, 運賃 190トラール(108円)
バスは朝の渋滞に巻き込まれ、途中からノロノロ運転となるが、余裕を持って駅に到着。8時35分発のベオグラード行きの列車がそろそろ入ってくる時間となり、プラットホームで待つ。ほかにも30人ほどがこの列車を待っているようだ。しかし、いつまでたっても列車はやって来ず、出発時間が過ぎても何のアナウンスも無い。周囲の人は100分遅れとか話している。駅の事務室に行き聞いてみると、1時間後に出発する各駅停車で国境の町まで行けとのこと。
Ljubljana(09:50発)→ Dovoba(11:45着, 11:50発)→ Zagreb(12:30頃着)Local Train → Eurocity 157, 運賃 2,781トラール(1,585円)
9時50分、クロアチア国境まで行くローカル列車がやって来る。駅に停車しているおんぼろ車両と違い、最新式のドイツの車両「デジロ」(SŽ 312系)だ。
最新列車での快適な旅、車窓からは線路横に見えるキロポストが500kmくらいからどんどん減っていく。昔、ユーゴスラビアだった時代にベオグラードから割り振られた距離だろうか。山岳地帯を抜け平地に出ると、まもなくクロアチアとの国境の村ドボバに到着。ここでウィーン発ザグレブ行きのEC157に乗り換え。地下道を通って向かった隣のプラットホームに、ユーロシティの6両編成が滑り込んでくる。
列車に乗り込むとすぐに出発。入国審査官がやって来てパスポート検査があった。これでスロベニア出国だ。列車はノロノロと国境を越えクロアチア側の最初の駅に停車。今度はクロアチア側のパスポート検査がある。国境を抜けて快調に20分ほど走ると終点のザグレブ中央駅だ。
ザグレブにも6年前に来ているので、土地勘は若干ある。駅構内のATMを使いクレジットカード・キャッシングで現金をゲット。3600クーナ(66,240円)。通貨の換算間違いをして、多量に現金を引き出しすぎた…
駅を出て右へ(東へ)。6年前に泊まったセントラル・ホテルが通りの向こうに見える。駅の施設に沿ってどんどん東へ行くと、およそ1kmで線路の下をくぐる大通りがある。大通りに沿った線路の南側がバスターミナルだ。切符売り場に行き、プリトヴィツェに行くバスの切符を買う。バスは1時間に1本ほどあり、ザダルやスプリトなどアドリア海沿岸の街に行くバスなら途中で降りれば良いとのこと。
バスの出発まで、売店でパンとミネラル水(16.5クーナ, 303円)を買って昼食とする。
Zagreb(13:30発)→ Plitvička Jezera(15:45着)Bus, 運賃 66.6クーナ(1,225円)+荷物 6クーナ(110円)
13時30分、スプリト行きバスに乗車する。車掌が回ってきて、プリトヴィッツェには3つバス停があり、どこで降りるのか聞いてくる。インフォメーションがあるところ、ホテルがあるところ、ともう一箇所らしい。ホテルがある所で降りることとする。
バスはカルロヴァツまで1時間ほど高速道路を走り、そこからは片側1車線の国道1号線を走る。遅い車があると、なかなか追い越す場所がないため、ノロノロ運転の車が数珠つなぎになる。道はディナル・アルプス山脈のなだらかな丘を避けるように、右へ左へカーブしている。
プリトヴィッツェの20〜30km手前より、道路沿いにペンションが増えてくる。GPSマップで現在地を確認しながら、降りるバス停を見計らう。降車客が居ないので、国立公園のインフォメーション・センターがあるPlitvička Jezera, Entrance 1バス停を通過する。2つ目のEntrance 2が近づいてきたので、運転手に降車を伝える。
Plitvička Jezera - Croatia (プリトヴィッツェ湖 - クロアチア)
バス停は森の中の国道にぽつんと立っていた。周囲を見回しても、樹木ばかりだ。道路に分岐があり、「Plitvice Hotel →」の看板がある。ロンリー・プラネットではホテルは3軒あり、その中で一番安価な所に行ってみる。レセプションで泊まれるか聞いてみると、幸運にも1部屋だけ空いているという。部屋に荷物を置き、国立公園へ。
