アドリア海周辺を旅する :
ザグレブ、リュブリャナ、ブレッド、ポストイナ
September 25, 1999 (Saturday)
EN241(別名 VENEZIA EXPRESS)ブダペスト行き列車の2等クシェット車内…
ヴェネツィア サンタ・ルチア駅から乗りこんだ私は、ウクライナの恋人に会いに行くというイタリア人とよもやま話をしていた。2等車だが4人用クシェットというウクライナ製の車両は、西側のクシェットと比べると快適だ。
22時ごろ眠りにつく。1時過ぎ、スロベニア国境通過。国境警備隊と検札が立て続けにやってくる。4時過ぎ、クロアチア国境通過。またもや国境警備隊と検札がやってくる。(眠れないではないか!)
Train EN241
Zagreb - Croatia (ザグレブ、クロアチア)
5時30分ごろ、ザグレブ中央駅に到着。 辺りは、まだ真っ暗だ。プラットホームにベンチが並んでいる。ここでしばらく眠ることとしよう。 (寒い…)
7時、駅の地下にあるATMで現金(200クーナ, 3000円)を引き出す。荷物預かり所にバックパックを預ける(10クーナ/24hour)。とりあえず今日泊まる宿を確保しようと、ガイドブックに1ヶ所だけ載っているユースホステルに向かうが、満員。(アムステルダムでも、ヴェネツィアでも混んでいた! ハイ・シーズンなのだろうか)
泊まる所がないのなら、夜行バスでどこかに行こうかなと考えて、駅の東1kmの所にあるバスターミナルに向かう。(かなり遠い)
ターミナル・ビルの中を時刻表を探して歩いていると、日本人を見かける。声をかけてみる。オーストリアの友人に電話をかけようとしているみたいで、ターミナル内の郵政局に行って電話のかけ方を教えてあげる。彼にテレカを借りて、ターミナル内のiでもらったホテルリストと、ガイドブックに載っている最低ランクのホテルに電話してみると、空いているという。助かった。
いっしょに中央駅裏のマクドナルドに朝食(ダブルバーガー セット 19クーナ, 285円)に行く。彼(N氏)は大学生で、初めての海外一人旅の行き先に、なんとなくクロアチアを選んだそうだ。サッカーには特に興味もないそうなので、変わった選択である。
食後、観光へ。最初に駅でN氏がミュンヘン行きの切符を買う。その後、駅前の公園(トミスラフ広場)に沿って、街の中心の共和国広場へ。まだ9時だというのに、たくさんの人が歩いている。
とりあえずカプトルの丘にあるザグレブ大聖堂へ。ガイドブックには13世紀のフレスコ画が残っていると書かれているが、どれなのだろうか。(入り口に置いてある、岩の残骸ではないだろう!)
カテドラル内で、日本人女性に会う。イギリス留学中で、友人と一緒に観光にきているそうだ。
朝市を通って、トラム(4.5クーナ, 67円)に乗車し、今日予約したホテルへ。チェックイン指定時刻は30分近く過ぎているが、OKであった。再びトラムに乗って、共和国広場へ。
旧市街の丘ゴルニィ・グラッドに登る。18世紀の火災に耐えた石の門を通って、市街地が見渡せる丘の上へ。政府機関の小ぢんまりした建物と、いくつかの博物館があるようだ。
市立博物館に入る。街の生い立ちを細かく説明している。(ガイドブックによると、この街で英語の説明が最も充実しているそうだ)
博物館を出たところで、日本人らしき女性がいたので声をかけてみる。旅行ガイドブックの取材で東欧を訪れているKさんで、珍しく一眼レフカメラを使っている理由がわかった。
Kさんによれば、ザグレブでも衛兵の交代行進が行われるそうで、時間は旧官邸の建物(バンスキー・ドヴォリ)前12時だそうだ。ちょうど今12時だ。走って旧官邸に向かう。すでに赤の制服を着た衛兵が行進している。何とか間に合った。ロンドンのそれよりはちゃちだが、コペンハーゲンのより迫力がある。(変な比較)
ここからの行動は、旅行情報を取材しているKさんにくっついて行くのが効率よく観光することになると思って、Kさんについて行くこととなった。石の門を再び通り過ぎて、坂道を降り、朝訪れた大聖堂へ。次にコメディ劇場へ。(旧東の観光情報にはコメディ劇場がよく登場するが、この建物の何が有名なのだろう)
