モーゼル渓谷とチュニジア旅行記 : トリーア, ケルン, アーヘン, ファールス
※ 未編集の旅行記です
December 18, 2006 (Monday)
Luxembourg (ルクセンブルク)
宿泊したユースホステルで7時に朝食を食べ、7時10分にチェックアウト。濃い霧の中、ボック要塞の尾根道にあるバス停へ。それほど気温は低くないのだが、湿度が高いので吐く息が真っ白の煙になる。
Clausen, Plateau Altmunster(07:30頃発)→ Gare Centrale(07:40頃着)Bus, Line 9, 運賃 1.5EUR(234円)
バスに乗り、ルクセンブルク駅まで行く。駅前の郵便局に入り、知人宛の絵葉書を投函。葉書1枚の国際郵便は0.9EUR(140円)。朝8時前に郵便局が営業しているのは珍しいと思うので窓口の人に聞くと、ここは6時半から開いているとのこと。
Luxembourg(08:33発)→ Trier(09:10着)Intercity 433, 運賃 8.4EUR(1,310円)
8時24分発のケルン行きインターシティに乗る。始発駅なのに、約10分遅れで出発する。
ドイツの客車を、ドイツの機関車が牽引している。通勤時間帯なのに、乗車率は50%ほどだ。低山の谷間を縫うように走る線路は、20分ほどでモーゼル川の谷間に合流する。国境を超えるとすぐにトリーアに到着。
Trier - Germany (トリーア - ドイツ)
駅のコインロッカーに荷物を預け(1.5EUR, 234円)、街へ。駅舎を出て、駅前の通りを500mほど直進すると、古代ローマ時代に造られたポルタ・ニグラがある。この街がアウグスタ・トレヴェロールムと呼ばれていた古代ローマ時代に、街を取り囲んでいた城壁の北門だ。門の上半分は黒ずんでいる。戦火で黒焦げになったのか、それとも黒い石材で造ったのか…。
アウグスタ・トレヴェロールムは、アグリッパがルグドゥヌム(現リヨン)からアラ・ウビオールム(現ケルン)までの軍道(ローマ街道)を整備した時に造られた植民市だという。
さて、北門からローマ時代の市街地に入ったと想像して、市街地の南北を貫く大通りカルド・マクシムス(現在のSimeonstraße)を街の中心フォルムの方向に歩く。しばらく行くと、現代の旧市街中心であるマルクト広場(Hauptmarkt)がある。ここで少し東へ。古代ローマの街区で1ブロック分行くとトリーア大聖堂がある。古代ローマの廃墟の上に建てられていて、キリストが着たと言われるローブが聖遺物として保管されているそうだ。
大聖堂の南隣には、古代ローマ時代のコンスタンティヌス1世のバジリカがある。4世紀に建てられたアウラ・パラティーナという宮殿の一部が残存したものらしい。
さらに南へ向かうと、選帝候宮殿、宮殿公園を通り過ぎて、かつてのフォルムの東隣りに隣接していた公共浴場跡(カイザー・テルメン)がある。入場料は2.1EUR(327円)。4世紀初めに皇帝コンスタンティウス・クロルスが建てた浴場の一部が残存したものだという。
古代ローマ時代のフォルム跡は、現在は残っていないようなので、フォルムのずっと東にあった円形劇場跡に行ってみる。かつてのデクマヌス・マクシムス大通り付近に沿って東へ、鉄道の線路を横切って更に東へゆくと街が終わり葡萄畑の斜面が近づいてくる。その麓に円形劇場(アンフィテアトルム)跡があった。入場料は2.1EUR(327円)。ローマのコロッセオなど、巨大な円形劇場のようなものを期待していたら、大きく期待を裏切られる小ささだ。観客席の背面にあったはずの壁は全て消滅していて、闘技場の地面と客席最下部の斜面だけが残存している。
さて、古代ローマ関連の著名な遺跡は見たので、次は現代の偉人であるカール・マルクスの生家跡を見に行く。旧市街の中心付近、商店が建ち並んだBrückenstraßeにある普通の建物だ。壁にマルクスの顔を形どったレリーフが埋め込まれている。公開時間は14時からなので、中を見学することはできなかった。
そろそろ次の街へ移動する時間だ。駅に戻り、コブレンツ行きの急行列車に乗る。
Trier(12:24発)→ Cochem(12:57着)RE 12011, トリーアからケルンまでの運賃 30EUR(4,680円)
