ポルトガル、ガリシアとパリ、ケルン旅日記 :
ヴィアナ・ド・カステロ、ポルト、ブラガ
December 20, 2008 (Saturday)
Vigo - Spain (ビーゴ - スペイン)
昨日ホテルの近くのパン屋で買ったフランスパンと、スーパーで買ったインスタントスープで朝食。いままでスペインで宿泊したホテルで朝食が出た記憶は一度もないが、今回も当然のことながら朝食は付いていなかった。7時15分ごろチェックアウトして駅へ。切符売り場で売ってくれたのは国境のトゥイ駅までの切符(2.6ユーロ)。ポルトガル側のは車内で買わないといけないようだ。
ポルトガル行きの国際列車は2両編成の古そうな列車で、駅のプラットホームの先にある付け足しのプラットホームから出発する。スペイン国内方面への列車が新型のきれいな車両が並んでいるのとは対象的だ。
7時40分、発車ベルも何も無くディーゼルエンジンの轟音を立てて列車が出発する。乗客は10名も居ない。車内は暖房も入っておらず底冷えがする。30分でスペイン最後の駅のトゥイ駅に到着し、国境線のミーニョ川の鉄橋を渡りポルトガルへ。ポルトガル最初の駅から乗り込んできた車掌から、ヴィアナ・ド・カステロまでの切符を買う(3.2ユーロ)。東の空が、うっすらと紫色になり、赤く染まって太陽が出てきた。ポルトガルに入ると時差で1時間戻るため、日の出は8時ごろだろうか。(スペインで時間は9時ということになる)。
ハムのように太った家族(おばあさんも、父母も、子供も、メタボを通り越した太り方)が途中の駅から乗車してきて、にぎやかに話している。列車は大西洋の海岸沿いにのんびりと南へ向かっていく。8時20分、ビアナ・ド・カステロに到着。
Vigo(7:40発) → Viana do Castelo(8:20着)IN420 運賃 5.8ユーロ(730円)
Viana do Castelo - Portugal (ヴィアナ・ド・カステロ - ポルトガル)
駅にはコインロッカーも荷物預け所も無い。ポルトガルやスペインの駅では、荷物預けの需要が無いのだろうか...。仕方ないので10kgのバックパックを背負ったまま、町の観光に出かける。
駅からまっすぐに南に伸びる大通りを南へ向かうと、5分ほどでリマ川の岸辺に出る。河口方向には大西洋との間を隔てる堤防が見える。列車の車窓から見た大西洋は大きな波が打ち寄せていたが、堤防の内側はまったく波が無い状態。川の上流方向には鉄道と道路の併用橋 エッフェル鉄橋が、はるか向こうの対岸に向かって一直線に伸びている。
夏はリゾート地という雰囲気の町だが、さすがに真冬に来る人は少ないのだろう。時折人が歩いている程度だ。人口の割にたくさんある商店は観光客向けの店も多いのだろうが、真冬に店を開けていて採算あっているのだろうか。
小ぢんまりとまとまった旧市街は、ほかの都市の旧市街のように「汚いところ」がまったく無い。リゾート地のイメージそのままの感じのところだ。もう少し店の種類がエスニックな感じになれば、ギリシアのどこかの島のリゾート地と間違えそうな感じだ。
旧市街の中心と思われる共和国広場にある16世紀に建てられた旧市庁舎と17世紀に建てられたミゼリコルディア聖堂、それと15世紀の大聖堂が見所なのだろう。大聖堂は中に入ることが出来たが、他の2つは見学が不可能なのか、季節外れなので閉まっているのかは分からない。
2時間ほど町の中を歩き回り駅に戻る。駅のトイレはカギがかかっていて、駅の事務所でカギを借りるようになっている。そんなにトイレでの犯罪が多いのだろうか... 監視カメラでもつけておいたらいいのに。
10時37分の快速列車に乗る。これも年期の入った車両。ポルトガル鉄道も、この路線に限っていえば全然力を入れている気配が無い。
IR850 運賃 6.85ユーロ(870円)
Porto - Portugal (ポルト - ポルトガル)
Campanhã → Trindade → Marquês(12:50頃着)Metro A,D線 運賃 1日券 4.8ユーロ(610円)
12時10分、ポルトに到着。街の中心の駅ではなく、郊外のカンパニャン駅と言う所に到着。ネットで予約したホテルへ地下鉄で向かう。メトロと言う名前とは裏腹に、アントウェルペンやデン・ハーグで走っているプリメトロ(地下を走っている路面電車)が走っている。電車の警笛も、オランダのトラムのように「鐘が鳴る」音だし...
