1999年 泰国・香港旅日記 : バンコク、アユタヤ

December 10, 1999 (Friday)

Bangkok - Thailand (バンコク - タイ)

Airline
香港空港(14:50発)→ Bangkok, Don Mueang(16:40着)
CX 751



深夜まで賑わうカオサン通りのカフェやレストラン

Khaosan road at night

香港空港(赤鱲角機場)を定刻どおり出発した、国泰航空(キャセイパシフィック航空) CX751 便 (B777-300)は、台風の接近で荒天のベトナム上空を飛行し、16時40分、バンコクのドンムアン空港に到着した。

機長のアナウンスでは、気温は25℃位らしい。心地よい暖かさだ。

ATMで現金を出金し(1500バーツ,4200円)、空港バス乗り場へ。安宿街であるカオサン通り方面へ向かうA2系統はなかなかやって来ない。17時45分、やっとバスに乗り込む。空港バスは高速道路を通り、若干渋滞しているペッチュブリ通りを経由して約1時間でバンランプーに到着。バスを降りる(運賃 70バーツ, 196円)。

バスから降りたバックパッカー数人は、すでに暗くなった道を迷いつつカオサン通りを目指して散らばっていった。




ラーチャダムヌーン・クラン通り

Ratchadamnoen Klang Road

今回の旅は短期間なので少し贅沢をしようと思う。カオサンの安宿では最高級(?)の部類に入る「カオサン・パレス」に泊まることとする。ホテルの受付で聞くと今日は安い部屋は満室らしく、580バーツ(1624円)の部屋しか空いていないと言う。部屋にはエアコン、テレビ、温水シャワーといったカオサン地区の安宿としては贅沢な設備が備わっている。

カオサンから一番近い幹線道路、ラーチャダムヌーン・クラン通りを見に行く。国王誕生日を祝う肖像画と電飾でまばゆいばかりの通りだ。神戸のルミナリエで人ごみにもみくちゃにされるくらいなら、こちらのほうが断然綺麗ではないか。コンビニがあったので、店内でインスタントラーメンを食べる(12バーツ, 33円)。ホテルへの帰り道、カオサン通りの屋台などを眺めて歩く。海賊版CD-ROMは、1枚200バーツ(560円)なので、香港より高いではないか。さらに言うなら、パッポン地区の店より高い。身分証明書類は、国際学生証や記者カードが100バーツ(280円)、FBIは500バーツ。値段もさることながら、FBIの偽証明書をどこで使うというんだろう…。

Hotel
Khaosan Palace Hotel, 111号室
580バーツ(1624円)/1泊

December 11, 1999 (Saturday)

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サナーム・ルアン広場での僧侶の式典

Sanam Luang Park

7時30分起床、受付に行き今夜の部屋を確保する。今夜は350バーツ(980円)の部屋だ。クーラーが無くなり扇風機にグレードダウンされ、TV無し、水シャワーの部屋だ。

ラーチャダムヌーン・クラン通りのセブンイレブンでカップラーメンとパンで朝食(25バーツ, 70円)などを食べた後、サナーム・ルアン広場(王宮横にある巨大な広場)へ行ってみる。式典があるらしく、仮設スタンドやテントが立ち並んでいる。巨大な熱気球も繋留されている。




王宮

Grand Palace, Phimanchaisri Gate

9時30分から、広場のちょうど中央辺りで、僧侶を招いての式典を開いていた。白装束で頭を剃った男たち100人くらいと、その家族などが出席者だ。そのテントの隣では、国王にお祝いのメッセージを贈るキャンペーンが行われている。

王宮に向かう。125バーツ(350円)払って中に入る。遠足の学生が大量に来ていた。そのほかには中国からのツアー客が目立った。ワット・プラケオ(寺院)を先に見る。印象としては、「きんきらきん」といったところだろうか。あまりに補修が完璧に成されているため、歴史を感じることは無い。
王宮は、何かの式典の準備のため完全に閉鎖されていた。

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王宮、ワット・プラケオの本堂

Grand Palace, Ubosot of Emerald Buddha at Wat Phra Kaew

10時30分、チャクリー宮殿の前で衛兵の交代式が行われた。欧州の同様のものは何箇所でも見たが、笛を吹きながら行進する衛兵は、何ともアジア的ではないか。隊列の後ろに観光客がぞろぞろくっついて行進するのも、国王と人民の距離の近さを象徴しているように感じた。