Cochem - Germany (コッヘム - ドイツ)
列車は、標高300mくらいの丘陵地を侵食し蛇行して流れるモーゼル川に沿って、右へ左へとカーブしながら進んでいく。モーゼル川が削りとった丘陵地の急斜面には、葡萄畑が広がっている。この辺りは、モーゼル・ワインの産地だという。かつてローマ帝国がイタリアから持ち込んだブドウ栽培が定着したものらしい。
モーゼル川が大蛇行する「コッヘム・クランプ」(Cochemer Krampen)にある町、コッヘムで途中下車。駅のコインロッカーに荷物を預け(1.5EUR, 234円)、町へ。
駅舎前から見上げるような高さの丘は、一面の葡萄畑で覆われている。谷間の狭い平地に沿って、町並みが南に続いている。ずっと南、川沿いの丘の上にコッヘム城が見えている。12世紀初め頃に初代の城がここに建てられたそうだが、ガリア(フランス)からライン川に出る主要街道を封鎖するための城なのだろう。あの城を見学してみたいが、列車の乗り継ぎ時間には間に合いそうにない。
駅から500mほど歩くと、20世紀初頭に架けられたSkagerrak橋があり、旧市街の入口もある。観光客向けの店が並ぶベルン通りを歩き、マルティン教会の塔の下をくぐり抜ける。こぢんまりしたマルクト広場があり、クリスマスツリーなどで飾り付けられている。観光客向けに整備された小さな旧市街と言ったところだろうか。
マルクト広場に面した市庁舎に地図が掲示されている。みどころは、丘の上のコッヘム城と、旧市街の町並みのようだ。
Cochem(13:59発)→ Koblenz(14:40着 14:45発)→ Köln hbf(15:45着 15:55発)→ Köln Messe(15:56着)RE 12003, Intercity 2014, RB, トリーアからケルンまでの運賃 30EUR(4,680円)
再び列車に乗りケルンに向かう。コブレンツで乗り換えケルン中央駅で下車。さらに各駅停車で1駅引き返し、ライン川を挟んでケルン対岸のケルン・メッセ/ドイツ駅で下車。今日泊まるユースホステルは、この駅の目の前にある。
Köln - Germany (ケルン - ドイツ)
ユースホステルのロビーに入ると、学生の団体客たくさん居る。一般客は食堂で夕食は食べれないが、団体は別予約で可能なようだ。チェックインし荷物を置いて旧市街に向かう。旧市街へはライン川を渡らないといけない。橋は2本あり、いま列車が渡ってきた鉄道・歩道橋のホーエンツォレルン橋と、500m上流にあるドイツ橋。往路はトラムに沿ってドイツ橋を渡る。
冬なのに暖かく風もないので、のんびりとライン川に架かる橋を渡る。ちょうど日没前後で、大聖堂などの旧市街はライトアップが始まっていない時間帯だ。曇り空・川・町並みが水墨画のようにグレー一色の景色だ。
ドイツ橋を渡ったところが、ホイマルクト広場。クリスマスマーケットの屋台がたくさん出ているし、仮設のスケートリンクもある。ケルン大聖堂を目指して歩いて行くと、市役所前のアルト・マルクト広場にも盛大にクリスマスマーケットが出ている。100万人が住む大都市なので、クリスマスマーケットが幾つあっても繁盛するのだろう。
ホーエンツォレルン橋の左岸側、ケルン大聖堂の前までやって来た。大聖堂前のロンカリ広場にもクリスマスマーケット。どこもお客さんでごった返している。白身魚のフライの屋台に行列していたので、1つ買って食べてみる(3.5EUR, 546円)。日本のスーパーで惣菜として売られているタラのフライと同じものだ。
夕食はバーガーキングでワッパー・メニューを食べる(4.99EUR, 778円)。去年の冬に来た時は雨だったので、クリスマスマーケットの客も少なく物哀しい雰囲気だった。しかし、今日のように温かい曇りの天気なら、これだけ賑わっているというのが体感できた。
Jugendherberge Köln-Deutz708号室 ツイン 39.8EUR(6,209円)/1泊
December 19, 2006 (Tuesday)