ポンバル侯爵広場近くの住宅街の中にある三ツ星のペンションは、シーズンオフには飛び込みの客が来るような場所でないため、受付に居たおばさんは、ネット予約した私が来るのを待っていたようだ。結局、この日は私以外の客は来なかったようだ。(ビーゴで泊まったホテルも、シーズンオフだったのでほとんど泊り客が居なかった)
道に面した3階の部屋になったが、前の道路も住宅街なのでほとんど車が通らず、静かな夜を過ごせそうだ。
荷物をホテルに置いて外へ。とりあえず歩いて旧市街まで下ってみる。例えばサン・ベント駅までなら1.6km程の距離だ。坂道をどんどん下って行くと、地下鉄の乗り換え駅 トリンダーデ駅を通り過ぎ、市役所やアリアドス大通りがある街の中心地区に出る。市役所前には鐘の形をした巨大なイルミネーションが鎮座している手、大通りの真ん中にある広場にはクリスマスシーズン専用のスケートリンクなどがつくられている。特設ステージでは、子供のコーラスなどの催し物をやっている。
大通りに面してマクドナルドがあり、ポルトガルの他の都市のこの手の店と同じく、殺人的に混雑している...。坐るところすら見つけるのがむつかしいマクドナルドに入るのは諦めて、サン・ベント駅前にある定食屋(昼だけやっているレストラン)に入る。マクドナルドのビッグマックセットとほぼ同じ価格で、ローストチキンのセットメニューが食べられたりする(6.9ユーロ、870円)。
ポルト市街地の南側をドウロ川が流れていて、市街地が谷底の川に向かって急激に落ち込んでいく傾斜地に旧市街がある。狭い旧市街の道を通って大聖堂へ。大聖堂は正面部分が工事中でシートがかけられている。この国の教会ではモザイクタイルやフレスコ画ではなく、青い色が出る釉薬を使ってタイルに細かい絵柄を焼付ける、アズレージョ(Wikipedia記事)という独特な絵画で壁一面が覆われていたりする。そういえば、サン・ベント駅のコンコースもこのタイル画で埋め尽くされていた。
旧市街からさらに南へ。峡谷に架かる鉄橋(ドン・ルイス1世橋)を写真撮影するために、橋を渡って対岸のヴィラ・ノヴァ・デ・ガイアまで行く(ポルトとは別の自治体)。橋は2段式で、上の段は地下鉄と歩道、川すれすれの下の段は車道と歩道。この上下段の高さの差が、並み大抵ではない。雑誌とかで掲載されている観光局の宣伝写真は、どのあたりから撮影しているのだろうか...。
São Bento(19:40頃発) → MarquêsMetro D線 運賃 1日券 4.8ユーロ(610円) Residencial Grande Rio 226号室
32.5ユーロ(4130円)/1泊
December 21, 2008 (Sunday)
市街地中心部から地下鉄で2〜3駅離れた住宅街の中にあるペンションに泊まっているが、夜空に星座がくっきり見えるほど空が暗い。街の方向を見るとぼやっと明るくなっているのがわかる。夜中は窓を開けていてもものすごく静かだ。最低気温が10℃くらいになるため、窓は開けて寝ないけど...。季節外れで私一人しか宿泊していなかったが、ちゃんと朝食が出てきた。
Faria Guimarães(19:40頃発) → AliadosMetro D線 運賃 1日券 4.8ユーロ(610円)
ペンションから坂を下っていったところにあるFaria Guimarães駅から地下鉄に乗る。昨日購入した1日券は最初にバリデーションしてからキッカリ24時間使えるようで、今朝も改札機ではじかれることは無かった。
今日はポルトから50kmほど離れた所にあるブラガに行こうと思い、ガイドブックに書かれたCordoaria公園のRENEXバス乗り場を観に行ってみる。ネットで調べた限りでは9時発のバスがあるはずだが、バス会社の事務所に聞いてみると日曜日は運休で、次のバスは11時になるという。仕方ない、鉄道にしよう。駅へ戻る道すがら、Cordoaria公園の端っこに大量の鳥カゴを積み上げて露天市を開いている場所に出る。インコとか白い鳩(イベントか何かで使うのか?)といった一般的な小鳥から、珍しそうな巨大な鳥までいろいろ売られている。ポルトガル人は鳥を飼うのが好きなのかなぁ...。