王宮から出て、ワット・ポー寺院へ。入場料は20バーツ(56円)。巨大な金色の寝釈迦があるところだ。

以上2箇所がバンコクでの見所だ。

ワット・ポーを出て、パク・クローン市場の方へ向かって歩いていると、若い男性が声をかけてくる。どこへ行くのか聞いてくる。早速現れた、何かの客引きだ!。そこへ、ワット・ポーの向かいにある高校の教師と名乗る男がやってきて “パク・クローンはこの時間はもう終わっているので、プー・カオ・トーン(黄金の丘)の近くにある寺院とThai Factory、ワット・ベン(大理石寺院)をぜひ訪れてみるべき”だと言う。

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王宮の衛兵交代

Grand Palace, guards change

「小さな親切、大きな下心」 という旅の格言に照らしてみると、この人物は、私に何かの店で買い物させるつもりだろう。うまく引っかかった振りして、楽しんでみることとする。

いいタイミングで通りかかったトゥクトゥクを捕まえて、料金交渉している。以上3ヶ所を回って、カオサン通りまでで50バーツ(140円)と言う運転手に、20バーツまで負けさせる。(このコースだと、普通2~3時間かかるので、200THBくらいが相場のはず。詐欺師とグルでしょうか…)

10分くらいで、一箇所目の寺院に到着する。寺院に入ると参拝客を装った男性が声を掛けてきて、自分はThai International Bankの社員だという。この男性曰く“Thai Factoryというのは有名ブランドの紳士服を受託生産して輸出している工場で、今週はVAT Freeの週なので通常価格の30~50%の価格で紳士服が買える”。ここまで用意周到に詐欺師の仲間を用意しているとは、なかなか面白そうだ。

さて、寺院の前に待機させておいたトゥクトゥクに乗って、競馬場の近くのThai Factoryへ。工場の一角に店がある。ここで私が何か買うと、これまで出会った詐欺師一同にリベートが入るのだろうが、もちろん紳士服など買うつもりは全くない。店内に入ると、店員がつきっきりで説明する。欧州の有名ブランドのカラーコピーや切抜きを見せて、これらの製品をこの工場で作っていると力説する。そして、ブランド名のタグだけを抜いて横流しするスーツひと揃えで20000バーツ(56000円)だそうだ。クレジットカードでも支払い可能で日本からの電話での注文もあると、日本人の名前の載った伝票を見せる。

うまい具合に日本人向けに値段をあわせてふっかけてきている。日本ならブランド物の10万円以上のスーツが、量販価格の5万円で買えるのならお買い得なのかもしれない。だが、ここは物価価値の違うタイだ。製造原価など1万円以下だろう。もちろん、ブランド物の工場が道端で拾った客に横流し品を売るなどという危険を犯すわけがなく、元から安物の紳士服を高く売りつける詐欺商売だ。

もちろん何もかわずに店を出る。次は大理石寺院に行くはずだが、運転手の様子がなんだか変だ(とうとう本性をあらわし始めた)。もう一軒いい店を知っているので、連れて行くという。お手並み拝見と行こうか。




ワット・サケット寺院

Wat Saket

連れて来られたのは、ラン・ルアン通りの紳士服店。こちらは先ほどの店よりかなりランクが落ちて、1着10000バーツ(28000円)だそうだ。しかし、どこも既製品の紳士服ではなく、オーダーメードというのがかなり怪しい。そもそも、金だけ巻き上げて商品は無茶苦茶なものを後から送ってくるに違いない。

再びトゥクトゥクに乗って、今度こそ大理石寺院に行けと言って見ると、路肩に車を止めて何か言ってくる。もう一軒店に寄ってくれたら私はガソリンチケットを得られるので、お願いだと言って日本語で書かれた怪しげな紙を見せる。その紙には… 「このトゥクトゥクの兄ちゃんは、目的地までの途中によく寄り道をします。彼らは客を店に連れて行くことでガソリンチケットをもらうことが出来ます。見るだけでも結構ですのでついていってあげてください。」と書かれている。日本人の若い女性が書いたと思われるA5版のラミネート加工したものだ。