中心部の北の外れまで行き、カフェに入って休憩(ミネラル水 2クーナ, 30円)。その後青果露天市場に行くが、もう終わっていた。このあたりの歩行者天国にはたくさんのカフェがある。どのカフェでも、ミネラル・ウォーターの価格は安いがソフト・ドリンク系統は割高のようだ。席の空いているカフェに入り休憩(スプライト 10クーナ, 150円)。N氏は列車の時間が迫っているので、ここで別れる。
共和国広場付近の近代的ビルが建ち並んだショッピングストリートを観て歩き、たまたまやっていたバトン・トワリングの発表会を見る。欧州各国から集まっているようで、かなり大きな大会のようだ。
ハードロック・カフェに行く。他国のこの手の店と変わったところはないようだ。その後、街の西と東のホテルやレストランの取材に同行する。
駅から共和国広場まで続いている公園に沿って、博物館や見本市会場があるので見て歩く。自然史博物館の中にあるカフェは、考古学的な置物に囲まれて休息できる珍しいところだ。
その後、Kさんお勧めのボダールの店(サッカー選手の親が経営者らしい)の店でパスタ(35クーナ, 525円)を食べる。食後、ナイーヴ・アートのギャラリーを見て(こういうジャンルの名前があると、初めて知った)、中心街のカフェに入る(アイスティー 10クーナ, 150円)。風が吹くと栗の実がばらばらと落ちてくる。こちらの栗は、日本のようにとんがった刺がたくさん生えているわけではないが、それでも、あたったら痛いだろう。
21時、Kさんと別れて中央駅へ。預けていた荷物を回収し、ホテルへ向かう。
Central Hotel, room 409327 クーナ(4905円)
September 26, 1999 (Sunday)
ホテルをチェックアウトして、中央駅へ。リュブリャナまでの電車賃は足りるだろうかと心配したが、チケット売り場ではクレジットカードが使えた。
7時45分発、EC10ベルリン行き列車はたった4両の車両で出発した。リュブリャナまで約2時間、スロベニアに入ると山間の土地を走る。スロベニアの車掌が、「ドーブラヤ・ウートラ(おはよう)」とロシア語で挨拶するのに驚いた。スロベニア語はロシア語に似ているのだろうか…。10時ちょうど、リュブリャナ駅に到着。
Zagreb, Glavni Kolodvor(07:45発) → Ljubljana(10:00着)Train EC10 運賃 105.5 クーナ(1582円)
Ljubljana - Slovenia (リュブリャナ、スロベニア)
駅構内でATMを探すが、見つからない。駅前を探検すると、バス乗り場をはさんだ向こう側にA/BANKAのATMを発見。VISA, MASTER系統のどのカードも受け付けない。駅に戻り、観光案内所で国際カードを受け付けるATMの位置を聞くと、市内中心に2箇所しかないという。
双方ともガイドブックLonelyPlanetの地図に載っているATMのようだ。駅から近い方に行ってみるが、国際カードは受け付けてくれなかった。結局Slovenska通りのATMにVISAのマークが張ってあったので、ここで現金(15000トラール, 8400円)を得ることができた。
駅に戻り、バスターミナル(売店の少し大きな感じの小屋)でブレッド行きバスの時刻を確認する。少し時間があったので、駅の中のマクドナルドで昼食(610トラール, 341円)。ここのトイレはきれいな上、無料だ。
12時、駅前からALPETOURのバスに乗り、ブレッドに向かう。郊外路線のバスのようで、いろいろな町に停車しながら走る。ユリア・アルプス山脈に近づくにつれだんだん雲行きが怪しくなってくる。13時30分、ブレッドに到着。運賃985トラール(551円)。
Ljubljana(12:00発) → Bled(13:20頃着)Bus 運賃 985 トラール(551円)
Lake Bled - Slovenia (ブレッド湖、スロベニア)
インターネットの掲示板では閉鎖中とのうわさもあったユースホステルは、改装が終わって再開したようだ。ただYHの看板などはなく、入り口のドアに(マジックで)YouthHostelと殴り書きがあるだけだ。(YHは峠の上にあるBLEDECという看板のあがっている喫茶店の建物)