その近くには、CASA ORIENTALという昔ながらの看板を掲げた果物屋がある。店頭に並んでいるのはオレンジやリンゴ、パイナップルといった一般的な果物で、東洋の国の果物でもないようだ。看板には" Cha, Cafe e Chocolate"と小さく書かれている。昔、大航海時代に東洋から輸入したお茶やカカオ豆類を売っていた名残なのだろう。ポルトガルが衰退してからはオランダやイギリスの東インド会社がその分野を乗っ取ってしまって、さらにコショウや麻織物でぼろ儲けしたというのが歴史の豆知識。
サン・ベント駅に着き、切符売り場へ。ブラガまでの切符2.15ユーロ、電車は毎時45分発で、次の電車の出発まで30分ほど時間がある。ドン・ルイス1世橋の袂にある旧市街の城壁(市壁)を観に行く。水面近くと旧市街の高台を結んでいるケーブルカーの駅のすぐ横に城壁の見張り塔がある。その前に19世紀の作家アルナルド・ガマ像が鎮座しているが、城壁となにか関係あるのかな。Wikipediaにもそれらしきことは書かれていない。
Porto São Bento(9:45発) → Braga(10:56着)運賃 2.15ユーロ(270円)
Braga - Portugal (ブラガ - ポルトガル)
快速電車に1時間15分ゆられてブラガに到着。運賃2.15ユーロは格安だ。ブラガからさらに5kmくらい離れた山にある、聖地ボン・ジェズス・ド・モンテへ行くためにバスの時間をガイドブックで調べると、毎時10分と40分の模様(ただし日曜は1時間に1本と書かれている)。さて、本日は日曜日のため10分か40分のどちらの時間なのか... さすが地球の歩き方は雑な書き方だ(ロンプラは、バスの時間までは書いていない)。
直感で10分発と断定。駅から1.5kmくらい離れたリベルダーデ大通りのバス停まで、与えられた時間は10分。公正取引委員会が認定した不動産の表示に関する公正競争規約によれば徒歩は1分80mなので、10分の歩行距離は800m。だいたい倍速で歩けばバスの時間に間に合うはずだ。
ということで、駅から旧市街の中心へだらだらと登る坂道を、持続可能な速度で走ることとなった。気温が15℃くらいで絶好のマラソン日よりでもある(笑)。道路工事中のリベルダーデ大通りのバス停に到着すると、いまにも市バスが出発しようとしている。ぎりぎり間に合った! バス料金1.4ユーロ。ポルトガルにしては、高っ...。たった15分しか乗らないのに。
Avenida Liberdade(11:10発) → Bom Jesus(11:25着)TUB 2系統 運賃 1.4ユーロ(180円)
ポルトガル版カトリックの聖地がある山の麓に到着。ここまで乗車してくる客はほかには居ない。巡礼聖地といっても、いまや徒歩はもとより公共交通すら使わず、マイカーで教会の横に乗りつけてお手軽に観光だけしていく客しか居ないのだろうか...。 聖地の登山口から急な階段を登っているのは、トレーニングウエアを着た陸上選手(階段の上り下りでトレーニングか)と、マウンテンバイクで悪路のトレーニングをしているサイクリニストくらい。
日本なら、お遍路さんなどは歩いて巡礼している人も多いと聞くけど、最近はどうなんだろうね。
ケーブルカーの乗り場があるが、観光客が居ない季節のため運休(閉鎖)している。昔の巡礼者と同じく、林の中を延々と続く階段を登ることにする。つづらおりの角ごとに巨大な祠が建てられていて、小さな教会のようになっている。目を凝らしてみても薄暗すぎて祠の中に何が展示してあるのか分からないレベルだが、プレセピオのようにキリストの教えを人形で表したものが置かれているようだ。10分弱だらだら階段を登って行くと、今度は強烈な折り返しの階段の連続になる(笑)。
昔の巡礼者は、長距離を歩いてきてこの階段を見てどう思ったのだろうか。ほとんどイジメではないのだろうか。この強烈な階段を登りきれば、聖地が待っているという演出効果なのかもしれない。現代では、この折り返し階段は格好の写真撮影スポットになっている。
結局、バス停のある登山道入り口から15分以上登り続けて教会前に到着。教会内では日曜礼拝中。10分ほど待って礼拝が終わったのを見計らって中を見学する。伝統ある巡礼教会の割に、案外さっぱりとした装飾だ。まあ、巡礼者にとっては、ここまで登った達成感だけで、教会なんてどうでもよかったのかもしれない...。 教会前から見るブラガ市街地方面の眺めは、かなりよい。
