2019年 台湾旅行記 : 嘉義

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March 2, 2019 (Saturday)

Taipei - Taiwan (台北 - 台湾)

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早朝の二二八和平公園

5時(日本時間6時)起床。22時に寝たので、睡眠時間は7時間で十分足りてるだろう。6時のNHKニュースは、米朝首脳会談が失敗だった件の余波を伝えている。昨晩の台湾の放送局のニュースでは、専門家の意見として日本の民放の動画を引用していた。台湾に専門家はおらんのかね…。

6時過ぎ、台北車站南側に広がる繁華街の偵察に出かける。ゴミ収集車が時折通過するくらいで、歩く人も走る車も殆ど見かけない。懐寧街の北端や開封街東端など、所々に早朝から営業している餅屋・粥屋・麺屋があり、朝食抜きの安宿住民が集まってきている。24時間営業のマクドナルドには、宿代を節約する「マック難民」が机に突っ伏して仮眠しているのが見える。

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城美大飯店の朝食バイキング

繁華街を縦断し国立台湾博物館の正面を通り過ぎ、二二八和平公園へ。太極拳を踊る人もなく、静かな霧の朝だ。

散歩を終えホテルに戻ると、ちょうど7時。さっそく朝食とする。饅頭・粥とおかずという昨日と全く同じメニューで、何泊もすると飽きてしまうだろう。

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撫台街洋楼

8時半、ホテルをチェックアウト。嘉義行きの列車に乗るまで、2時間が観光のための持ち時間。今回は北門付近を攻略する。北門の手前に1910年頃に建てられたとされる洋館「撫台街洋楼」がある。昨日見た基隆の義重町、一昨日見た迪化街の日本統治時代の商店建築は「赤レンガの洋館」だが、ここは公共建築のような「石造り」だ。なんでも、台北城の城壁を解体した時に出た石材を流用したとのこと。

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台北府城北門と鉄道部旧庁舎

北門をくぐり抜け、大通りの向こうに赤レンガ造りの台湾総督府交通局鉄道部の旧庁舎がある。この場所は陸軍の砲兵工廠だったのだが、1900年に所管が鉄道部に移され台北工場になったそうだ。1918年、森山松之助の設計により建てられたのが、この鉄道部庁舎だ。

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台湾総督府交通局鉄道部の旧庁舎

いまは、国立台湾博物館の鉄道博物館らしいが、入口前には「園区展示 工程進行中」の札が掲げられているのみだ。博物館が落成したら、そのときには見に来たいものだ。

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1906年(光緒32年)の大清郵筒

北門をはさんで南側にある台北郵局の博物館を見に行く。日本統治時代の1928年に建てられた郵便局の局舎、2階に子供向けの博物館がある。展示内容は、第二次大戦前の中国大陸の郵便発展史と、戦後の台湾の郵便の歴史だ。

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河南・陜西・湖北・四川での郵便輸送の様子

歴代ポストは大清郵政と台湾の中華郵政のものが、歴史写真は陜西省や四川省などで苦労して郵便を運ぶ職員の写真の特集だ。台湾島の郵便システムの基礎を築いた日本に関する記述は、セロだ。そう、ここは「中華」郵政の博物館だからだ…。

10時頃、台北車站へ向かう。外は霧が消えて晴れ間から強い太陽光が降り注いでくる。蒸し暑い夏の天気だ。台北車站の地下街で台鉄弁当の排骨飯を購入(60元, 222円)してから改札口を通る。

Train
台北車站(10:21発)→ 嘉義站(11:48着)
台湾高鉄 625列車, 標準車廂 Web予約(20%OFF)運賃 860元(3,182円)
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台鉄弁当

列車は定刻通り出発。私が乗車した5号車は、板橋站でほぼ満席となる。桃園站あたりまではきれいな青空の晴れだったが、その先はどんどん霧が濃くなっていく。

車窓から見える景色は、一面の水田だ。関西や関東では5月くらいに行われる、水田に水を張って代かきをし田植えをする作業が、今まさに台湾北部で行われている。台中を過ぎて嘉義に近づくと、苗がかなり育って青々とした水田が広がっている。日本では6月頃の景色だ。

台北車站で買った台鉄弁当を食する。さっぱりした味の排骨弁当は安定した美味しさだ。

Chiayi - Taiwan (嘉義 - 台湾)

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高鉄嘉義站の700T型電車

嘉義站で下車。高架のプラットホームから見える周囲の景色は、建物が何もない農村地帯のど真ん中という感じだ。高速鉄道の駅ができると周辺が再開発される日本とは違い、駅周辺が荒地のままでコンビニひとつ無い。

Bus
高鉄嘉義站(12:01発)→ 故宮博物院南部院区(12:10着)
嘉義県公車 106系統, ICカード運賃 22元(81円)
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駅前のバス停から故宮博物院南部院区行きのマイクロバスに乗車。バスは何もない荒れ地のような地域に造られた直線道路を爆走。10分ほどで故宮博物院の駐車場に到着。

