2019年 台湾旅行記 : 台北
February 28, 2019 (Thursday)
Osaka - Japan (大阪 - 日本)
大阪は未明から土砂降りの雨。日の出前の真っ暗な中、傘をさして地下鉄の阿波座駅に向かう。こんな早朝にもかかわらず、地下鉄や南海電車には結構たくさんの人が乗っている。しかし、座れないほどではなかった。
関西空港に着く寸前、泉佐野付近でやっと空が薄明るくなる。終点の関西空港駅で電車を降りた乗客のうち、LCCが出発する第2ターミナルに向かう客はそれほど多くなく、連接車体のシャトルバス1台に十分乗れるくらいの20人ほどだった。
阿波座駅(05:30発)→ なんば駅(05:37着)大阪メトロ 千日前線, 運賃 180円 難波駅(05:45発)→ 関西空港駅(06:29着)
南海本線, 回数券運賃 920円(金券ショップ860円) 関西空港第1ターミナル(06:35発)→ 関西空港第2ターミナル(06:40着)
南海バス, 運賃 無料
第2ターミナルの国際線チェックインは、春秋航空もピーチも大行列。この大量の客は、どうやって来たのだろう。私は地下鉄の始発から数えて2本目の電車に乗ったので、まさか始発電車はギュウギュウ詰めの超満員というオチなのだろうか。
セキュリティチェックと出国審査を抜けて、搭乗ラウンジへ。出国審査を出たところで、利用客を強制的にごちゃごちゃの土産物屋内を歩かせる「商売ファースト」はいただけない。あくどい大阪商人魂だ。ラウンジのテーブルで、前日にスーパーで買ったパンを食べる。電子レンジと給湯器があるので、便利な場所だ。
関西空港 第2ターミナル(07:47発)→ 台湾 桃園機場 第1ターミナル(09:56着)ピーチ航空 MMO 23 諸税込み往復運賃 20,370円
出発予定時間の15分ほど前、搭乗開始。建物の外は本格的な土砂降りの雨。航空会社の傘を借りて、駐機場のA320-200型機に乗りこむ。機内はほぼ満席で、8割から9割ほどの席が埋まっているだろうか。
ピーチ航空の台北桃園便はほぼ定刻通り飛行し、曇り空の桃園機場(桃園空港)に到着。入国審査場は、同じ時間帯に到着したフィリピン発の飛行機から吐き出された大量の乗客で、ものすごい行列ができている。窓口は5つほどしか開いておらず、それぞれ50人以上の行列だ。20分ほど掛かって入国審査場をクリアする。
到着ロビーには携帯電話会社3社とWifiレンタル会社の売店が並んでいる。台湾最大手の中華電信のお店へ。ネットの掲示板には、パスポート以外に日本の運転免許証などの第2身分証が必要と書かれていたが、ここではパスポートを見せるだけでSIMカードを購入できた。購入したのは『4G計日型預付卡-5日型 NT$300』(5日間データ通信無制限プラン)で300元(1,110円)だ。SIMカードをスマートフォンに取り付け、5分ほどで自動的にネット接続可能になった。
旅の軍資金として、到着ロビーのATMでクレジットカードキャッシング。3,000元(11,100円)を出金する。
スマホのインターネット接続環境と現金をゲットしたので、台北市内に移動するため捷運(地下鉄)の桃園機場站へ。2年前の台湾旅行のときに購入し放置していた交通ICカード「一卡通」に、券売機で500元を加値(チャージ)。台湾では交通ICカードで鉄道やバスに乗ると、もれなく1割以上の割引があるので、これを使わずに旅行できない。
捷運の直達車(快速列車)は4両編成で、1時間に4本の運行だ。立ち席が出ない程度の乗客数だったので、地下鉄よりも従前からの空港バスで台北市に向かう人のほうが多いのだろうか。
機場第一航廈站(10:43発)→ 台北站(11:19着)桃園捷運 直達車, ICカード運賃 150元(555円)
Taipei - Taiwan (台北 - 台湾)
列車は「直達(快速)」の割にはのんびりしたスピードで走っている。車窓はどんよりとした曇り空で、道路が濡れているので少し雨が降っているのかもしれない。新北市街地には同じデザインの超高層マンションが林立し、まるで中国大陸の景色を見ているようだ。台北市街地に入る直前、淡水河が増水した時のバイパス河川「二重疏洪道」内に造られた大台北都会公園に、燈会(ランタン・フェスティバル)のオブジェが沢山設置されているのが見える。まもなく列車はトンネルに入り、淡水河を横切って終点の台北車站に到着。