この紙を書いた日本人よ… 「あんたは売国奴だ!」 「彼らが多くの日本人を馬鹿にして引っ掛けているのを知っているはずなので、それを助長するとは…」

今度は、宝石商だ。なんだか汚い裏口を通って店内へ。サファイアとルビーをしつこく薦めてくる。どう見ても安っぽそうな加工だ。あんましこんなところで時間をつぶしているわけも行かないので、断って店を出ようとする。店員の女性が捨て台詞を残して私を店から追い出す。

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黄金の丘から見下ろしたワット・サケットの本堂

Wat Saket, view from Golden mountain

トゥクトゥクの運転手も少しあせってきているのか、すぐ隣にある紳士服店に行ってほしいという。一応入ってみる。店員が盛んにオーダーメードの紳士服を薦めてくる。この店は「歩き方」に載っているといって本を見せてくる。幾ら金を積まれているのか知らないが、こんなぼったくり店を載せるとは無責任なガイドブックだ。適当に断って、店を出る。

トゥクトゥクの運転手は諦めたのか、私を大理石寺院に連れていった。寺院は改修中で、中には入れない。境内にたくさんのネコがたむろしている。その辺にいた人に聞けば、ネコは輪廻によって生まれ変わりなので手厚く保護されているそうだ。その人物は、今週はVAT Freeなので、宝石を買って国外で売れば大儲け出来るといってくる。しかしながら、観光地で会うタイ人はどうしてこうも金の儲かる話しかしないのか不思議だ。この街全体が詐欺師なのか(笑

トゥクトゥクに乗って、プー・カオ・トーン(Golden Hill)に行ってくれといってみる。

すぐ近くのはずなのに、結構寄り道をしている。同じところを2回通ったので厳しく追及してみると、話をはぐらかしてくる。(客が全く何も買わないので、結構焦っているな!)




スカイトレインのICチケット

ワット・サケット寺院の隣で降りる。寺院の中は金色に輝く仏像が並んでいて壮観だ。寺院の裏口から出て、丘に登る。丘の上の寺院から見るバンコク市内は、排ガスなどの煙で霞んでいる。すぐ近くのはずのカオサン辺りでも、見えるかどうかの限界だ。

ワット・サケットの横に行ってみると、待っているはずのトゥクトゥクが見当たらない。100mくらい離れたところに集まっていたトゥクトゥクの運転手に聞いてみると、逃げたのだろうと言う。




開通したばかりのスカイトレイン

Sky Train at Saladaeng Station

とんでもない客を乗せてしまったと思っているだろう。3時間乗り回して、値段を払わずにすんだ。詐欺師一同にとっては、とんでもない客だったのだろう(笑

少し遅めの昼食を、ラーチャダムヌーン・クラン通りの東端のロータリーにあるマクドナルドで食べる。マック・チキンのセットメニューとポーク・ハンバーガー単品で88バーツ(246円)。チキンの味付けは、少しピリ辛だ。

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プラトゥーナム市場

Pratunam Market

その日の夜、1週間前に開通したばかりの高架鉄道スカイトレインに乗る。1駅10バーツ(28円)なので、市バスの3.5バーツに比べれば高価だが、定時運行で冷房付きの快適な乗り物だ。残念なことに、カオサン近くまでは来ていないので、2号線をNational Stadiumからあと3駅くらい延長してもらえないだろうかと思う。シーロム通りのC.P.ビル地下のMK SUKIでタイスキを食べる。2人前250バーツ(700円)と日本人にとってはお得な価格だ。

パッポン通りの海賊版ビデオ屋を見ていて感じたのだが、カオサンより断然安いではないか。ちなみにVideoCDなら1枚130バーツ(364円)といったところで、カオサンの200バーツより安い。

Hotel
Khaosan Palace Hotel, C7 号室
350バーツ(980円)/1泊

December 12, 1999 (Sunday)

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今日は、カオサン通りの旅行会社で申し込んだアユタヤ観光(430バーツ, 1204円)に行く。

ホテルの受付に、今日も同じ部屋を使うので350バーツ支払う。ホテルの横にあるセブンイレブンで、朝食用にパンと水を購入し、旅行会社前の集合場所に行きバスが来るのを待つ。

