アメリカ古今首都旅日記 : ワシントンDC (Day 5)

June 11, 2017 (Sunday)

6時、誰かのスマホからけたたましい目覚まし音が鳴る。迷惑な奴だ。仕方なく6時に起きて2階の食堂へ。朝食が始まる7時までの間、タブレットPCで日記を書く。

朝食はシリアル、食パン、カップケーキ、リンゴが提供された。平均的なユースホステル水準だ。

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ワシントンDCホステル 2階のカフェテリア
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ワシントンDCホステルの朝食
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8時、外へ。道路には一台も車が走っておらず、時折バスが通り過ぎるだけ。交通規制でもしてるのだろうか?
第16代大統領リンカーンが暗殺されたとされるフォード劇場へ。事の次第はWikipediaの「リンカーン暗殺事件」に詳しく書かれているが、南北戦争の集結寸前に南部出身のテロリストが戦争の一発逆転のために行ったのだが、大勢に影響はなかったというものだ。暗殺現場となった劇場は、劇場の看板が出ている近代的なガラス張りのビルの方ではなく、隣の赤レンガ造りの旧館のようだ。修復されまくってまるで新築のように新しく見える劇場を外から眺めるだけでは、歴史を感じることは出来なかった。

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10thストリート & Gストリート
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10thストリートのフォード劇場(奥の赤レンガの建物)

さらに南へ少し歩いて行くと、FBI本部のフーヴァー・ビルがある。1街区をまるごと使った巨大な建物が必要なくらい、アメリカは殺人やテロなどの重大犯罪が多いのだろう。

すぐ東側には海軍記念碑があり、大きな噴水池の周りに海軍が活躍した戦場を描いたレリーフが幾つも埋め込まれている。

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FBI本部のフーヴァービル
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国立公文書記録管理局と海軍記念碑の池

海軍記念碑やFBI本部が面しているペンシルベニア大通りは、碁盤の目状に街路が並んでいるワシントンでは珍しく、斜めに国会議事堂からホワイトハウスまで向かう通りだ。ホワイトハウス方向へ歩いて行くと、旧中央郵便局の建物がある。トランプ大統領一族が経営するトランプ・インターナショナル・ホテルが入居する建物だ。郵便局の建物というより、権力を誇示するために建てられた近世のヨーロッパの城のようだ。

ホワイトハウスの敷地の手前には、かつてそこが見学可能だった時に入場手続きが行われいたホワイトハウス・ビジターセンターがある。ホワイトハウスが見学禁止になった現在でも、ビジターセンター内部の展示だけは観ることが出来る。ここには歴代大統領の顔写真を一覧にした大きなポスターがあるが、なぜかオバマ大統領が現役続行中で、トランプ大統領の写真すら見当たらない。お膝元の国営ビジターセンターにすら裏切られているとは、この国の指揮系統はどれだけ機能不全をおこしてるのだろうか。

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トランプ・インターナショナル・ホテル
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ベンジャミン・フランクリン像
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トランプ排除の大統領蝋人形館

ホワイトハウスのほうへ歩いていく。隣接するインターコンチネンタル・ホテルに要人が宿泊しているのか、周囲をたくさんの警察車両が取り囲んでいる。で、ホワイトハウス本体はというと、ほとんど警備車両などを見かけない。建物の屋根の上に黒いユニフォームを着た特殊部隊らしい人が作業しているのと、たくさんの監視カメラやレーダーのようなものが設置されているのが見えるくらいだ。

ホワイトハウスは北面と南面では見かけが全く違い、北面は三角形のフリーズがある角型のポルティコが、南側は円柱型のポルティコとなっている。テレビなどでは南側がよく映っているが、建物正面は北側だそうだ。東洋では北京の紫禁城、京都の平安京など宮殿の正面は南側が多いが、こちらは考え方が違うのだろう。

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ホワイトハウス 北側正面
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ホワイトハウス 南側(半円形ポルティコ)

ホワイトハウスの南に広がる芝生広場の縁を南へ。市内中心部だけでなく、ワシントン塔手前の憲法大通り(Constitution Ave)も完全に車がシャットアウトされている。車が走らない大通りの景色は気持ちが良いものだ。ナショナル・モールに面した商務省と環境省の前を通り過ぎたところに、スミソニアン自然史博物館がある。暑い中を歩き疲れたので入場して涼もうと思う。10時開館の数分前に着いたのだが、20人くらいが北側の入り口前に並んでいた。

自然史博物館は、子供が喜びそうな動物の剥製やら恐竜の骨格標本が大量展示されている。入場口前の吹き抜けホールにある巨大な象の模型は、今にも動き出しそうな迫力だ。
アメリカ人は今でも生命の進化ではなく、聖書の世界で繰り広げられる人類の誕生を信じる人が大多数だという。模型や剥製で子供の興味を引き、生態系や類人猿から人類への進化などの科学的な内容を学んで欲しいのだろう。

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スミソニアン 国立自然史博物館
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建物中央のロトンダとアフリカ象模型
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自然史博物館 トリケラトプスの骨格標本
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自然史博物館 海洋ホールの大西洋セミクジラ模型

1時間ほど自然史博物館を見学し、東隣にあるナショナル・ギャラリー・オブ・アートに向かう。日本にある美術館は中高年の女性などで大混雑のことが多いが、ここは気持ち良いくらいの閑散さ。小さい子供連れは西隣の自然史博物館、中学生以上は南隣の航空宇宙博物館と客が流れるので、絵画はそれほど集客力はないのだろう。しかし、ルノワール、モネ、ゴーギャン、セザンヌ、ラファエロ、ルーベンスなど名だたる画家の作品が大量展示されているのに、なんとももったいないことだ。

