2019年 台湾旅行記 : 高雄(孔子廟・左営軍区故事館)
November 5, 2019 (Tuesday)
Kaohsiung - Taiwan (高雄市 - 台湾)
夜中、バスルームの壁に蚊が1匹いるのを発見したが、運良く部屋の方にはやって来ず。おかげで安眠できた。
6時起床。6時半頃、朝食を食べに雄中の向かいにある金山清粥小菜に行ってみると、開店前。昨日の夕方、この店の前を通りかかった時に「晩上 5:00・凌晨 6:00」と掲示されていた営業時間は、晩5時と朝6時に「開店する」のではなく、晩5時に開いて朝6時に「閉店する」という意味のようだ。なるほどね…
GoogleMapで最寄りの早餐屋を探して行ってみる。自立路の包手という店で、饅頭や餃子類を目当てにたくさんの客が来ている。火腿蛋餅(ハム・卵のお好み焼き?)、目玉焼き、鍋貼(ぎょうざ)2個、豆漿を購入。71元(256円)。店頭には饅頭や包子を入れた巨大な保温ガラスケースが置かれていて、名前を知らない饅頭を指差しで買えるのはガイジンにとってはありがたい。
一旦ホテルに戻り、チェックアウト。
今日は帰国する飛行機に乗るまで、主に午前中が行動時間だ。プラン1は、左営軍管区故事館の見学(駅から約2km)、プラン2は今年の春に訪れた下淡水渓鉄橋を屏東側から行く(駅から5km)。
プラン2の旧鉄橋は、昨夕のTVニュースで「河川敷に植えた花畑の中に入ってポートレート写真を撮影するバカ共がいる」と報道されていた。菊なのかコスモスなのか分からないが、黄色い花が満開で見頃らしい。
しかし、台湾の11月はまだ灼熱の炎天下。往復10kmの影のない農村地帯を自転車で走るのは、時間制限を気にしつつという条件では難しい。
だから、消去法的にプラン1の左営軍管区故事館の見学に向かう。
高雄站(08:04発)→ 新左営站(08:24着)台鉄 区間車, ICカード料金 14元(50円)
左営区 高雄市孔子廟、哈羅市場
高雄站から台鉄の各駅停車に乗って、新左営站へ。新左営駅のコンコースにあるコインロッカーに荷物を預け、レンタルサイクルt-bikeの登録を駅舎西側の自転車スタンドの端末機で行う。
web検索すると、高雄のレンタルサイクルは居民証が無いと交通ICカードを登録できない、と語る個人旅行記が大量に発見できる。しかし、実際はパスポートがあれば登録可能だった。
台鉄新左営站(08:40)→ 蓮池潭 拱橋 東詰(08:50)高雄市公共腳踏車 CityBike, 料金は新左営站に返却時に確定
自転車を借り、まずは通過コース上にある蓮池潭の湖岸へ。快晴の青空に、孔子廟の赤や緑の屋根が生えている。
まずは、孔子廟に入場。1976年に移転新築された孔子廟は山東省曲阜市の孔子廟を参考に造られていて、本殿「大成殿」が北京市の紫禁城の正殿「太和殿」にそっくりなのも曲阜孔廟と同様だそうだ。蓮池潭に面した南側から、泮池(半月形の池)に架かる泮橋(太鼓橋)、牌坊形状の欞星門があり、その奥に回廊を巡らせた本殿「大成殿」がある。
回廊の軒下にはオープンテラスのカフェが、回廊の建物(東廡と西廡)内部にはは孔子の弟子や賢人(先賢・先儒)の神牌(位牌のような形状のもの)が並んでいたり、孔子の教えを解説した展示館などがある。
(曾子曰)吾日三省吾身。
(曾子がおっしゃった)私は1日に3回我が身をふり返る
為人謀、而不忠乎?
人のために真剣に物事を考えただろうか
与朋友交、而不信乎?
友人との交りにおいて信義にそむくことはなかったか
伝、不習乎?