6時半起床、7時に食堂で朝食を食べる。7時50分にチェックアウトし、昨日の夕方に購入しておいたSchöne-Reise-Ticketという企画券らしき切符で列車に乗車する。ちなみに、この時間帯には有人窓口は開いていないので、企画券を買うことは出来ない。
Köln Messe(08:06発)→ Aachen hbf(09:10着)RE 10106, 運賃 12.5EUR(1,950円)
ダブルデッカー車の急行列車がやって来た。車内は通勤客で満員だったが、次の駅のケルン中央駅でほぼすべての客が下車した。
車窓からみる天気は、今日も深い霧だ。時折雨も降っている。およそ1時間で終着駅のアーヘン中央駅に到着。この駅の先は、オランダ国境だ。
Aachen - Germany (アーヘン - ドイツ)
駅構内のコインロッカーに荷物を預けようと、2ユーロを投入して鍵を回す。鍵が途中で動かなくなり、開けることも閉めることもできなくなった。駅の案内窓口(Reisezentrum)に行き、担当者を呼んでもらう。工具を持ってロッカーを調整しにやって来てくれたのは、女性の技術者。日本なら、この手の作業をするのはオッサンの担当者の場合が多いが、ヨーロッパは男女平等があらゆる職業で進んでいるなと感じさせる。
観光案内所に行き、ドイツ・オランダ・ベルギーの三国国境点への行き方を聞く。アーヘン駅前よりマーストリヒト行きのバスが出ているので、それに乗ればよいそうだ。ここでもらったアーヘンの広域版の観光地図には、三国国境やオランダの国境の町の地図まで掲載されている。バスの出発時刻まで、アーヘン旧市街を散策する。
列車を降りて通勤で歩く人が少しいるくらいで、通りには殆ど人が歩いていない。劇場通り(Theaterstraße)を15分くらい歩くと、アーヘン劇場があり、旧市街を取り囲む「◯◯グラーベン通り」という環状道路に出る。グラーベンというドイツ語は、地形上の溝(地溝)と言う意味だが、ここでは旧市街を取り囲んでいた濠のことなのだろう。環状道路の少し広くなったところ(Elisenbrunnen)には朝市が出ていて、早朝にもかかわらず沢山のお年寄りが食品を買いに来ている。
旧市街に入り、アーヘン大聖堂を観る。アルプス以北では最も古いと言われるこの大聖堂は、8世紀末にカール大帝が建設を始め、カール大帝没後は彼の棺がここに埋葬されている。
それ以降、936年から1531年まで、神聖ローマ帝国の皇帝が代々ここで戴冠を受ける「皇帝の大聖堂」だったそうだ。
クリスマスのミサが行われていたので、一番後ろのほうで少しだけ説教を拝聴する。
バスの出発時刻が迫ってきた。アーヘン駅に戻り、マーストリヒト行きの「国際バス」に乗る。と言いっても、オランダの市バスがアーヘンまで越境してきているだけだ。
Aachen, Hauptbahnhof(10:45発)→ Vaals, Maastrichterlaan(11:05着)Veolia Bus 420, 運賃 2.4EUR(374円)
Vaals - Netherlands (ファールス - オランダ)
10時22分発のバスは、渋滞で遅延して10時50分にアーヘン駅前にやって来た。折り返し、マーストリヒトに戻ることになる。市内の通りは、通勤やクリスマス休暇で出かける車で渋滞している。バスの運賃は、1名分で2名が乗れる「クリスマス休暇のサービス運賃」だ。
アーヘンの市街地を抜け、郊外の住宅街の中に国境線はあった。国境線を越えた所にあるバス停で下車。行政上はオランダなのだろうが、町並みはドイツだ。
バスが走るこの道(マーストリヒト通り)はドイツの国道1号線で、アーヘンのオランダ国境からベルリンを通ってポーランド国境のキュストリンまで続く道だ。国境線に沿って住宅街の中を進むと、1本裏の通り(ブルク通り)にかつての国境検問の詰め所がある。国道ではなく、こっちが旧街道なのだろうか。
三国国境点を目指し、ドイツ側の国境線沿いの小径をどんどん進んでいく。道はどんどん細くなり、畑の横のあぜ道となり、いつの間にか雑草に覆われぬかるんだ道になってくる。このまま進むのは無理なので、国境の低いフェンスを乗り越えて「国境侵犯」し、オランダ側の畑のあぜ道を進んで舗装された観光道路に合流する。