70ヘクタールの広大な公園に建つ博物館、バス停のある駐車場と建物の間には大きな湖があり、そこに架かる橋を渡る最短コースで歩いても500mほど離れている。今はまだ春なので気持ちの良い散歩かもしれないが、真夏になれば陰のない灼熱の道を歩くことになるのだ…

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故宮南院の湖に架かる至美橋
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故宮南院 入場口のある中庭

ぐんにゃりと曲がった形の2棟の建物のちょうど中庭あたりが入場口だ。切符売り場には10人ほどしか行列していないが、中国大陸から来た客がスマホ決済でノロノロしているため、一向に順番が回ってこない。糞遅いQRコード決済がこれ以上広まらないことを願うばかりだ。

入場料は150元(555円)。東アジア各国から収集した仏像展示「院蔵亜州仏教芸術之美」・茶道具の展示「亜州茶文化展」・玉器展示「院蔵玉器展」の常設展、高鉄嘉義駅に巨大な看板が出ていた「赤壁興三国群英形象」の特別展を今回見学できる。

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ガンダーラの弥勒菩薩像(1-3世紀)
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元代の妙法蓮華経(13-14世紀)
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清代の茶器(18世紀)
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ムガール帝国の玉器(17世紀)

中国、日本だけでなくインドやパキスタンからも収集された中世の仏像、表現方法は「各国の好み」が色濃く出ていて面白い。踊る映画が好きなインド人は、中世の仏像も踊っている姿だ。派手できらびやかな中国の茶器と、渋い日本の茶器。隣の国でも、美の基準が全く違う。実物大の茶室を再現した展示は、日本の茶室が仮設住宅の和室に似たチープな雰囲気だったり、中国の茶室が簡素すぎたり…。まあこういうズッコケをやってくれるのも面白い。

去年のこの時期に、実際に湖北省の赤壁を観に行ったため、赤壁の特別展は興味を持ってみることができる。主な展示は、三国志の赤壁を記述した文献の展示。三国志演義など、中国語で書かれた写本や、なぜか18世紀の日本で書かれた三国志の書籍も展示されている。今も昔も、日本人は三国志が大好きですねぇ…

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戦国時代の花瓶(BC4-3世紀)
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明代の三国志通俗演義(1522年)
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江戸時代の唐土名勝図会「関羽像」(1806年)


清代の三国志演義版画「桃園の誓い

次の予定があるため、観賞時間は1時間半ほど。バスに乗り再び高鉄嘉義站に引き返し、そこで嘉義市内に向かうBRTバスに乗り換える。BRTバスは高鉄の使用済み切符を見せると運賃無料だった。

Bus
故宮博物院南部院区(14:10発)→ 高鉄嘉義站(14:20着)
嘉義県公車 105系統, ICカード運賃 22元(81円)
Bus
高鉄嘉義站(14:22発)→ 文化路口(14:57着)
嘉義客運 BRT 7211系統, 高鉄の切符を提示して運賃無料
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BRT 7211系統 文化路口バス停

BRTバスは、道路のセンターライン寄りのバス専用レーンを爆走。ただ、オランダのように信号まで優先点灯にはならないようだ。台鉄嘉義站まで20分、さらに10分ほど乗って市街地中心に近い文化路口で下車。

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15時過ぎの文化路夜市

少し北に歩くと文化路夜市の屋台街だ。ここも昼間から屋台が営業している。沢山の人が歩いている夜市の道を、車やバイクが平然と走ってくるので迷惑この上ない。なぜ、歩行者専用にならないのか不思議だ。

文化路夜市の道から1本入ったところに、インターネットで予約した安宿「真珠大飯店」がある。ドヤ街の簡易宿所のような所で、お年寄りのオーナーが管理している。街の真ん中に格安で泊まれる、ありがたい場所だ。1泊分の料金700元(2,590円)を現金で払う。パスポートは表紙だけちらっと見るだけのゆるさ。

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鶏肉飯

ホテルに荷物を置き、すぐ近くにある噴水鶏肉飯のお店へ。嘉義の名物「鶏肉飯」を食べる(50元, 185円)。名物店ということで、突飛なものが出てくるかと思ったら、ごくノーマルな鶏肉飯だった。まあ、これはこれで美味しいんだけどね。

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中央噴水広場の呉明捷像

お店の目の前は、中山路と文化路が交差するロータリーで、中央に噴水と呉明捷の銅像がある。呉明捷は日本統治時代の嘉義農林学校野球部の投手で、甲子園で活躍した人だそうだ。以前、映画KANOを観たことを想い出す。

800mほど西にある台鉄の嘉義站へ。ここから北回帰線太陽館を通るバスが出ているとスマホのアプリは教えてくれるが、それらしきバスが来る気配はない。それならと、タクシーに乗る。

TAXI
嘉義站前(15:45発)→ 北回帰線太陽館(15:55着)
タクシー, 約3.9km, 運賃 160元(592円)