Bom Jesus(12:35発) → Avenida Central(12:50着)TUB 2系統 運賃 1.4ユーロ(180円)
ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世の言葉"Totus Tuus"の石碑
"Totus Tuus" (totally yours) monument
by Pope John Paul II at Praça da República
バスは、ブラガ市街地中心部のレプブリカ広場前に到着。乗ったところとは全然違う場所で、より中心部に近くて便利だ。バス会社のホームページの路線図によれば、市街地中心部は一方通行なので違うルートを走っている。路線図をもっとよく見ると、ブラガ駅前に『NOVA ESTAÇÃO』というバス停が...。
レプブリカ広場の真ん中に、なぜかマクドナルドがある。ちょうど13時で昼ご飯を食べにマクドナルドに入る。ビッグマックセットが4.2ユーロ(530円)と、欧州では安い部類に入る。ポテトではなくサラダを選択できるというのもこの国ならでは。でも、大衆食堂で昼食を食べるより高いのであまり魅力は無いけど...。
レプブリカ広場には、1982年5月にこの地を訪れたローマ教皇ヨハネ・パウロ2世の記念碑が建てられている。公園の何処にもそういうふうに書かれた説明板はないが、記念碑にTOTUS TUUSとラテン語で書かれているから、その筋の人には分かるようになっているのだろう。
広場の噴水の横の建物には、城本体は既に取り壊されてしまったが、ブラガ城の塔が残っている。その裏のポルティコでハンドメイド製品を売っている露天が集まっている。"捨て犬を救おう"という垂れ幕を掲げている店もあるが、どうみても迷い犬の首輪付きラブラドール犬がうろついていて、とっても可哀想なんですけど...。お題目はいいから、その犬助けてやれよ。
大聖堂へ。こちらも日曜礼拝が終わった直後。内部は撮影禁止と建て札がある。地球の歩き方の写真は表示を無視して撮影したモラルのない写真なのか、それとも昔は撮影OKだったのか...。大聖堂の中はボン・ジェズス・ド・モンテ教会より遥かに手の込んだ内装で飾られている。大聖堂と呼ばれるには、これくらいの装飾をしておかないと、失礼なのかもしれないけど。
市役所前の公園には、日本では11月中旬にすでに紅葉が終わって散ってしまっているプラタナスが、まだ真っ赤に紅葉している。日本より季節の移ろいが1カ月以上遅いのか、それとも冬はそんなに寒くないのかのどちらかなのだろう。
Braga(14:35発) → Porto São Bento(15:45着)運賃 2.15ユーロ(270円)
Porto - Portugal (ポルト - ポルトガル)
15時45分、ポルト着。パティッセリアに入り、カウンターの上に積み上げられている謎の食べ物を注文してみる。肉かと思いきや、パンをワインに浸してフライパンで焼いたものだ。ポルト名物なのだろうか...(Rabanadas de vinhoというクリスマスの時期の特別なフレンチトーストらしい)。フライドチキンのサンドイッチらしきものを頼むと、ポークだという。豚肉の天ぷら...。飲み物も含めて4.4ユーロで、珍しい料理を堪能しました(笑)。
日暮れ時、ドウロ川に架かるドン・ルイス1世橋を写真撮影。太陽がドウロ川の下流方向に沈んでゆき、空が紫色から藍色に変わっていく。大聖堂と川の間に挟まれた旧市街に少しずつオレンジ色の街灯が灯っていく。川沿いのリベイラ川岸通りには観光客向けのレストランなどが並んでいて、観光客の少ない真冬でも、この場所だけを見ればそれなりに活気があるように見える。
リベイラ川岸通りからドン・ルイス1世橋を見ると、こちらもオレンジ色にライトアップされて、橋の最上段をものすごくゆっくりと地下鉄が走っている。日没方向が逆方向なら、ちょうど橋の向こうに夕日が沈む感じになって写真撮影には最適なんだけど... 世の中はうまくいかないものですね。