ホテルのすぐそばにある国立公園の入場口へ行き、2日券(95クーナ, 1,748円)を買う。係員に、これから見学するならどのコースが良いか聞いてみる。ボートに乗り最上流まで行き、そこから歩くかシャトルバスで戻ってくるとちょうど閉園時間くらいだそうだ。
入場口の目の前にあるボート乗り場「P1」から、船で対岸「P2」に渡る。森の中に点在する小さな池の間に木道が造られていて、その上を歩いて行く。全くにごりのない透明な池、斜面から流れ落ちる滝、まるで空中を泳いでいるように見える透明な池の中の魚。
湖のある谷の両側の山から流れ落ちてくる滝だけでなく、段々畑のように少しずつ高さの違う池の間を流れ下る滝。滝だらけです。夕方の低い太陽が、黄色く色づき始めた森の木々を照らしている。見学するための道は、池の周囲の道も、湿地の中を突っ切る木道も、ほとんど平ら。老人や子供でも簡単に周遊できるようになっている。
Gradinsko湖、Galovac湖、Okrugljak湖と上流に向かって遊歩道を歩いて行き、最上流のProšćansko湖までやって来る。太陽は山の向こうに沈み、だんだん薄暗くなってくる。この辺りまで来ると、観光客はほとんど見かけず、静寂が辺りを支配している。
Okrugljak湖の湖畔にあるシャトルバス乗り場「ST3」からバスに乗り、入場口まで戻る。辺りはすでに暗くなっている。1軒だけあるカフェテリアPoljanaで夕食。ビーフシチュー、ポテトサラダ、スプライトで57クーナ(1,048円)。夕食の時間だが、ほとんどお客さんが居ないということは、たいていの観光客は車で来てるのでここには泊まらないのだろう。
Hotel Bellevue235号室 295クーナ(5,428円)/1泊
September 27, 2005 (Tuesday)
夜中、窓に雨がたたきつけるくらい大雨が降ったようだ。6時15分に起きて外を見ると、晴れているようだ。食堂に朝食を食べに行く。日本人がかなり居るが、ツアーの団体客なのだろうか。
食後、早速国立公園の見学に出かける。昨日の夕方は入場口から上流の湖を見たので、今日は下流側の湖を巡ることにする。入場口の係員に聞くと、シャトルバスは8時15分からなので、15分以上待つのなら歩いて行くほうが良いとのこと。
景色を見ながら、Kozjak湖の最も下流まで歩く。そこから湖の西側に注いでいるVeliki slap(大滝)が見える。落差は78mあるそうだ。大滝の横を通り過ぎ、湖の西側の山を登り、中腹をトラバースする遊歩道に出る。この道は、湖を見下ろしながら歩くことが出来る。太陽がだんだん高く昇ってきて、谷間の深いところにも日が射すようになる。バックパックを背負ったカップルを見かける。国立公園内にキャンプサイトがあるのだろうか。2時間ほどかけてKozjak湖の周りを1周まわって、入場口の対岸にある船着場「P2」に戻ってくる。
10時過ぎ、国立公園を出てホテルに続く緩やかな坂道を歩いていると、リュブリャーナのユースホステルで同室に泊まっていた日本人男性が向こうからやって来るのが見える。彼がホステルに忘れた眼鏡を預かっているので、ホテルの私の部屋まで来てもらい引き渡す。
彼はこれからプリトヴィッツェ国立公園を見学して、今日中にザダルまで行くとのこと。おそらく、ザダルのユースホステルでまた会うことになるだろう。私の持っている国立公園の2日券はまだ有効なので、彼に渡す。
ホテルをチェックアウトし、バス停へ。昨日、このバス停で降りたのは15時45分だった。1時間毎に走っているとすると、毎時45分前後にバスが来るはずだ…。 と早着を期待して待ってたら、「時刻表」通り10時55分にバスがやって来た。
Plitvička Jezera(10:55発)→ Zadar(13:50着)Bus, 運賃 79クーナ(1,454円)
バスに乗っていた乗客は数人。好きな席を選んで座れる。出発してすぐに、Bjelopoljeのドライブインで昼食休憩となる。40分ほど停車していたので、周辺を散歩する。国道には、ヒッチハイクの若者がいつ停まってくれるとも分からない車を待っている。バスの乗客の女性が、連れている可愛い犬を駐車場で散歩させている。のどかな時間が過ぎ去っていく
ディナル・アルプス山脈は山脈と平原が幾筋も平行に走っている。内陸のプリトヴィツェから海岸沿いのザダルには、これらを越えていくため、山道と平原の道が交互に現れる。