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スミソニアン ナショナル・ギャラリー・オブ・アート
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ナショナル・ギャラリー・オブ・アート 西館のロトンダ
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ナショナル・ギャラリー・オブ・アート
ルーベンス「ライオンの洞窟の中にいるダニエル」
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ナショナル・ギャラリー・オブ・アート
18世期ロココ美術の部屋

美術館を見学後に北側の憲法大通りへ出ると、露天市が開かれている。たしか、キャピタル・プライドというLGBTのデモ行進が今日あるはずだ。10時頃に、太鼓などを叩いて博物館の北の大通りを行進していたのがそれだろう。その行進が終わったあと、大規模な露天市が開かれているようだ。ワシントン市内の交通規制は、この露天市のためだったようだ。

日本ではLGBTのデモ行進は、まだまだ一部の人権活動家などだけが行うアブナイものという印象だが、こちらでは大手企業が宣伝のためのブースを構えていたりするほどだ。美術館の横には大手放送局のNBCや、日本の日産自動車などの巨大パビリオンがあった。

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キャピタル・プライドの露天市
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焼飯と鶏唐揚げ(レモンチキン)定食

露天市の中をユニオン駅まで1.5kmほど歩き、地下のフードコートで再び中華料理の昼食。唐揚げご飯とレモネードのセットで8.47$(931円)。スマホで気象サイトを見ると、外は33℃を超えて気温上昇中で、季節外れの猛暑だそうだ。距離はそれほど離れていないが、涼しい地下鉄でユースホステルに戻る。

Metro
Union Station(13:14発)→ Gallery Pl-Chinatown → Mt Vernon Sq/7th St-Convention Center(13:27着)
Metro Red Line, Green Line, 運賃 1.75$(192円)

ユースホステルで1時間ほど休憩し、事前予約したMLBの試合を見に出かける。

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Metro
Mt Vernon Sq/7th St-Convention Center(15:22発)→ Navy Yard - Ballpark(15:40着)
Metro Green Line, 運賃 1.75$(192円)

地下鉄は、ワシントン・ナショナルズのチームカラーである赤色の服を着たファンで超満員。大戦相手のテキサス・レンジャーズのファンは来ているかどうかわからないくらいほど少なそうだ。駅を出て工事現場のような殺風景な道路をしばらく歩くとナショナルズ・パーク球場の入り口がある。その手前で、ペットボトルの飲み物を売る人が多数いる。ここで買って持ち込んだほうが安いのだろう。荷物検査を受けて入場する。

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ナショナルズ・パーク センターフィールド入場門
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ナショナルズ・パーク 3塁アルプス席からの眺め
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ワシントン・ナショナルズを応援する観客
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広いスタンド下通路にファストフード店が並ぶ

私がネットで予約購入した席は、ライトスタンド最上段付近のセクション222。夕方の直射日光がもろに当たるので、長時間この場所に座っているのは辛い。そういう人向けに、中段座席の後ろが売店が並ぶ通路になっていて、そこのベンチに座って試合を観ることも出来る。

自宅近所にある甲子園球場と比べると、観客の収容人数はほぼ同じくらいの4万人。しかし、こちらの球場はまるで縁日の露天のごとく食べ物や飲み物を売る店が客席後ろにずらっと並んでいる。外野にはビーチチェアが並ぶリゾート施設のような区画もあり、家族連れが楽しめる施設を詰め込みましたと言った感じだ。観客席では旗も鳴り物も禁止されているのか、日本のが野球応援とは随分違う雰囲気だ。

あまりの酷暑に、4回の終わりまで1時間ほど観戦して球場を後にした。私と同じく、こんな早い時間に帰る人もちらほら居たが、逆に地下鉄駅は空いていてのんびり座って帰ることができた。

Metro
Navy Yard - Ballpark(17:33発)→ Gallery Pl-Chinatown → Union Station(17:52着)
Metro Green Line, Red Line 運賃 1.75$(192円)
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スゥィート・ホット・チーズステーキ

再びユニオン駅。地下のフードコートで、フィラデルフィア名物のチーズ・ステーキを売る店でsweet hot cheezesteak and friesを注文。アイスティーを付けて8.73$(960円)。フィラデルフィアのレディング・ターミナル市場で食べたものは「焼肉とチーズだけ」だったが、ここのはレタスとトマトが加わっている。個人的には野菜入ってる方が好みだが、肉が好きな人は野菜無しのほうがいいかも…

駅の3階のバスターミナルに向かう。長距離バスグレイハウンドの切符売り場に長い行列ができている。週末にワシントン旅行に来た人や帰省した人が帰宅するのだろう。市内バス乗り場横にある格安バスMegaBusのトロント行きにも、乗客が列を作って乗車していた。ネットで検索したら、なんと25ドルでカナダのトロントまで行けるようだ。ただし所要時間は15時間くらいかかるが…

Bus
Union Station(18:25発)→ New York Ave NW & 9th St NW(18:40着)
circulator bus, 運賃 乗継扱いで無料

昨日と似たような時間にホステルに戻ってきた。シャワーを浴びてから2階の食堂へ。高校生の遠足なのか、集団で国際政治の討論会のようなものをしている。ホロコースト博物館でも見学してきたのか、イスラエルがどうのこうのと話し合っている。アメリカにとっては中近東は身近な問題なのだろう。

Hotel
HI - Washington DC
Room 507, 6-bed Dorm 48.67$/1泊(5,353円)