観光客がコンパクトカメラで夜景を撮影している。手元がかなりぶれているように見えるが、それでは綺麗に撮影できないだろ...。最近のカメラは、夜景モードにすると多分それなりに「味付けした」写真が撮影できるために、撮影できたと勘違いしている人が多いのかも。
São Bento(18:10頃発) → MarquêsMetro D線 運賃 1日券 3.35ユーロ(420円)
夕食は地下鉄Marquês(ポンバル侯爵広場)を降りたすぐ前にある下町のグリルといった感じの店(Churrasqueira Retiro Desportivo)へ。道路から見えるガラス張りの一角で鶏肉のグリルを作っている。文字だけで書かれたメニューが壁に貼り出されているが、読めないので、カウンターに居る店主に聞いておすすめ料理を注文。おかず付きの巨大なチキンロースト(1/2匹)、スープ、グラスワイン、食後のコーヒーとデザートで6.4ユーロ(810円)。あまりの多さに食いきれん... が、無理して食べた(笑)。でっかい紙パックのワインを、グラス1杯あたり0.5ユーロで飲めるという安さ... さすが住宅街の大衆食堂だ。
Residencial Grande Rio 226号室32.5ユーロ(4130円)/1泊
December 22, 2008 (Monday)
ポルト滞在3日目、今日も快晴。最高気温は、天気予報では16℃と言っている。
Faria Guimarães(09:00頃発) → São BentoMetro D線 運賃 3.35ユーロ(420円)
最近日本でも通勤や街中の移動にスポーツバイク(自転車)に乗る人が増えてきたが、ポルトガルも同じような感じで、車道の真ん中を猛スピードでスポーツバイクが走り抜ける姿をよく見る。これからの先進国の都会人は、エネルギーの無駄遣いの自動車じゃなく環境にも健康にも良い自転車の時代だとおもう。
今日は一日、ポルトの観光をする予定。まず、朝の光を受けているドン・ルイス1世橋の撮影へ。同じような考え方の人も居るようで、崖沿いの住宅の裏道などを、カメラを抱えて歩き回っている人が何人も居る。そのまま川沿いのレストランやカフェが並んだリベイラ川岸通りを通り抜ける。観光の季節でないため、半分以上の店が開いておらず、椅子やテーブルが積み上げられている状態になっている。その河岸通りから急な坂道が旧市街方向に続いているわけだが、飼い犬なのか野良犬なのか判別の付かない犬が、わがもの顔に歩き回っている。その犬が、大きな通りの信号のない横断歩道を堂々と渡るときは、車がちゃんと止まってくれたりもする。
旧市街の西のはずれのサン・フランシスコ教会へ。まるでイタリアの教会を思わせる、ごてごてに装飾された内装。カトリック教会は、いかにきらびやかにするかが信者を集めるバロメーターになるのだろうか。教会のカタコンベの見学は3ユーロ。1850年〜1870年の間の年号の入った墓ばかりだが、この間になにか大きな災害でもあって死者が増えたのだろうか。
教会の横がエンリケ航海王子広場で、彼の銅像が立っている。こちらの人には、大航海時代の幕開けを飾ったエンリケ航海王子と、喜望峰を越えて初めてインド洋まで公開したヴァスコ・ダ・ガマ、どちらが有名なんだろうか...。日本人の私が歴史の時間に習った限りでは、ヴァスコ・ダ・ガマのほうが断然有名だったと思う。エンリケ航海王子広場に面してボルサ宮殿という巨大な建物が建っている。宮殿と言うからには王家の建物と思いきや、なんと商工会議所の本部らしい。王の肖像画の代わりに、商工会議所の歴代会長の肖像画が掲げられていたりする。以前にあった証券取引所が災害で焼け落ちて、その後1800年代に建設された建物だそうだ。
この商工会議所、内部の見学に5ユーロ払う必要がある。日本の商工会議所のように殺風景なオフィスビルじゃなく、まるで宮殿のような内装だから有料なんだろう。今晩、何らかの食事会が開かれるらしく、ガラス屋根で覆われた中庭では、ディナーのテーブルセッティングが行われていた。
昼ご飯は、サン・ベント駅前の食堂で日替わり定食(5.35ユーロ)を注文する。パスタに巨大なステーキ肉が入ったものが出てくる。肉スパゲティー?