ザダルに到着する1時間ほど前、最後の山脈の峡谷を通過する。深い峡谷をトラバースしている道からは、絶景が望める。道路は海に向かって一気に下って行き、途中で揚水発電所(Velebit揚水発電所)の導水管が道路の上を横切っている所もあった。
Zadar - Croatia (ザダル - クロアチア)
14時前、ザダル郊外のバスターミナルに到着。閑散期だからか、民宿の客引きは全く見かけない。ユースホステルに向かうため、バスターミナルから市バスに乗る。
Zadar, Autobusni Kolodvor(14:00頃発)→ Puntamika(14:20頃着)Bus, Line 5 or 8, 運賃 ? クーナ(? 円)
市バスはかなりの距離を走り、終点は旧市街対岸のマリーナにあるバス停だ。このマリーナに面して、ユースホステルがある。レセプションに行くと、かなりの数の団体客がラウンジに居るのが見える。混雑しているようだが、今晩泊まるベッドは確保できた。
荷物を部屋に置いて、旧市街の観光に出かける。市街地中心方面へ向かうバスに乗り、旧市街橋(Gradski most)の袂でバスを降りる。
Puntamika(15:10頃発)→ Mala Posta(15:20頃着)Bus, Line 5 or 8, 運賃 ? クーナ(? 円)
ザダルは、古代イリュリア王国の都市ヤデル(Jadera)が起源。紀元前1世紀にはイリュリア戦争の結果ローマ領となりイリュリクム属州の一部となる。ローマ帝国崩壊後は、長くヴェネツィア共和国に支配され、その後オーストリア帝国領、ユーゴスラビア領と変遷した街だ。現在残っている旧市街には、古代ローマ時代のフォルム跡地、ヴェネツィア時代を中心とする中世に建てられた大聖堂や修道院、半島の「陸側」に設けられた城壁などがある。
バスを降り、陸地と半島を隔てる入江に架かる旧市街橋(Gradski most)を渡る。旧市街はヴェネツィア共和国時代に強化された城壁が延々と続いている。旧市街橋を架けた時に新たに造ったと思われる門(Bridge Gate)を通り抜け旧市街に入る。まっすぐ進むと、いかにも社会主義国的命名の人民広場(Narodni trg)があり、ヴェネツィア共和国時代の見張り台兼時計塔Gradska stražaなどが建っている。
旧市街の細い道は、古代ローマ時代の街路をそのまま引き継いでいるらしい。残念ながら、沿道の多くの建物は20世紀以降に建て替えられたアパートや雑居ビルばかりだ。しばらく行くと、古代ローマ時代のフォルム跡の広場がある。フォルムはほぼすべてが建築材料として略奪されていて、数本の円柱が残るのみ。そのフォルム跡は、鐘楼があるザダル大聖堂、円筒形のドナトゥス教会、ロマネスク様式より古い時代の聖マリア教会など、中世に建てられた教会に取り囲まれている。ここが、この街での見どころかな…。
古代ローマ時代の浮き彫りが残る海の門(Morska Vrata)を見てから、次は旧市街の東端にある要塞とPetra Zoranića広場を見に行く。ヴェネツィア共和国時代の砦は、木が植えられ公園になっている。この砦が旧市街の半島と陸地を隔てるバリアなので、まるで星形要塞並みの何重もの角堡が築かれている。
夕方になると雲が晴れて、夕焼けが旧市街を照らすようになる。夕食は旧市街のレストランでシーフード・リゾットを食べる。63クーナ(1,159円)。海沿いの街ならではの料理だ。
Mala Posta(19:10頃発)→ Puntamika(19:30頃着)Bus, Line 5 or 8, 運賃 ? クーナ(? 円)
バスに乗り、ユースホステルに戻る。受付を通った時に、私宛にメッセージが入っていた。プリトヴィツェで再会した日本人からで、『1号室に泊まっている』とのこと。同じ方向に旅行すると、こういう偶然が重なるものだ。1号室に行き、明日シベニクまで同一行動で向かうことを打ち合わせる。
私のベッドがある部屋にもどると、カナダのバンクーバーから来た男性がベッドで休憩している。サイクリングでアドリア海沿岸を旅行しているとのことで、イタリアからフェリーに自転車を積んで輪行してきたそうだ。フェリー運賃は自転車あるなしにかかわらず同じというのも、おおらかな国だ。
Youth Hostel Zadar6号室 84.5クーナ(1,555円)/1泊