Googleマップで「自助餐」を検索し、台北車站から円環に向かって5分ほど歩いた所にある家楽園自助餐へ。ここで昼食。白身魚のフライ、鴨肉扁(鴨肉ロースト)、茶葉蛋(煮卵)、麻婆豆腐、炒A菜(油麦菜)、冬瓜湯を選択して140元(518円)。このお店は、自分でおかずを盛りつけるのではなく、店員さんにショーケースのおかずを盛りつけてもらう方式。「ひと匙」ではなく「てんこ盛り」を行う外道を防ぐための苦肉の策なのだろう。
午後の予定は、日本統治時代に造られた台北浄水場を見学することだ。再び台北車站まで戻り、隣接する捷運(地下鉄)の北門站から列車に乗る。
その台北車站の入口横に、かつてこの地にあった台北車站後站、わかりやすく言えば台北駅の北口駅舎跡の記念公園がある。そこには日本統治時代に開通した淡水線を走っていたガソリンカーが展示されている。この301号車両は本物ではなく、DR2052ディーゼルカーを魔改造して作った復元車両だそうだ。いかにも古めかしく、よく出来ている。
北門站(12:11発)→ 公館站(12:20着)台北捷運 松山新店線, ICカード運賃 20元(74円)
公館站で下車。駅の北東側は広大な国立台湾大学のキャンパス、南西側は公館夜市がある繁華街だ。
繁華街を抜けて500mほど歩くと、台北自来水事業処(台北水道局)公館浄水場の管理棟がある。ここは、日本統治時代に台北に初めて造られた浄水場「台北水道水源地」で、今は使われなくなった古いポンプ場「唧筒室」を見学することができる。入場料は80元(296円)。
樹脂製の蓋で覆われた現役の浄水施設の横を通って、いかにもレトロな旧ポンプ場「唧筒室」にやって来る。このレトロ感が写真撮影にちょうど良いのか、女性モデルを撮影する撮影隊が幾組も来ている。建物の中に入ると、黒光りしている送水ポンプが9台並んでいる。これらのポンプは、淡水河の支流新店渓から取水して沈殿池に組み上げる原水ポンプと、沈殿ろ過された上水を配水池に圧送する清水ポンプだということだ。
現在残っているポンプは日本統治時代のものではなく、1950年に更新されたもののようだ。これらのポンプは日立製やアリス・チャルマーズ製、荏原製作所製の渦巻きポンプたちだ。地下室の一段低くなったところのものが淡水河からの取水ポンプ「原水1〜4號抽水機」で、たとえば日立製は26,000t/日(モーター120馬力)、アリス・チャルマーズ製は10,000t/日(モーター50馬力)などと説明板に書かれている。アリス・チャルマーズ製のモーターは回転体が外から丸見えの変わった形状をしていて、運転中に間違えて手を突っ込んだら大事故になりそうだ。
地下室の一段高い所にあるポンプは配水池に揚水するポンプで、「清水1〜5號抽水機」と書かれている。こちらは同じ日立製でもモーターが大きく、25,000t/日の送水能力でも300馬力のモーターが取り付けられている。標高30mの観音山の上にある配水池まで組み上げるには、それだけパワーが必要だということだろう。
建物の外に出ると、桜が咲いている。寒緋桜の近種の「河津桜」という品種らしい。寒緋桜とは違って花弁がぱっちりと開いていて華やかだ。
浄水場を後にし、敷地に沿って新店渓の方へ向かう。河川敷の入り口に公館水岸広場と看板が出ていて、台北市のレンタル自転車の店舗がある。河川敷の公園をサイクリングするところのようで、多くの家族連れがやって来ている。
地下鉄の公館站の方に戻りつつ、駅手前の公館夜市の繁華街をうろついてみる。胡椒餅の店を見つけたが、売り切れてしまい調理中だった。生煎包の店もあり、こちらには在庫があったので鮮肉餅を購入(15元, 56円)。ニンニク分の少ない肉まんを、フライパンで焦げ目をつけたものが生煎包。日本でも肉まんをカリッと焼いて売れば、新たなコンビニの売れ筋になりそうな気がする。
羅斯福路(ルーズベルト通り)を渡って、国立台湾大学のキャンパスに入る。敷地内には誰でも勝手に入って良いようで、近隣の人や観光客が沢山歩いている。セキュリティという概念は全く無いようだ。そのおかげで、昭和初期の重厚な建物が建ち並ぶ構内を自由に見物できるのは観光客にとってはありがたいことだ。
女子寮、農業科学部の横を抜けて、行政大楼(大学本部)の立派な建物の前へ。この建物は1928年に建てられた台北帝国大学の農学部本館だ。周囲に沢山のヒラドツツジの花が咲いている。ツツジは日本を彷彿とさせる花だが、大学構内のツツジの多くは1950年代以降に植樹されたものだそうだ。いまでは大学を象徴する花らしい。