昼からはドウロ川を挟んだ対岸、厳密にはポルト市ではなくヴィラ・ノヴァ・デ・ガイア市という別の自治体。ガイドブックではポルトの中で説明されているワイン工場の見学に向かう。川沿いに何社かの工場(倉庫?)が立ち並んでいて、そのうち何軒かが見学できるようになっている。
ガイドブックによれば、Cálemというのが地元資本で、商工会議所の会長を何代も排出した名家。Sandemanといのがイギリス系の会社で、ポルト最古と言うのが売り。どっちでもいいんだけど、バットマンみたいなロゴを使っているSandemanの方に入ってみる。(SANDEMANNだと思っていたが、さすがにイギリス系でその綴りはあり得ないし...)
商工会議所と同じくガイドツアー方式になっている。なんでも、バットマンみたいなロゴは1820年ごろに考案されたもので、ポルトガルの大学生のローブを纏ってスペインのソンブレロ帽をかぶったシルエットになっているらしい。この会社は、スペインでシェリー酒もつくっているので両国のシンボルを入れたのだろう。工場はそれほど広くなさそうなのだが、どれくらいの出荷量なのだろうか。ガイドツアーでは、製造量や醸造の技術的な話は一切無く、素人向けの商品案内みたいな感じの話だった。
São Bento(18:00頃発) → MarquêsMetro D線 運賃 全線1日券 5ユーロ(630円)
夕食は昨日と同じく、ポンバル侯爵広場のグリルで。明日はパリに移動するので、これほど安く夕食を食べれることは無いはずだ。天気予報ではパリの最低気温は2℃、最高気温が4℃らしい。ものすごく寒そうじゃないですか...。
Residencial Grande Rio 226号室32.5ユーロ(4130円)/1泊
December 23, 2008 (Tuesday)
8時にホテルをチェックアウトし、少し坂を登ったところにあるMarquês駅から地下鉄に乗る。昨日昼過ぎにバリデーションした1日券が24時間有効なので、空港まで十分行くことができる。Trindade駅で空港行きのE線に乗り換える。E線は1時間に3本しか走っていないが、運良くすぐにやって来る。30分ほどで空港前の停留書に到着。1週間前にコインブラからサンティアゴ・デ・コンポステーラへ向かう国際バスが、この空港の停留所を経由していたので、景色はなんとなく覚えている。
Marquês(08:25頃発)→ Trindade → Aeroporto(09:00頃着)Metro D,E線 運賃 全線1日券 5ユーロ(630円)
欧州最大の格安航空Ryanairのチェックインカウンターは、珍しくターミナルビルの中にあった。他の空港では格安専用の倉庫みたいな安っぽい別棟のばあいが多いのだが...。クリスマス休暇のシーズンなので、ラテン系の国によく見かけるお年寄りから孫までの3世代家族連れ、というようなグループが何組もチェックインの列に並んでいる。まとめてチェックインしようとしているから、カウンターのお姉さんが乗客の身分証明書と予約票を見比べるのに手間取って、やたら時間がかかっている。子供も年寄りも1人ずつ、自分の予約票とパスポート持って強制的にチェックインさせた方がはるかに早いのに。
11時5分、飛行機はほぼ定刻通りに出発して快晴のイベリア半島上空を通過してフランスへ。フランスに近づくと、天気予報通り空は一面の低い雲に覆われている。どんよりとした曇り空のパリ・ボーヴェ空港に着陸。乗ってた時間は2時間だけど、時差があるので到着時刻は14時。
Porto Francisco de Sá Carneiro(11:05発)→ Beauvais-Tillé(14:10着)Ryanair FR9135 運賃(諸税込) 80.2ユーロ(10200円)
Paris - France (パリ - フランス)
Ryanairのホームページで切符を購入したときには、パリ空港となっていたが、到着したのはパリから70km北にあるボーヴェという町にある小さな空港。ターミナル『ビル』というものは存在せず、ターミナル『小屋』のようなプレハブの平屋建ての建物が1個あるだけ。飛行機も着陸したら滑走路を"逆走"してターミナル小屋の前の小さなエプロンまで走ってくるし、もちろん飛行機を引っ張る車など存在するわけもないので、自力でターンして滑走路に戻っていくという徹底した格安空港。同じような条件の街から遠すぎる関西空港も、これを見習うべきだろうね。
