ポルトガル、ガリシアとパリ、ケルン旅日記 :
サンティアゴ・デ・コンポステーラ、ア・コルーニャ、ビーゴ
December 17, 2008 (Wednesday)
Coimbra - Portugal (コインブラ - ポルトガル)
今朝は霧ではなく、空の半分くらいにうっすらと雲がかかっている。昨日テレビで見た天気予報では今日は小雨が降るとなっていたが、結局いい天気だった。9時にホテルをチックアウトして、スペインに向かうバスに乗る時間まで荷物を預かってもらう。支払いにクレジットカードを使っているが、もう少しで支払い端末に差し込んだまま忘れてしまいそうになった...
昼前まで旧市街をぶらついて時間をつぶすことにする。丘の上に大学があるので、学生が急な坂道(階段)を登って通学している。私も大学生の頃、通っていた大学が山の傾斜地にあったので電車の駅から相当急な坂道を登ったが、毎日登っているとそのうち慣れてくるから不思議なものだ。観光客で行くと、相当坂道がきつく感じるけど... これが真夏だったら、悪夢ですね。
旧市街の丘を歩いていて気づいたのは、住宅街と大学の施設がまぜこぜになっているが、観光客向けも含めてお店は殆ど無く、ホテルやペンションも皆無。逆に、そのほうが旧市街をのんびり歩けて気持いいんだけどね。
昨日昼食を食べたビファーナ(ポークステーキのサンドイッチ)を出すバーに行って、少し早めの昼食を食べた後、ホテルで荷物をピックアップしてバスターミナルへ向かう。バスの出発は12時15分。切符を買うときに、15分前に来るように言われていたのでその時間に間に合うように行ったが、案の定バスは定刻の5分前に出発。出発時間ぎりぎりに来たら置いて行かれるところだ...。
Coimbra(12:10発) → Santiago de Compostela(19:15着)internorte bus 運賃 38ユーロ(4830円)
乗車したバスは何年か前に、リスボンからスペインのマラガまで乗った時と同じバス会社(Intercentro)のバスで、車体の横には、「国際定期バス」とポルトガル語でペイントされているが、バスの正面の電光掲示には「不定期運航」と出ている。どっちなんだ... リスボン発のバスには、既に10人くらいの乗客が乗車していて、コインブラから2名、ポルトから3名、ブラガから1名乗車しただけで、満員になることはなかった。
コインブラを出て、15分くらいのところにあるカンタニェデ サービスエリアで昼食休憩30分。14時30分頃ポルトのPraça da Galizaにあるバス会社のオフィス前(バスターミナルじゃない!)に停車、16時30分頃に国境を越える。だんだん空が曇ってきて、17時頃ビーゴ、18時15分にサンティアゴ・デ・コンポステーラ到着。スペインとの間に1時間の時差があるので、こちらでの時刻は19時15分。定刻の30分前に到着している。日本なら、設定ダイヤより大幅に前倒しで発着することは考えられないのだが、こちらの国ではそこまで細かいことは誰も考えていないのだろう。
Santiago de Compostela - Spain (サンティアゴ・デ・コンポステーラ - スペイン)
すでにあたりが真っ暗になり、少し寂れたバスターミナルから外に出ると市バスが1台待っている。行き先表示には、謎の地名。インターネットで予約した新市街のホテルまで、3kmほどなので歩いて行くこととする。GPSとGoogleMapというテクノロジーを使って、街外れのバスターミナルから旧市街付近のぐにゃぐにゃ曲がった道を通り抜け、新市街中心部のホテルまで全く迷わずに到着。さすが、現代の技術力は素晴らしい