ダイオウヤシ(大王椰子)の並木が延々と続く椰林大通を挟んだ向かい側には、文学部の建物。これも台北帝国大学の文学部本館として1929年に建てられた歴史建築だ。隣には1930年に建てられた図書館で、現在は校史館となっている建物がある。ここは学校の歴史を展示する博物館だが、残念ながら和平記念日の祝日である今日は休館している。
椰林大通を公館站の方へ歩いて行くと、大学の正門がある。ここの警備員室も、1931年に建てられた歴史建築物ということで、昔の建物を大切に使う国なんだと感心する。
公館站(14:25発)→ 西門站(14:35着)台北捷運 松山新店線, ICカード運賃 16元(59円)
捷運(地下鉄)に乗り、西門站で下車。繁華街に続く出口は、駅構内から行列ができるくらい多くの人がいる。これが、和平記念日の4連休の賑わいなのか…。
ネットで予約した漢口街にあるホテルに向かう。ホテルは、北門站・西門站・台北站のちょうど中間地点の便利な場所にある。
予約したのは窓なしの安い方の部屋だったが、値段据え置きで窓ありの部屋にアップグレードしてくれた。6階の部屋の窓から見下ろす景色は南側の路地だが、静かで良さそうな部屋だ。2泊で2,123元(7,855円)をクレジットカードで支払う。
ホテルの部屋で少し休憩していると、だんだん「寒く」なってくる。天井付近から冷房の空気が全速力で吹き出している。そういえば、中国南部や台湾では真冬でも「冷気解放」(冷房を入れておくこと)が、サービスの一貫という考え方もあったよな…。
そろそろ日没が近づいてくる16時半頃でかける。新光三越の方向へ少し歩くと、以前から気になっていた温州大饂飩という看板を掲げたチェーン店がある。「饂飩」はフントンと読み当地ではワンタンの意味だ。鮮肉大饂飩麺(75元, 278円)を注文。予想どおり、あっさりラーメンの上に巨大なワンタンが3個乗っている。
さて、今日のもうひとつの目的の寧夏路夜市に向かう。途中、台北站を横切る必要があるので、明後日の高速鉄道の予約切符を受け取っておく。地下1階にある高鉄の券売機で、予約番号とパスポート番号を入力すると切符が発券された。
台北站の地下街を通り抜け、重慶路をまっすぐ北に5分ほど歩くとロータリーの交差点「円環」に行き当たる。日本統治時代に造られたロータリーは、戦後、無秩序に中央部分に建物が建てられ屋台街になってしまっていたようだ。これらの建物は現在では完全に撤去され、いまはロータリー部分が公園になっている。
円環から北に延びる寧夏路夜市は、屋台が今まさに運び込まれている状況。オープンは18時頃と推測。それまでの間、西にある迪化街を見に行くことに。
迪化街は300mほどの道路の両側に小売店が軒を連ねているが、半数以上の建物が第二次大戦以前に建てられた歴史的建築物だそうだ。観光客向けの乾物商や飲食店がほとんどで、私にとっては特に買うべきようなものはないかなと…。通りの中間付近、永楽市場の前の道路が少し広くなったところでは、ストリート・ミュージシャンが日本語でサザンオールスターズの曲を歌っている。
18時、日も沈んで暗くなった頃、再び寧夏路夜市に向かう。250mほどの長さの通りに、北半分はB級グルメの屋台が、南半分は雑貨類の屋台が立ち並んでいる。狭い通路部分をびっしりと観光客が埋め尽くしている。人気の店は長蛇の列で、どれくらい並べば食べ物にありつけるのか想像もつかない。屋台に掲げられたメニューと、実際調理されているものを見ると、わざわざ「屋外の雑踏のなか食べないといけない」と感じる料理は無かった。胡椒餅が食べたかったが売り切れだったため、Googleマップで検索すると円環の南側にも店があるとのこと。行ってみると、ちょうど焼き上がったところのようだ。2個買って食べてみる(70元, 259円)。確かに、スパイスが効いた肉入りのパンのようなものだ。饅頭・肉包の生地ではなく、カリッと焼いたパン生地で、今まで食べたことがない食感だ。
あとは野菜を食べればバランスの良い夕食となる。泊まっているホテルの近くのセブンイレブンで、「1日の3分の1の野菜が取れるサラダ」(42元, 155円)と340ml比菲多(乳酸菌飲料 30元, 111円)を買って食べる。ついでに、交通ICカード一卡通に200元を加値(チャージ)する。
コンビニで買い物すると、毎回「發票?」とレシートの要・不要を聞かれる。レシートごときの小さな紙を節約しても、大して環境保護にもならないと思うのだが…。その姿勢が大切なのかねぇ。
城美大飯店 泊603号室 ダブルルーム 1,061元(3,925円)/1泊