テロ警戒なのか何故か入国審査があり、その先に空港バスの切符売り場があり、パリ市内までのバスの切符が13ユーロ(1600円)で売っている。どちらにも行列が出来ている。空港を出たバスは、ベルギー北部からパリに向かうA16高速道路を1時間弱走り、地下鉄ポルト・マイヨ駅に到着。バスから大きなビルの横の駐車場に降ろされた時には、パリの何処に放り出されたのか分からなかったが、ビルの中に入ると"METRO"駅の入り口表示があったので助かった...。パリ市民には、この大きなビルは国際会議場のパレ・デ・コングレとして有名らしい。
Aéroport de Beauvais(14:45発)→ Paris Porte Maillot(15:55着)shuttle bus 運賃(諸税込) 13ユーロ(1600円)
ポルト・マイヨ駅で明日使う1日券(5.8ユーロ)と1回券(1.6ユーロ)を買い、ついでに無料の市街地図ももらう。切符は今日泊まる郊外のユースホステルに行く時のために温存し、地下鉄には乗らず歩いて市内中心方向を目指す。地図によれば、ポルト・マイヨはシャンゼリゼ通りから延びる大通り沿いにあるようなので、のんびりと歩いて行くと10分ほどで凱旋門に到着。観光客がやはりたくさん来ている。
天気予報では曇りのはずだが、パリの上だけ雲が消えて晴れ間が出ている。明日も晴れてほしいけど、そうは行かないだろうな...。気温も10℃くらいあるんじゃないかと言うくらいの暖かさ。
昼ご飯を食べていないことに気づき、この辺りで手早く食事できるといえば、確かシャンゼリゼ通りにマクドナルドがあったことを思い出す。行ってみると、これまたすごい人ごみ。何で、あんな食べ物にたくさんの人が群がるのかねぇ。少し行ったところに、Quickというフランス資本のハンバーガーチェーン店があったので、そっちに入る。普通のバーガーのセットが6.8ユーロと、サイズの割に高すぎる値段設定。日本では経済人が円高とか騒いでいるけど、まだまだ円安なんじゃないですか? 日本なら800円も出せば吉野家や松屋(日本版ファストフード)の定食で十分お釣りが来ますよ。
もうすぐ夜景が見れる時間だけど、洗濯もしないといけないためパリ市郊外のユースホステルを目指す。凱旋門の横のシャルル・ド・ゴール=エトワール駅から地下鉄に乗り、パリ市街地を東西に横断して郊外のポルト・ド・マニョレ駅へ。この駅は市内切符(1区)で行ける限界のところにある駅だ。
Charles de Gaulle - Étoile(17:00頃発) → Père Lachaise → Porte de BagnoletMetro 2,3号線 運賃 1.6ユーロ(200円)
ユースホステルにチェックインする。1泊22ユーロ。ポルトガルやスペインではホテルの部屋に泊まれる価格だが、宿泊費が高騰するパリではこれでも破格の安さと言えるのかもしれない。さっきハンバーガーを食べたばかりだが、とりあえず夕食を物色しに1kmほど南のポルト・ド・モントレイユ駅付近へ。地下鉄9号線の走るアヴロン通りは典型的なパリ市郊外の外国人街といった場所で、アラブ料理(ケバブ屋)、インド料理、中華料理と国際色豊かなジャンクフード系の店がわんさかとある。こういう雰囲気好きだなぁ...。ココでなら、ハンバーガーのセットメニューも4ユーロ程度と妥当な値段設定になっている。
目当ての中華料理屋に行き、山盛りのご飯とチンジャオロースーのような炒め物を巨大なタッパウエアに詰めてもらい、持ち帰る(5.5ユーロ)。やっぱり日本人は米じゃないとね。とはいえ、ポルトガルでも料理の付け合せに山盛りの蒸した米が毎日のように出てたけど、あれは一種のサラダなので米を食べたという感覚じゃない。
Auberge de jeunesse Paris - Le d'Artagnan 431号室22ユーロ(2800円)/1泊