カオサン通りの旅行会社は日本人の溜まり場ともなっているようで、ちょうどそこに居た日本人がいたので話を聞いてみると、これからマレーシアへ行くそうだ。空港へのワゴン車を待っているようだ。私が昨日、バンコク市内でトゥクトゥクをからかっていたことを話すと、「それはまずいですよ~」との事だった。同じようにトゥクトゥクで洋服屋に連れて行かれ、服をオーダーしたところ詐欺だったと、日本人女性が泣いていたとの事だ。途中でトゥクトゥクが逃げ出したのは、かなり稀な例らしい。

彼の乗るワゴン車が先にやってきた。アユタヤ行きのワゴン車は、少し遅れているようで、車の仕切り人が携帯電話でなにやら話している。7時30分、ワゴン車に乗り込む。アメリカ人カップルとスイス人と私の4人の客とガイド、運転手の合計6人で出発。(ちなみにアメリカ人はテレビ番組「ER」の出演者グリーン先生とそっくりだった)

バンコク空港を通っている1号線でなく、ノンタブリを通る33号線を迂回していくようだ。ガソリン(10THB/リットル)を入れる関係か、バンコク市内での渋滞を避けるためかはわからないが。

Car
Bangkok, Khaosan road(07:30発)→ Bang Pa-In(08:30着)
Tour Minibus

Bang Pa-In - Thailand (バーンパイン - タイ)




バーンパイン宮殿前の渡河装置

Chao Praya river at Bang Pa In

ワゴン車は140km/hの猛烈なスピードで北上してゆく。途中でショートカットするために高速道路の真中でUターンしたりしながら、8時30分、バンコクから60km北のバーンパインに到着。入場券はツアー料金に含まれているようで、ガイドが買ってくれた。

まず、ボートに乗って中洲をぐるっと回る。このボートツアーが何を意味するのか知らないが、とにかくチャオプラヤー川が見られる。宮殿側の陸地から中洲へ渡る交通手段は、手動式の中吊座席だ。船よりこちらに乗るほうがスリルがあって面白そうだ。

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プラ・ティナン・ウィトゥン・タサナー(見晴台)

Ho Withun Thasana

ボートから降りると、宮殿内を見て回る。中国宮殿は特別料金を払っているツアー客は内部まで見れるようだが、個人旅行扱いの私たちは周りから内部を覗き見るしかない。灯台のような見晴台に上ってみる。なぜか靴を脱いで上るようだ。

Car
Bang Pa-In(09:45発)→ Wat Yai Chai Mongkon(10:30着)
Tour Minibus

Ayutthaya - Thailand (アユタヤ - タイ)




ワット・ヤイチャイモンコンの奇妙なご神体

Wat Yai Chai Mongkon

9時45分、ドイツ人夫妻を加えて再び出発。10時30分、ワット・ヤイチャイモンコン寺院に到着。見上げるばかりの焼け焦げた仏塔が聳え立っている。私には境内にあるキティちゃんをご本尊にした祠の方が見所だったが。

11時30分、アユタヤ島内のレストランで昼食。飲み物は自己負担で買わされる。こういう現地手配のツアーが主に使うレストランのようだ。




ワット・プラシーサンペット

Wat Phra Sri Sanphet

12時、ワット・ウォーラチェーターラーム寺院へ。隣のワット・ローカヤスター寺院の寝釈迦もついでに見る。この辺りの寺院はどこも破壊されて焼け焦げている。

12時30分、王宮跡の前で2時間ほど自由時間となる。ガイドは日本人にはワット・マハータートの根っこに埋まった仏像が人気があるといっていた。

ワット・プラシーサンペットには、たくさんの遠足の中学生がやってきていた。まあ、ここまで同じような仏塔を見ているので、そんなに珍しくは無い光景だ。境内を小学生くらいの僧侶が何人か歩いていてかわいかった。

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ワット・プラシーサンペット、子供の僧侶

Wat Phra Sri Sanphet, child monk

王宮の東側では、あさってから行われるセレモニーの準備が急ピッチで進められている。そのすぐ北側の工場に「We Have ISO9002」と書かれていたが、なんか場違いのような感じだった。

14時45分、アユタヤを出発して、1号線をまっすぐバンコクへ。16時カオサンの裏通りに到着。

Car
Ayutthaya, Royal Palace(14:45発)→ Bangkok, Khaosan road(16:00着)
Tour Minibus

1日でこれだけの場所を回れることだけでなく、全行程個人で行ったときよりも安くついているので結構得した気分だ。

Hotel
Khaosan Palace Hotel, C7 号室
350バーツ(980円)/1泊