タクシーは台鉄縦貫線の線路に沿った一直線の道(台1線)を走っていく。嘉義の市街地は案外小さく、ほんの5分で市街地を抜け一面の畑が広がっている。北緯23.4°の北回帰線を示すアーチが国道の上を横切っていて、その横が北回帰線太陽館だ。

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タイタンII GLVロケット

タクシーを下車すると、目の前の公園には大きなタイタンII GLVロケットが置かれている。弾道ミサイルを改良しジェミニ宇宙船を打ち上げたロケットだ。全高31.4m×直径3.05mのロケットは2段式で、第1段のLR-87エンジン2基が手の届きそうな場所に取り付けられている。残念ながら、2段目のエンジンは取り付けられていない。購入金額を節約したのかな…

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歴代の北回帰線標誌

タイタンII GLVロケットの背後には、昔のSF映画に出てくる月面基地のような形をした「北回帰線標誌」の建物がある。内部は、北回帰線太陽館という宇宙技術を展示する子供向け博物館だ。

北回帰線が通っていることを示すこの「標誌」は、1995年に建てられた第5世代のものだ。1908年に日本が建てた初代「標誌」から、第4代までの歴代のこぢんまりした「標誌」も敷地内に大切に展示されている。日本時代の公共施設を徹底的に破壊するどこかの国とは大きな違いだ。

この「標誌」を越えて南に行くと温帯から熱帯に足を踏み入れることを意味する。台湾に来て以来2日間、15℃〜20℃という過ごしやすい気温だったが、北回帰線まで南下してきた今日は最高気温が27℃くらいだ。熱帯に突入する明日以降の天気予報は、最高気温は30℃越えのようだ。恐るべし熱帯…。まるで真夏だ。

太陽館を見学する。アメリカの初代有人宇宙計画「マーキュリー計画」と、第2代「ジェミニ計画」、第3代「アポロ計画」の宇宙船モックアップが屋外に展示されている。雨や直射日光から宇宙船本体を守るため、かなり傷だらけになったプラスチック板で覆われていて、ちょっと残念な展示方法だ。

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ジェミニ宇宙船
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ジェミニ宇宙船の操縦室

室内の展示場にはスペースシャトル計画で使われた有人飛行ユニットMMUとアポロ計画で使われた宇宙服、アポロ計画の月面車、1960〜1970年代の核実験監視衛星ヴェラ、1971年にソ連とフランスが共同で打ち上げたオーロラ観測衛星オレオール1号、1957年に打ち上げられた世界初の人工衛星スプートニク1号の実物大モックアップが展示されている。宇宙開発初期の時代のものに偏りすぎてるような気もする。オレオール1号なんて知らんし…

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有人飛行ユニットMMU
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ヴェラ、オレオール1号、スプートニク1号

スマートフォンのアプリ「Bus Tracker Taiwan」で、嘉義站に向かうバスを検索すると、16時半から17時にかけて数本のバスが一気にやって来る事が判る。1日に数本しか無いバスは、通勤時間帯に集中して走っているのだろう。国道「台1線」の側道にあるバス停に向かい、バスを待つ。太陽館に来ているたくさんの親子連れの客は自家用車で来ているようで、畑の中にぽつんと立つバス停でバスを待っているのは私だけだ。

Bus
鴿渓寮(16:46発)→ 嘉義火車站(16:58着)
嘉義客運 7206系統, ICカード運賃 11元(41円)

嘉義站前で下車し、跨線橋を渡って後站(駅の西口)へ。こちら側の留置線の端にある倉庫群が、「嘉義鉄道芸術村」として一般に開放されている。本来は芸術家などに貸し出すアトリエなのだろうが、自動車工場が入居したりしていて、なんでもありのようだ。貨物駅だったと思われるプラットホームなどは、近所の住民の散歩場所になっているようだ。公園との間に区切りのフェンスすら無い留置線は、廃止されているわけでは無さそうで、現役の工事用車両が停車していたりする。

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台鉄 嘉義站
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嘉義鉄道芸術村の貨物駅プラットホーム

街の中心方向に戻りつつ、セブンイレブンのイートインで休憩。今回も比菲多(乳酸菌飲料 30元, 111円)を購入し、交通ICカード一卡通に200元を加値(チャージ)する。

文化路夜市へ。2時間ほど前に見た時より混雑度が更に上がっている。文化公園前の「民国53年創立生炒花枝蝦仁炒飯」で夕食。肉絲蛋炒飯・炒青菜・魚丸仔湯の3品を注文(110元, 407円)。青菜は空芯菜でもレタスでもなく、普通のA菜だった。

その後、カフェ風の嘉義豆奶攤で鮪魚蛋餅(ツナ&卵クレープ)と無糖豆漿(55元, 203円)を購入。ツナ卵クレープはそんなに美味しいものでもないな…

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文化路夜市
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煎鳥蛋と石頭餅の屋台店
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肉絲蛋炒飯・炒青菜・魚丸仔湯
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鮪魚蛋餅・無糖豆漿
Hotel
真珠大飯店 泊
302号室 ダブルルーム 700元(2,590円)/1泊