自分でまだ実践できるほど身についていないことを人に伝えているのではないか
蓮池潭の岸に沿った自転車道を通って北端へ。道路に一角にスクーターが猛烈に集結している場所がある。哈羅市場と書いて「ハロー」市場と読ませる、左営第4公設市場だ。おっちゃん、おばちゃんが肉や魚・野菜を買いに来る市場のようで、狭い通路は人とスクーターが入り乱れ、歩くのもやっとなくらいの大混雑だ。なんで車両通行止めにしないのか…。
蓮池潭 拱橋 東詰(09:25)→ 哈羅市場(09:35)→ 左営軍区故事館(09:43)高雄市公共腳踏車 CityBike, 料金は新左営站に返却時に確定
左営区 左営軍区故事館
さて、次は海軍基地にある左営軍区故事館に向かう。GoogleMapsの経路案内は、細い道や階段も最短コースとして指定してくる。裏道を通るのは生活感が感じられてよいのだが、スピードが出せずに余計に遅くなるときがある。
蓮池潭の北端より住宅街を抜け、ほぼ西へ1.5km。左営海軍基地の端っこに目指す博物館がある。道路に出ている標識は「四海一家」という海軍の厚生施設の名前だ。「四海」とは中華民国海軍が活動領域とする渤海・黄海・東海・南海のことをいうらしい。かつてこの施設は大日本帝国海軍水交社(海軍軍官倶楽部)だった建物だ。その建物の一角が、左営軍区故事館となっている。
故事館の前庭には、「六瓲 昭和十七 - 四」と刻印された日本海軍の巨大な錨が鎮座している。正面入口から館内へ。何人かの職員が談笑している受付で聞いてみると、入場料は無料だという。館内を見回すと数組の見学者が訪れていたが、それぞれ海軍の退役軍人がガイドしてくれるようだ。私にも案内役の退役軍人さんが付いてくれ、流暢な日本語で日本人向けの「特別版」の解説をしてくれた。
日本統治時代には台湾島での海軍主力基地だった
左営海軍基地は、もとはといえば1937年に日本が建設を始めた左営軍港を戦後に台湾が接収したものだ。日本統治時代には、台湾島にあるすべての海軍施設を指揮する高雄警備府が置かれていて、その本部庁舎は故事館の西隣に現存している。第二次大戦末期には自爆特攻ボート震洋隊の基地もここにあり、特攻に散った搭乗員の集合写真は時代を感じさせるものだ。
日本海軍“奇跡の駆逐艦”雪風は、台湾に賠償艦として引き渡された
そして、幾多の海戦をくぐりぬけ生き残った大日本帝国海軍の奇跡の駆逐艦「雪風」は、戦時賠償艦として台湾(中華民国)に引き渡され「丹陽」と改名され、一時は台湾海軍の旗艦として活躍した。その丹陽の模型が故事館に展示されている。
そのほか、羅針儀や六分儀、気象観測機器など旧日本海軍の装備品や、日本海軍時代の軍港施設の写真や地図も陳列されているが、戦勝国としてではなくこの基地の歴史を淡々と解説するものだ。
その流れは、第二次大戦後に米海軍の協力の下に進められた台湾海軍の整備についても、極めて淡々と説明しているのが印象的だ。数日前、台北で見学した陸軍の国軍歴史文物館の主力展示だった1949年の「金門戦役」や1958年の「金門砲戦」などについては、海軍の左営軍区故事館ではほとんど触れられていなかった。
故事館の見学を終え、左営站に向かう。GoogleMapsの道案内を使わず、標識に沿って広い道を走る。住宅街の中の近道を通らなくても、案外近いものだ。
左営軍区故事館(10:45)→ 台鉄新左営站(10:54)高雄市公共腳踏車 CityBike, 合計2時間16分利用で 55元(198円)
自転車を返却し、新左営駅のコンコースにある台鉄弁当売り場へ。ちょうど入荷したばかりで行列が出来ている排骨八角飯盒(80元, 288円)を買って、待ち合いベンチで食べる。台鉄弁当で売られている60元の普通の弁当(伝統排骨弁当というらしい)と80元の八角弁当の違いは… 野菜炒めとおでんのごぼう天が追加されているところだろうか。
地下鉄(捷運)の駅に行き、残りの小銭106元(382円)を交通ICカード iPASSにチャージ。帰国時に小銭を持って帰りたくないので、ちょうどいい機会だ。空港方面に向かう地下鉄に乗り、途中の三多商圏で下車。
新左営站(11:38発)→ 三多商圏站(11:53着)高雄捷運, ICカード運賃 26元(94円)
三多商圈
昨日雨でよく見えなかった高雄85ビルを近くまで見に行く。台北101に次いで、台湾で2番めに高いビルだ。ここは自由主義国の最前線なので、まさかスターリン様式を意識したのではないだろうが、変わったデザインのビルだ。
雨で開店休業状態だった興中夜市にも立ち寄ってみるが、今日は道路の舗装を全て引っぺがして工事中。もちろん、客など居るわけがない…。
三多商圏站(12:34発)→ 高雄機場站(12:44着)高雄捷運, ICカード運賃 22元(79円)
再び地下鉄に乗り高雄空港へ。飛行機の出発時間の2時間前に、十分余裕を持って到着。交通ICカードの残額は94元となり、空港内のファミマで新東洋のパイナップルケーキを購入して(72元, 259円)ほぼ使い切る。
台湾 高雄機場(15:15発)→ 関西空港 第2ターミナル(18:40着)ピーチ航空 MM 036 諸税込み往復運賃 22,350円