ここは北欧の平均的なユースホステルより良い部屋で、部屋の中にトイレとシャワー室もついている。パックパックを置いて、外に出る。雲行きがますます怪しくなってくる。ユースホステルから町と反対方向に歩くと、ブレッド城に通じる道路に出る。約20分登山。湖畔から50mほどの高さの岩山の上に建っているブレッド城にたどり着く。観光バスが何台か停まっている。
城に入る。入場料は500トラール(280円)。テラスからの眺めるユリア・アルプス山脈の山々とブレッド湖、そして雲間の光を所々に受けている広大な牧草地帯が美しい。すぐ下には教会が見える。湖をはさんで北にある山脈から雲がどんどん流れてくる。とうとう、雨がぽつぽつと降り始める。
帰りは、教会のほうへまっすぐ続いている急勾配の登山道(未舗装)を降りる。
教会にたどり着いて、中に入る。観光の見所があるわけではなく、普通の教会だ。鐘が鳴る。15時。湖のほとりを歩いて、ホテルなどが集まっている町の中心部に行ってみる。ツアー客と思われるドイツ人の団体が湖畔の公園にうじゃうじゃいる。ショッピングセンターは日曜なのでほとんどの店が休みだ。再び教会の近くを通り、養鶏場の脇を通ってユースホステルに戻る。部屋にはアムステルダムで働いているブラジル人とオーストラリア人の2人がいた。ブラジル人のほうは、天気の回復を待ってカヤックの講習を受けると言っていた。
外は本格的に雨が降ってくる。ブレッドの町で一番高いところにあるユースホステルからは、流れ行く雲がくっきりと見える。
城で買った絵葉書(1枚80トラール, 45円)を友人に書く。外の雨はますますひどくなってくる。夕食は食べに行けるだろうか。
あたりも真っ暗になったころ、少し雨が小雨になる。バス停近くのピッツェリアに行く。一番小さなピッツァを頼んだはずが、かなり大きいのが出てきた。帰りはさらに大雨になっていた。
Bledec Hostelドミトリー : 2677 トラール(1500円)
September 27, 1999 (Monday)
朝起きて、湖畔まで出てみる。霧がブレッド湖に浮かぶ島の教会を洗っている。幻想的な景色だ。今日も天気はあまりよさそうではない。ユースホステルで朝食を食べる。9時30分のバスでリュブリャナに戻る。
日本では実験段階でしかない“非接触型ICカード”が、このバスでは通常の支払手段として使われている。読み取り速度は、1枚あたり2秒くらいだろうか。
Bled(09:30発) → Ljubljana(10:50頃着)Alpetour Bus 運賃 930 トラール(551円)
Ljubljana - Slovenia (リュブリャナ、スロベニア)
10時50分、リュブリャナ駅前に到着。バスターミナルへ行き時刻表を確認すると、ポストイナ方面行きのバスは12時のようだ。その時刻表によれば、ここからはクロアチアのドゥブロヴニクやスプリト行きの直通夜行バスが毎日出ているようだ。ガイドブックには「直通バスは無い」と書かれているので、現地に来てみないと分からないものだと思った。
ガイドブックLonely Planetによれば、この街の中心部近くには安宿は無いようなので、リストの中で一番安価なパーク・ホテルに電話してみる。部屋は空いているそうなので、バックパックを置きにホテルに向かう。川のそばまで行って、左に曲がり、しばらく行くとホテルがあった。チェックインして、部屋に行くとお掃除のおばさんがまだいたが、とりあえずバックパックだけ部屋に置かせてもらって、ホテルを出る。
駅構内のマクドナルド(フィッシュバーガーセット610トラール, 341円)で時間をつぶし、トイレ(クロアチア、スロベニアはトイレが有料の国家だ)も使って、12時のバスに乗る。バスはリュブリャナからA10高速道路を通る。ここにもまた日本では実験段階にしかないETCゲート(自動料金所。当地ではE GATE)が実用化されているようだ。およそ50分でポストイナに到着。運賃860トラール(481円)。
Ljubljana(12:00発) → Postojna(12:50頃着)Bus 運賃 860 トラール(481円)