この観光道路は、ファールスのバス停から三国国境のモニュメントまでのバスが走る道だ。アーヘンにあるドイツ側の観光案内所で教えてもらった道は、あくまでも「ドイツ側の道を通って」無理やり行く方法だったようで、オランダ側の観光道路には1時間に1本シャトルバスが走っているではないか。
ファールスのバス停より3.5kmほど歩き、森の中の三国国境公園に到着する。大きな駐車場には一台も車が停まっておらず、閑散期のため高さ50mの有料展望塔やカフェなどはお休みのようだ。
公園の中を歩いて行くと、最初に現れたのは「オランダ最高標高322.5mのモニュメント」だ。この国には山がないのか…。いや、これがファールス山の山頂だそうだ。まるで、「大阪最高峰」の天保山の乗りだな…
そして、八角柱の三国国境モニュメントが歩道のど真ん中に鎮座している。モニュメントの側面には、オランダ、ドイツ、ベルギーのそれぞれの国の側にN・D・Bと刻印がされている。この周りを駆け足で1周すれば、3カ国を瞬時に訪問できる魔法のような地点だ。
駐車場や迷路、レストランなどはオランダ領内、展望塔や土産物屋はベルギー領内と収益をわけあっているように見えるが、ドイツ側には鬱蒼と木が茂る林がある以外何も施設がない。商売ベタなのか、自然保護に熱心なのか…
帰りは1時間に1本走るバスに乗りファールスまで行き、そこでマーストリヒト行きに乗り継ぐ。ファールスでは乗り継ぐ相手のバスがやって来て信号で隣りに並んだ。バス停で、全速力で走って乗り換える。今日はかなり運が良いようだ。
Drielandenpunt(12:25発)→ Vaals, Busstation(12:35着 12:35発)→ Maastricht(13:15着)Bus 159, 420, 運賃 2 strippen+8strippen(4.47EUR, 697円)
マーストリヒトでアムステルダム行きの列車に乗り換える。乗り継ぎまで30分ほどあるため、駅前通りを旧市街方向に歩き、途中にあったマクドナルドで昼食。ビッグマック・メニュー(6.05EUR, 943円)を食べる。食後、マース川沿いまで出て対岸の旧市街を眺める。残念ながら今回は、旧市街観光する時間がない。
Maastricht(13:53発)→ Amsterdam Centraal(16:20着)Intercity 852, 運賃 26.7EUR(4,165円)
マーストリヒト発スカーゲン行きのインターシティに乗車。アムステルダムの先、北ホラント州の半島北端付近まで行く「オランダ縦断列車」だ。通勤時間帯ではないため、長大編成の2階建て車両に乗客はほとんど乗っていない。
Amsterdam - Netherlands (アムステルダム - オランダ)
夕方、日が沈む頃アムステルダム中央駅に到着。駅前に停車するトラムに乗り換え、フォンデル公園のユースホステルに向かう。
Centraal Station(16:30頃発)→ Rijksmuseum(16:45頃着)Tram 2, 運賃 2 strippen(0.89EUR, 139円)
ユースホステルにチェックインし、部屋に入るとすでに2人がベッドで就寝中。夜遊びに備えた休憩かな…
ムント広場ちかくのRokin通り沿いにある中華ビュッフェで夕食。この店には何度か来たことがあるが、食べ放題で8.5EUR(1,326円)とかなりお得。ダム広場の向こう、ダムラック通り沿いのEasy Internetcafeに入り情報収集(2.0EUR, 312円)。アムステルダム旧市街の中心部、歩行者天国のカルファー通りやダム広場は観光客などで賑わっている。王宮前のダム広場には、巨大なクリスマスツリーが飾られ、クリスマスの雰囲気を盛り上げている。アムステルダムには何度も来ているので、ここの景色を観るのが一番落ち着ける。
Dam(18:15頃発)→ Leidseplein(18:25頃着)Tram 2, 運賃 2 strippen(0.89EUR, 139円)
ユースホステルに戻り、早めにシャワーを浴びてコインランドリーへ。汚れた服を全て洗い明日のチュニジア行きに備える。
Stayokay Amsterdam Vondelpark204号室 ドミトリー 17.5EUR(2,730円)/1泊