夜の20時でも、たくさんの人でにぎわっているのはスペインやポルトガルならではの風景だ。これがオランダやドイツなら、市街地中心部でさえ閑散としてしまう時間帯なので、旅行者にとっては賑わっているのはありがたい。さらに今の季節は、クリスマスイルミネーションが旧市街の主な通りに取り付けられているので、より華やかになっている。
ホテルにチェックインして、観光をする気にもなれず、ホテルのすぐ前にあるスーパー(便利な場所にある!)や、角を一つ曲がったところにあるパティセリでサンドイッチを購入して、部屋でのんびりと夕食。
Hotel México PR 510号室24ユーロ(3050円)/1泊
December 18, 2008 (Thursday)
Santiago de Compostela - Spain (サンティアゴ・デ・コンポステーラ - スペイン)
朝起きて外を見ると、快晴。今日も天気がよさそうだと、この時点では思っていた。昨日パティセリで買ったドーナツと、スーパーで仕入れたヨーグルト、コンソメスープで朝食。
明日の切符を買うために駅へ向かう。9時頃にもかかわらず、まだ日の出前でうっすら明るい程度。ポルトガルとの時差1時間はかなり効いている。そりゃあ、ドイツやチェコといった欧州中部の国と同じ時間帯を使っているのでは、現実の日の出・日の入りと時間がずれるはずだ。
普段使っているドイツ鉄道やスイス鉄道のネット時刻表で、この時期のスペインの時刻表が検索できないため、駅構内に貼り出されている時刻表を眺めて明日の予定を立てる。サンティアゴ・デ・コンポステーラからいったん北上してア・コルーニャへ行き、2時間くらい観光してから、明後日のポルトガル行きの列車が出るビーゴまで1日で乗り継ぎができそうだ。とりあえず、ガリシア州の大きな街は回ったことになるかな...。
窓口で切符を注文すると、ア・コルーニャからビーゴへの切符は発行できるが、サンティアゴ・デ・コンポステーラからア・コルーニャへの切符は2時間前まで発行できないそうだ。つまり、自由席ってことね。
旧市街へ向かう。北の空から雲が近づいてくる。晴れと曇りの境目は一直線となっている。おそらく、寒冷前線か何かなのだろう。
旧市街に足を踏み入れるころには、すでに空一面が雲で覆われ、北から冷たい風が吹いてくる。天気予報では、今日は晴れのはずだったが...。ポルトガルでは天気予報の雨が、実際には晴れになるくらいだから、まあ逆向きの天気の変化もありうるということなのだろう。所詮、天気予報なんて星占いと同じく当てものの域を出ないんだろう。
複雑に入り組んで狭い路地が妙な角度で交差する旧市街は、観光客向けの店などが建ち並んでいる。入り組んだ路地と言えば、アラブ世界のメディナ(旧市街)も同じく有名だが、あちらは日用品を売っているので、同じ観光するならアラブのメディナの方が見どころが多い。(レストランとか、ファッションが好きな人は、西欧の旧市街の方がいいかもね)
まだ朝早いせいか、ほとんどすべての店が開いていない。商品を運び込む車が、本当なら歩行者天国になる道をひっきりなしに走っている。
狭い路地を通り抜けると、いきなり大きな広場にぶつかり、目の前に大聖堂の塔が見える。エルサレム、バチカンと並ぶキリスト教世界の3大聖地のうちの一つがこの街の大聖堂だが、案外小ぢんまりとしている。
大聖堂の中に入る。入場料は取られない。ロマネスク様式でほとんど窓がなく、内部は本当は薄暗いはずだ。まもなくミサが始まるということで、照明が灯されている。
せっかく巡礼地に来たので、10時開始のミサの最初の部分に参加する。スペイン語は分からないので、司教がどういう内容の説教をしているのかさっぱり分からない。
大聖堂の回廊が博物館になっていて、その部分のみ入場料が必要。5ユーロ払って博物館を見学する。この手の大聖堂の博物館と言えば、金・銀細工のきらびやかな装飾品や食器が大量に展示されているわけだが、どうしたわけか、この大聖堂ではタペストリーが主な展示物。ゴヤが制作したタペストリーも展示されていた。聖遺物の展示は博物館の中ではなく、無料で入ることができる大聖堂地下のクリプトにある銀の棺に入れて展示されていた。