Postojna - Slovenia (ポストイナ、スロベニア)
さて、鍾乳洞の入場口はどこなのだろうか。長距離バス切符売り場の人に方向を聞くと、とりあえず北へ行けという。しばらく歩くと、大きな交差点に標識があり、東へ1.6kmだとわかる。町から出て、20分くらいで、駐車場に入るらしい分岐点に出る。標識はないが、駐車場の奥が鍾乳洞の入口建物だった。
団体客・車で来る客を主に相手にしているようで、町のバスターミナルから歩くことは想定していないようだ。チケット(2000トラール、上着レンタル200トラール, 合計1232円)を買って14時のツアーに参加する。ほとんどはドイツから来た団体客だ。
入り口を入ると、長大編成のトロッコ列車が待っている。遊園地のアトラクションのようだ。満員(150人くらいだと思う)の客を乗せて、トロッコ列車はかなりの速度で洞窟の中へ入ってゆく。洞窟内は年中8℃ということで、かなり寒い。狭い通路を通り抜けるときなどは、頭が天井に激突するのではないかと思うくらい、若干のスリルが味わえる。数百メートル行った所でトロッコが停車する。降りると、(洞窟内の)丘の斜面に言語を示すプレートが立っている。ほとんどの客は「Deutsch」に行き、20人くらいが「English」、4人が「Italiano」へ。それぞれのグループに案内役がつく。天井が崩れて出来たという丘を登ると、鍾乳石があちこちににょきにょき生えている。(この説明で上からぶら下がってるのをStalactite:スタラクタイト、下に生えているのをStalagmite:スタラグマイト、柱はColumn:カラム。この単語がわからないとガイドの説明はまったくわからないと思います)
丘を降りて、ロシアン・ブリッジをわたって、100年程前に発見された"新"鍾乳洞に入る。スパゲッティー・ホールと呼ばれるところでは、細いツララのようになった鍾乳石が天井一面にぶら下がっている。さらに進むと、石灰岩に鉱物が溶け込んで色のついた鍾乳石のある部屋もあった。説明によれば、わずか5mmのびるのに100年近くもかかるそうで、折って持ち帰らないようにしてほしいそうだ。最後は大ホール(鍾乳洞保護のため近頃はコンサートはしないそうだ)まできて、再びトロッコに乗車し、出口へ。15時30分、ツアー終了。
旅行ガイドブックLonely Planetでは、テーマパークのアトラクションのように観光地化されていると書かれているが、手軽でなかなかいいのではないだろうか。(この鍾乳洞は世界5位以内に入る大きさのものだそうだ)
Postojna(16:05発) → Ljubljana(17:00頃着)Bus 運賃 860 トラール(481円)
Ljubljana - Slovenia (リュブリャナ、スロベニア)
再びバスターミナルに戻り、16時5分のバスでリュブリャナへ。17時中央駅到着。
リュブリャナ城に登ろうと思い、旧市街方面へ。フランシスコ教会を越えた所で、リュブリャニツァ川にぶつかる。有名な三本橋がある。密集して3本も橋を架ける必要性があるのか、ただの芸術なのかは分からないが、変わっている。
警官が一休みしている水の出てない噴水の前を左折して、大聖堂前あたりが旧市街中心のようだ。広場では朝市をやっていた形跡があるが、この時間は撤収作業中だ。
城へ登る雰囲気の路地を発見し、登ってゆくと、一気に市街地を見下ろす急坂へと変化する。10分ほどで城の堀に到達。料金所は無いようなので、勝手に入らせていただく。内部は工事中(後になって聞いたことだが、5年前から工事しているそうだ)のところがちらほらあり、カフェがある。城の上には「独立した」スロベニアの国旗が涼しげにはためいている。
繁華街のソポバ通りのマクドナルドでビッグマックセットを食べて(1010トラール, 565円)、ホテルに戻る。ホテルの部屋は旧共産圏の基準で作られた巨大な部屋にぽつんとベッドがある部屋だ。窓の外からは隣の公園の噴水の音と、隣のアパートの子供の声がよく聞こえる。
Park Hotel, room 6016874 トラール(3849円)