本当に12使徒のうちの一人の、聖ヤコブ(スペイン語ではSantiago el Mayor)の骨があの銀の棺の中に入っているのだろうか。盗まれるといけないから、銀行の貸金庫に預けてたりして...。
正午ごろ、一瞬だけ晴れてくる。たった30分の晴天だけど、その間に写真撮影を行う。結局、今日はこの30分だけ、写真撮影ができた。
昼食は、旧市街と新市街の間にある、バーガーキングへ。なぜかコーヒーや紅茶と言う「温かい飲み物」が一切売っていない。既存のカフェの顧客を奪わないため、何らかの談合でもあるのだろうか。
午後は風が強く結構冷え込んでいたが、夕方になると雲も薄くなり(それでも晴れてはいない)、気温も少し上がってきたようだ。テレビの天気予報では、明日の天気は晴れらしい。
Hotel México PR 510号室24ユーロ(3050円)/1泊
December 19, 2008 (Friday)
7時50分にホテルをチェックアウトして、駅に向かう。新市街中心部のホテルなので駅まで歩いて5分と、荷物を持って移動するには好都合な位置にある。
昨日予約ができなかったア・コルーニャ行き列車の切符を買うと、スーパーのレシートのようなぺらぺらの紙のもの渡される。ローカル列車の切符はコストカットも徹底しているようだ。コンコースからプラットホームへ出る扉のところで、RENFE(鉄道会社)のカレンダーを配布している。A4版24ページの500円くらいはしそうな立派なもので、無料配布するとは鉄道会社も気前がいいことだ。
8時30分に、ア・コルーニャ行きの列車に乗車。通勤列車の時間帯なわけだが、ローカル列車でも次の駅が45分先と言う設定では、通勤には使えそうにない。よって、電車内はガラガラ状態。新しい路線をつくる工事をしている場所では徐行して走ったので、結局15分くらい遅れてア・コルーニャに到着。やっと太陽が昇って辺りが明るくなる。
Santiago de Compostela(08:30発) → A Coruña(09:30着)regional 12520 運賃 3.9ユーロ(495円)
A Coruña - Spain (ア・コルーニャ - スペイン)
さて、かなり街外れに着いたようだが、Google Mapで現在地を表示させると前日に取り込んだ地図のキャッシュ範囲にも含まれていない。あと数百メートルの位置まで地図を取り込んでいたのだが...。「歩き方」をスキャナで取り込んだファイルを持っていたので、それを見てみる。それには市街地中心部の地図だけが掲載されていて、地図の端っこに矢印をつけて「駅へ」と書かれているだけ。全く役に立たん...。
駅前にバスが走っているが、どれに乗ればよいかさっぱりわからない。駅にコインロッカーなどがないため、10kgの荷物を背負って坂道のアップダウンの激しい道を3kmほど、街の中心へ向けて歩く。
途中に中央郵便局らしい建物があったので、絵はがき(年賀状)を出す。1枚0.75ユーロ。合計金額を支払ってハガキを係員に渡せば終了。切手を売るというシステムにはなっていないようだ。確かポルトガルでも切手が廃止されいて、シールのようなものを張り付けるシステムになっていた。
街の中心部にやってきた。海沿いの道にそって、バルコニーが全面ガラス張りの真っ白な建物が並んでいる。ガイドブックによれば、この景色が有名らしい。そんなに珍しい景色かなぁ... どこかの国で見たことあるような雰囲気なんだけど。
旧市街の中心のマリア・ピタ広場にある伝統的な建物の市役所には、遠足の幼稚園児の団体が見学に来ている。クリスマス休暇直前の日に遠足って、忙しい時期に空気読めよって思ってしまう。
Praza de España(10:45頃発) → Estación運賃 1ユーロ(127円)
中央市場の中を横切ってスペイン広場へ。バス停が並んでいるので駅へ行きそうなバスに乗り込む。運転手に「ESTACION RENFE ?」と聞いたところ、「ESTACION」だけでよいような雰囲気だった。駅に着いて、入り口の上に掲示されている駅名をよく見ると。「A Coruña adif」と書かれている。RENFEではなく、adifという会社に変わったのか...。Wikipediaによれば、2005年にEU指令により国鉄が上下分離され、運行会社のRENFEと、インフラ保有会社のadifに分離したとのことだ。
11時50分の列車で、ビーゴへ向かう。途中停車したサンティアゴ・デ・コンポステーラ駅から大量の客が乗ってきて満員になる。珍しいことだと思ったが、今日は帰省ラッシュの初日と言うことを夕方のニュースで見て知った。
A Coruña(11:50発) → Vigo(14:00着)r-598 12425 運賃 13ユーロ(1650円)
Vigo - Spain (ビーゴ - スペイン)
14時、ビーゴ着。駅を出ると、駅前の建物に「HOTEL」とか「HOSTAL」とかの看板が出ている建物が大量にある。車が大渋滞していて、夜まで騒音がうるさそうなので、新市街へ少し歩いてホテルを探すこととする。駅から5分くらい、新市街の坂道を登って、百貨店のEL CORTE INGRESの手前にホテルを見つけて入ってみる。1泊29ユーロで、WIFIインターネット無料と言うことで、そこに決めることとする。以前ならもっと歩いて探し回る気力があったが、最近は寄る年波には...
駅へ戻り、明日ポルト方面へ行く列車の時刻表を調べに行く。朝と夜に1本づつの列車が走っていて、あす朝の出発時刻は7時40分。この列車も自由席の列車なのか、切符は当日しか発売しないということだった。
旧市街へ観光に向かう。坂の多い街で、ホテルを出て旧市街までひたすら下り坂。どんどん下って行ってグランビア(マドリッドにも同じ名前の通りがあった)を直角に横切って、さらに行くと沢山の人が行き交う歩行者天国プリンシペ通りになり、その先に小ぢんまりした旧市街がある。ほとんど人影を見ることがない旧市街はビーゴ湾に面していて、湾岸には巨大なショッピングモール A LAXEが建っている。ガイドブック曰く、『ビーゴには観光地は無い』というのがわかるような気がする。
Lonely Planetでは、旧市街のサンタ・マリア大聖堂が12世紀のものと言うことで見る価値があると書いてあり、歩き方とLonely Planetの双方が市街地の最も高くなった丘にある城の跡地(カステロス公園)が見どころだと書かれている。
旧市街のサンタ・マリア大聖堂は扉が閉まっていたので、カステロス公園の城砦跡に行くことにする。バス路線は無さそうなので徒歩で、急な坂道を登る。と言っても、マルセイユに行ったときに丘の上にあるノートルダム・ド・ラ・ガルド教会へ登る坂道に比べれば、はっきり言って大したこと無い坂道だ。
カステロス公園には城壁だけが残骸として残っている。もちろん入場料も取られない。ビーゴ湾を見下ろす広場には1702年のビーゴ湾海戦(Wikipedia記事)の記念碑がある。当時はウィレム3世(ウイリアム3世)を国家元首としていたネーデルランドとイングランド連合軍が、ココまで攻めてきたということらしい。
丘を降りて、スペイン広場を通り(スペインではどこの街にもスペイン広場と名の付く広場がある)、エクアドル通りとか、メキシコ通りとか安易に名付けられた新市街の通りを横切って、旧市街へ。
夕方になり、この街にも綺麗なクリスマスイルミネーションが灯される。目抜き通りのプリンシペ通りの現代美術館前では、女子中学生の即興のコンサートなども催されていた。
29ユーロ(3680円)/1泊